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DX時代のコンサートホール:統括 [コンサートホール&オペラハウス]

本連載、全16話本日にて終了です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。1年前に"DX時代のコンサートホール"とは、どういうものなのかを書いてみたいと、ずっと思ってきて、ようやくその本懐を遂げました。


まっ去年のクリスマスから年始のお休みの間に、突貫工事、付け焼刃で捻りだしたものなので、内容も浅くて申し訳なかったです。


コンサート通いをずっとやってきて、こうだったらいいのにな~というベースはつねに頭に中にあって、それに最新の技術をくっつけた程度のアイデアでした。

もっと時間をかけて、実現性も踏まえて考える内容ではありますね。

でもいままでずっと抱えていたストレスみたいなものは、本日にて全部消え去りました。


すっきりしました。

楽しかったです。


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こういう類のものは、実際実現した人が一番偉いですね。ただ書いているだけで、責任のない立場はお気楽なものです。自分も含めて。


いざ現実のものにして、実際実現していくとなると、費用の面、将来に向けてそのかけた費用を回収できるのか、ビジネスとして収益がきちんととれるのか、真剣に考えていかないといけません。


そしてすんなり一発ではいきませんね。かならず失敗、試行錯誤を繰り返して、落ち着くところに定着するのだと思います。


そういう現場で実際やる人が一番大変で偉いのです。


現実的で、実現性に重きをおいた本番モードは、これからきっとあるに違いないです。そのときに、それに一生懸命に従事している人をぜひ応援していきたいと思っています。


でもアイデアを考えるのは楽しいもんです。自分は昔から結構好きです。知的欲求を満たされる感じで、なんかいままでモヤモヤしていたことが一気に晴れるというか。精神的健康にいいですね。


また定期的にいま世界で、自分の周りで起きている新しい技術のこともクリアにしておくことは重要なことだと思います。


なにごともこのときが一番楽しいですね。もう若い頃からずっとそう感じています。このアイデアをいろいろ考えるときが一番楽しいです。


そんなことできる訳ないじゃないか、夢みたいなことを言っているときが一番楽しくて、なんか未来に向けて夢を持てそうで明るい気持ちになります。


こういうのもいいもんです。


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これもずっと自分が思っていることですが、技術は、天から降りてきた、世界が目指している、国が基礎技術開発のときから関わってきて民間に降りてくるような新技術というのは、いわゆるエリートですね。それに従事するのはやはりエリートコースなのでしょうね。


そのときの頭の使い方は、まずその新技術のことを学ぶ、勉強する、自分のものとして習得する、そういう頭の働き方のように思います。それを実際の商品として具現化していく。これはこれですごい大変なことです。


それに対して、自分でなにか考える、生み出す、という頭の使い方は、すごくエネルギーがいる、というか、かなりヘビーで大変のように思います。かなりしんどいです。前者とは根本的に頭の使い方が全然違うような気がします。


それで大抵はそれは大したアイデアじゃないんですね。(笑)前者と比較すると、お恥ずかしいくらい大したレベルでないです。個人レベルと言うか。。


やっぱり人間の頭って、なんか生み出すという頭の使い方ってかなり大変なことなんだな、といつも思います。もともとそんな風にはできていないように思います。

もちろん自ら編み出した天才的な創出をなされる方も多くいます。そういうケースもすごく多いです。

自分はぜんぜんダメですが、いつもそんなことを感じてしまいます。


あと、もう一点、こういうアイデア出しをするとき思うのは、ふだん自分がそのことに興味を持っていること、自分が体験していることでないと、アイデアってなかなか出てこないものだな、と思います。


こういうことができればいいのにな~と普段思うことがないと、なかなか出てこないことだと思います。


自分はカービジネスの世界にいますが、一番ダメだと思うのは、自分が車をやらないことなんですね。もし車を持っていて普段運転することも多かったなら、車載機器についても、こんな機能があればいいのに、こんなことができればいいのに、という日頃のアイデアの積み重ねがどんどん蓄積されていくと思うのです。


だから体験ありきのところがありますね。


だから自分は、いつも受け身で他人事なのです。滝のようにいろいろな情報を浴びることはできるけど、自分からなにかを生み出すという行為がなかなか難しく感じます。


やっぱり自分が体験していて、使っていて、こういうことができればいいのにな~というのがすべての基本、原点のように思います。


DX時代のコンサートホールの連載はこれで終わりですが、実現性に乏しい、浅い内容で申し訳なかったですが、これからもなんかこんなことができればいいのにな~ということが浮かびましたら、単発編でもいいので、発信していきたいと思っています。


今度は期限がなく、思いついたときに書いていくので気が楽ですね。(笑)

ではそんなことを思っていました、ということでこれにてお終いにしたいと思います。


駄文、駄アイデアを読んでいただき、どうもありがとうございました。






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DX時代のコンサートホール:ファンクラブ運営 [コンサートホール&オペラハウス]

ファンクラブというのは、コンサートホール側の問題?という疑問はありますね。確かにDX時代のコンサートホールというお題目では、直接関係なくてアーティスト本人、事務所側のイシューだと思いますが、でもいままで述べてきた電子チケット、プログラム・広告チラシの電子化・アーティストのCD,関連グッズのEC販売とかの項目に大きく関与してくると思います。


これらの電子媒体にアーティストのファンクラブ情報のページのURL、もしくは紹介があるだけでファンなら入会したいと思うかもしれません。なにしろチケット買ったときとか、公演が終わった直後というのが、ファンにとって1番購買意欲が最大限MAXのときなのです。


そんなことも含めてデジタル時代のファンクラブの在り方というのも考えておく必要があると思います。


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ファンクラブはそれこそ昔からあるものですが、デジタル時代になってSNS,YouTubeなど誰もが身軽に発信できるようになった時代、アーティスト本人がSNSのアカウントを持っている場合が大半ですからファンだったら絶対フォローしていますし、そこからのイベント紹介が一番効果的ですね。自分も大半はアーティスト、プロモーターのSNSからコンサート情報を入手しているのがほとんどです。


でもファンクラブというのは、それよりももっと1歩進んだ、もっとアーティストのことを知りたいというファン向けに有料で紹介するというのが前提なのだと思います。有料だからこそ、ふつうのファンよりももっとそのアーティストのことを知ることができる。そういう特典的なものなんだと思います。やっぱり収益ありきですね。



いろいろなアプローチがあって、そのアーティストの考え方によるもので、各々独自の方法がありますね。オリジナルユニークでいいと思います。昔は事務所が運営していたことが大半ですが、このデジタル時代、もちろん事務所運営もありますが、アーティスト本人による特別なYouTubeなどのSNS戦略ありますね。


でも無料でなんでも情報提供するというのはどうか、と思いますので、有料になるし、そうなると課金となると、収益管理、その後の処理など考えると事務所、スタッフでやるのがよいのかと思います。


1.入会費・年会費

2.会員特典

・会員証 / 会員番号の発行される

・会報が送付される

・最新情報などお知らせが届く

・チケットの先行案内を受け取れる(音楽アーティストならチケット発売の先行予約)

・限定グッズが購入できる / プレゼントされる

・オフ会や会員限定イベントに参加できる

・デジタル会報誌が楽しめる

・写真・動画でオフショットが見れる

・ここだけのつぶやきを楽しめる

・ライブ配信を視聴できる

・オンラインのファンミーティングに参加できる


なんかこれだけでも、こりゃとてもじゃないけどアーティスト本人でできることではありませんね。(笑)やっぱりスタッフありきで、アーティストは出演、情報提供というミッションでしょうか。


チケットの先行案内を受け取れるところで、音楽アーティストなら自分のコンサートのチケットの先行予約はすごい有難いです。自分が実感するところです。すごい争奪戦が予想される場合、チケットが欲しいというだけで、(ファンクラブ以外にも)入会してしまうことも多々ありました。


●ファンクラブの開設・運営に必要なもの


専用サイト / アプリ

決済サービス

会員管理システム



●ファンクラブ運営のコツ


レア情報や最新情報を更新する

公式SNSをしっかり運用する

メルマガやLINE公式アカウントで集客する


昔、子供時代に、自分も好きな方のファンクラブに入っていたことありました。やはりあの時代は原則郵送でのやりとりだったんですよね。ファンクラブに入会すると、郵送でいろいろイベントのお知らせが届いたり、写真プロマイドや特典グッズが届いたり。。それがファンクラブに入っている、有料だからこそ入手できた代物で、そこにお宝感覚といいましょうか、特別待遇な感覚でうれしかったものです。他のやつらとは違うんだぞ、みたいな。


デジタル時代、DX時代のファンクラブというのは、もうWebベースが基本ですね。上記にあげた特典、情報展開を専用のページを作成してどんどん公開していく。もちろんEC販売も絡めるなら、物販郵送もありますね。そうやって収益をあげていくという感じなのでしょう。


下記の2つは、デジタル時代のファンクラブ運営サービスのパッケージ商品を販売します、というビジネスモデルケースです。(ちょっと簡単にググってみて適当に見繕ったものです。)


CCC、SKIYAKIと資本提携~CCCの会員基盤を活用したファンサイト・ファンクラブ事業展開へ



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ファンクラブ次世代型会員管理システム「fanUP!」



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会員管理機能をコアに、オフィシャルサイト管理、ファンクラブサイト管理、ECショップ管理、チケット販売等の各機能はたまたライブ企画、コンサートホール予約までワンパッケージにて提供するもので、もう圧倒されますね。やっぱりWebベースなんですよね。そこにアーティストの活動を応援、サポートしていくプラグインをたくさんつなげていこうという発想なんですね。



でも自分は思うのですが、これだけSNSが大衆化した時代、アーティスト本人がみんな自分のアカウントを持ってそこから発信している時代。それとは差別化して、有料だからこそ得られるお宝情報、グッズをファンの方に贈るというのは、これまたアーティストにとってはすごい負担で重労働なことですね。(笑)


昔はSNSはなかったですからね。ファンクラブだけでした。アーティストは本当に大変な時代になりました。


DX時代のファンクラブの運営で、コンサートホールと関与してくるポイントは、電子チケット、プログラム・広告チラシの電子化・アーティストのCD,関連グッズのEC販売などの電子媒体に、このファンクラブのページへ飛べるURLのリンクを貼っておくというのがポイントだと思います。







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DX時代のコンサートホール:ロビーやラウンジでのキャッシュレス決済導入 [コンサートホール&オペラハウス]

コンサートホールやオペラハウスでの前半と後半との間のインターミッション、ブレイク、休憩時間、大体15分~20分くらいじゃないでしょうか。


クラシックコンサートやオペラに行ったら休憩時間も楽しみましょう!


実は休憩時間を楽しく過ごすと、さらにコンサートが楽しめるようになります。どう過ごすかでそのコンサートが総合的に楽しめるかどうかが変わるくらい、休憩時間って大切なのです。


なぜ休憩時間があるのかというと、演奏者にとって長時間の演奏は、かなり負担が大きいからです。お客さんも長時間、座りっぱなしでは疲れてしまうので、ほどよく休憩してリフレッシュできますね。演奏者もお客さんも、クライマックスのメイン曲をベストな状態で迎えることができるというメリットがあります。


これが最大の休憩をとる意味といっていいですね。公演の中には、1曲のみの演奏で、それが中途半端で微妙に長いので、休憩をとるにとれず、休憩なしというコンサートもあります。そういうときは事前にトイレに行っておくことがとても大切になります。


オペラの場合は、インターミッションと呼ばれる幕間に平均20~30分、長ければ50分の休憩時間があります。また、オペラの長さによって数回に分けて設けている場合があります。たとえばワーグナーの「ニーベルングの指環」では、上演時間はなんと5時間にもなるので、50分程の休憩時間を2回設定しています。


それだけの長時間だと、歌手の負担も大きいので長い休憩時間が必要ということなんですね。そして舞台裏では、次の幕の演出用に舞台設備を大きく変えるための時間でもあります。クラシックコンサートやオペラにとって大切な休憩時間、せっかくなら楽しく過ごしたいですよね。


どのような過ごし方があるのか、見ていきましょう。


休憩の過ごし方


①トイレに行く。

②ホワイエをうろつき、知り合いがいないかチェックする

③写真撮影をする。

④ステージのすぐそばへ行ってみる

⑤プログラムノートを熟読

⑥チラシの束をチェック

⑦外の空気を吸いに行く

⑧寝る

⑨演奏者のCDを買ってみる

⑩バーカウンターでワインを楽しむ



①トイレに行く


自分はこれが1番多いいですね。これは自分にとって必須だと思います。トイレに行かないことは自分にとって非常に危険です。もちろん開演前にも済ませますが、自分はトイレが近いので、前半と後半通しで我慢することは無理です。後半をより快適に楽しむために、休憩時に必ずトイレは済ませておきます。


休憩時のトイレは、とにかくすごい劇混みになりますね。特に女子トイレの長蛇の列。自分は毎回このたびに女性の方は本当に大変だな、と思ってしまいます。男子トイレも休憩時は、長蛇の列になりますが、回転率はいいですね。自分は生理現象的に、休憩時にいの一番に、トイレに直行してすっきりして後半に望みます。これが後半を気持ちよく鑑賞するための自分なりの秘訣になります。


②ホワイエをうろつき、知り合いがいないかチェックする


自分はシャイな性格なので、これはあまりやらないです。でもクラシックファンや音楽評論家のみなさんはとてもよくあるケースではないでしょうか。やっぱり人気の公演や注目する公演は誰しもがみんな行っているものなのです。みんな狙うところは同じなのです。


やっぱりクラシックファンは、同じ趣味を持った友人が多いです。クラシックのコミュニティなんかでの繋がりもあります。それじゃ休憩の時に落ち会いましょうね、ということにもよくなります。また、そんな約束がなくても、休憩で混雑しているホワイエをぶらついて、誰か知っている人を見かけないかな?とぶらつくこともあります。音楽評論家の方々もいることも多いです。そうするとご挨拶できるいいチャンスになる。休憩時のホワイエは、そんな束の間の宝探しのような出会いの場となることが多いです。


③写真撮影をする


自分は結構これやっているかもしれません。やっぱり人気の公演は前半だけで、すごい興奮状態に陥ります。そうするとホワイエの興奮度のるつぼが手に取るようにわかるのです。その興奮している聴衆を絵に撮りたいということで撮影することが多いです。その興奮度をみんなに伝えたいと思うのです。そのとき注意することは、人の顔が映らないようにすることです。かならず後頭部からの構図になるように撮影することです。休憩時のホワイエは大群衆の集まりですが、意外と人の顔が映らないように写真撮影することはそんなに難しくないです。


④ステージのすぐそばに行ってみる


せっかくなので、ステージのすぐそばまで行ってみましょう。オーケストラの場合は、コントラバスや打楽器など大型の楽器がそのままステージに置いてあるのでじっくり見ることができます。


P席(ステージ真後ろの席)に行ってみると、演奏者の楽譜の書き込みなんかもうっすら見れたりします。普段なかなか見ることができないので、とても興味深いです。オペラの場合は「オケピット」と呼ばれる、オーケストラが伴奏する場所をのぞきに行ってみるのもおすすめです。楽器や譜面台の他に意外なもの(ティッシュ箱とかサンダルとか)が置いてあったりして、面白いです。(笑)


またステージを前面にしてホール写真を撮影するのにも適しています。ホール撮影が厳しいコンサートホールでは、開演前は、やはりレセプショニストが目を光らせてますから、なかなかその中を撮影を敢行するのは勇気が要ります。よく注意されます。(笑)でも休憩時は意外にもレセプショニストさん達の監視が緩いときなんですね。だから自分は、よく休憩時にステージを含め、ホール空間写真を撮影することも多いです。


⑤プログラムノートを熟読


自分はプログラムノートは、かならず開演前にひと通り目を通します。前日から予習をいっさいやらない人なので、まず今日はどんな演目をやるのか、頭に入れ込むためです。それで大体のイメージを膨らませます。そしてその一瞬で、演奏家のこのコンサートにかけている意気込み、意図などを把握しようとします。演奏家はどこを聴いてほしいのか、なにに留意して聴いてほしいのか、そこは外さないようにすることは大事なことだと思います。


普段は予習はしない人ですが、数日前にSNSなどで公開される当公演に関する演奏家のインタビュー記事はかならず目を通すようにしています。それはプログラムノートには書かれていない演奏家のこの公演に対する想いとか、意気込みが語られている場合が多いからです。どんな想いで、この公演を臨もうとしているのか、その演目についてどのような想い出、思い入れがあるのか、そういう内なる面というか、本音を語っている場合が多いです。そういうのはきっちり公式文書であるプログラムにはまず掲載されない内容なのです。


音楽評論家の方々の文章も目を通します。きっとこのライナーノーツを書くために、それぞれ資料を確認し、推敲に推敲を重ねて書いている内容でしょうから、ある意味お宝の知識になります。自分は終演後、家に帰ってから、もう一回プログラムを見ることはあまりしない人です。日記を書くために、もう一回確認程度に見る程度です。


いままで終わったプログラムは特に保管していなかったのですが、今年からコンサートに行ったときのプログラムは必ず保管しておこうと思うようになりました。一生の宝で、自分の財産になると思うからです。


⑥チラシの束をチェック


クラシックコンサートでは、プログラムノートと一緒に入口のところでずっしりと重たいチラシの束をもらうことがあります。今後のコンサートの予定がわかるチラシがたくさんあるので、気に入った演奏会が見つかります。休憩中に選別するので、必要なチラシだけ持って帰ります。


自分はいつも開演というよりは開場一番乗りでホールに入るので、開演まで1時間は余裕であり、時間を持て余すので、大抵、この広告チラシのチェックは休憩時にやるというよりは、開演前にやっていますね。不要なチラシは、専用の捨てるところが用意されているのでそこに置いていきましょう。席に放置して帰るのは、マナー違反なのでやめましょう。


⑦外の空気を吸いに行く


コンサートホールは密閉された静かな空間なので、意外と緊張します。新国立劇場などコンサートホールによっては、テラスがあったりするので外の空気を吸いに行くのもいいですね。新鮮な空気で深呼吸してリラックスすると、眠気覚ましにもなるのでおすすめです。


毎年4月の東京文化会館で開催される東京・春・音楽祭はちょうど桜満開の時期ということと、とくにワーグナーN響のオペラはワーグナーなので、すごく休憩時間が長いです。そんなときは、外に出て上野恩腸公園の夜桜を楽しむことがよくあります。この上野の桜を見る時期は、本当に一年で一番気持ちが清々しいこれから、またクラシック三昧の1年が始まるんだな、と決意を新たにするときです。


⑧寝る


前日までの体調管理がいまいちで、静かに鑑賞してたら、眠くなっちゃった…ということもあると思います。でもせっかくのコンサートなので、寝てしまうのはやはりもったいないですよね。こんな場合は、休憩中にちょっと仮眠を取るのもありです。ほんの少し、うとうとするだけでもすっきりして、後半の演奏に集中できますよ。


自分は眠くなるのは、十中八九前半です。前半でウトウトしたら、後半はスッキリ目が覚めたということが多いです。


⑨演奏者のCDを買ってみる


ロビーでは、その日の演奏者のCDが置いてあったりするので、気に入った場合は買うこともおすすめです。リサイタルの場合は、演奏後に購入者向けのサイン会があったりするので、そちらも楽しみですね。サイン会、懐かしいですね。(笑)コロナ禍前ですが、そんな時期もありました。


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このロビーでのCDや関連グッズの物販コーナー。オンライン時代とはいえ、絶対なくならないでほしいですね。まさにコンサートの名物コーナーというか、この物販コーナーがあるからこそ、いまコンサートに来ているんだ、という実感が湧きますね。コンサートで初めて知る曲や、初めて知る演奏家の方もいます。そのときに感動して、CDを買いたい!と思うことはすごく多いです。美術鑑賞もそうですが、音楽鑑賞も、まさにコンサートは終わったときが一番購買意欲が最大限MAXのときですからそのときにCD買いたい~、と思うことしきりなのです。


でもそのときにネックになるのが、現金払いしか対応していないのことです。自分は貧乏庶民なので、普段あまり現金を持ち合わせていないので、終演後にCD欲しいな~と思うのだけど、現金持ち合わせていないので、買わなかったということがすごく多いです。仕方がない、家に買ってからネットで買うか~みたいな。


これはもったいな、と思います。ここからがこの日記の最大のところです。これを言いたいからこの長い前振りをやってきました。このコンサートホールのCDや関連グッズの物販コーナー、どうしてキャッシュレス対応してくれないのでしょうか?クレジットカードやSuica、PayPay、そのほか諸々のキャッシュレス決済をぜひ対応してほしいと思います。


キャッシュレス決済にするだけでも、もう全然売り上げがかなり違ってくると思いますよ。現金しか対応していないと、持ち合わせがないということで、見送ってしまうことが多いと思います。ときどき物販コーナーに、これは通常のネット販売では売っていないな、というようなレアなCDやグッズを売っているのを発見することが多々あるのですが、そのたびに現金の持ち合わせがなくて泣く泣く諦めたことあります。それがいままで何回あったことか!そのたびにクレジットカード決済やってないのですか?と聞きます。そのたびにゴメンナサイ…という感じです。


あの幻のCDやグッズが欲しい~と思ったことが何回あったことか!それはつぎのバーカウンターにもつながります。


⑩バーカウンターでワインを楽しむ


座って鑑賞しているだけでもけっこう疲れるので、飲み物でリラックスしましょう。多くのコンサートホールにはロビーやラウンジがあるので、ワインやビール、シャンパンを頼むことができます。もちろん、コーヒーやオレンジジュースなどもあるので、アルコールが苦手な人でも大丈夫です。サンドウィッチなどの軽食も用意されているので、お腹が空いた時はちょっとつまんだりできますよ。


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自分はキャッシュレス決済導入してほしいと思う一番なところは、この休憩時のバーカウンターでのドリンクをオーダーするときの決済方法です。このブレイク時のバーカウンターのドリンクは、本当にひと味違うんですよ。やっぱりここでワインやジュースを頼んで、そこで紳士・淑女の集う中でスタンディングで飲んでいるステータスはやはりコンサート体験の雰囲気をさらに高揚させるものです。


でもやっぱりお値段張りますよね。(笑)そして現金キャッシュにしか対応していないので、ついつい臆してやっぱりやめとこう・・・という感じになります。


でも長いコンサート時間、やはりどうしても喉が渇きます。自分は、そんなことを見越して、バーカウンターは高いし、現金対応しかないので、あきらめてもう自前で事前に烏龍茶などのペットボトルをバッグの中に持参しているのです。そしてそれを休憩時の飲んで喉の渇きを潤すのです。


でもやっぱりなんかちょっと虚しいです。(笑)寂しい感じになります。なんか、コソコソ、ルール違反のことをやっているみたいな感じで後ろめたい感じがあります。やはり休憩時は、堂々とバーカウンターで飲み物をオーダーして休憩を過ごしたい、という想いはあります。それで自分もやっとみんなの仲間入りができたような...


