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昼寝に向いているBGM [ディスク・レビュー]

日記にするのが遅くなってしまったけれど、村上春樹さんのレコード・レビューの「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を読了した。


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音楽に関しては非常に見識の深い村上さんだが、ジャズが本職でいままでいろいろなジャズに関する著書はあったもののクラシックはいままでなかった、ということで新境地開拓というところであった。


いわゆるディスク・レビューというジャンルで、村上さん所蔵コレクションのレコード、CDを自分なりの想い入れや感想などを散りばめたなかなか興味深い仕上がりになっている。


自分が印象に残ったのは、いわゆる村上さんの言葉で書かれている、という親しみやすい文章で書かれているところだった。


ディスク・レビューというとその道のプロである音楽評論家の先生方の文章を思い起こし、いろいろな先生方の文体を思い浮かべてしまうが、その格調の高さ、香りの芳醇さとは、またちょっと違う、いかにも村上流という感じで、その筋の文章とは、かなり趣が違うな、と感じたことであった。


非常にわかりやすい、親しみやすい文章であった。ディスク・レビューという言葉ではちょっと括り切れないな、という感じがする。やはり文章を書くプロ、小説家だなぁという想いを強くした。


書くにあたって、そのレコードのプロフィールや当時の時代背景、演奏家のプロフィールなどもちろんご自身の知識もさることながら、調べたりの補記もあると思うのだが、かなり詳しくて、よくここまで書き尽くしたな、という想いが残った。


これにさらに村上さんのそのレコードの対する想い入れがメインで入っているので、かなりの読み応えである。


ご自身が書かれていたように、いわゆるクラシックの名盤を挙げたものではなく、ご自身が世界のレコード屋さん巡りで、いろいろな古いレコードを買い漁って、いつのまにか自分のレコード棚にコレクションしてきた、そういうレコードたちを振り返ろう、レビューしようという試みである。



いろいろなレコードが紹介されているけれど、印象的だったのは、そのレコードの演奏家の世代であった。自分が普段聴いている演奏家の世代とはずいぶん違うな、という印象であった。1950年から新しくて1970年代の古いレコードたち。つぎつぎと紹介される演奏家は、自分にとっては伝説的な立ち位置の演奏家たちばかりだった。


うわあ、聴いている世代が全然違うな~という感じであった。自分とは10~20歳くらい違う村上さんだが、やはり聴いている世代が違うな~と感じることが大きかった。


自分が普段聴いている、応援している演奏家の世代というのは、その人の年齢、世代をそのまま象徴していて、その人の生きざま的なところがある。


これはそれぞれの年代で、それ相応のその人特有の想い入れがあるから、それを否定することは絶対できない。


面白いな~と思いました。そして興味深かかったです。


この本を読んで、自分がすごく面白くて気になった箇所が、253page/257pageに記載のある「昼寝に向いているBGM」という箇所である。



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シューベルトの弦楽五重奏曲。実を言うとこの曲で僕が最も頻繁に聴いたのは、ヨーヨー・マの入ったクリーヴランドのSQのCDだが、どうしてかといえば、いつもこれを聴きながらソファーで昼寝をしていたからだ。この演奏、けっして退屈という訳ではないのだが、聴いているとなぜかすぐに眠くなって、とても気持ちよくすやすや眠れてしまうからだ。


他の演奏ではそんなことはないのに・・・というわけでけっこう重宝していた。よかったら試してみてください。



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しかし、どうしてヨーヨー・マ入りのクリーブランドSQの演奏は、昼寝のBGMに向いているのであろう。僕にとっての長年の謎になっている。


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自分はこの部分に猛烈に反応。(笑)


さっそく自分でも購入してみた。



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シューベルト:弦楽五重奏曲

ヨーヨー・マ (アーティスト, 演奏), シューベルト (作曲), クリーヴランド弦楽四重奏団 (演奏) 




シューベルトの弦楽五重奏は普段もあまり聴かない曲であるが、ひさしぶりに聞いて、う~ん・・・・これはなるほど。。。仰ることはわかるような。。


決してこの曲がそうだと言っている訳でもなく、このSQの演奏もそういう意図がある訳では決してないかもしれないが、確かに眠気を誘う要素は十分に持っている。(笑)


弦楽奏な訳だが、音色に切れ味がなく、全体的にもっさりしている感じで、その眠気を誘う素質は十分に持っている。


あと、和声感があまり感じないかな。弦楽五重奏なのに、それぞれの種類の弦楽器同士ののハーモニー、和声の美しさをあまり感じないかもしれない。


とにかくひと言で云えば、もっさりしている感じである。


う~ん、これは眠くなるかなぁ???(笑)


でも他人がそう言ったから、なんとなくその影響を受けてしまい、そう感じてしまうところもある。眠気を誘う、昼寝に向ている・・・というところに注目し過ぎて、なんとなく聴く前からそんなイメージで聴くもんだから、悪い印象を並べ立てて、評価するというのもフェアじゃないと思う。


でもやっぱり眠くなるかな?(笑)


ぜひみなさんも試してみてください。


村上春樹さんといえば、最近、早稲田大学に村上春樹ライブラリーが完成して話題になっていましたね。自分も運動リハビリがてら、ときを見計らって見学しに行ってみたいです。あの階段がかなりきついかな、とは思いますが。


そのときはレポします。


お楽しみに!






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