バーカウンターのところの決済もぜひクレジットカードなどのキャッシュレス決済にしてほしいと思います。


それがDX時代のコンサートホール・オペラハウスの在り方だと思いますし、バーカウンターのところをキャッシュレス決済にすると、現金だとお高いからやめとこう、という感じに臆してしまうのが、クレジットカード決済にしたら、ついつい頼んでしまうと思うんですよね。やっぱり休憩時のドリンクは、公式ということで、きちんとバーカウンターでワインをオーダーしたい、という気になると思うのです。






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DX時代のコンサートホール:オフィスのPC環境とスタッフ間通信・SaaSアプリの活用 [コンサートホール&オペラハウス]

MaaSと並んで語られるのが、SaaSである。
SaaS(サース)は、Software as a Seriveの略。
SaaSは、利用者であるクライアント側がソフトウェアを従来のように導入するのとは異なった新しいサービスのあり方、提供者であるサーバー側で稼働するソフトウェアをインターネットなどに経由させることで、利用者であるクライアント側で必要な機能や分量のみを選択して利用できる提供形態のこと。
SaaSの大きな特徴は、クラウドを経由してサービスが提供されるという点。これは、従来のいわゆるパッケージ型ソフトウェアには実現できなかったことで、そこがSaaSの最大の強みなのである。
                                                   
                                                                                                                                                        
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これだといまひとつビビッとこないので、もっと具体的なメリットを書いていこう。
                                                   
①マルチデバイスの利用。
                                                   
SaaSは、インターネットにアクセスできる環境があれば利用できる提供形態なので、アクセスする端末を限定せずにソフトウェアにアクセスできる。いつもと違う場所から、いつもと違うパソコンでソフトウェアを利用できる利便性の高さを実現してくれる。
                                                   
②オンラインストレージへのデータ保存
                                                   
2つ目は、オンラインストレージへのデータ保存。SaaSには、ストレージ機能とドキュメント編集機能、2つが備わっているため、オンラインストレージデータ保存を実現できる。オンラインストレージでのデータ保存は、ビジネスのスピードを一気に高めてくれるであろう。
                                                   
③複数ユーザーによる管理・編集
                                                     
3つ目は、複数ユーザーによる管理・編集。SaaSに備わっているストレージ機能とドキュメント編集機能を生かせば、複数人でデータの共有ができたり、一人のユーザーによるデータ編集を即、他ユーザーのデータに反映したりといったことができるため、スムーズなグループワークが実現するであろう。
                                                   
さらには、SaaSのほかにPaaS(Platform as a Service)とかIaaS(Infrastructure as a Service)というのもある。
                                                   
区分けとしては、
                                                   
SaaS:アプリケーションまで
PaaS:ミドルウェア層まで
IaaS:OSのレイヤーから下層まで
                                                   
                                                   
                                                   
うちの会社の各社員のPC環境は、VDI環境(VDI:Virtual Desktop Infrastracture~仮想デスクトップ環境)といって個人の端末のファイル、アプリケーション、OS含めて全部サーバーに置いてある。だから個人のPCはあくまで端末表示デバイスとしての役割でしかないのだ。各々の個人PCのディスプレイに表示されるファイルやアプリなどは 個人側で操作しているようにみえるが、じつはすべてサーバー側でおこなっているのである。
                                                   
目の前のパソコンはただの箱で、インターネットを通じて別の場所にあるパソコンを動かしている、という感じである。
                                                   
                                                   
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メリット
                                                  
セキュリティを高められる
業務の効率化につながる
管理の手間を省くことができる
                                                   
デメリット
                                                   
ネットワークやサーバー環境に依存する
サーバーに何かあった場合の影響が大きい
 
                                                                                                     
会社のPCは、もう社員の数分だけ用意しないといけないだろうから、それを管理するIT部門としては、大変である。その点VDIで管理できれば、メンテナンス、セキュリティ含め、全部サーバー側で一気に対応できるので、各端末のオペレートにお願いする必要がなく、IT部門としてはそこが一番メリット感じるのでしょうね。
                                                    
自分も最初、いままで自分のローカルPCにあったOS/アプリ/ファイルが遠隔地に全部置いてあるという感覚は不思議で怖い感じもしたが、いまはすっかり慣れっこである。
                                                  
個人PCではVDI環境(環境がサーバー側にある)とローカル環境(従来の端末にある環境)の2種類のモードを持つことになる。
                                                   
                                                   
IaaSはインフラ、PaaSは動作環境、SaaSはソフトウエアをインターネット経由で提供するサービスならば、VDIに相当するのがDaaS(Desktop as a Service)である。VDIやDaaSというのは仮想デスクトップ環境で、必要なOSやソフトウエアはクラウド上に存在するのである。
                                                   
VDIやDaaSのような仮想デスクトップ環境というのは、リモートワーク環境に非常に適している。VDIやDaaSはインターネット経由でアクセスすれば利用できるため、場所を選ばない。また、専用の端末を必要としないため、自宅のPCからでも同じデスクトップ環境にアクセスすることができる。そのため、リモートワークへ非常に移行しやすいと言えるのだ。
                                                   
実際自分も会社に出勤しているときは、とにかく端末を選ばないので、どの机の端末でも自分の環境にログインできるのは 便利だと思うし、リモートワーク中心の生活としてもすごく利便性を感じる。
                                                   
これはIT部門の存在が必要であるが、コンサートホールの社員のPCもVDIやDaaS環境に移行するべきである。管理面のメリット莫大である。そしてホール職員のリモートワーク化も促進できる。
                                                   
                                                   
                                                   
あるいは端末環境をサーバー側に置くまでいかないとしても、アプリケーションのソフトウエアをサーバー側で共通に共有して使えるSaaSは、大きなメリットがあると思う。たとえばOS,ミドルウエアなどは各端末に存在するとしてもアプリ、ソフトウエアはサーバー側にあって複数のメンバーで共有して使っていくのがSaaSである。
                                                   
SaaSの最近の事例で有名なのが、ANAで採用されたBONXのシステムである。
                                                   
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スマホやタブレットにBONXのアプリをインストールしておく。
スマホとタブレットとBONXイヤホンとの間の通信はBluetooth。
そしてスマホとタブレットを使って、WiFiでインターネットを経由して会話する。
いわゆるVoIP(Voice over IP)を使う。
                                                   
BONXイヤホンは、耳にかける小規模なもので、ここで話すと、その会話情報は、VoIPでスマホ、タブレット経由で相手とキャッチボールができる。ふつうに通話、会話ができる、というシステムである。もちろん端末を使ってのチャットもできる。
                                                   
またアプリはメンバーをグループ化することも可能で、グループメンバー間でのみのチャット、会話も可能である。またスマホやタブレットなど画像表示デバイスを持っているので、機内の落とし物など、いままでは無線で口頭説明していたものを、BONXだとその場で写真を撮って、そのまま写真データを送るだけ。
                                                   
いままで無線機を利用していたものを、機器の世代交代とともにこのBONXのシステムに切り替えた。機内のCAや地上GSのメンバーは、みんなこのイヤファンと端末で通信している。
                                                   
このBONXのサービスこそが、SaaSなのである。サーバー側のBONXの親の通信ソフトウエアで、このような通信や複数メンバーの同時共有が可能になっている。
                                                   
このハンズフリーともいえるBONXのシステムは、コンサートホールのレセプショニストにも応用できるのではないだろうか。レセプショニストが急にこのようなイヤフォンやスマホ・タブレット端末を身に着けだしたら、なんか外見上違和感というか 奇妙な感じがするかもしれないが(笑)、使用用途としては十分可能性はある。
                                                   
スタッフ間の連絡手段として十分使える。もちろん航空会社は機内と地上との通信という意味で遠隔距離ですから。コンサートホールはそこまで大袈裟でなくてもいいかもしれませんが。
                                                   
                                                   
SaaSはほかにもいろいろな可能性がある。サーバー側にソフトウエアを置いて、それを複数メンバーで、端末を選ばずして同時に共有できるのである。
                                                   
たとえばプロモーター、アーティスト、コンサートホール間のコミュニケーションはかなり綿密におこなわれることになる。
                                                   
プロモータ目線で言及するなら・・・
                                                   
アーティストとの出演交渉、契約締結、契約書。(電子契約)、ホールの貸与のための交渉、出費、公演カレンダーのスケジュール管理。そのアーティストの招聘、招聘アーティストに纏わる一連の業務(ホテル手配、航空券手配、移動手段手配、そのほか諸々)、アーティストのスケジュール管理、アーティストの管理情報。(振込先口座情報、連絡先などの管理。マネージャー情報など)、入場者数管理およびチケット収益。および諸々の経費出費。それにともなう収益管理。アーティストへの出演料の送金。
                                                   
                                                   
コンサートホール、プロモーター、アーティストでかならず、かなりの回数、とても濃いコミュニケーションが交互にされているに違いない。コンサートホール側としても社内のコンサート運営システムのDX化の必要性を迫られているに違いない。
                                                   
この3者間あるいは他者も加えた通信において、共有の通信アプリケーションを利用できないか。そのようなSaaSアプリを開発できないか。どんなことを同時に、そして共有できればいいのか。それはこれから実施例に基づき考えていく訳だが、SaaSの”共有”,”同時"のメリットを思い存分活かせるそんなアプリ開発ができて3者間で使えるといいと思います。
                                                   
                                                   

                                                   


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DX時代のコンサートホール:ホールに向かうまでのMaaSサービスの活用 [コンサートホール&オペラハウス]

カービジネスの世界では、MaaSの普及も大きな流れになっていくと思われる。世界的にもそういう潮流が圧倒的で、かなりの国でongoingで取り込んでいるからだ。


MaaS(マース)は、Mobility as a Serviceの略である。


次世代のモビリティ技術の中核をなす技術で、バス、電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのことだ。すでにヨーロッパでは本格的な取り組みがスタートし、日本でも鉄道会社や自動車会社などが中心となって研究が始まっている。


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たとえば、サッカーを観戦するためにスタジアムへ行くとき。いまでもアプリを使えば自宅からスタジアムまでの最適経路と利用すべき交通機関、所要時間や料金などを簡単に知ることができるが、MaaSではこの検索機能にプラスして予約や支払いも、スマホなどの端末を使い、まとめてできるようになるということだ。しかも、MaaSの場合、前述したように鉄道やバスだけでなく、タクシー、シェアサイクル、カーシェア、ライドシェアなど、ありとあらゆる交通手段が対象となる。


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MaaSの利用には、専用アプリという形で提供されている事例が多い。そして、目的地に至るすべての交通手段のなかから最適な組み合わせをAIが検索して、専用アプリに表示する。利用者はそれらのなかから選択し、必要な予約や手配に加え、決済もひとまとめにできる。フィンランドのように、月額定額制であれば、料金のことを気にすることなく、さまざまな交通手段を自由に利用できることにもなる。


以前にも日記でご紹介したが、ヨーロッパでMaaSの先進国はフィンランドですね。MaaSやAIオンデマンド交通をはじめとした交通ソフトインフラの海外展開に向け、国が大きく動き出したようだ。日本国内をはじめ世界各国でCASEやMaaSの潮流が加速しており、各国の技術は徐々に国境を越え始めている。日本も国内技術の海外展開をバックアップし、国際競争力の強化を図る構えだ。



カー業界でのCASEとは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとって作られた造語で、今後の新しい車の開発の軸となる考え方を表現したものです。




東京都も本気です!「観光型MaaS開発」に最大4000万の助成を決めました。航空業界でも「JAL MaaS」がサービスを拡充…京急、東京モノレールと連携。MaaSアプリは昔からJALが力を入れていた分野なのである。


1/25~1/27において東京ビッグサイトで、MaaS Expo (統合型モビリティサービス開発・活用展)が開催されたようでかなり熱かったようです。なんかカー業界に属する者として覗いてみたいなぁという気持ちもありました。幕張のCETEACより興味深いです。(笑)仕事で無理でした。



この熱いMaaSであるが、DX時代のコンサートホールとしてどのように関連してくるか。


あるコンサートホールの公演に行こうとしたときに、自宅の最寄り駅からの出発地から目的地までのコンサートホール最寄り駅まで、MaaSを使ってすべての交通機関を使ってシームレスに移動する。


でも首都圏のコンサートホールの場合、ふつう電車(乗り継ぎ)で行くことが普通で、ホールも電車駅の近くにロケーションしている場合がほとんどですね。だからあまりMaaSの有難みはないかも?(笑)


地方から宿泊込みで首都圏のホールにやってくる場合、あるいは首都圏から地方のホールに行く場合、MaaSは役に立ちそうです。


自分のように、海外・国内音楽鑑賞旅行と称して地方にオーケストラコンサートに行く場合は、それこそそのホールに至るまでの交通機関の乗り継ぎの示唆、そしてそれに伴うチケットの予約・購入がすべてスマホ1台でできてしまう統合型アプリはめちゃめちゃ便利と感じるに違いない。


その反対の地方から首都圏のコンサートホールに鑑賞に来る場合もまったく同様である。これに宿泊や観光スポット案内などが伴った総合的な旅行プランの紹介、予約、支払いができるようになるとこれはかなり便利だと感じる。


MaaSは旅行業界にとっても大きな変革期と思われる節目のように自分は感じるのである。


MaaSと言い切れないかもしれないが、じゅうぶんその範疇に入り、魅力的なサービスがタクシーの配車アプリである。


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自分はこれはすごく有難いアプリだと実感している。まだ自分は体験していないのだが、これはあれば絶対重宝するアプリだと思うのである。


スマホにその配車アプリをインストールしていれば、電話したときにそのタクシー会社に連絡でき、自分がいるその位置はスマホのGPSで分かり、そこに向かってタクシーが迎えに来てくれる、というサービスである。


いつどんなところにいようが、タクシーを呼べるのである。


自分の場合、タクシーを使うのが自分の街の中に限られるので、もうお馴染みのタクシー会社が決まっているのである。自分のスマホの電話帳にちゃんと登録されている。


でも見知らぬ土地、街、旅行先に行ったときに、そんなタクシー会社はすぐに見つからない。また道路の傍に立って待っていて、空車のタクシーが通り過ぎるのを待つなんて気の遠くなる話である。


コンサート通う者にとって、とくにこのタクシー配車アプリが有難いと思うのは、海外のコンサートホールで終演後のときではないだろうか。


海外、とくに欧州のコンサートは、日本と違って、通常夜8時の開演と遅いのだ。そうすると長いコンサートや、オペラのような演目だと下手すると、夜の11時過ぎ、0時過ぎるなんて結構ザラなのだ。


海外は日本と違ってやはり治安があまりよくないし、見知らぬ海外でそこからホールから近くの地下鉄の駅までとことこ1人で真っ暗な夜道を歩くのだ。そして地下鉄の中も治安がよくない。そんな真夜中に欧州の地下鉄の中で1人で乗っているというのもかなり勇気のいることなのである。そして地下鉄で到着してからホテルまでの歩き。これまた危険。


男の自分でさえ、怖いなと思うぐらいだから、女性1人の旅ならかなり怖いし危険だと思うことは間違いない。もう海外でのコンサートはこの帰路の問題が大きな不安要素なんだよね。毎回のことです。海外のコンサート通いを知っている人なら共通に抱えている問題と言える。


海外でのコンサートを楽しむ方にとって、このタクシー配車アプリがあれば、こんな危険も一気に払拭できる。神アプリといっていい。


もちろんその国、その都市専用の海外専用のタクシー配車アプリを自分のスマホにインストールする必要はあります。



次世代タクシー配車アプリ「MOV」を紹介します。

このプロジェクトには、無線機には我が社の製品、技術が使われているのです!!!いま知りました。(笑)


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「MOV」は、お客様がアプリから配車依頼を行うと、タクシー車内に設置された乗務員専⽤端末に直接配車依頼がかかる「アプリ連携方式」を採用しており、タクシーが従来電話配車などで使用している無線機システムなどとは独立した配車システムである。


そのため、タクシー事業者は無線機システムなどの入れ替えタイミングに影響を受けずに、「MOV」を導入することができる。


また、「MOV」はタクシーメーターと連携し実空車情報をリアルタイムに反映できるため、タクシー事業者は従来の電話配車と重複することなく、追加の配車依頼を受けることができる。

 

今回、タクシー事業者と乗務員の更なる利便性向上のため、「MOV」の配車システムとシステムオリジン、西菱電機、JVCケンウッドの無線機システムなどを連携させることで、乗務員が「MOV」の乗務員専用タブレットで電話などの配車依頼も一元管理できることを可能にするシステム開発の検討をしていく。



人気タクシー配車アプリのおすすめランキングです。



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DX時代のコンサートホール:ホール周辺のカフェ・レストランのポータル電子配信 [コンサートホール&オペラハウス]

コンサートホールに来たとき、いつもファンとして困るのは、どこかいいカフェやレストランがないかな、ということ。自分は、性格からして、いつも開演前ギリギリにホールに到着するのはいやなので、いつも何時間も前に到着する。そうするとホール周辺を散策することも好きなのだが、どうしても時間をつぶせるところも必要になる。


またそういうコンサートホール周辺のカフェやレストラン情報をいろいろ散策していろいろなスポットを開拓していくのが好きなのだ。ある意味、自分のホール通いするときのひとつの楽しみ、趣味と言っていい。


そしてなによりも自分の性格からして、何時間も前にホールに到着して、その周辺をぶらぶら散策して、そしてカフェやレストランでゆったり珈琲・紅茶をしてケーキでも食しながら、来たるコンサートについて瞑想し、そのときに向けて心を高めていく。そういう準備、ステップの時間が好きなのだ。開演前のこういう時間を過ごすのがなによりも好き。



どこにどういうお店があって、どんなメニューがあって、という情報は、自分でホール周辺を散策しないとわからない。馴染みのお店ができるまで時間がかかる。スマホでスクロールするだけでそれらの内容が全部俯瞰できるといい。


●地域密着型ビジネス

コンサートホール周辺にあるカフェ・レストランなど、ポータル的に案内できるHPアプリが開発できないか。電子チケットを購入したお客さんに対して、付帯情報としてその公演がおこなわれるコンサートホール周辺店舗情報サイト情報(URL)が閲覧できる。そのコンサートホールごとのアプリ。そのホール周辺のカフェ・レストラン情報。


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お店ごとの紹介があり、飲食店であれば、どういう名物メニューがあるのかなどの推薦、雑貨屋ならその商品などそのお店の看板となる商品などがそのHPに記載されている。もちろんそのHPは、SNS(FB,Twitter,Blog)に連携してその店のページに飛べるようになっている。


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こういうのは、いわゆる”るるぶ”などの旅行雑誌のWEB版といえばそうなるが、それを敢えて、コンサートホール周辺エリアに限定したコンテンツとしたい。コンサートゴア(コンサートに毎日通うほどのマニア)ならではのマニアックな意見を反映された情報が満載である。


クラシックファン、ジャズファン、ポップスファンなどそのホールのジャンル種別に応じて喜ばれるニーズのあるスポットを紹介していくマニアックなアプリ。


コンサート、ライブ通い愛好者によるプロジェクト推進が望ましい。


単なる”るるぶ”目線ではなく、コンサート愛好家目線によるディープでコアな情報満載にしてほしい。ひと味違う感じにして欲しい。たとえば、このカフェは、よく〇〇オーケストラの〇〇さんが通われている贔屓にしているカフェ、レストランなんです、とか楽器店なんですとか。そういうアーティストに所縁のあるお店だととてもコンサートホールに関連しているコア・ディープな情報だし、音楽ファンには喜ばれると思う。


そういうコア・ディープ路線まっしぐらな雰囲気のアプリがいい。



アプリは、いわばポータル機能。広告収入型。そしてポータル役割として手数料をもらう。昔、大学生が地域活性化ということで、町おこしということで、こういうアプリを開発してその町の飲食店の売り上げのアップ手助けしたというニュースを見たことがあり、それのコンサートホール版ということで応用しただけ。


ショップ紹介HPには、当然お店までのアクセス情報の掲載はもちろんナビ誘導できるようなナビアプリとの連携があるといい。


クーポンが活用できればいい。このアプリを使って、この日の公演を聴いてきた人は、その電子チケットをお店に見せれば、クーポン代わりとして割引ディスカウントがあるといい。


べつに飲食系に限定する必要はない。とても魅力的なお店があれば、どんなジャンルでも受け入れ可。判断はお客さん。


あるいは、首都圏から地方のホールに行く場合、その逆で地方から首都圏のホールに行く場合、観光を兼ねて、さらには宿泊、交通手段など、その一連のプランの作成をお手伝いする。


これはまさにオレだ!(笑)


海外・国内音楽鑑賞旅行で、このスタイルで、観光に行くのだけど、そこのコンサートホールでそこのフランチャイズのオーケストラを堪能するみたいなもの。そのときにそこの地域の観光スポット、グルメも紹介する。


まさにいままでオレがやってきたことだ。(笑)


自分の場合、まずどこのコンサートホールを体験したいか。そして、どこのオーケストラ楽団を体験したいか。これが第一優先。つぎにその街の観光スポット、グルメを徹底チェックする。それはるるぶのような観光雑誌で。そしてホテル宿泊、交通手段を決めて予約していく。


こういう音楽鑑賞旅行のお手伝いをしてくれるようなサービスがあるといい。MaaS込みで。(笑)

旅行会社にとってMaaSは重要な革命になると思う。


音楽所縁のスポットなどは、ふつうの観光雑誌には載っていないので、そういうコア・ディープ路線のマニアックな情報を音楽ファンは欲しがるものである。その所縁のスポットを体験できると、音楽ファンは嬉しいのである。





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DX時代のコンサートホール:AIを使ったコンサート企画立案 [コンサートホール&オペラハウス]

これはコンサートホールのお仕事というよりは、プロモーターのお仕事だと思うのですが、世の中のトレンド、クラシックファンの方がどのようなコンサートを望んでいるのか、あるいは、今年は、作曲家〇〇年生誕イヤーであるとか、そのコンサートを企画するのに、いろいろなファクターがあると思います。なにをトリガーにして、こんなコンサートを開催してみたい…
                                                   
そのような解析・予測をAIにやらせみてはどうでしょうか。解析・予測はAIのもっとも得意とする分野です。
                                                   
そこでこのAIの概念図です。
                                                   
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AIに学習させる判断材料として、
                                                                                              
世界中の
作曲家
楽曲
ソリスト(演奏情報含む)
オーケストラ(演奏情報含む)
プロモーターの嗜好情報(こんな企画が好きだ)
コンサートホール・オペラハウス
コンサートホール・オペラハウスの音響
その他、コンサートホール・オペラハウスの諸々の付帯情報
その他諸々の付帯情報。
                                                   
膨大な情報データ群ですが、これらを全部学習材料として全部AIにぶち込むのです。ソリストやオーケストラの音楽家の情報は、プロフィール情報、経歴、師事した人などはもちろんですが、実際の演奏している演奏パフォーマンスも全部、とにかく全部ぶち込みます。詳細なところに至るまで全部ぶち込むのです。
                                                   
そして、仮定条件にこのようなコンサートを企画してみたいということを入力するのです。それは企画コンセプトはもちろんのこと、こんな雰囲気、美しいメロディ重視うっとりさせたい、ハードロックみたいにガンガンに行きたい、そんな本当に漠然な概念検索的な条件で結構です。
                                                   
そうするとAIはすでに入力された膨大な学習データ群の中から解析をして、解を提示してくれるのです。膨大な学習データからAIによる解析化・見える化をするのです。こんなオーケストラ、ソリストでこんな楽曲で、こんなコンセプトのコンサートはいかがでしょう?ってな感じで。
                                                   
自動翻訳と同じで最初は精度がとんちんかんなのかもしれませんが、AIのソフトの開発もどんどん進んでいって精度がよくなっていくように思います。もちろん実施済みの過去実演データとそのときのコンサート企画コンセプトも都度AIに学習させるのです。もうどんどん学習させて、AIに学習させるデータ量が多くなればなるほど、それだけ得られる解は精度がよいものになっていくに違いありません。
                                                   
AIに学習させる作曲家、楽曲、ソリスト、オーケストラ、諸々の付帯情報、これは、本当に世界中にありとあらゆる存在する方たちの全部のデータです。全部入力させ、学習させるのです。
                                                   
そうすると、その入力した仮定条件に添った解を出してくれるはずですが、その解は、我々が想像していた以上にまったく新しいスターの発掘、発見があるかもしれません。AIはあくまで、その入力した仮定条件に添った解ということで、出力しているに過ぎないのです。その解を採用する、しないは、人間のプロモーターさん達の人間の最終判断に委ねればいいのです。
                                                   
最後は人間が判断します。
                                                     
そういうy=f(x)の機能を実現するAIの機能アプリ開発をすればいいのだと思います。
                                                   
もちろんこういったコンサートの企画書作成だけではありません。
                                                   
コンサート制作として予算組みから精算までのすべての工程において、その判断材料となる膨大な学習データをAIに学習させ、そのデータをうまく解析、分析してそのさきほど算出した企画に添った各々の工程においての適切な解を求めるという使い方もできるように思います。
                                                   
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DX時代のコンサートホール:アーティストのCD、関連グッズのEC販売 [コンサートホール&オペラハウス]

ECサイトで収益を上げている、成功しているのは、全体の10~30%くらいだということだそうだ。ECはいまの世に合った利便の販売手法、販売ツールだけど、意外や収益をあげるということが難しいのだそうだ。


でもいまさら従来の物販ルートに戻れるわけもなく、これからの時代はECで売っていくという以外に方法はないだろう。やはり単にECのサイトでモノを売りました、というだけではなく、どうある既存のビジネスに連携させていくか、どうお客さんの購買意欲をそそるかなどの戦略が必要であって、その結果、インターネットで買ってもらうという利便性が、そこに乗っかるという感じなのだろうと思う。


クラシックの世界で、お客さんが一番購買意欲が湧くときというのは、コンサート終演後のときのような気がする。


コンサートホールでは、ロビー、ホワイエのところには、今日の主役のアーティスト、オーケストラのCDが物販コーナーという形で販売されている。


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オンライン時代の到来ではあるけれど、この風景はなくさないで欲しいな、と思う。自分の心の安らぎですね。この風景を見かけると、あぁ~コンサートホールに来たんだな~と実感する。



今宵のコンサートで大感動したあと、あの曲、すごいよかったな~、あの曲初めて聴いたけど、すごい自分の手元に欲しいというのが一番購買意欲が湧いているときだと思う。そういう今宵のコンサートの主役のアーティスト、オーケストラのCD、ストリーミング、ダウンロード、関連グッズをEC販売する。


残念ながら、終演後って物販コーナーはもう閉まってますね。物販コーナーが開いているのは、開演前のときと途中の休憩、ブレイクのときでした。


だからポイントは、コンサートが終わったときに、全曲通しで聴いたときに、あの曲欲しい~、あのアーティストいいな~、あのオーケストラいいな~という気持ちに応えるということだと思う。


それにはやはり帰宅後、あるいは終演後から数日後、自宅で購入できるECサイトでの購入ということになるのではないか。


その公演の電子チケットを購入した人には、そのメールアドレスには、その日の主役のアーティスト、オーケストラのCD、ストリーミング、ダウンロード、関連グッズなどをEC販売するサイトが届く。


今日演奏した1曲目は、このアルバムに入っています。今日演奏した2曲目は、このアルバムに入っています。というナビゲート付きであること。(CD/各社のストリーミングのURL/各社のダウンロードのURL)


ただし、その公演ごとに、専用のECサイトを作るのは、かなり出費になり効率的ではないので、これはプロモーター側や、コンサートホール側で運営してくれるといいのではないか。そういう専用のECサイトを作って、今日の公演、ということで、その購買情報をどんどん累積で積み重ねていく感じ。(レーベルや各販売サイトに飛ぶ仕組みがいいですね。紹介料をもらう感じで。)


もちろんコンサートホールのHPにそういうECサイトがあってもいい。今日の公演ということで、アンコール曲だけでなく、関連促販物をECサイトで売っていく仕組み。それを公演ごとにそのECサイトに累積で積み重ねていく。


これからの時代のコンサート広告としては、ぜひ公演ごとにWebページが作成されるといいと思うが、そのWebページにその公演で演奏される曲のCDや関連グッズのECサイトのURLが掲載されていて、そのまま連携でそのリンクに飛べることができ、購入できるのが1番いいかもしれませんね。



電子チケットなどの電子媒体、あるいはポスター、チラシに貼られたQRコードは、アーティストのCD、関連グッズのEC販売、その日の公演で演奏した楽曲のストリーミングURL、これらを埋め込む絶好の場所で、それを埋め込むパターンが多いほど、ユーザーの目に留まる可能性も強くなり、そのまま販売に結びつく可能性が高くなるように思います。


ある販売ルートに連携させて、その関連グッズをEC販売するという事例は、


「ARTISTSTORE.JP」とぴあが連携、アーティストグッズ情報を「チケットぴあ」に掲載開始



チケットぴあと連携して、アーティストグッズをEC販売していこうというトライはあるようですよ。


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この「ARTISTSTORE.JP」、なんとチケットぴあだけでなく、ローソンとも提携しています。(^^;;


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チケット販売業者とEC連携して、アーティストの関連グッズを促進販売していこうという動きはすでに世の中にはあるということですね。


チケットと連携させるのが、1番関連グッズをEC販売するルートとしてはスムーズということですかね。


アーティスト関連グッズでひと言で一般呼称しているけど、クラシックのアーティストにとって関連グッズってなんだ?(笑)すぐには思いつきませんね。いろいろ出品するとしたら、やはりこれもアーティストにとって負担であることこの上ないかもしれませんね。






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DX時代のコンサートホール:プログラムと広告チラシの電子化 [コンサートホール&オペラハウス]

下は2020年度の日本におけるライブエンターティメントの市場規模なのだそうだ。


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音楽市場規模が589億円、ステージ市場規模が518億円。ステージというのは、音楽以外のステージのことでミュージカル、演劇、歌舞伎/狂言、お笑い・寄席、そしてバレエ、パフォーマンスなど音楽以外の俳優さんたちとかのステージのことです。


こうしみると、音楽とステージの規模って同じなんですよ。いままで音楽のライブストリーミングのことばかり言及していましたが、音楽以外のステージ市場でもネットワーク機能がついて、劇場に行けない人がご家庭や車で楽しめるようになると、これはすごいビジネスになるように思うのですが、どうでしょうか。



音楽の市場規模としては、84%がポップス。もう大多数がポップスなんですね。

これは想像してた通りである。


クラシックが12%。自分はこの結果に意外やクラシックって善戦しているんだなと思いました。クラシックのコンサートは、毎度ホールに行く度に客層を見てみると、本当に高齢者層という感じで若い人ってまずいないですよね。もう自分はそれでなんかクラシックのコンサートの将来ってどうなるのかなぁといつも不安になってしまいます。いまこのホールに来ている人が、世代的に、亡くなってしまう時代になったときに公演に来てくれるお客さんっているのだろうか。若い人がその歳になったら急に来てくれるようになる、ということなどあるのだろうか。すごい不安になります。


茂木大輔さんののだめコンサートは、もう圧倒的に若い客層ですよ。年配はほとんどいない。やっぱりコンサートの組み立て方、楽しませ方など工夫していますよね。


いまのクラシックコンサートは、やはり敷居の高い、高度な知識と、あの芸術の極至のような高貴な雰囲気を尊重する。。。これは大事なことだと思うけど、それだけでは若い人はついてこないんじゃないかな、と思ったりします。


でも自分もクラシックファンだけど、あの芸術的で、高貴な雰囲気がいいのであって、これを急に親しみやすく軽いノリにしてしまったら、なんか嫌だなという気持ちもあります。クラシックファンはコンサバですね。


難しい問題だと思います。


ともあれ、この市場規模の数値を把握すると、ライブストリーミングの需要は非常に大きいと思います。これが全部ネットワーク配信できて、それでその収益がきちんと拾えるようになったら大きいと思います。いままだネットが狭帯域で、課金システムもうまく運用できていない状況なので、まだまだ黎明期なんだと思います。これからですね。


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さて、クラシックのコンサートに行ったとき、いつも思うことは、公演のプログラムと、ホール前で配っている公演の大量の広告チラシって電子化できないのだろうか、ということです。


ホールに足を運ぶたびに、いつもそれを考えていました。


今回、DX時代のコンサートホールを書くにあたって、ここのアイデアはぜひ候補に挙げてみたいと思っていたところであります。


クラシックのコンサートに行ったとき、かならず手にするプログラム。自分もコンサート通い、ずいぶん長いこと通っていますが、そのプログラムはきちんと保管しておくという習慣がなかった。もったいないことをしたな、と思っています。


プログラムは、その公演の日の曲目、曲に関する作曲家や曲に対する音楽史的な知識情報、そして演奏家のプロフィールなどが書かれています。これは音楽評論家の先生方の寄稿であることが大半です。やはり専門知識のある投稿になります。公演の公式プログラムですから当然ですね。これらの寄稿文というのは非常に貴重なものなのではないかと思います。音楽評論家の方々が推敲に推敲を重ねて練り上げた文章。また数年後、何十年後に読み返すことがあったなら、それはそれで貴重な資料になる。


自分は、いままでプログラムは、公演前にひと通り目を通しますね。そして公演のコンセプトというのを頭に入れます。公演後はもうそれで終わりと言うことで、特に保管していなかったです。


でも去年の2022年から、自分も自分の行った公演のプログラムをきちんと保管しておこうと思い直しました。やっぱりそのまま破棄するのはもったいない。なんか努力の結晶でできあがったプログラム。それを捨てるなんてなんか失礼な行為にあたるような気がずっとしていたのです。


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プログラムの電子化を考えてみましたが、プログラムはやはり紙がいいかな?(笑)やっぱり自分の想い出・宝物。そのアーティストの情報、演奏目の整理。そのときの音楽評論家の寄稿は宝物の文章である。数年後に見返したときにしみじみと感傷に浸る。自分個人としては、プログラムは、やはり紙として残しておきたい人。案としては、


紙のプログラムにQRコードを記載する。

QRコードに埋め込む情報としては、

・その曲の作曲家に関する情報。(なかなかプログラムではそこまで書けない現状。補足的な意味も含めて作曲家の情報が欲しい。)


やはりプログラムは音楽評論家の寄稿文や作曲家、楽曲、オーケストラ、アーティスト情報など著作権の塊なので、やはり紙媒体での配布が望ましいと思います。


プログラムを電子化してしまうと、コピー複製やネット上での転送なんかが容易になってしまい、著作権保護が返って難しくなると思うんですよね。コピー複製禁止技術とか、転送不可技術なんかを開発してそれを装備するという考え方もありますが、なかなか大半な作業。


いまの時代、AIがあるんですよ。知ってますか。AIを使うと、あの画像に埋め込んであるWatermark(電子透かし)を簡単に除去できてしまうそんなアプリも出始めているのです。これであなたも簡単に著作権フリーの画像を得られます、みたいな。


著作権の世界は、もうこういう輩との永遠のいたちごっこなのです。そういうことも考えると、プログラムというのは、電子化しないほうがいいという自分の結論です。


またあの冊子というスタイルもいいですよね。やっぱり所有感や高級感があって記念になる。モノというのはこういう高級感、所有感という感覚を人間に持たせるという意味でも大事なことなのです。

 


プログラムに貼るQRコードに埋め込む情報を工夫することで、なにか付加的なサービスを展開できないか。


これは検討の価値あると思います。


またプログラムは、あくまでコンサートのチケットを買って、ホールに来た人のみがもらえる特権。もしプログラムの電子化を考えるなら、プログラムの電子化の一環としてPDFを有料販売してみてはどうか?コンサートに来なかった人に販売する。コピー防止機能と転送不可機能をつけないといけませんが。(笑) なんでも電子化すればいい、というものではない、ということ。著作権、著作物を扱うものは、逆に紙であることのほうがいい場合もあるということです。紙であることが、そのまま複製や転送などを防ぐ著作権保護にもなっているのです。


コンサートホール前で配布している大量の紙媒体のコンサート告知チラシ。



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あの大量の広告チラシは、自分の経験から、公演前や休憩時にパラパラ見て、自分の気になる公演だけ抜き出して、あとはゴミ箱行きですよね。(笑)


これはなんとかしないといけないような気がします。あういうフライヤーの形にするまで紙印刷などですごくお金かかっていると思うんですよね。それが見たら、そのままポイなんて、かかった分の費用回収ができていないように思います。



この広告チラシの部分を全部電子化できないか。

これを考えてみます。



電子チケット(ふつうにぴあなどで紙チケットを購入した場合でもいい)を購入したお客に対してメールアドレスを聞いて、電子広告チラシが必要な顧客については、各個人端末にダウンロードできるようにする。(個別配信)


要は当日コンサートホールの前でコンサート広告のちらしを入手できる人の権利と言うのは、その公演のチケットを買った人である。だから、どんな手段においてでもそのコンサートのチケットを購入した人だけにダウンロードできる仕組みを作ればいい。


電子広告チラシの場合は、そこから直接オンラインでその公演のチケットを即座に買える仕組みにする。(しかも電子チケットでスマホでホール入場。)あるいは、各楽団のHPやぴあやイープラスに飛べるようにでもいい。


いわゆるポータルの役割。後者が現実的でしょうか。ポータル機能は何パーセントの利益を還元してもらう。


あるいはその広告の中に、興味のあるコンサート、好きなアーティストのコンサートがあり、チケット発売日がまだ先の場合、そのチケット発売日を各個人のスケジュール帳にマーキングできる仕組み。そしてその前日にアラーム警告できる仕組み。チケット発売サイトも登録できる。アラーム警告と同時に、そのチケット発売サイトが表示される。広告をクリックした先で簡単に申し込みができるか、ユーザーが欲しい情報がまとまっているかを考えるのも非常に重要です。


コンサートホール前で配布されている大量の紙媒体のコンサート広告ちらしをなんとか電子化したい。一方で、コンサートホールに貼られているポスターはお客さんに対するビジュアル的なアピールとしてもやはり絶対必要。コンサートホール内に貼られているポスターにQRコードを貼ってもらい、そのQRコードを読み込むと、チケット購入サイト、個人のスケジュール帳にそのチケット発売日をマーキングする機能、その前日にアラームで知らせてくれる機能。


コンサートの電子広告と、ホールに貼られているポスターにあるQRコードから以下のことができるようになるといい。スマホやタブレットの電子スケジュール帳に以下の3項目の機能ができるアプリケーションを開発。Apple iPod/Android端末。


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①チケット発売日のマーキング

②前日(あるいは何日前か自由に設定できる)にアラーム機能で告知してくれる機能

③チケット購入サイトのURLのマーキング→そのまま開いてチケット予約できる。(電子チケットでもいいし、紙チケットでもいい~郵送やコンビニ発券でもいい)


スマホやタブレットの電子スケジュール帳は、家のPCのスケジュール帳と常に同期作業が行われること。(自分は家のPCのスケジュール帳でいつも自分を管理しているため。)


キーテクノロジーは、QRコードと、その中に含まれる情報①、②、③が含まれているということ。そして、それら3つの情報が、スマホやタブレットの各個人のスケジュール帳に書き込める技術。


でもここでも気づいた。(笑)フライヤーやポスターも著作物ですね。アーティストの肖像画・肖像写真やライターさんのキャッチコピーなど著作権の塊ですね。デジタルにしちゃうと、簡単に複写、転送、ばらまきができてしまいますね。だから紙なんですね。あるいはあってもPDFなんですね。


今さながらここに来て、業界の常識に気づきました。(笑)

であれば、広告ちらしはPDFを配布しましょう。


そしてそのPDFにはQRコードが貼ってあって、そこに情報を仕込むことで、なにか付加的なサービス、コンサートチケットの発売日、チケット購入サイトに飛べる、など電子スケジュール帳に書き込めるようにしてほしいです。


PDFそのもの原寸大をそのちらし枚数分を送るのが大変なら、一覧表のリストを作成して、PDFはサムネイルくらいの扱いで貼り付け、そのリストのURLをクリックしたら、その公演のWebページに飛ぶ。コンサート概要とチケット発売日、購入サイトリンク先が記されている。 その一覧リストをコンサートに来た人(つまりその公演の電子チケットを購入した人)に配信する。



これからのデジタル時代、DX時代は広告ちらしやPDFの時代ではなく、その公演のWebページを作ることではないか。いまのフライヤーの電子版みたいな感じと理解しています。そのWebページには、従来のフライヤーの内容をそのまま網羅していることはもちろんこと、その公演の電子チケット購入や他の購入サイトのページに飛べるようになっている。 またWebページに、アーティストのCD、関連グッズのEC機能を持たせてもいい。Webページだからこそ、こういう連携が容易くなりますね。


(でもあるひとつの公演で、その告知/広告用のWebページを業者に制作させるとなると結構なお値段するんですよね。(笑)いま現状はそうですが、早くそれが普及してあたりまえの世界になってコストダウン、普及価格帯になってほしいです。)



クラシックコンサートや演奏会の集客のために、どのような告知をおこなっているか?

ホールや楽器店などでのフライヤー配布やポスター掲示は従来からおなじみの方法ですが、近年ではWebサイトでの告知もぜひおこないたい集客方法の一つだと思うのである。


広告の電子化の最大のメリットは、チケット購買手段・自分の電子スケジュール帳のカレンダーにチケット発売日のアラームを設定しやすいことである。


コンサート広告用Webページ


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情報引用元

クラシックコンサートのコンサートマネージメント委託を行なっています  Salon d'Art




Salon d'Artでは、こんなことを請け負っているそうです。


当サロンが提供するコンサートマネジメントは、一般的な

・受付

・ステージマネージャー派遣


といったコンサート当日に必要なスタッフの手配に加え、


・プロフィール写真の撮影

・チラシデザイン

・Webチケット販売

・Webページ作成

・お客様情報の共有


いままでコンサートホールの前で大量の広告ちらしを手渡し配布していたのを、今後はその公演の電子チケット、あるいは紙チケットを購入したユーザに対して、各公演のWebページのURLの一覧リストをそのユーザーのメールアドレスに送ること。


→これですべて解決するのではないか。


紙の広告チラシやPDFでもいいので、そのときはQRコードを貼ってもらって、そこに公演のWebページのURLを埋め込んでもらう。


公演の要望に関するアンケートの電子化。チケットを購入するときにその購入者のメールアドレスを聞く以外にない。


アンケートは紙であるメリットは、ほとんどない。絶対電子化すべき。電子アンケートで、選択の該当番号をタップ、そして要望などをスマホ、タブレットでタイプして書くことができ、そしてそれをそのまま送信ボタンを押せば、事務局に届く。


デジタルなので、そのアンケート結果解析など、すぐにグラフ解析・集計・グラフ化することが用意で、マーケティング解析には圧倒的工数がかからず、効率がいい。


電子チケットを購入した人には、そのアドレス先に電子アンケートが届く。同時にアーティストのCD、関連グッズのEC販売サイトも届く。


従来、公演の宣伝としては、フライヤー配布やポスター掲示だと思うのですが、そこにもうひとつWebページというアイテムを追加すると、よりインターネットとの親和性が深くなり、そしてチケット購入サイト、電子チケット、ストリーミング、CD、アーティスト関連グッズのEC販売との連携性も容易になり、便利になると思うんですよね。


Webページ作成の費用の問題があるとは思いますが。。。






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DX時代のコンサートホール:業務委託契約書(電子契約) [コンサートホール&オペラハウス]

ソリストやフリーランスの現状踏まえ、今後はエンタメのコンサートに招聘される場合は、かならず主催者側と契約、および契約書の締結、取り交わしを必要とする。


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最近、さっぱり音沙汰がないですがどうなったのでしょうか。


去年の秋には、法案を秋の国会に提出する、という情報をちら見、ちら聞きした覚えがあるのですが、ニュースにもいっさいなっておらず、さっぱり音沙汰ないです。


いままで電話やメールでの非公式なやりとりでのみ、慣習的におこなわれてきたことを、きちんとした契約書として後々のエビデンスとして残す、というものです。


エビデンスがありますと、確定申告のときとか、コロナや主催者側都合で公演中止になったときの損害賠償やあるいは公的支援金の受け取りのための根拠提示が明確になり、アーティスト側にとっても有利になります。(いざとなったら費用掛かりますが、訴訟にだって持ち込める。)(またそのためには、いろいろ文句はありますでしょうが、マイナンバーカードをきちんと作っておいて口座と紐づけておくことも重要と思います。政府からの入金がスピードよくおこなわれます。)


ソリスト、フリーランスの方は公演中止になったら、そのまま泣き寝入りだったのが、保証された世界が実現できるようになります。自分はとてもいいことだと思いますが、主催者側にとってはじつはそのままグレーゾーンしておいたほうがいいような業界の都合というものがあるのでしょうか。(笑)


なかなか進まないのは、そういう見えない圧力だからなのでしょうか。


契約というのは、世の中にはその業種、ビジネスに応じてもう無数といっていいほどたくさんの種類の契約が存在します。


自分が会社で仕事としているのは、技術ライセンスのライセンス契約、使用許諾契約という種類の契約です。製品を開発して、製造して世の中に出すには、自前の技術だけで全部賄うことはとても不可能で、もうたくさんの他社の技術を利用するんですね。そうしないと、とてもじゃないですが製品として成り立たないです。ある他社の技術、たとえば音声認識,BT Stack,WiFi module,MPEG画像・音声圧縮・伸長,ナビの地図データ,スマホアプリ・・・などなど、もう累計400は優に超える技術ライセンスがあります。その中でもソフトウエアライセンスが多いように思います。


その他社の技術を使うには、ライセンサーにロイヤリティ,使用料を支払っていかないといけないのです。ランニングロイヤリティ(台あたりいくら、というピースレートで払いながら、毎月、あるいは四半期ごと、あるいは年間、ずっと払い続けること。)だとか、買い切り(一括払い)、イニシャル(初期費用)+ランニングロイヤリティの組み合わせ・・・などなど、いろいろな支払い形式があります。


そうやって技術を使用する我々ライセンシーは、権利者であるライセンサーにロイヤリティ、使用料を払って、その技術を使ってもいいよ、という使用許諾を得ることになります。


こういう技術ライセンスのライセンス契約、使用許諾契約は、かならず数年間隔でライセンス監査がありますね。ライセンサーが、監査を専門の仕事としているプロ集団である監査法人に頼んで、我々ライセンシーに対して監査をおこなうのです。


ちゃんときちんと払っているかどうか。。。〇〇年~〇〇年の5年間の監査期間というのを設けてです。


これがもうすごく大変なイベントなのです。

会社の各組織総動員という感じでしょうか。


フィールドワークといって、監査法人のメンバー立ち合いの面談、証拠(エビデンス)のデモ提示などの直接の打ち合わせもあります。昔は直接来社することがあたりまえでしたが、最近はWeb面談形式が多いです。


そしてうちの会社の場合ですが、もうその監査のたびにもう膨大な金を払い続けることになるのです。(笑)ライセンスの世界には、そんな世界もあるということです。


自分の仕事ですので、ここは流暢に説明できますので、紹介してみました。


文化芸術の世界に、このライセンス、ロイヤリティという発想は持ち込まない方がいいと自分は常日頃思っています。それは監査のときが大変だからです。やはり人間のやることですから、かならず間違えます。その間違いに気づかず、数年間そのまま放置されていると、どんどん過払金、未払金が累積されていきます。


そして監査のときなどに指摘されて、はじめて気づいて、そうしたら、過去の台数を全部累積するともう何千万、億単位という金額になります。それを利息、延滞金も含めて払え、ということになります。


こういうやりとりは、もううちの会社ベテランの領域です。(笑)


このライセンス監査というのは、そもそもアジアとか中国とか知的財産権に対して甘い国をターゲットにしてきちんと支払っているかどうかを検問するという意味合いでスタートしたのが始まりだったようです。


で、日本の企業はそこら辺はきちんとしているだろう。ちゃんと払っているだろう、というイメージがライセンサー側にもあったようです。


ところが試しに、日本の企業にも監査をやってみたところ、でるわでるわ、もうボロボロで宝の山だったそうです。(笑)まっうちの会社も含めてですが。(笑)


それ以来、ライセンサーは、日本の企業に対してもきちんと監査をおこなうようになった。そのような経緯を知財の先輩から説明を受けたことがあります。


思うんですが、これだけの金額を支払えるというのは、企業だからできることだと思うんですよね。何千億、兆売り上げがある企業だから、何千万、億でも支払える。でもだからといってそういうことがあっていいという理屈にはなりません。もうこういうことがあるたびに、顛末書、防止策を提出して反省させられることになります。


こういう世界を個人単位のアーティストや、事務所などに背負わせるのはとても危険なことだと自分は思います。確かにライセンス契約で著作物のロイヤリティは、労働なしにお金を儲けることのできる知的収入かもしれませんが、お金を稼ぐライセンス収入のほうならいいですが、お金を払うライセンス支払のほうは、そういう危険が潜んでいますので、あまり文化芸術の世界にそういう支払いに絡むライセンス契約という文化を持ち込まない方がいいと思っています。


普段自分が考えていることです。この分野はクラシック業界には向かないなって感じでいつも思っています。

監査リスクに備えて、つねに内部統制という考え方、注意が必要になります。ふつう企業では内部統制はかならず考慮に入れることが必須になっています。


・・・いやいややっぱり文化芸術の世界でもライセンス契約というのは山ほどありますね。たとえばオペラの世界でも舞台装置、演出なんかを日本に持ち込むとき、使用許諾権利についてライセンス契約を締結するのではないでしょうか。そしてそれに対する使用許諾のための支払いもその契約の中であって、実際払っているのではないでしょうか。もうそんな事例は、文化芸術の世界でも山ほどありますね。監査ってあるんですかね?技術の場合、台あたりのランニングロイヤリティという支払制度があるので、累積していって大変な金額になってしまうということはありますが、文化芸術の場合は、一括払いでの支払いですね。だからそういう監査リスクというのはあまりないように感じるのですが、どうなのでしょう?


ライセンス契約は、どの世界でもあたりまえのように必ずあるものですね。文化芸術分野に関しては、自分がよく知らないだけだと思います。


すみません、話がついそれました。


もとに戻しますと・・・


契約にはいろいろな種類がありますが、文化芸術の分野で主催者側がソリスト、フリーランスの音楽家に対してコンサートの出演依頼をする場合は、こういうケースの場合の契約は、”業務委託契約”になると思われます。


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海外のアーティストを招聘するときは、もう昔からこういう契約書を取り交わすということはあたりまえの常識ですでにやっていることだと思います。


今回対象となっているのは、国内であまりメジャーではないソリスト、フリーランスの場合、そういう曖昧な連絡手段のみでコンサートが実現しているケースが圧倒的で、そこをきちんと法律整備化しようということなのだと思っています。


でも全員必須化とした世の中になった場合、それはそれで大変というのも予想されますね。


契約書というのは、一種独特の文章スタイルですから、慣れない初心者の方が読んでもよく理解できなかったり、その契約書に潜む契約リスクを読み取れなかったりして、じつは不利な条件、予想外のアクシデントも網羅されてなくて困ったりすることもあると思います。専門知識が必要です。日本中のすべてのソリスト、フリーランスのアーティストにそれを強要するのは、なかなか運営面でも難しいということなのでしょうか。


いままで以上に弁護士が大活躍する時代がやってきそうですね。もし、契約書を交わすということになった場合、こんな感じになるということを考えてみました。


業務委託契約書って見たことありますか?

ちょっとコンサートの契約書とは違いますが、こんな感じの契約書です。


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業務委託契約書~これから主催者側、事業側がアーティストに演奏を依頼するときは、契約書を取り交わす慣習をつくる。そうなると、契約書って原本が神様という世界で、原本を紙で保管しておいて、実際のやりとりはそPDFでやる場合がほとんどです。でもこれからのインボイス制度、電子帳簿保存法などの時代、それはあり得ないことですね。


やはり以前説明した電子契約の世界になって行くことが予想されます。


まずアーティストが、自分の出演するコンサートのたびに業務委託契約を結んで契約書を管理していくということになると、もう膨大の数の契約書を自分の家に管理しておかないといけなくなりますね。


電子契約でもそうですし、いまの契約書文化なら、契約書原本と契約書PDFを膨大な数、自分の公演の数だけ管理していかないといけない。そしてそれはその年度の確定申告などで必要なので、その年度は絶対なくせないですし、またその期が終わっても廃棄することはできませんね。根拠、エビデンスですからとても怖くて捨てられないです。


訴訟、裁判などでいつ必要になるかわからないですし、大事に保管しておくことが必要になると思われます。


そうすると、アーティストの家の中、あるいは事務所は大変ですね。もうずっと永遠に増え続けていくことになります。そういう契約書管理という業務が増えていくとになります。膨大な契約書を検索しやすいように棚、ファイリングに管理しておく必要がある。必要になったときに、すぐパッと取り出せるように。


契約書管理。


これは重要なタスクになると思います。

思ってもいなかった業務です。


事務所に所属している音楽家であればいいですが、そうでないフリーランスの音楽家の方々は大変ですね。自分の家でその契約書管理をしておかないといけない。


契約書キャビネ(契約書の整理棚Filing BOX)が事務所やアーテイストのPC HDDに必要になると思われます。契約書の整理。検索しやすいように管理。契約書キャビネット。


もちろんHDDのBackUpは絶対怠らないように。HDDがクラッシュしたら、その契約書が全部アクセスできなくなり、エビデンス全消去になってしまいます。こうなったら、もう目も当てられないです。


契約書は非常に秘匿で重要な文書になりますので、その管理方法に十分気をつける必要があります。


以前日記でご紹介した法務業務DXのAI契約書レビューのLegalOnTechnologies(昔はLegalForceだった)がこういう契約書キャビネットの商品を用意していますね。契約書にはかならずTermという契約期間というのがありますから、契約終了日には、その数か月、数週間、数日前に自動告知してくれる仕組みがあって、気づないうちにいつの間にか契約終了日を過ぎていた。契約更新を忘れていた、というチョンボを防ぐ機能がついています。なかなか契約書を管理したことのある方特有の知識、経験がよく反映されているように思います。



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あと注意する点は契約書の秘匿性です。


契約書というのは、とても秘匿性の高い機密文書になります。当事者同士の取り決めを記載した文書ですから、契約書というのは基本第三者に開示するということはやってはいけない行為になります。


そういう契約書の重みと言いますか、秘匿性を理解していない方も多いと思いますので、ここはぜひ注意が必要です。


NDA(Non Disclosure Agreement)という秘密保持契約というのもあります。その情報、あるいは契約事項の内容を第三者に開示することを禁ずるという契約です。技術の世界では日常茶飯事の契約です。


文化芸術の世界で登場するかわかりませんが、可能性はあると思っています。


アーティスト、事務所が、主催者側とこのような業務委託契約書を交わしていくとなるといままで説明してきたことですが、このようなことが考えられます。


・インボイス制度によるフリーランス問題(これは一緒に戦いましょ)

・アーティスト側はPC操作できることが必須になります。(笑)

・WORD→PDF→原本(割り印,収入印紙)

・コンサート中止のなったときの公金受取。マイナンバーカードに紐づいた公金口座に即入金。

・確定申告の作業がスムーズになる。

・訴訟を起こしたりするときに、エビデンスになる。

・契約書を取り交わす慣習にすると、プロモーター側、ホール側の負担が大変になっていく。

・弁護士雇用が必要になってくる。


業務委託契約書というのは、大体こんな感じの契約項目だと推測します。


●業務委託契約

取引内容の把握/整理

対価(報酬)

中途解約

損害賠償


あの契約書独特の文体、甲乙は・・・とか慣れないと大変ですね。どっちが甲だったっけ?どっちが乙だったっけ?ってなりますね。いままでは電話やメールで簡単に済ませていたことですが、それをこういうきちんとした公文書で記載すると意外やビビッてしまうかもしれませんね。


こういう契約書スタイルで取り交わすということになると大事なスキルは、その契約書の中に契約リスクが潜んでいないかどうかをその契約書から読み取れる才能ですね。たとえば訴訟のように、あとで問題が起こったときに、いやこれは契約書のこの文言には含まれていないとか、この契約書のここのところにその意味合いが含まれているとか、そのお互いの解釈の深さで、お互いの行き違いというのが起こり得ます。


契約書の読み込みの深さの違いというのがでます。


また契約締結前に、こういうことを想定して、こういう文言を入れておいてくれ、とかの交渉。


そのためには、契約締結の前に十分、内容を揉む作業が必要になりますね。これは企業で言えば法務の仕事になります。


この契約書レビューは一緒独特のスキルが必要なのです。なかなかそういう経験のない一般の方には敷居の高い業務かもしれません。


業務委託契約書がクラシック界で一般化されていくとなると、そこら辺のスキル、契約書レビューの考え方をレクチャーしてもらう必要がでてくると思います。


これからは弁護士の存在が重宝されるかもしれません。

ただし弁護士を雇うということは弁護士費用高いですよ~。(笑)


以前日記で紹介しましたLegalOnTechnologies(旧LegalForce)は、そういう契約書レビュー、契約リスクの洗い出しをAIがやってくれるというサービスになります。


ソリスト、フリーランスの音楽家、もうピンキリですから、クラシック業界にこういう契約書文化を根付かせるのはなかなか大変なことだと想像します。


でも海外のアーティスト、それも大物アーティストとか、国内の大物アーティストの場合は、もうすでに出演交渉にあたっては、こういう契約書を取り交わすということはふつうに行っていることではないですかね。そんな新しいことでもないと思っています。


クラシック業界、あるいはそれに限定しませんが、コンサートの出演に業務委託契約書が必須な時代になりましたら、ぜひ紙の契約書ではなく、電子契約にしてほしいと思います。もういまや紙の時代ではないですね。紙の契約書の保管は、インボイス制度、電子帳簿保存法にも反します。


電子契約は、以前でも日記で紹介しましたが、契約のやりとりを電子的におこなうもので、クラウドで契約書を管理していくことになります。


暗号の技術、公開鍵暗号、ハッシュ関数、電子署名、認証局(CA)などの技術から成り立っています。でも利用者からするとそんな技術的な難しさを理解する必要もなく、簡単なUIですべて事足ります。




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これからの時代はやはり電子契約の時代だと思います。電子契約はいろいろなサービスが混在しています。民間ではなく、もっと政府間レベルでサービスを統一化してくれるといいな、と思いますが、民間でも有力なサービスのみが淘汰されて残っていくものと思います。


電子契約サービスを選択する場合は、やはり認証局(CA)がきちんとシステムに組み込まれているサービスを選ぶべきです。本人保証、本人担保がきちんと第三者機関である認証局(CA)のお墨付きではないと訴訟の問題になったときに、その裁判所側の信頼度が全然違ってきます。


なんのためにクラシック業界に契約書文化を根付かせようとしているのかは、そもそも訴訟になったときに、そのエビデンスとしての役割を期待している訳ですから、そのエビデンスの電子契約がきちんと認証局(CA)の傘下にあるシステムでないと裁判に有利にならないと思います。


電子契約サービスは、いろいろ複数のサービスが存在しますが、CloudSignとかGMOサインが二大巨頭という感じでいいんじゃないですかね。AI契約書レビューのLegalOnTechnologies(旧LegalForce)は、GMOサインと連携しているようですので、電子契約+AI契約書レビュー+契約書キャビネとしてGMOサインを選ぶのがいいと思います。


もうクラシック業界として、このサービスで統一というふうに決め打ちしていいと思います。







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DX時代のコンサートホール:電子チケット(e-ticket) [コンサートホール&オペラハウス]

DX時代のコンサートホールを語るうえで、システムアーキテクチャ、信号処理という重い部分は前回でひととおり終了である。今回からは比較的身近で親しみやすいテーマ、でもとても大事なことについて考えていきたいと思っている。


クラシックに限らず、コンサート全般に言えることだが、チケットはとても重要な役割でかならず必要になるアイテムである。


いままでは紙のチケット。もう長年の歴史がある。いまのクラシック業界も、ぴあやイープラスでも紙チケットでの販売が絶対的である。なにを隠そう自分も紙チケット派である。やっぱり安心するし、信頼度がある。紙チケットの入手方法は、郵送かコンビニ発券である。ぴあの場合はCloakという間にクッションが入りますね。


このチケットの部分を電子チケットにできないか、というお話である。


電子チケットは、欧州、ヨーロッパのほうでは数年前からかなりの頻度で進んでいる。欧州では電子チケットのことを、e-ticketと呼びますね。


自分が盛んにヨーロッパに海外音楽鑑賞旅行に毎年出かけていた頃、そのコンサートのチケットは大切な重要な公演、争奪戦が考えられるような失敗が許されないような公演のチケットについては、旅行会社にお任せしていた。でもそれ以外の軽いウエートの公演は、自分で海外のサイト(オーケストラのサイトであったり、ホールのサイトであったり。)で自分で取ることも多かった。


旅行会社にとってもらう大事な公演のチケットは、紙チケットである。

そして自分がとる公演のチケットは、e-ticketが多かったように思う。


というのは、海外のサイトは、チケット購入サイトにおいては、チケットを郵送するか、e-ticketにするかの選択ボタンがあるのだ。これは十中八九そうである。


紙チケットを選ぶと決済後、郵送で送られてくることになるが、郵送だと、海外、欧州からの郵送だから時間もかかるし、郵便事故がすごく怖い。だから自分は自分でチケットを取るときは、まず郵送は選ばなかった。かならずe-ticketにしていた。e-ticketにすると、買ったと同時にチケットが手元に持てるからである。


e-tikcetにすると、どんな感じに進んでいくかというと、そのe-ticketの送り先をスマホにするかPCにするかの選択を聞いてくるのだ。


スマホを選択すれば、スマホにe-ticketが送られ、ホールのゲートでは、そのスマホの管面に提示されているe-ticketのQRコードを見せて、レセプショニスト、女性スタッフはQRコードリーダーを持っていて、それで読み込んでOK、はい、どうぞ、となるわけである。


あるいは、ゲートのところにQRコードリーダーが設置されていて、ゲートを通るときに、スマホe-ticketのQRコードをかざして、OKではい、どうそ、てな感じである。


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もしPCを選択すれば、PCにe-ticketが送られ、それをプリントアウトして紙状態のe-ticketとして所有するのである。プリントアウトしたe-ticketには、QRコードがあって、それをQRコードリーダーで読む。あとはスマホのときと同じである。



これは幻となってしまった2020年にアムステルダムで開催される予定であった、マーラーフェスティバル2020のe-ticketである。


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e-ticketの転送先としてPCを選択し、送られてきたe-ticketをプリントアウトしたものである。だからe-ticketなんだけど、紙なのである。(笑)右上にQRコードが見えるであろう。レセプショニスト、女性スタッフ、あるいはホールのゲートのところにQRコードリーダーがあって、そこにこのe-ticketのQRコード部分をかざして、はい、OK,どうぞ、となるのである。


このように、e-ticketの利便性は、購入と同時にすぐに自分の手元にチケットを入手することができるという安心感である。


ここで大切なことは、海外、とくに欧州のチケット購入サイトでは、かならず紙チケットにするか、e-ticketにするかの選択肢があるということだ。そしてe-ticketにした場合は、さらにスマホに転送するかPCに転送するかの選択肢がある。


2016年にバイロイト音楽祭に行ったとき、ホールへの入り口のところにいる女性スタッフは、みんなバーコードリーダーを持っていた。


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バイロイト音楽祭のチケットは、紙チケットであるのだが、そのチケットの下端にバーコードが書いてあるのだ。そして入場するときに、そのチケットのバーコードを、女性スタッフが持っているバーコードリーダーでスキャンする。(赤い光でスキャンする。)


そうすると、そのバーコードリーダーには表示画面がついていて、そこにOKかNGかの結果が表示されるようで、はい、OK、どうぞ、という感じなのである。


これは紙チケットであるのだけど、さらにそのチケットが偽造チケットではないか、ちゃんとバイロイト音楽祭の発行したチケットなのかどうか、バイロイト祝祭劇場の座席情報とマッチングするかどうかの確認する機能がそのバーコードリーダーの中に組み込まれていると思われる。


けっして電子チケットじゃないんだけど、そういうセキュリティ機能がついているのである。


さすが難関中の難関のバイロイト音楽祭である。

自分は軽いカルチャーショックを受けたものである。さすがだなぁ・・・てな感じで。



そして日本にもそのようなe-ticket、すなわち電子チケットがお目見えするようになった。

東京交響楽団の電子チケットである。


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東響の電子チケットは購入サイトは東響サイトによる電子チケットオンリーの限定利用だったように記憶している。


東響の電子チケットは、スマホ転送型で、ホール側、ホールの女性スタッフ側でバーコードリーダを必要としない認証方式であった。スマホの電子チケットの管面を指で丸くなぞると、OKの表示がされるというものである。


もしそれが偽造の電子チケットであるならば、そのような行為をしてもOKの表示が出ないので、ちゃんと認証方式として成立している。ある意味、ホール側、女性スタッフ側にバーコードリーダーというツールを必要としないコストダウンな電子チケットであった。


その電子チケットが本物かどうか、ホールの座席情報と合致するかどうかの正確な照合としては、やはりバーコードリーダーをホール側、女性スタッフ側が持っているスタイルのほうが、セキュリティ面的にも精緻な保証付きという感じはする。


ここまでは自分の体験談であるが、その後電子チケット(e-ticket)のクラシック業界への浸透はなかなか素晴らしいものがある。



それが電子チケットteketである。



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自分は利用したことはまだないですが、これは凄いです。驚きました。

単にチケットがe-ticketである、というばかりではない。コンサートを開催する、イベント管理などコンサート主催者側の立場で必要な機能を全部盛り込んだようなアプリで、アーティスト1人でコンサートをやりたい、と思ってもそのまま開催できてしまう、それだけトータルソリューションなアプリなのである。



イベント・顧客管理

電子チケットの販売・管理

チケット販売数・売上管理

QRコードによる入場管理

入場数のリアルタイム確認

チケット販売履歴のダウンロード



●イベント作成に関するサポート


イベント集客に強い魅力的なイベントページ

安心で使いやすい、電子チケット

リアルイベント・ライブ配信のチケットを並行販売

座席指定、ライブ配信の不正視聴防止などの要望にも対応


マーケティング

チケット購入者へメール送信

公式HPやSNSとの連携

メール・SNS等のシェア促進

EC連携(BASE連携することで商品連携可能)

応援コメントやギフト(投げ銭)の収集

アンケート



・・・ここまで網羅した完璧なビジネスパッケージソリューションとしてのツールと言っていいと自分は思います。



チケット購入者側だけでなく、イベント主催者側の利便性も考えており、ある意味電子チケットビジネスの理想形に近いような感覚をもつ。


電子チケットteketは、大手プロモーターによる大規模なコンサート運営はもちろんのこと、もっと小規模な運営母体、たとえばアーティスト本人でも簡単にコンサート運営ができる、というところがメリット。そして電子チケットのみでの販売を前提としていて、顧客管理、マーケティング解析など、チケット購入者が全員電子チケットを購入するという前提で、こんなメリットがたくさん生まれるというコンセプトである。


この電子チケットのみで成り立つ世界、というところがミソのように思う。



自分はこれは素晴らしいな、と感心しました。

素晴らしいアプリケーションだと称賛の声をかけてあげたいです。


ちなみに、ホールへの入場は、チケット購入者側は、スマホのQRコードを係員に見せて、係員のほうも同様のスマホを持っていて、そのスマホで、そのQRコードを読み込んで、正しいチケットかどうかを判断するという仕組みである。


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スマホであれば、いわゆるパソコンと同じですから照合機能としては十分すぎるくらいですね。係員側のスマホには、その照合専用のアプリがインストールされているのでしょうね。



こういう現状の状況も踏まえ、紙チケット中心の大手チケット業者としてこのように進むといいなーというようなアイデアを考えてみる。いきなり全部、電子チケットteketのようには難しいと思う。



●大手プロモーターによるコンサート運営の場合は、チケット販売はやはり紙チケットと電子チケットの併用で段階的に進めていくのが無難である。(チケット購入者は、クラシックの場合、実際高齢者がかなり多い。)


●大手プロモーターによるコンサート運営の場合は、イベント作成などからの全部電子化というよりは、まずはチケット購入のフェーズだけでの電子化を考え、いきなりではなく、徐々にすべての電子化を進める段階的なステップアップのほうが望ましい。


●チケット販売の選択制:紙チケット(郵送・コンビニ発券)、電子チケット(PC印刷型・スマホ型)。海外(特にヨーロッパ)のチケット販売ページは、もう完全にこの4択ができるようになっている。



東響のように、現在は楽団が電子チケットの販売権を持っているような感じだが、やはり将来的には、電子チケットシステムの規格が標準化されて、ぴあやイープラスなどのチケット販売業者が電子チケットを売るような仕組みにしてほしい。


いわゆる海外のチケット販売システムのようなユーザによる選択制にする。そうすれば紙のチケットもなくならないし、すべてのチケット販売の選択肢が残る。


選択制:紙チケット(郵送・コンビニ発券)、電子チケット(PC印刷型・スマホ型)

ぴあやイープラスなどのチケット販売ページには、この4種類の購買方法が選択できるようにしてほしい。


いきなりすべてオール電子チケットというソリューションではなくて、このようにいまのビジネスに溶け込みやすいすんなり移行しやすい方向から入っていくべきである。



紙のチケットはなくさないでほしいです。たとえば、スイスロマンドのチケットホルダー素敵です。こんな文化もあるとやはりホッとします。また、やっぱり紙チケットのほうが安心するファンも多い。(高齢ファンも含め)


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チケット販売サイトは、この従来の販路だけではなく、これからの時代いろいろな可能性がある。


今後、DX時代の有効なコンサート宣伝・広告ちらしと思われるWebページ。あるいは、従来の紙でのフライヤーや広告ちらしにも、QRコードが貼ってあって、それをスマホのリーダーで読み込むと、そのチケット販売サイトに飛べるようにするのも有効と思われる。



電子チケットに付帯情報を設けるURLリンク、QRコードをつけて、


・そのプログラムに書かれているその日に演奏する曲のストリーミングURL。コンサートに行くまでの間のその曲の予習ができる。どのオーケストラやソリストの演奏曲を選ぶかは、その日の公演のアーティストの判断に任せる。~自分の曲が録音されている場合は、自分の曲。あるいはお勧めの曲とか。自分がこれを聴いてほしい、好きなアーティストとか。


・あるいは公演前のフライヤーやホールに貼るポスターに記載されているQRコードにも同様の情報が入っていて欲しい。~そのプログラムに書かれているその日に演奏する曲のストリーミングURL。コンサートに行くまでの間のその曲の予習ができる。


電子チケットの利用方法としては、以下のような付加的なサービスも付属しているとビジネスの拡販になっていいと思う。アンケートなどは紙である必要はまったくなく電子データで十分。電子データであるほうがアンケート結果も集計、解析しやすいしメリットは大きいと思う。、


・電子アンケート(チケット購入者の分析~マーケティング解析に活用する。)

・投げ銭ができるようにする。(イベント中はもちろんイベント終了後も)=アーティスト側の臨時収入。

・終演後のコメントを投稿できるようにする。(アーティストにとってとても大事な情報、演奏のファンの受け取り方を把握できる。)

・アーティストのCDや関連グッズのEC販売とのリンク。その日の演奏曲のCDであるとか、もちろんそれ以外にも。



電子チケットteketはもちろん素晴らしいのですが、いきなり全部なにからなにまでオールインのデジタル化というよりは、大手チケット業者が入ってこれやすいように、チケットの販売のフェーズのみ電子化を取り入れて、しかも紙チケットとの併用で販売。そして電子チケットには、諸々の付加サービスをつけてくれると、いろいろ拡販サービスできていいと思います。現実的だと思います。


まずはぴあやイープラスのチケット販売業者の購入サイトでは、紙チケット(郵送・コンビニ発券)、電子チケット(PC印刷型・スマホ型)の4択にしてほしい。欧州の購入サイトに追いついてほしい。


海外、欧州、ヨーロッパのチケット購入サイトというのは、海外からヨーロッパにやってくるお客さん、外国からの購入者もきちんと考慮しているため、こういうe-ticketの選択肢を設けているんだと思います。日本のチケット購入サイトは、海外からの購入者、外国から公演にやってくるお客さんという発想が前提に全くないですね。だから別に紙チケット(郵送・コンビニ発券)だけでいいんだと思います。外国の人から言わせれば、コンビニ発券とか言われてもそりゃ無理だろ!という感じなのでは。(笑)


日本のチケット購入サイトもインターナショナルになる必要があると思います。


もちろんコンサートホールの購入サイトやアーティストHPの購入サイトでも同様です。







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DX時代のコンサートホール:音響AI解析 [コンサートホール&オペラハウス]

これからのDX時代のツールとして、やはりAIは使っていかないといけないだろう。AIは次世代の社会を支える、とても重要な技術である。人工知能(AI)とは、人間の知的活動をコンピュータを使って人工的に再現したものであり、次世代の社会を支える主要技術のひとつ。


プログラミングとデータ解析を組み合わせて新しい価値を創造する、とても重要なクリエイティブツールなのだ。

 

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●AIにできること


AIには、できること(得意なこと)とできないこと(苦手なこと)がある。得意なことは、大量のデータ処理、ルールに沿った作業、共通点を見つける作業などである。


音声認識・応答

文章認識

画像認識

推論

機械制御



いまAIを使っていろいろな凄いことができてしまうのは驚きだが、自分はそのようなAIを使ってどういう機能を作るというよりは、なぜそんな凄いことができてしまうのか、AIそのものの構造に興味がある。まずそこを理解したいと昔から思っている。


まっおそらくAIのアルゴリズムとして、ニューラルネットワークとか機械学習、デープラーニングというアルゴリズムがあって、人間の脳の構造、思考回路をそのままコンピュータ上で実現する、そんなイメージである。で、実際おこなう処理は、いわゆる総当たり計算に近い、すべてのパターンを計算してしまう膨大な計算量で、AI将棋とかAI囲碁、AIチェスなんかもそうですね。愚手からなにからすべて総当たりの手を計算して全部選び出し、そこから最善手を計算する。AIとはそういう計算の仕方をするのである。


だから膨大な計算量が必要になり、昔はスーパーコンピューターでないと処理できないものであったが、昨今のPCのCPUの著しいハイパフォーマンス向上で、家庭用PCあるいはワークステーションでも充分AIを動かすことができるようになった、ということだろう。


AIはまずアルゴリズムがあって、そのアルゴリズムのおかげで、信じられないレベルのことが実現できてしまう,それだけの膨大な演算が可能になった、というのがAIの正体なのだと思う。そしてそれを実現するためにハードウエアが後から追いついてきた、ということなのだろう。


それで、AIを使って実際凄い機能を実現するフェーズになると、おそらくOSのAPIみたいなプログラミングライブラリがあって、通常ソフトエンジニアはそのAPIを使ってアプリケーションを開発する。


それはAIのニューラルネットワーク、機械学習、ディープラーニングのアルゴリズムを利用するために欲しい機能をプログラム開発するためのAPI相当のライブラリがあるに違いない。そういうものがあるのだろう。そういうAPIを使ってプログラミングしていて、欲しい機能を実現しているのであろう。


全部私の推測レベルです。古い時代の技術者のたとえですみません(笑) 

tackさんから教えてもらったところ多いです。(笑)

見当はずれのところもあるかもだが、まぁまぁ。。。


AIのシステム図みたいなものを作るとしたら、こんなイメージであろう。


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入力xのデータとして、まずAIに学習させるデータは、判断材料である。ある結果を導き出したいためにそれをおこなうためには、まずその判断材料をAIに学習させる必要がある。それは複数N個あっていい。(AIはそれこそ膨大な学習能力・処理計算ができる。)


AIは、プログラミングライブラリAPIを使ってソフトエンジニアが開発した欲しい機能(解)を出力するための機能関数みたいなものである。y=f(x)

出力させる前に、どういう条件下でという仮定条件を入力する。

その仮定条件に応じた形での解を出力する。それが出力yである。


つまり膨大な学習データを徹底的に解析して、その特徴を整理できる能力があり、その解析データに基づいて、その入力の仮定条件に適した解を導き出して出力するのである。


AIの機能ってこんなイメージなのかなと自分は勝手に想像している。あくまでAI機能を実現するイメージ図である。


最近のAIの開発で驚いているのが”ChatGPT”である。


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ついにここまで来たか!という感じである。

いつかChatGPTを自分でも試してみて、これひとつのテーマで日記を書いてみたいと思っている。


まだ自分もよく理解していないところもあるが、ある質問、テーマを投げかければ、そのまま文章を書いてしまうAIである。いろいろなAIの機能が出てもあまり驚かない自分ではあるが、このChatGPTはちょっと恐怖に感じてしまった。


文章、文体と言うのはある意味、人間の個性である。

その人の考え方、性格が、その個性を生み出している要因である。

その人々によってそれぞれの個性の文体が存在する。


でも判断材料として、その人の文章を大量に学習させれば、ある仮定条件、質問を投げかければ、新たに書くテーマもその人の文章になってしまうのか?


これは恐怖である。(笑)

自分の文体、考え方が、そのままAIで書けてしまうのか?


ChatGPTは、まだ出たばかりのAIだから、そこまでの精度はないと思うが、それも時間の問題だろう。


自分も含めて、文筆業の方々にとっては恐怖である。

ある小説家、作家が亡くなっても、続編の小説が読めるのである。(笑)


自分が最近興味があるのが、AIが創作したものに著作権があるか、というテーマである。その文献を見かけたことがあり、そのままお気に入りに保持しているので、後日読んで感想を書いてみたいと思う。


MicrosoftがChatGPTのオープンAIに複数年で100億ドル投資したニュース記事を読んだ。どんどん精度が上がっていくに違いない。



さて、話がそれてしまったが、AIの活躍する分野というのは、やはり信号処理(画像・音声)と解析・予測である。


コンサートホールといえば、自分はもう音響、ホール音響、ホールの響きである。この天がお召あそばされた深遠なる建築音響の世界。まさに数学理論の世界。建築音響の専門書を読んでも数式だらけでチンプンカンプンである。(笑)


でもコンサートホールが好きで好きで堪らないホール愛好家の自分は、この深遠なるホール音響の世界をなんとか素人の人にもわかりやすいようなイメージで説明できないか、をチャレンジしたことがあった。それが2017年に連載した「コンサートホールの音響のしくみと評価」の連載日記である。これで、普段コンサートホールのステージ上で奏者が奏でる音が、ホール内をどのように伝搬し、反射し我々聴衆の耳に届くのかを理解できた。ホール音響の世界は、神秘的でミステリアスである。


ホールの容積、形状、天井の高さ、壁、天井、床の材質、それぞれに凹凸をつけたりの工夫、反響板、座席に使うシートの吸音性、ステージ床の材質、ステージ床下の空洞、もうすべてにおいてホール音響の要因作りの一因である。


音の印象の違いを決めるのが反射音のバランス。


ステージ上の楽器からの音が直接届いた直後の0.1秒間に、どんな反射音がどれくらい続くかが、そのホールの音の個性になる。また反射音の後に続く響きが、聴こえなくなるまでの時間を「残響時間」といい、サントリーホールのようにオーケストラの演奏に向いた大きなホールでは2秒。その最初の0.1秒の反射音をどう設計するかで、そのホールの音のすべてが決まります。


直接音から0.1秒の間にどの方向からいくつ音がくるかで響きの印象が決定づけられるという。ホールの天井高や形、壁、天井、座席といった要素すべてで、バランスのいい響きを確保した音響設計をおこなっています。(永田音響設計事務所 小口恵司氏。)


・・・である。この世界懐かしすぎる。(笑)徹底的に解明したい神秘的なミステリアスであった。


コンサートホールといえば、このホール音響なのである。AIを信号処理に使いたいとしたら、この音響のところに使えないか、というのは当然思いつく。AIの得意な処理として、解析というのがある。つまり入力データを学習させて、その特徴を形にするのである。


音響分析では、入力された音声データの音の強弱や周波数、音と音の間隔、時系列などさままな特徴量を抽出し、音響モデルで扱いやすい(コンピュータが認識しやすい)データに変換する。それをどんどん発展させていき、ホール音響の次元までにあげていく。


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世界中のいろいろな国にあるコンサートホールの音響特性をAIで解析して、それを見える化できないか。そのホール固有の響きをAIで解析して、なにか形として残すのである。ホールによっていろいろな音響の形が測定されるであろう。


ただ、音響を解析するだけでは、ダメなのである。それじゃ実験に過ぎない。そこから我々のタメになることに応用したくなるのである。そこが最終形である。そのAIで解析した形から、音響補正できないか?自分はなにかできないか、ということを考えたとき、まず”補正”という言葉が思いついた。


音響補正である。


オーディオマニアならイコライザーとか、AVアンプの自動音場調整とか思い出しますね。それをひと回り大きく考えて、ホール音響そのものを補正できないか。


ホール音響は、もうそのホールを建ててしまったら、もう一義的に前述した条件下でホール音響、ホールの響きが決まってしまう。生憎条件が揃わなかったホールは、音響、響きが悪いホールとして烙印を押されてしまう。もうこの汚名はホールを解体するまで一生続くのである。


そのホールで音響をAI解析してその特徴を解析・見える化・データ化できたら、AIのデータの中には、音響の素晴らしいホールの音響の形という手本が蓄積されている。


そのお手本と比較して、その響きの悪いホール音響の形を、いい方向に補正していくのである。そうすると、どんなに響きの悪いホールでも、あら不思議、いい響きだわ、となってしまう。(笑)


デッドな響きで有名なイギリスのバービカン・ホールの中でAI解析をしてその音響の形を測定できたら、つぎに蓄積されているウィーン楽友教会の音響の形データを参考に補正をするのである。そうすると、あら不思議。バービカンホールの響きがまるでウィーン楽友教会のように豊潤で濃い響きに様変わり。。である。(笑)


この手法の欠点は、世界中どこのホールでも全部同じウィーン楽友教会の響きとなってしまうことである。(笑)


オーディオ製品では、部屋の固有の響きを自動で補正する機能が備わっている製品もある。部屋によって様々に変わる固有の響き、あるいはその欠点を補正して出力するのである。


オーディオの世界では、アンプ、スピーカーを通して出力するので、そういう部屋の響きの補正というのが実現可能である。


でもホール音響そのものを補正するとなると、やっぱり無理だろうか。(笑)アンプ、スピーカーが出力口ではなく、ホール全体の器で鳴っているものだから。


でもあきらめてはいけない。そんなことできっこないとバカにされていても、アイデアを出す側が偉いのである。ホール音響そのものを補正することは難しいかもだけれど、ホールの音響設計時にシュミレーションソフトで設計するとき、この音響AI解析という技術はプラグインで組み込まれているものではないのだろうか。


理想の音響の形にするために、どこをどう変えれば、その理想の音響の形に近づくのか、シュミレーション上で検討できるのである。手本に近づけるというアプローチであれば、どこそこの国のホールの響きと同じにしたい、というアプローチが可能になる。


ラトルがロンドンに新ホールを建設しようとしていたときに、ぜひミューザ川崎のような響きのホールにしたいと懇願した。そうすると、ミューザ川崎での音響をAI解析してその音響の形を測定する。そしてラトルのロンドン新ホール設計のシュミレーションのときは、その音響の形が、ミューザ川崎の音響の形のお手本に近づくように、ホール形状、材質、諸々のパラメータを変えていけばいいのではないだろうか。それはコンピュータシュミレーション上での検討段階では、簡単な操作のように思える。


現実問題、音響AI解析という技術は、現在存在するのである。

・音響AI解析による雨天時浸入水検知

・日立、音を解析するAIで製品や設備の異常音を検知

・AI音響解析サービス(下水道)に取り組む日本インフラ計測株式会社(産総研技術移転ベンチャー)

・音響診断AI化支援


コンサートホールの音響設計のときは、近い将来きっとそのシュミレーションソフトの中にAIはソフトプラグインとして組み込まれ、AIを使用しながら音響設計するという時代はそう遠からずそうなるに違いない。


でも自分は”DX時代のコンサートホール”というお題目で書いているので、ホール音響をAIでそのままリアル空間で変えてほしいのである。AIによる音響可変コントロールである。ホールによってはステージ上の反響板の高さを可変にすることで、演奏形態に応じて、その音響コントロールをしている。そんな音響可変コントロールをAIを使ってやってみたい。


どんなヘッポコホール音響設計でもあとで自在に音響修正できる。それをAIでできないか?そんなことを考えているのである。でもこんなことできるようになったら、ウィーン楽友教会のようなお手本になる音響をしたホールは、そんな計測、AI解析をさせたがらないですよね。(笑)みんなコピーされてしまうので。


ホール内でAIを使うケースとして、またもうひとつ候補がある。

それがレコーディングである。おそらくレコーディング、録音の世界では、もうすでにAI技術の導入は進んでいるに違いない。自分は最近全然ご無沙汰なので、まったくわからないがきっとそうに違いない。


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AIを使ってこんなことができたらいいなーと思うのは、レコーディングのときの最終段のミックスダウンのとき。録音エンジニアの技量により、空間の取り方、音質の煌びやかさ、低音の強調度、帯域バランス感覚、エコーのかけ具合、バランスエンジニアの作業。。。ほんとうに様々な録音テイストの作品にできあがる。この世界もずいぶんご無沙汰しています。懐かしいです。いまやスマホで音楽聴いています。(笑)


これはレーベルによって、あるいは録音エンジニアによって、随分変わるテイストになるものなのである。これはレーベルの録音ポリシーと録音哲学なので、彼らはそこに誇りをもって働いている。


PENTATONEなら温度感の高いサウンド、BISならワンポイント録音の空間重視の録音、Channel Classicsなら前へ前へと出てくるようなエネルギー感の大きいサウンド。(しかし懐かしいな~。(笑))もうそれぞれで哲学があって、サウンドにオリジナリティがある。


このミックスダウン、編集時の最後の音作りの嗜好をAIに学習させることができないか。AIに学習させ、あとは、どのようなアーティストがどのような楽器、楽曲を演奏しても、それがオーケストラであったり、室内楽であったり、リサイタルであったり、そんなこといっさい構わず、AIに学習させた通りのサウンド作りの最終形が出来上がるのである。


きっとそのエンジニアであれば、そう調理したであろう、そういう録音テイストで仕上がっているのである、どんな演奏形態であっても。


エンジニア不要論である。(笑)

スンマセン、怒らないでください。ペーパー上の極論です。


ライナーノーツの録音部のクレジットのところは人の名前ではなく、AIと記載されているのである。


たぶんレコーディング、録音の世界では、マイキングでのステージ上でのマイク設定のポジショニングとか、ミックスダウンの編集時とか、絶対AIの利用はあるはずだと思っています。


コンサートホールでのAIの利用はこんなところにもあるのだな、と思いついた次第です。








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DX時代のコンサートホール:配信ビジネスの本命・5G時代のライブストリーミング [コンサートホール&オペラハウス]

ライブストリーミング、ライブ配信の世界は、なにもコンサート、エンタメ業界のことだけではないのである。報道・ニュース現場配信、講演や会議配信、スポーツ観戦、遠隔医療・・・もうありとあらゆる数えきれないほどの日常生活、仕事現場での可能性があって、これから必須のビジネスになっていくものと思われる。


そのためには従来の有線以上に、無線インターネットである必要性があることがわかってきた。


安定したネットワーク品質はやっぱり有線という認識が古くから自分の頭の中にあるのだが、正直ショックである。IoT,遠隔医療など、自分の趣味のエンタメ業界のこと以外の分野でも、やはり無線じゃないと実現無理なのだということが、理解できてきた。自分の仕事のカービジネスの自動運転でもそうだ。無線であることが前提条件、そしてエッジコンピューティングである。そんな未来を語るうえで5Gをようやく今さながら自分で勉強した。


世間の流れ話を耳にするのではなく、自分で理解することが重要である。来たる5G時代にあわせて、未来のライブストリーミングを語ってみようではないか。



5Gの高速・大容量・低遅延の次世代移動通信のデータ通信を活用すれば、家庭でのライブ鑑賞だけでなく、コンサートホールやオペラハウスでステージ上で繰り広げられる演奏やオペラ演劇を楽しむライブ鑑賞の楽しみ方も拡張してくれる。


究極は、コンサートホールやオペラハウスをそのまま持ってきて自宅にその空間を再現して鑑賞することだ。

もう配信は実演より劣るとは言わせない。技術はかならず追いつくのである。


5Gで急成長するライブストリーミング配信サービス。ライブストリーミングというビジネスは、5Gの到来があって初めて本格的になっていくのではないだろうか。


もちろん5Gはビジネス黎明期。最初からそんなにうまくいくわけがない。なんだ!夢のある話ばかりしていたけど、こんなもん?想像していたほどでない、とかは日常茶飯事で山ほどあるに違いない。でも時間が解決するはず。


自分は、全国津々浦々とも全部無線の5Gで網羅されるとは思っていない。そうなるのは、なかなか現実難しいのではないか、と思っている。やはり幹線の中心経路は、有線の光ファイバでないとダメで、末端のエリアを5Gで網羅するなどのハイブリッドな使い方が、やはり現実路線なのではないか、とも思っていたりする。



5G伝送は、世の中では、まだ実験の域というステージだと思う。


5Gによる映像配信技術を活用し、4K/8K、低遅延を活かした自宅にいながらライブ会場やスタジアムにいるような体験ができるライブストリーミング。


そんな夢のような5G時代のライブストリーミングの在り方、視聴の仕方としてどんな楽しみ方ができるのか。各社の開発状況をピックアップしていくことにする。



まず5Gによるストリーミング配信実験は、2019年のサッカーW杯でも実験済みである。ロシアのサンクトペテルブルグにあるクレストフスキー・スタジアムで実施されるワールドカップの第一試合が、 約600キロ離れたモスクワの「5Gゾーン」内の観衆にストリーム配信された。


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また日本では、ソフトバンクとシャープが5Gでバスケ国際試合の映像を通信実験。ライブ映像を報道陣に公開・・・というのもある。


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8Kカメラで撮影したものを途中有線の専用線を通すが、そのあとコンテンツDBからは5Gで飛ばし、5Gで受信してシャープの8Kテレビで映すというものである。


まさに王道中の王道の使い方というか、高画質をそのままご家庭に送れるという基本中の基本である。そのためには伝送路は太くないといけないということを証明したというところであろうか。



そういう大容量の高画質・高音質のデータが送れるという王道以外にも、5Gにはいろいろな使われ方(VR/ARとの親和性、マルチアングル多角視聴化など)がある。その実験例として以下を抜粋する。




●5Gで8K映像と立体音響技術による没入感の高いオンラインライブ映像を配信


大日本印刷やアストロデザイン、シャープ、ソシオネクスト、輝日、ドルビージャパンの6社が連携し、高精細映像と立体音響技術を掛け合わせた没入感の高い映像コンテンツの制作や、5Gによる配信インフラの構築を進めていくと発表した。


・8K映像から自分が見たい映像を切り出す


こうした、オンラインライブ配信では、画面上で全体を鑑賞しながら自分の見たい部分だけを拡大して観る楽しみ方もいろいろと考えられている。8Kカメラで撮影した高精細映像ならば、映像の劣化なしに高画質の切り出し動画が作成できる。


例えば、実際にアイドルグループのライブ会場に行くと、グループ全員の歌やダンスだけではなく、自分が推しているメンバーの動きだけを個別に追うという楽しみ方が当たり前だ。韓国の公営放送局「韓国放送公社(KBS)」は、独自に開発したAI顔認識切り出し用ソフトとアストロデザインの8Kカメラシステムを組み合わせ、1台のカメラで撮影したK-popアーティストの映像から、切り出し映像を制作するシステムを構築した。




●ハロウィーンはオリジナルアバターを使ってバーチャル渋谷で楽しむ


今や、若者の街として世界的にも高い知名度を誇り、国内外から多くの観光客が訪れる渋谷では、KDDIが渋谷区観光協会らとともに、区が推進する創造文化都市事業への貢献を目的とした「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」に取り組んでいる。


渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトが、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」において「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021 ~FUN FOR GOOD~」を開催。渋谷の街にいてもいなくても楽しめる、オンラインのバーチャルコンテンツを配信する。


バーチャル版のハロウィーンフェスでは、5Gの高速、大容量通信を生かしてスポーツや音楽、お笑いなどのライブをバーチャルステージで実施する他、リアルとバーチャルの融合体験として、自分自身のアバターを作成できるスマートフォンのアプリと商業施設に設置されたスキャナーから簡単に自分のオリジナルアバターを作成でき、バーチャルハロウィーン上で楽しめる。


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コロナ禍でなかなか渋谷のリアルハロウィーンは参加できないと予想される中のアイデアなんですね。でも今年のハロウィーンは、すごい人ごみで今まで通りでしたよね。(笑)


5Gの世界は、VR/ARとの世界との親和性も高そうなのも魅力である。




●あらゆるアングルからの映像が見られる! 「自由視点VR」



KDDI頑張ってるよ。やっぱりauは携帯会社だから、KDDIは5Gは自分の会社を飛躍的に爆発できる時代が来る、ということで、何年も前から狙って開発していたんだね。5Gの恩恵は撮影側の映像にも大きな進化を呼び起こさせるものみたいである。


同じく5G時代を見据えた映像技術として、KDDI総合研究所が長らく研究しているのが「自由視点VR」。スポーツの試合やコンサートなどを、スマホやタブレットを使って、文字どおり自由な視点で見ることができる技術である。通常の映像コンテンツはディレクターなど制作する側が選択したカメラアングルからしか見ることができない。


ご存知のように、現在のスポーツの試合やコンサートなどには複数台のカメラが設置されており、制作側がそれぞれのカメラを切り替えている。ところが自由視点VRでは、視聴者が指で画面をなぞったりコントローラを使って、画面に映っている映像を自分の好きなアングルから見ることができてしまう。


KDDI実験.jpg


こんな感じである。4Kカメラを16台、野球場に設置する。その4K映像×16本の画像データを自由視点映像制作サーバーを経由して、これまた専用の自由視点配信サーバーで配信する。それを5Gネットワークで配信して、5Gタブレット端末で受信する。おそらくその端末には、その自由視点専用のアプリがインストールされているのだろう。そうするとユーザーは端末側で自由にその視点を変えられるという仕組みである。専用の配信設備、専用のアプリが必要ということですね。


自由視点VRの映像は18~46秒あたり。タブレットに映し出された打者がバットを振り、一塁へ走る映像を、指でなぞることでアングルを変え、グリグリと滑らかに視点を動かしながら見ることができる様子がわかる。



このマルチアングルによる多角視聴化というのも5Gの大容量の帯域が可能になせる業である。何枚ものアングルの動画像をいっぺんに送れるだけのバンド幅があるということだ。


これはコンサートホールのステージ上の奏者のパフォーマンス、演奏ライブにも十分応用できるのではないだろうか。コンサートホール、ステージ上のいろいろな場所にカメラを設置し、いろいろなアングルで撮影した映像を5Gで送信。それを視聴する端末側で、個人の自由な操作で、自由なアングルで楽しめる。


自分のお気に入りのアーティストのみを追っかけたい場合、あるいは指揮者、もう無限の可能性がある。従来の制作者側の意図による画面のスイチッングではなく、視聴者の視点に任せるアイデアである。





あと、ドコモが、”5G時代に相応しい8KVR映像ライブ配信・視聴システムの開発”という記事もある。


その他にも、NTT Com、5G時代のライブ配信プラットフォーム「Smart vLive」--1秒未満の低遅延を実現。



5G時代のライブストリーミング.jpg


低遅延。高いリアルタイム性により、双方向コミュニケーションでも違和感のないレスポンスを実現。また、シンプルな操作で利用でき、エンターテインメントやスポーツイベントなどにおいて、さまざまな角度からとらえたマルチアングル映像や音声と、SNSなど他のネットメディアを、リアルタイムに同期させることが可能だという。 同社では、1秒未満の低遅延ライブ配信が可能となる特徴を生かし、


(1)低遅延ライブ配信

(2)低遅延マルチアングルライブ配信

(3)低遅延双方向ライブ配信/パブリックビューイング


という3つの利用シーンを想定している。



総務省は5Gを活用したスポーツ観戦のイメージとして、「どこでもスタジアム」という構想を提案している。そこには、どの方向からでも観戦できる「360°パブリックビューイング」や、プレイ中の選手の情報が取得できる「カメラで撮って情報取得」などといった楽しみ方が描かれている。



あと、ローカル5Gを利用した例としてパブリック・ビューイングがある。


パブリック・ビューイングは、祝祭的なコンサートの場合、あったほうが華やかでいい。コンサートホールの近くの野外で、大スクリーンを立てて、そこにホール内のコンサートを映し出す。パブリック・ビューイングをやろうとすると、モニターの設置、機材の配置、配線など一大イベントである。そのうち信号(画像・音声・文字)伝送をローカル5Gで無線化する。


実際、実験もおこなわれている。


KDDI、stu、渋谷未来デザイン 、NHKエンタープライズは、LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂) において、映像撮影用のカメラ配線をローカル5Gに置き換えるワイヤレス映像撮影システムの実証実験を開始した。


KDDI 5G.jpg


映像撮影用のカメラの配線をローカル5Gにするワイヤレス化ということなんですね。


こうしてみると、5Gのキーフィーチャーとなりそうなのは、大容量の動画(4K/8K)・音声(立体音響技術)の伝送、低遅延、マルチアングル多角視聴化、VR/ARとの親和性ということになるであろうか。


これをどうコンサートホール、オペラハウスに結び付けるかである。


もちろん基本中の基本である大容量、すなわち高画質・高音質の動画・音声の伝送も魅力である。それによってより臨場感あふれるライブ映像が楽しめるであろう。


でもそれだけではない、


ライブストリーミングを単なる実演の代替えとして捉えない。視聴者による新しい価値観のライブの見方を提供するという点でもいろいろアイデアが豊富につまっている宝の山のように自分は思える。


もちろん、ここでは述べなかったがカー空間でのエンターテイメントも一気に豊かになりそうである。





DX時代のコンサートホールというのは、つねに全国・全世界とつながっている、コネクトの状態ということと同義なのである。ホールで味わった感動と同じレベルの感動を、全国・全世界とシェアできないといけない。


カーの世界ではコネクテッドカーというが、まさにそれに倣うならDX時代のコンサートホールは、コネクテッド・ホールなのである。ホールのあの体全身に浴びるホールの響きを、全国・全世界中の家庭内で体験できないといけない。


ホールの中は常に最高に保障された空間で、ここはいつも不変の場所。実際コンサートホールに足を運ばれたお客さんは、その空間で、まさに実演そのもの、最高の興奮・悦楽を堪能できる。


DX時代のコンサートホール、コネクテッドホールは、その感覚を、クオリティを落とさず、そのままの状態で、みんなにシェアできる機能を持つのである。


そのためにはコンサートホールはネットワーク機能を持たないといけないのである。

いままではホール空間のみで楽しんでもらっていたことを、これからは全世界に同時にシェアしないといけない。それもクオリティを落とさず、である。


インターネットを通してホールの響きを再現するのである。


5G時代のライブストリーミングというのは、そういう理想に近づくひとつのステップなのだと確信している。



情報引用元:


・Stuら4社、ローカル5Gでライブ映像をワイヤレス伝送する実証実験 コンサートホールをDX化



・NTT Com、5G時代のライブ配信プラットフォーム「Smart vLive」--1秒未満の低遅延を実現



・「カメラマンなしのスポーツ中継」をAIカメラで実現 5G通信が起こす進化がすごい



・5Gが可能にする新しいエンターテイメントの形









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DX時代のコンサートホール:5G [コンサートホール&オペラハウス]

将来のライブストリーミングを語っていく上で5Gという技術がかかせないことがわかってきた。5Gは、携帯通信規格の4Gのつぎという感じで、大容量通信が可能で、世界が変わるということは認識していたが、自分でちゃんと調べていなかったので、なんとなく曖昧なイメージでしか捉えていなかった。
                                                                                                                                                
もちろん5Gは、自分の仕事分野であるカーの世界でも自動運転やカーでの双方向通信などでも大きな影響を及ぼすので、それなりに来るな、とは思っていたのだが、ライブストリーミングを語っていく上ではかなりキーテクノロジーになると思われる。
                                                                                                                                                
そこで、字数の関係もあって、5G時代のライブストリーミングの前に、5Gとはどんな規格なのか、ということで別途わけて、5Gだけで、ひとつの日記としたい。
                                                                                                                                                
5Gとはそもそもどんな技術なのか。5G時代が到来すると、どんなことが実現できるようになるのか。
                                                                                                                                                 
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まず、そこを紹介したいのだ。
                                                                                                                                               
情報引用元:
・5Gとは? 実用化でできることを簡単に解説
                                                                                                                                                
・もっと知りたい5Gのこと。「パブリック5G」「ローカル5G」「プライベート5G」
                                                                                                                                                
・「プライベート5G」とは?ローカル5G、パブリック5Gとの違いも徹底解説
                                                                                                                                                
                                                                                                                                                
                                                                                                                                                
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことで、「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴がある。日本では2020年春から商用サービスがスタートし、次世代の通信インフラとして社会に大きな技術革新をもたらすといわれている。
                                                                                                                                                 
VR、遠隔医療、ドローン制御、自動走行など計74件のユースケースがあるそうだ。IoT,DX実現の基盤として注目されている技術なのだ。
                                                                                                                                                
まず最初に、携帯電話、つまり移動通信という技術の変遷、歴史を整理してみよう。1G~4G、そして5Gである。自分は1Gの時代から携帯電話使ってましたよ。自分が初めて買って使った携帯電話メーカーはNOKIAでした。(笑)でっかい端末でした。
                                                                                                                                                 
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●5Gの3つの特徴とその仕組み
                                                                                                                                                
①高速大容量
                                                                                                                                                
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「高速大容量」の鍵となるのは、「Massive MIMO」というアンテナ技術である。これは、複数のアンテナを使った無線通信技術「MIMO」を発展させたもの。高周波数帯において、数十から数百のアンテナ素子を使用し、データを送信する。これに、電波を細く絞り、特定の方向へ集中的に発射する技術「ビームフォーミング」を組み合わせる。電波の強度を上げ、遠距離での高速通信を実現するためである。
                                                                                                                                                 
国際電気通信連合による最大通信速度(下り)の目標値は20Gbps。2010年当時の4Gと比較すると約100倍、2019年春にスタートしたNTTドコモ「PREMIUM 4G」と比較しても約20倍の速さである。
                                                                                                                                                 
高速大容量の通信が実現すれば、4K・8Kなど高精細な動画のライブ配信、オンラインでの在宅医療、AI解析を用いた高精度の警備システムなどが期待できる。
                                                                                                                                                    
下り回線速度、20Gbpsですよ!!!4K/8Kの動画がすいすい送れるのを納得です。これが実現できればライブストリーミングの世界は夢の世界へと突入できますね。
                                                                                                                                                 
                                                                                                                                                 
②高信頼・低遅延通信
                                                                                                                                                 
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「高信頼・低遅延通信」の鍵となるのは「エッジコンピューティング」である。これは、デバイスとサーバーの物理的な距離を縮め、通信時間を短くする技術のこと。通常の通信は、デバイス→基地局→インターネット→クラウドサーバーの流れでコンテンツにアクセスし、逆の流れでダウンロードする「クラウドコンピューティング」が主流である。それに対し、エッジコンピューティングは、デバイス→基地局→基地局の近く(エッジ)に設置したサーバーと通信経路が短いため、リアルタイム性を確保できる。
                                                                                                                                                 
現在、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が標準化を進めている規格が「マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)」。これはスマートフォンだけでなく、IoTデバイスや自動車を含むマルチなモノとの通信を考慮した技術である。
                                                                                                                                                 
このように、高い信頼性が必要になる遠隔制御、遠隔医療の分野では、低遅延通信の技術がキーテクノロジーとなる。
                                                                                                                                                  
現状のライブストリーミングの最大の欠点は、遅延ですよね。生配信、生ライブストリーミングのときにタイムラグがありますね。これはいまのネットワーク事情では仕方がないことなのかな、とも思ってました。5Gの恩恵は、この低遅延のメリットは大きいですね、これは大きいです。
                                                                                                                                                 
エッジコンピューティングというのがキーテクノロジーです。トレンドと言っていいですね。カーの自動運転はこのエッジコンピューティングでないと成り立たないです。クラウドを通していては、瞬時のときの判断として危険です。
                                                                                                                                                 
                                                                                                                                               
③多数同時接続
                                                                                                                                                
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「多数同時接続」の鍵となるのは「グラント・フリー」という技術である。これは、デバイスと基地局の通信をシンプルにし、デバイスの同時接続数を多くするというもの。
                                                                                                                                                
通常、デバイスと基地局で通信を始める場合には、利用する周波数や利用時間のやりとりが行われる。その後、基地局が事前許可(グラント)を発行。デバイスは、基地局から許可された方法でデータを送信する。一方、グラント・フリーでは基地局の事前許可なしにデータを送信できる。これによって通信の混雑を回避し、1つの基地局に多くのデバイスが同時アクセスできることに。送信失敗のリスクも発生するが、再送信の仕組みも含めて設計されている。国際電気通信連合による同時接続の目標値は100万デバイス/㎢。4Gでは10万デバイス/㎢だったため、10倍のデバイスが接続可能になる。スタジアムやライブ会場でスマートフォンを快適に使えることはもちろん、身の回りのさまざまなモノがインターネットに接続するIoT時代には欠かせない要件なのである。
                                                                                                                                                 
  
これもライブストリーミングにとっては欠かせない条件ですね。野球場のスタジアムやライブ会場でたくさんの人のスマホやタブレットの端末にきちんとつながることがスムーズになるのですから、もう快適になることは間違いないです。
                                                                                                                                                 
現在の4Gと5Gの違いを整理してみました。
                                                                                                                                                  
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このほか、5Gを支える技術には、用途に応じてネットワークを分割する「ネットワークスライシング」が挙げられる。
                                                                                                                                                 
今後はスマートフォンやPCだけでなく、IoTデバイス、自動車などあらゆるモノがネットワークに繋がる。そのなかには、大容量が求められるもの、低遅延が重要なものなどが混在しており、すべてを同じように通信するのは非効率的である。そこで用途に合わせてデータを送る単位を変更し、ネットワークを仮想的に分割(スライス)するのがネットワークスライシングである。自動運転であれば高信頼・低遅延のネットワーク、4K・8Kストリーミングであれば高速大容量のネットワークなど、内容ごとに適切なネットワークを利用し、スムーズな通信を実現する。このように、5Gはさまざまな技術によって成り立つ。
                                                                                                                                                 
それが、人々の生活をより良いものへと変革するDXの基盤となるのである。
                                                                                                                                                 
  
国内の5Gの利用形態は、通信事業者がサービスを提供する「パブリック5G」、企業や自治体が独自にネットワークを構築する「ローカル5G」が主流でした。近頃では「ローカル5G」と「パブリック5G」の中間に位置する「プライベート5G」も注目を集めている。
                                                                                                                                                
●パブリック5G
                                                                                                                                                 
「パブリック5G」は、通信事業者が全国にサービスを提供する5Gネットワークを指す。一般的に5Gと呼ばれるのが、このパブリック5Gである。2020年3月からドコモ、au、ソフトバンクといった大手通信事業者によって、国内サービスが開始した。
                                                                                                                                                 
パブリック5Gは大容量のデータを高速通信で送受信できるのが、大きな特徴。5Gを導入することで、高画質な動画視聴やライブ配信などが可能となるであろう。
                                                                                                                                                 
通信の遅延も4Gの1/10まで抑えられるので、自動車の自動運転やロボットの遠隔操作などでも活用が期待されている。基地局から端末への通信の仕組みも、4Gに比べると非常にシンプルなので、多数のデバイスを同時接続できるというメリットもある。これらの特徴により、5G時代にはIoTの発展が加速すると期待されているのだ。
                                                                                                                                                 
   
パブリック5Gというのは、要は通信会社がそれぞれ5Gの基地局を全国に展開していって、全国的な通信網を設けていこうということなんだな。いままでの携帯4Gと同じ発想です。基地局を全国に設備するのは、やっぱり時間かかるし大変だけど、いままでは4Gの基地局に5Gの設備も一緒に、というハイブリッド方式から、5G単体の基地局へ、と新しいフェーズに進んでいるようだ。
                                                                                                                                                    
●ローカル5G
                                                                                                                                                 
「ローカル5G」は、企業や自治体が独自に構築する5Gネットワークを指す。非常にエリアが限定される反面で、パブリック5Gネットワークの混雑などの影響を受けない。また外部ネットワークとは完全に独立しているので、セキュリティ性の高いネットワークが構築できるのである。
                                                                                                                                                 
    
自分は、このローカル5Gにはとても注目していて、そもそもの発端は、自分のマンションの光ファイバの通信速度の遅さであった。全国のマンションなどの光ファイバは、建物の外までは100Mbpsの大容量で来ているのかもしれないが、そこから各部屋に分配されるときは、ADSLやXDSLなどの旧技術で配線されていることがほとんどなのだ。
                                                                                                                                                 
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だから外まで100Mbpsで来ていても、各部屋に分岐されたら、せいぜい30Mbpsくらいにダウンしてしまう。だからもうADSLやXDSLはやめて、光ファイバをDTTH(Direct To The Home)で直結してほしい。もうここからは大家さん次第なんですね。その工事には莫大な費用が掛かる。自分はそれにずっと悩んでいたのでした。
                                                                                                                                                
そこでローカル5Gの情報を知った。
                                                                                                                                                
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ローカル5Gは、建物の外まで100Mbps,1Gbpsなどの大容量の光ファイバで来ている回線を各部屋には5Gの無線ネットワークで送ろうという試みだ。そうすれば各部屋の工事はそんなに少なくて済む。こりゃいいや、と自分は思ってしまった。ローカル5Gはこのように局所的に5Gのネットワークを構築することを言う。
                                                                                                                                                
 
ローカル5Gは独自にネットワークを構築するので、まだパブリック5Gのカバーが追い付いていないエリアでも、5G通信が利用できるのである。5Gが持つ高速・大容量・低遅延・同時多接続といった利点を、自社専用のネットワーク環境で実現できるのである。主に製造現場や農業現場など、限られたエリアで役立つことが期待されている。
                                                                                                                                                
パブリック5Gとローカル5Gの違いはこのようにまとめることができる。
                                                                                                                                                 
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ここに来て、プライベート5Gというのができてきた。
                                                                                                                                                
「プライベート5G」は、企業や自治体の敷地内に必要な帯域、必要な容量の5Gネットワークを提供する通信事業者のマネージドサービス。ちょうど「ローカル5G」と「パブリック5G」の中間に位置すると考えていい。日本国内においては、2022年度にソフトバンクが提供を開始する予定となっている。ローカル5Gを構築するには、国が指定する無線局免許を取得し、自社で運用しなければいけない。しかしプライベート5Gは、ローカル5Gとは異なり、無線局の免許を取得する必要がない。通信事業者が企業・自治体の敷地内に基地局を設置し、保守運用を担ってくれる。手間やコストがかからず、5Gネットワークの構築に関する専門知識も不要である。
                                                                                                                                                 
                                                                                                                                               
これはいいですね。ローカル的なエリアに5Gネットワークを構築したい場合は、ハードル、敷居が低くなりますね。
                                                                                                                                               
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●5G環境で実現できることは?
                                                                                                                                              
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5Gが普及すると、これまで不可能だったことが可能になり、我々の生活やビジネス、社会に大きな変化が起きると考えられる。ここでは、5Gが活用されうるケースを紹介する。
                                                                                                                                               
①4K・8Kのライブ配信
                                                                                                                                               
5Gの「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」は、4K・8Kをはじめとする高精細な映像のライブ配信を実現する。自宅で視聴しているユーザー、スタジアムのような広い会場にいる観客に、迫力ある映像を配信することができる。
                                                                                                                                                
②没入感の高いVR・AR体験
                                                                                                                                                
VRやARを含む「XR」は、大幅なクオリティアップが期待される分野。ヘッドセットを装着すれば、最前列にいるような感覚で音楽ライブを楽しめたり、任意のアングルでスポーツを観戦できたりする。圧倒的な没入感により、新たな視聴体験を生み出すであろう。
                                                                                                                                                
③スポーツ観戦の多角化
                                                                                                                                                 
5Gを活用したスポーツ観戦は、各通信会社がすでに実証実験済みである。KDDIはプロ野球公式戦で、NTTドコモはラグビーワールドカップ2019日本大会で、観客が多視点かつリアルタイムで試合を観戦できるサービスを提供した。総務省は、スポーツ観戦のアップデートによる経済効果は約2373億円にのぼると見込んでいる。
                                                                                                                                                 
④遠隔技術の活用
                                                                                                                                                
遠隔技術を要する分野では、5Gの「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」が重要になる。医療分野では、遠方にいる医師が手術中に助言する「遠隔手術支援」が進むであろう。また、将来的には、現場の医師ではなく、遠方にいる医師が「遠隔手術」できる日がくるかもしれない。建築現場や災害復旧現場でも、ショベルカーなどを遠隔操作し、確実で安全な施工を実現することができるであろう。
                                                                                                                                                 
⑤自動運転の推進
                                                                                                                                                 
もっとも期待されている5Gの用途の1つ、それが自動運転である。ネットワークに繋がった「コネクテッドカー」は、車両の状態や歩行者の位置、交通状況、デジタル地図「ダイナミックマップ」などの情報を常時サーバーと通信。非常時のハンドル制御や隊列走行によって、交通事故・交通渋滞は低減すると考えられている。
                                                                                                                                                 
⑥IoT化の加速
                                                                                                                                                 
「多数同時接続」が可能な5Gによって、IoT化は加速していく。医療分野では複数の医療機器や院内設備が、農業では気象や土壌、生育センサーなどがインターネットに繋がり、膨大なデータを収集。それをAIが解析することで精度を上げる。商業施設では、客の導線分析をマーケティングに活用したり、リアルタイムの在庫管理・自動発注なども可能になる。
                                                                                                                                                
⑦働き方改革の推進
                                                                                                                                                
働き方改革の1つである「柔軟な働き方がしやすい環境整備」には、5Gの活用が欠かせない。「高速大容量」通信により、あたかも同じ空間にいるような感覚でビデオ会議を行ったり、大容量のファイルをスムーズに共有したりできるので、リモートワークが一般化していく。これにより、仕事と出産、育児、介護などを両立しやすくなるでしょう。
                                                                                                                                                 
まとめます。
                                                                                                                                                 
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5Gは夢がありますね。技術の世界の端くれにいる自分にとって、これはあまりに刺激的です。衝撃でもありました。
                                                                                                                                                
やっぱり自分で理解しないとダメですね。ただ単に世間で流れている話をそのまま耳にするだけでは、実感がわかないですね。
                                                                                                                                                
自分で勉強してみて、自分で理解してはじめて頭がPLLロックするというか、よっしゃ~という気になりますね。無線ネットワークがこんなに凄いことになってしまうと、いまの有線のIPインターネットはどうなってしまうんだろう?と心配してしまいます。
                                                                                                                                                
自分がなるほどなぁ~と思ったのは、5Gがあたりまえの世界になることで、IoTの世界も見えてくるということです。IoTの世界を実現させるのに、有線ネットワークじゃありえないですよね。(笑)IoT=無線インターネットが前提なのでした。
                                                                                                                                                
しかし、4K/8Kの動画配信、低遅延、VR/ARとの親和性、マルチアングルの視聴の多角化。こ~れは美味しいですね。まさに未来のライブストリーミングの姿はここにありますね。5Gの時代が到来して、はじめてライブ配信の世界は、普及するのではないでしょうか。
                                                                                                                                               
いまはまだ黎明期なんですよ、きっと。技術が普及するのに20~30年はまずかかりますから。技術はかならず追いつくのです。配信は、実演より劣る、臨場感がなくてダメだといって相手にしない人もいますが、どんどん差は縮まっていきますね。
                                                                                                                                                
自分が拘るオーディオの世界でも、5G時代が到来すると、立体音響技術、3Dオーディオなんかも配信で容易く可能になりますね。映像が8K/4K、そして音声がDolby Atmos/Auro-3Dなんて夢がありますね。
                                                                                                                                                
では、次章で、そんな究極の理想形である5G時代のライブストリーミングについて語っていきましょう。

                                                                                                                                               


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DX時代のコンサートホール:配信プラットフォーム [コンサートホール&オペラハウス]

これが配信プラットフォームのブロックダイアグラムである。


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キープレーヤーは5人である。


●コンテンツプロバイダ

コンテンツの著作権を保有している者である。著作権者である。ライブストリーミングの場合、各オーケストラ楽団が相当する。NHK交響楽団、東京交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー管弦楽団、日本フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢などなど。。。


●サービスプロバイダ

配信事業者である。従来はコンサートホール、オペラハウスに、ストリーミング事業会社が配信設備を持ち込んでいた。今後は、各コンサートホール・オペラハウスに、固有に配信設備を備えたコントロールルームを新設・建造する。配信設備常設である。サービスプロバイダは、いわゆるショップである。コンテンツプロバイダの商品の数々を自分の商品の棚(ブラウザ)に陳列して販売する役目である。サービスプロバイダに相当するのが、サントリーホール、ミューザ川崎、東京文化会館、東京オペラシティ、新国立劇場などである。


●第三者機関・クリアリングハウス

配信に纏わる権利処理、課金処理、暗号鍵処理を一気に請け負う権利に特化した機関である。通常、課金センターといえばわかりやすいと思う。JASRACが請け負うのがいいと思うが、彼らにそんな能力はあるだろうか。(笑)


ふつうは、課金系プラットフォーム(ぴあやイープラスなどのチケット販売業者)業者が担うと思われる。その場合、配信事業者とペアを組んでいる課金系プラットフォーム業者である。その配信サービスごとに、課金系プラットフォーム業者が存在すると思われ、つねに配信事業者のコンテンツ系プラットフォームと課金系プラットフォームとペアを組んで、ライブストリーミング配信をやっている。


●データセンター(アーカイブ)

配信したコンテンツを、アーカイブするサーバー、データセンターである。永遠に増え続けていくコンテンツをどのようにアーカイブ処理していくかがポイントである。


●ユーザーホームネットワーク

家庭内のエンドユーザー。ネットワークとのGatewayは、TV,PC,タブレット,スマホである。そこからさらにWiFiなどのホームネットワークなどで、いろいろな家庭内機器とコンテンツを共有できる。


〇コンテンツ系プラットフォームと課金系プラットフォーム

ライブストリーミングの配信プラットフォームは、大別すると、コンテンツ系プラットフォームと課金系プラットフォームの2つに分かれる。コンテンツ系プラットフォームは、いわゆるカメラ、マイキング、スイッチャー、編集、画像・音声コーデック処理(コーデック種類、サンプリング周波数、ダイナミックレンジ、圧縮技術など)、配信エンコーダー、配信設備などを担当する。暗号などのコンテンツの権利処理もおこなっていると思われる。信号処理に強い業者がやっている場合が多い。


課金系プラットフォームは、課金処理、利益分配、暗号鍵関連など権利処理を司る業者である。通常は、ぴあやイープラスなどのチケット販売業者が担っている場合が多い。自分たちの得意分野であるからである。本来であれば、コンテンツ系プラットフォームと課金系プラットフォームとぜんぶ完成形としてひとつの業者がやれれば、文句のつけようがないが、なかなか全部をカバーするのは大変である。それぞれの得意の分野でコンテンツ系と課金系とに分かれて分担してシステムとして配信プラットフォームとしてガッチャンコする形が現状の姿だと思われる。


・各キープレーヤーの役割・機能。

●コンテンツプロバイダ

コンテンツの保有者、著作権者であることを第三者機関・クリアリングハウスに登録する。


●サービスプロバイダ

それぞれのコンサートホール・オペラハウスの特別専用コントロールルームに常備設備された配信設備にて、インターネット配信する。ステージ上で演奏している各オーケストラ楽団を、複数の(業務用)カメラで各方面から撮影し、適宜適切なタイミング、箇所で、スイッチャーで画面を切り替えながらライブストリーミングする。リアルタイム生放送もあるが、ふつうはライブを撮影して、あとでゆっくり編集して丁寧なコンテンツに仕上げてから時差タイムシフトでストリーミングする場合もある。


オーディオマニア、AVファンにとって、この配信事業者で処理をする信号コーデックの部分が、どのようなコーデックを採用するかで、かなり配信サービスの魅力を醸し出すというか、そのオリジナリティを出す、高画質・高音質と謳う配信サービスであることをアピールできるところではないか、と思っている。自分的にはここ1番大事!(笑)


画像なら4Kであるとか、音声であるならPCM 96/24とか48/24とか。音声はDSDもありますよ。信号諸元だけではなく、音声であれば3Dオーディオなどマイキング(収録マイク設定)もとても重要なところである。やはりコンテンツ信号処理に強い、現場撮影・収録に強い手慣れた業者でないと勤まらないと思う。コンサートホールごとに技術者を育成・雇用するのは、なかなか難しい面もあって、やっぱり外注業者に頼むという形なのだろうか。。


そのコンサートホールごとにオリジナルな配信サービスを提供してもいいし、YouTubeなどの汎用サービスを利用してもいい。でもライブストリーミングは基本有料課金を原則としてほしい。音楽はただ、無料ではない。水道水の水のようにただで飲めるという先入観をユーザーが抱くようでは問題である。(課金スタイルはいろいろあってYouTubeのような広告収入型は意外やテクがあまり必要ない導入しやすいものなのかもしれない。)


そのコンサートホールごとにオリジナルなユニークな配信サービスということは、専用の再生ブラウザ、コンテンツプレイヤーを持っているということである。ユーザーはその専用ブラウザでユーザー登録をして、そのサービスを使えるようにしてその専用ブラウザでコンテンツをストリーミング再生する。


①コンテンツオーサリング

・カメラ

・マイキング

・スイッチャー

・編集

・信号コーデック処理(コーデック種類、サンプリング周波数、ダイナミックレンジ、圧縮技術など)

・暗号処理

②配信エンコーダー

③配信設備

④コンテンツID管理

⑤コンテンツDB

⑥メタデータDB

⑦再生ブラウザをユーザーに提供。

⑧コンテンツ検索エンジン(アーカイブ再生用)


●第三者機関・クリアリングハウス

ユーザーに対して、そのコンテンツの使用許諾の対価として課金処理をおこなう機関。ふつうは、課金系プラットフォーム業者が担っている場合が多い。顧客管理(ユーザーID:メールアドレス,パスワード)、課金処理(クレジットカード決済),そして配信で得られた収入を、権利者に利益分配する。


そのためには、コンテンツプロバイダ(オーケストラ楽団)、サービスプロバイダ(コンサートホール、オペラハウス)は第三者機関・クリアリングハウスに登録しないといけない。(名称、住所、担当者名、連絡先、振込先口座情報、入金タイミングなど)


配信収入は、通常のチケット購入で、そのコンサートを買い取る形や、サブスクリプション(少額決済)がある。その配信収入を、契約を締結したときに決められた配分率(契約書に書かれている)でそれぞれに利益配分する。サービスプロバイダの取り分は、コンサートホールのショバ代としての取り分と、その実際のオペレートをしている配信業者としての取り分に按分されるであろう。


配信収入は微々たるものだと思われるので、配信にかかる費用は、各オーケストラで予算計上している公的援助分で賄う。


①課金処理DB

②顧客管理DB

③鍵管理・認証DB

④利益分配計算処理DB

⑤個人嗜好解析DB


●データセンター(アーカイブ)

一度配信したコンテンツを時限コンテンツとして消去してはいけない。永遠にアーカイブするのである。その保管場所としてデータセンターを使う。アーカイブコンテンツの蓄積、そしてアーカイブ再生である。アーカイブ用のデータセンターとやりとりをするのは、サービスプロバイダの各コンサートホールである。


コンサートホールのそれぞれの配信サービスに応じてオーサリングされたコンテンツは、その配信サービスによって異なることになってしまうが、アーカイブするサーバーは1箇所のデータセンターである。アーカイブコンテンツ再生を実現していく上で大事な技術となっていくのが、それぞれのコンテンツに割り振るコンテンツIDの定義の仕方と、コンテンツ検索エンジンの技術である。脚光を浴びるであろう。


コンテンツIDの定義の仕方は重要と思われる。配信事業者(コンサートホール、オペラハウス)ごとに違った独自のID系統であるとデータセンターのアーカイブ管理・検索のときに統一性がない。できれば配信事業者間を横串するような統一的なIDの割り振りの定義が肝要なのではないか、と思う。


●ユーザーホームネットワーク

配信サービスを楽しむエンドユーザーである。インターネットとのGatewayは、TV,PC,タブレット,スマホであると思われる。特にタブレット、スマホなどのハンディ型ストリーミング再生機器のクオリティアップ、高画質・高音質化が望まれる。メーカーの急務である。自分もそうだが、ユーザーの大半は、ストリーミングをスマホやタブレットで観ている場合が多いと思われる。


次のシステム図が、第三者機関・クリアリングハウスを1箇所固定で決めて、コンテンツプロバイダやサービスプロバイダを一元管理する方法である。この場合は、第三者機関・クリアリングハウスはJASRACなどの権利処理の専門団体が管理するのが望ましい。


配信プラットフォーム-3.jpg


でもこれは大変ではないだろうか?JASRACのようなお役所団体がそんなサーバー管理マネジメントを管理するのは大変である。外注に頼むにしても。そして一元管理するということは、暗号鍵、認証関係と顧客管理の関係上やや重複する感じで、ちょっと混乱する。ユーザーは各配信サービスに対して登録するのであって、顧客管理DBはサービスプロバイダ側にないといけない。でも課金処理をする上で、ユーザーはクリアリングハウスにも登録しないといけないので、顧客管理がサービスプロバイダとクリアリングハウスで重複してしまう。暗号鍵・認証関係もしかりである。どうもここが考えていてスマートではなく、混乱する。いい解がない。



このシステム図が、一番いまの現実に近い形なのではないか、と思う。


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各コンサートホールの各サービスプロバイダごとに課金処理を持っているパターンである。つまり配信サービスごとにコンテンツ系プラットフォームと課金系プラットフォームをガッチャンコしてペアで使っていて、それが配信サービスごとに存在するというパターンである。


コンテンツ系処理と課金系処理は、その配信サービス単位で完結する。これだとユーザーの登録は、クリアリングハウスであり、そこに顧客管理DBと暗号鍵・認証DBが存在する。サービスプロバイダ側にはない。これだとクリアですっきりする。これが現状に一番近い形で現実的である。


●やりたいこと。


結局なにをやりたいか、というと、

①日本全国のコンサートホール・オペラハウスに超ブロードバンドの光ファイバの直結DTTHを実現し、コンサートホール・光ファイバにおける全国情報通信スーパーハイウエイ構想を実現する。

②コンサートホール・オペラハウスごとに配信設備専用コントロールルームの新設・建造。(配信設備のホールへの常設)

③配信にかかる費用は、各オーケストラの公的援助の予算計上に含めてもらう。

④そのためには、配信することのメリットを明確化する。単なる実演の代替えではなく、実演の売り上げをさらに伸ばすためのツールとしての使用とか…

⑤配信設備をコンサートホールに常備することで、いままで配信に縁がなかった楽団も配信の恩恵を受けやすくなる。

⑥もちろんホール常備のシステムにさらにアドオンで本日は特別仕様(カメラ台数、アングル、使用コーデックなど)もフレキシブルに変えられる柔軟性を持つべきである。


もっと単純には、ベルリンフィルのDigiitalConcertHall (DCH)を日本の全国のコンサートホール・オペラハウスにも全部適用できたらいいなーと思っただけです。すごい単純です。出発点はそこです。


コンサートホールでのコンサートの収録、後日テレビ放送は、放送業界の分野でもおこなっており、そことの調整、役割の住み分けをきちんと考える必要がある。



●将来考えられること。

これは光ファイバのインターネットだけの問題ではない。いまはたまたま伝送路を光ファイバのIPインターネットで考えているだけだけど、近い将来5G,Beyond5Gが実現可能になってくると、伝送路として無線ネットワークが浮上してくる。伝送路が、光ファイバ・インターネットなのか、5G・インターネットなのかの違いで、ベースバンド信号処理の部分は基本変わらないのである。そのためには、いま現在のうちに、コンサートホール・オペラハウスにベースバンド信号処理に関する設備の常備は準備しておかないといけない。5Gがやってきた時代になれば、配信エンコーダー、配信設備の部分は、光ファイバから5G用設備をアドオンしていけばいいのである。


伝送レイヤー、物理層レイヤーが変わるだけの問題で、ベースバンド処理部は不変なので、その部分はしっかり専用特別ルームを建造して、近い将来に臨んでおこうという主旨である。いまのうちにライブストリーミングの基盤を構築しておきたいという感じです。









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DX時代のコンサートホール:ライブストリーミング [コンサートホール&オペラハウス]

DX時代のコンサートホールの在り方として1番キーになるのがライブストリーミングだと自分は思っています。配信は、コロナ禍の一時期の頃と比べると落ち着いてきて、正直いま頓挫状態のような気がしています。


それは、やはりコロナに対してあまりに過度な恐怖と対策を敷いていた初期の頃に比べると、いまや通常の感覚に戻ったということ。ふつうにライブ演奏ができるようになった。


それによって実演ができないから配信に頼るということではなくなった。つまり実演の代替えとしての位置づけが揺らいできた、ということだと思うんですよね。


でも違うんですよね。ライブストリーミングというのは、もういまや実演の代替えとしではなく、実演の売り上げアップ、そのアーティストのプロモーションを兼ねた重要な戦略として使われないといけない時期にあると思っています。


実演と配信の相乗効果というか、そういうもっと新しい戦略を考えていかないといけない。もう配信は、実演の代替えという考えは卒業するべきです。そして配信はやはり有料であるべきだと思っています。有料にすると視聴率がとれないのか、YouTubeのような無料であるケースが多く自分はすごく残念なことだと思っています。実演と配信のハイブリッドで収益をあげていくというのがやはり理想です。(というかYouTubeは広告収入型ですかね。)


たぶん5Gの時代が本格的に到来すると、動画配信というのはエンタメだけの世界だけでなく、オンライン教育、遠隔医療、Web会議、あるいはBtoCだけでなくBtoBの世界でも・・・などありとあらゆる分野でふつうに使われる技術になり、もうそれがあたりまえの世界になると考えています。


そうなると、いまのような限られた公演のみが配信をするというのではなく、全国にあるコンサートホールの演奏は、ほとんどインターネットで全世界で配信されるようになる時代もやってくるように思います。


自分は、全国のコンサートホール、それはクラシック音楽専用ホールはもちろん、ジャズやポップスのライブハウス、多目的ホールなど全国のホールで、コンサートのライブストリーミングがふつうにおこなわれることを希望したいです。


配信のもっと効果的な利用の仕方は、ここでは解は見つかりませんでした。

これからの課題としたいです。


そういうことを前提に考えました。


以下は、箇条書きスタイルで要点をまとめていく書式に変えたいと思います。技術の世界では、こういう箇条書きの書き方のスタイルのほうがわかりやすいためです。長文は頭にロックしません。


現状の配信の問題点、そしてどのようにあるべきか、を思いついた感じで書きだしてみました。結局、それを結論としてまとめてはいないので、尻切れとんぼみたいになってしまっていますが、それはまた次回の課題としましょう。


自分はライブストリーミングは、いまは過渡期というか暗礁に乗り上げているだけだと思っています。技術の世界は、安定に普及するのには、かならずいろいろ試行錯誤して、あっちこっちトライして、やってはダメ、やってはダメを繰り返して、ようやく落とし処というか、適切な形で安定して普及するものなのだと思っています。波があるんですね。それの繰り返しです。技術は、普及するのに大体10~30年かかりますね。最初からうまくいくことはほとんどないです。試行錯誤を繰り返します。そういう観点で捉えて、解を見つけ出していかないといけないと思っています。




●DX時代のコンサートホール・オペラハウスの在り方。


①ライブストリーミング設備の常設


(現状) 

配信業者がコンサートホールに入り込んで収録して配信している。


(問題点)

・費用が高すぎる。貧乏なアーティストは費用がなくて頼めない。

・配信業者マターなので、機材などをホールに持ち込むのが1大イベント過ぎるし、もっと気軽に配信があたりまえのイベントであるようにしたい。

・配信できる公演が、ある決まった公演に限られている。

・配信をやれる楽団が限られている。配信技術を親企業で持っている楽団は有利である。

・配信をやったところで、それによって得られる収入が少なくてトータルとしてPayしない。

・アーカイブ配信が期限限定再生であること。永久にアーカイブできない。著作権の問題もある?

・現時点では、実力のある配信業者は大体絞られてきている。淘汰されてきて実力のあるところだけが残っている。

・コロナ禍のときは、配信は救済策としてもてはやされたが、コンサートができるようになったら、また軽視されるつつある?


(目指すべき理想)


→目指すは、ベルリンフィルのDigital Concert Hallを、日本のコンサートホール・オペラハウス全部に備えさせるようにすることである。つねに配信設備がホールに常備されている状態である。これはクラシックホールだけの話ではない。ジャズのライブハウスも網羅する。あるいは多目的ホールもである。そのためには、各ホールに光ファイバがDTTHで繋がっている必要がある。


デジタル田園都市国家構想の一環として、全国のホールへの光ファイバー・スーパーハイウェイ構想をぶち上げる。回線の太さは、もちろん極上の超ブロードバンドである。


配信業者の選択、カメラ、コントローラー、スイッチャー、音声収録マイクなどの機材、PCなどの配信エンコードソフト、配信エンコーダ設備などの業者を選択をする必要がある。→コンサートホールに配信専用のコントロール・ルームを作ること。


半年間なり数か月間ホールを閉鎖して、工事をするべきである。

カメラはホール内の各場所に固定する。その映像をコントロールルーム内で多数のマルチモニタで確認できること。それによって画面のスィッチングの操作ができること。(生放送用)


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・納入までは業者の世話になるが、ホールに技術集団を雇用するべきである。導入後はホール内の技術集団で賄えるようにする。あるいは、公演の度に外注に頼んでやってもらう感じか。(レーベルの録音と同じで、こっちのほうが現実的)


・コンサートホール・オペラハウスに、配信設備がつねに常設されていること。

・カメラなどの撮像系、コントローラー・スイッチャー系、音声収録マイクをホールに常備、専用部屋にコントロールルーム建造してそこでコントロールできるようにする。

・ケーブルの引き回しもいまのような現場を汚くする仰々しいものではなく、隠して見た目わからないような仕組みにする。

・ユーザーはテレビ、PC、スマホ、タブレット、車載機器で閲覧することを想定する。



~最近、ソニーやパナソニックから業務用カメラで、放送はもちろん配信にも考慮したクラウド制作プラットフォーム(クラウド連携型のトータル制作ソリューション)が発売されて、実際お客様にも納入されているのを知りました。カメラで撮影した素材をクラウドに上げて、スィッチング、編集を遠隔でリモートでできるようなシステムで、いままで現場にきちんとした専用コントロールルームや人材が必要だったのを、そういう工事費用、人件費を不要にするというものです。


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「所有」から「利用」へ、というコンセプトで、初期費用とか設備管理費用とかも削減できますね。これだと全国のコンサートホール・オペラハウスを工事する必要ありませんね。


自分はすごい刺激を受けました。スィッチャー、編集も含めて、クラウド連携で、放送・配信のハイブリッド型が今後の業務用カメラのスタンダードになっていきますね。もちろんカメラだけの話でなく、映像制作にかかわるすべての要素について、放送・配信のハイブリッドで考えていくということなんですね。やっぱり狙うところは、きちんとポイントを抑えていると思いました。映像制作の業界でのひとつのトレンドというか流れなんですね。


普段日常では、自分はそこまで当然頭が回りませんから、やはり専門に仕事としている技術の方々は抜かりなく、さすがだと思いました。でもそりゃふつう考えるのあたりまえですよね。(笑)いいぞーいいぞー。


今後はこっちが主流ですね。ぜひ、こういうシステム・ソリューションを全国のコンサートホール・オペラハウスに納入してほしいと思います。



・ライブストリーミングの目標は、全公演で、実演と配信のハイブリッドで収益が上げられることである。

・ホールのない地方のファンにとって、憧れのアーティストを配信で観れるのは大メリットがある。マーケットはオール世界。


・配信をやっても収益としてPayしないのは、外注への経費費用が高いからではないか。

・まずかかる費用を、固定費、変動費とに分けて、支出はなになのか、収入、利益に相当するものがなになのかを把握し、限界利益、コア営業利益とか、企業の財務分析と同じように事前にシュミレーションしてから利益が出ることを確認してから動くべきではないのか。

・もちろん配信チケットは有料である。チケット価格帯の設定。実公演と同等にはできない。どうしても安く設定する必要がある。

・収入利益はチケット収入だけなのか。ほかに収入源となるものはないのか。

・ホールの座席数が決まっている実演と違って、インターネットだから無限の視聴者数の可能性がある。


2018年に「オーケストラの収益構造」という日記を書いた。日本のオーケストラは、Year Book、つまり年鑑を毎年発行していて、その楽団ごとの活動報告、そして収益構造などが記載されているのだ。2016年の年鑑でちょっと古いが、そこからデータを引っ張ってきて、当時は書いていた。(いまはだいぶ違うかもしれない。)


NHK交響楽団


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東京交響楽団


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東京都交響楽団


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新日本フィル


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京都市交響楽団


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・オーケストラの収益構造では、収入・支出の内容は、各楽団に応じて、違うが、収入は、チケット収入、民間支援のほかに、文化庁・基金、地方自治体、助成団体などの公的支援に頼っているところが多い。チケット収入、演奏収入だけでは賄えないのが実情である。

・当然配信についても同じことが言える訳であって、チケット収入だけじゃ、その準備にかかる費用に比べ小さく、Payしないのだろう。


・各楽団の収入源の中の公的援助、民間援助の中に配信にかかる費用も負担してもらうようにする。(どの公的援助、民間援助になるかは楽団に応じて違うだろう。)

・そのためには配信することでどんなメリットがでるのか説得する必要がある。

・集客・マーケティングのツールとしてもっと配信を上手に利用できないか。

・実演と配信はつねにペア、ハイブリッドなのだ、ということがクラシック業界で常識になるようにしたい。

・各楽団は毎年、公的支援として配信費用(それも全公演分)もかならず含む形で計上するべきである。

・ベルリンフィルのDCHも配信チケット収入だけではとてもビジネスにならないので、実質DeuschBankの支援があってビジネスとして成り立っているという話は聞いたことがある。ベルリンフィルはベルリン市が管理している楽団なので、手厚い保護が受けられるのであろう。日本のオーケストラの場合は、その楽団に応じて、その収支構造が違っているので、その楽団に応じての配信費用を計上した公的援助を受ければいいのだと思う。


・配信したコンテンツは、かならず永遠にアーカイブするべきである。いまのように期間限定で消去するべきでない。現にベルリンフィルのDCHはそれを実現しているではないか。なぜ日本ではできないのか。

・永遠にアーカイブすることは、サーバー、DBの容量が永遠に増えていくことを意味する。サーバー管理などの維持費で金食い虫になる可能性はある。

・技術的な問題と、費用の問題の両面がある。

・あと、たとえば外来オーケストラや外来アーティストの来日公演の場合は、そのライブ映像は、テレビ放映などで使われるが、ある一定期間が来たら必ず消去するという義務が契約書で書かれている。そういうコンテンツの著作権に絡む問題でもある。

・技術的問題は、ベルリンフィルを訪問して、じっさいどうやって増え続けるコンテンツのサーバー容量、DB容量問題を解決しているのか聞いてみるといい。

・デジタル田園都市国家構想の一環として、日本国中にデーターセンターを増設していくその一環として、配信用コンテンツのアーカイブ専用DBの構築も含めてもらう。


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もうどんどんDBを増設していくしかない。あるいはアーカイブ技術でもっと要領のいい方法があるかもしれない。またベルリンフィルのように、全部の公演をアーカイブしているか、というとそうでもなくて、ある程度公演を選別しているので、そういう譲与も考えるべきかもしれない。


・アーカイブ配信コンテンツが、永久にDBに保管されるようになると、一般庶民はもちろん音楽評論家などの音楽業界にとっても、史料価値として高まり、非常に貴重な歴史的演奏資料と同等と言える。いままではその演奏史を文章で書き綴ったものを過去から受け継いできた訳だが、それがいまの演奏史は、リアルな生映像素材として残ることになるので、証拠、エビデンスとしてレベルが上がる。音楽評論の在り方が変わってくるかもしれない。

・アーカイブDBのオペレートとして、コンテンツ検索技術(画像と音声双方において)が脚光を浴びることになると思われる。


~これもソニーのクラウド制作プラットフォームの一環として、コンテンツ管理システムというのがあって、これがかなり使えるというかグッと自分に来る。もともと放送局コンテンツ・アーカイブ用に開発されたものだと思うのだけれど、自分が欲しい配信コンテンツの永久アーカイブのコンテンツ管理・検索にすごく使えそう…



●まとめ

・全国のコンサートホールには、すべて超ブロードバンドの光ファイバーをDTTHする。

・そして配信専用のコントロールルームをホール内に建造する。

・全国中のホールでの実演が、全国中、いや世界中どこででも観れる、これはまさに日本の”新しい資本主義”のデジタル田園都市国家構想のコンセプトにも合致する。


~これは映像制作分野では、現在クラウド制作プラットフォームが開発されており、こちらが時代のスタイルに合っているように思う。


・実演と配信だと、やっぱり実演のほうがリアル感があっていいよね~という既成理論はクソくらえである。(笑)

・配信の使い方、メリット、マーケティング・集客・アーティストのプロモーションなどもっと配信ならではの使い方を提案する。

・配信を実演の代替えと捉えると、いまの状況でどんずまりなので、配信は、実演の売り上げを伸ばすためのひとつのツールである、という形で利用すると、上手に併用のメリットが出てくるのではないか。そういう提案がいい。

・実演と配信はつねにハイブリッドで、ペアなんだ、ということを業界の常識とする。もうこれからの時代の流れである。この流れは止められないと思う。


・YouTubeなどは普及度合いなど圧倒的だが、音楽コンテンツとしては、やはり高画質・高音質の世界を追求していきたい。配信よりやっぱり実演だよね~というには、その再生クオリティが低いのでそういう見解になってしまっているのだと思う。確かにあのステージの奏者と聴衆との間の張りつめた空気感、あの臨場感は全然敵わないのが現状である。その距離を縮めるのが、配信クオリティ、高画質化・高音質化である。ここが高画質・高音質になるにしたがって、実演との距離も縮まってくるに違いない。コンサートホールに導入する配信システムは、やはり高品質なクオリティに拘りたい。


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ユーザーは、テレビ、PC、スマホ、タブレット、車載機器で視聴すると思われるが、おそらくスマホ、タブレットで観ている場合が圧倒的だと思う。(自分がそうだから。(笑))ハンディ型のストリーミング再生機器の高画質・高音質化はメーカーの急務と言っていいだろう。画像は4K,音声は96/24 or 48/24(D-Rangeは24bit必須です。)が最低限必要だろう。オーディオに拘る自分としては、音声収録マイキングは徹底的に拘りたい。5.1サラウンドや3Dオーディオ大歓迎である。ユーザー側のコンテンツ・プレイヤーの再生品質も重要である。


この世界は、送信側だけやってもダメなのだ。必ず受信側とペアでやっていかないといけない。両方成り立ってはじめて普及した、と言える。送信・受信双方で、高画質・高音質化を進めていかないと普及しないのだ。


ライブストリーミングの現状は、費用的にPayしないし、その割にその利便性が発揮されていないから頓挫という形で停滞しているのだと思う。


あと、いまの放送ビジネスとのバッティングがあるかな?NHKをはじめテレビ放送でのクラシック番組、ライブ放送のビジネスとの衝突。


技術の進化、社会への実装の実現は、いつも20~30年かかるものなのだ。だから今できないからといって、溜息をつくんじゃなくて、先を見据えて着々と進めていけばいい。インターネット音楽配信と同じように、必ず20~30年後には、それがあたりまえの世界になっているに違いない。


日本中のコンサートホール、オペラハウスへの光ファイバーDTTH、スーパーハイウエイ構想、そしてDX化。間違いなくあたりまえの世界になっている。


カー空間でのライブストリーミング実現。


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カーは上り回線(Return Channel)が苦手。カーは基本双方向通信が苦手。カーは基本、放送などのブロードキャスト受信は得意だけど、ユニキャストやマルチキャスト受信は苦手なんですよね。双方向のインターネット通信は、スマホをカーナビやカーオーディオのH/Uに接続してできることはできるけど狭帯域。5G,Beyond 5Gの展開で、そこら辺が解消される。大容量の双方向の通信網がカーの世界でも可能になり、大きな夢が広がる。ライブストリーミングがカー空間で実現味を帯びてくる。


もちろんカー空間に限らず、スマホライフやタブレットライフでも、5G,Beyond 5Gの登場は、大変化を起こすこと必須で、ライブストリーミングを楽しむことが日常茶飯事になっていく。そのときキーワードになるのが、高画質・高音質のライブストリーミングが可能になるということである。いままでnarrow bandの狭帯域で、ネット動画はプアな品質というステレオタイプな伝説が滅びていく。若者や老人でも、スマホやタブレットで大容量の高画質・高音質のライブストリーミングをあたりまえに楽しむ時代がやってくる。


コンサートホールに行かない人や、配信は実演に劣るからと言っている人も、この高画質・高音質のライブストリーミングの時代の到来で、実演と配信の差が縮まり、より部屋内、徒歩、電車内、マイカー内でコンサート、ライブを楽しもうと思う人が今以上に増加する。ストリーミングの品質が向上するということはそういうことである。


そのためには、各メーカーは、ハンディ型ストリーミング機器のクオリティ・アップを急がないといけない。送信側・伝送路の帯域幅・受信側はつねにペアに同時進行で進めていかないといけない。




ライブストリーミングは、必要なときだけ業者によってホールに機材持ち込みじゃ絶対普及しないと思う。また財力、技術のある楽団しかできないんじゃダメだと思う。どんなオケでも簡単に配信ができる。もうホールに固定に配信設備が常備されていて、ライブ配信したいときにに簡単できるようにしたい。楽団側の公的援助も含め、そのためには、配信することのメリット、大義名分のシナリオを作らないといけない。


5G時代が到来したら、もうインターネット動画配信っていろいろなビジネス分野であたりまえの世界になる。そんな状態のときに、エンタメ業界のライブ配信だけ、その都度、業者に頼んでホールに機材持ち込みの大イベントをやってたんでは...もうそんな時代には、そういう配信設備は、ホールに常設の時代になると思う。


全国のコンサートホールにそういう配信設備常設の工事をするのは、やはり大変である。国のスローガンとしてデジタル田園都市国家構想に合致し、そこで決まられている重要業績評価指標KPIに基づいて光ファイバ、5Gが普及していく。これを文化芸術の分野にも適応してほしいと思うのである。歌舞伎とか、能とか、俳優さんの舞台だってそうだ。その劇場だけのお客さんしか見れないんじゃなく、全国、全世界に動画配信されればマーケット、ビジネスチャンスは格段に広がる。他の舞台芸術だってそうである。音楽界だけじゃない。国に理解してもらって一緒に構築できればと思うのである。


国に文句ばかり言っていて困ったときだけすがるのかよ、と言われそうだが(笑)、やはりこれは、ホール側だけ、音楽界だけで、できる話ではない。国の力はやはり絶大だ、目指すところは同じ、いい日本を造っていこう!という願いは同じだと思うのである。将来に向けての投資だと思って欲しいのである。








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DX時代のコンサートホール [コンサートホール&オペラハウス]

DX時代のコンサートホールとはどういう形態なのか。コンサートホールをデジタル化するということはどういうことなのか。


1年ほど前からこのテーマについて書いてみたいと思っていた。ようやく重い腰をあげて、去年のクリスマス休暇から年末年始にかけて、1人ブレスト(ブレインストーミング)をしていろいろアイデアを捻りだしてみた。(うちの会社では、山籠もりと言います。)


祈願成就である。


もちろんこの短期間での集中ブレストであるし、1人で考えていることもあって、大した内容ではないかもしれない。ゆくゆくは、その道のプロフェッショナルな専門家に方々によって、現実ベースのきちんとした実現化へと誘われるであろう。


それでいいと思う。

そうあるべきだと思う。


長年コンサートホール通いをしている自分にとって、こんなことができればいいのにな~と思っていたこと、そして最新の技術内容をネットで徹底的に調べて、それらをガッチャンコしたレベルのものである。


あまりこなれていない、というか洗練されたアイデアではないかもしれない。また現在の時点でこんな最新技術が開発されているんだよ、そしてこれってコンサートホールの今後に利用できるのではないか、という提案の域でとどまっているかもしれない。


この短期間で、そりゃ無理だ。(笑)そんな実現ベースの完成度の高い洗練されたアイデアを練り上げるのは無理である。ご容赦願いたい。


いままで単発で日記で書いてきたことを総動員させるつもりである。とにかくいままで日記で出てきたもの総動員、全員登場しました、という感じである。いままでの集大成といっていい。


2017年に連載した”コンサートホールの音響のしくみと評価”に次ぐ自分の代表作になるに違いと思っている。



サントリーホール


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ミューザ川崎


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東京文化会館


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"新しい資本主義" デジタル田園都市国家構想のコンセプトに合致したものとして国に支援を求めたい。コンサートホール、オペラハウスの次世代のあるべき姿(プラットフォーム)に向けての整備である。


すべてを電子化という意味ではない。紙文化も歴史的産物でありそれを尊重しながら、現存ビジネスを守りながら、お互いのいいとことをハイブリッドで運用していきたいという主旨である。


Beyond Xプロジェクト、スマートシティ、5G,Beyond_5G,AI,IoT,MaaS/SaaSの最新テクノロジーの技術ををいっさい料理せず、そのままコンサートホール、オペラハウスにあてはめただけです。(工夫して料理しろよ。。笑笑) 料理は、また時間かけてじっくりちょびっとずつ練り込んで蓄積していきましょう。



クラシックの文化、コンサートホール・オペラハウスというのは、歴史を尊重する、過去から伝えられてきたものを大切に後世に語り継いでいくという世界観ですから、そこが1番大事なこと。そこに最大の敬意を払う。そして、その中で技術の立ち位置は、その価値観を壊すことなく、その助けになる、利便性をよくする、縁の下の力持ちのような立場で、いままでと違和感なく溶け込むようにする、というのが理想の姿なのだと考えている。


技術ありき、の前へでる姿勢は、クラシックの場合、あまりよくないと思う。あくまでいままでのスタイル、ブランディング、イメージを継承しつつ、そのビジネス、収益をあげる意味合いという点で、じつはその技術が基盤となって下から支えている、というのが自分が描いている理想のポジショニングである。


ポイントは、”つなぐ”ということだと思っています。いままで塵じりに散らばっていたアイデアをサービスとして全体的に”つなぐ”イメージでまとめました。DXというのは、個々のエリアだけではなく、全体としてこの”つなぐ”というイメージが大事なのだと思います。



ずばりDX時代のコンサートホール・オペラハウスの在り方として、つぎの項目を挙げる。


1.ライブストリーミング

2.配信プラットフォーム

3.5G

4.配信ビジネスの本命・5G時代のライブストリーミング

5.音響AI解析

6.電子チケット(e-ticket)

7.業務委託契約書(電子契約)

8.デジタル広告とEC販売

①プログラム・広告チラシの電子化

②アーティストのCD、関連グッズのEC販売

③AIを使ったコンサート企画立案

9.ホール周辺のカフェ・レストランの電子配信(ポータル機能)

10.MaaS/SaaSサービスの活用

①ホールに向かうまでのMaaSアプリの活用。

②オフィスPC環境・スタッフ間通信・SaaSアプリの活用。

11.ロビーやラウンジでのキャッシュレス決済導入

12.ファンクラブ運営

13.メタバース,VR/AR,Web3,NFTをコンサートホール、オペラハウスに組み込めないか。

14.量子コンピューティング技術

15.統括



どこまで語れるかな~。(笑)

かなり短期間で、なんとか日記にしないといけないと無理やり形にしたものばかりだから、浅い感じで、お恥ずかしいです。


ここに上げるアイデアは、マネタイズまでは考えていない。これはビジネスにする段階でどこでお金を稼ぐのか、その都度考えることにする。


メタバース、VR/ARは、コンサート空間、ライブ空間のもうひとつの別次元での在り方として可能性がある。5G時代の到来で本格化しそうな感じである。


(Web3)NFTは著作権、課金システムに大きな影響を与える。デジタル写真データやアニメなどと同じように、ライブ演奏コンテンツをインターネットに流す際に、新しい権利保護、課金方式として応用できそうである。


量子コンピューティングはさすがにちょっと関連性がすぐには思い浮かばないかな(笑)。でもいま一生懸命勉強しています。


なんでもデジタル化、電子化がいいか、というとそうでもない。デジタル化することで、複製、転送が容易になってしまうので権利保護、著作権保護の観点から対応が難しい。著作物、著作権の有するものは紙媒体での配布が望ましい場合もあるのだ。


こんなことを書いていると、必ず自分のところに大きなブーメランが返ってきますね。じゃあお前がやれ!って感じで。(笑)でも実現性はさておき、まずはアイデアを出すことが大事です。そういうアクション、姿勢が大切だと思っています。


そしてなによりも夢がありますよね。

夢を語っていきましょう!夢を語るだけでも明るい気持ちになります。


もちろん、これで終わりではない。あとでいい案が浮かべば、またその都度アップデートしていくつもりである。もちろん、いや、もっとこんないいアイデアあるよ~の提案大歓迎である。


全部で15テーマありますので、毎日1テーマだけでも半月かかりますが、連日連載とまではいかないまでも、途中息抜きの日記もあると思いますので、長丁場になりますが、よろしくお付き合いいただけると光栄です。


よろしくお願い申し上げます。









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デジタル田園都市国家構想 [コンサートホール&オペラハウス]

DX,Digital Transformationという言葉が出始めた頃、政府は一生懸命説明するのだが、その内容が具体性に欠けていて、イメージが湧きにくく、どのような状態のことを示すのかいまひとつだった。


自分もネットでDXのことを読んでみるんだけど、なにを言いたいのか、その具体性がさっぱりわからんね、とボヤいていましたね、あの当時。(笑)


でもいまやDX,Digital Transformationとは、デジタル変革、単なるデジタル化という意味ではなく、デジタル化することで、ビジネスのやり方も変えてしまう、そういう統合的な変革であることは、もうみんなわかってきている。


企業で言えば、物流サプライチェーン、バックオフィス、もうあらゆる点でDX化が進行中だ。

やっぱり世の中時間が経つにつれて、いや言い換えると、ものごとが進んでいくとわかってくることなんですね。


で、最初に政府がDXとは、Digital Transformationとは、とのろしを上げるのは、やっぱり旗振りという意味で大事なことなのかもしれません。言っていること不明瞭で、曖昧で具体的でなくて、しかも専門的でないにしろ。そういうのろしを上げるという行為そのものが大事なことなのかもしれない。それが政府の役目なのかもしれない。


あとは技術的に詳しい専門家、技術者に任せるみたいな、実務ベース、現場に移っていくみたいな感じです。


それと同様の疑問が自分の中に最近ふつふつと湧いてきている。

それが「デジタル田園都市国家構想」である。


最初名前を聞いたとき、田園都市線のどこかの街づくりをデジタル化することで、スマートシティのようなモデルケースの街を作りたいのかなと思っていました。(笑)


なんで、”田園都市”なのだろう???

岸田首相が、しきりに、”新しい資本主義”という言葉を頻繁に使用する。

これも具体性がなく、いまひとつ内容が不明瞭だ。


でも、この「デジタル田園都市国家構想」を理解すれば、政府はなにをやりたいのか?が理解できてくると自分は思う。


DX,Digital Transformationばかり目が行って、マイナンバーカードがどうかとか、マイナンバーカードと健康保険証、運転免許証とかを合体させるとか、そんな目先の小さなことでなく、もっと大きなScopeで国がやりたいことを理解するべきだと思う。


結構自分はショックだったな~。


デジタル田園都市国家構想は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局がコンセプトをまとめて、HPで公開している。


これを自分の日記で紹介して、デジタル田園都市国家構想とは?デジタル化、DX化として結局国はなにをやりたいのか?どういう目標でいるのか?を理解してもらえればと思う。



デジタル田園都市国家構想とは、つぎの4つのスコープから成り立つ。


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デジタルの力を活用した地方の社会課題解決


・地方に仕事をつくる

・人の流れをつくる

・結婚・出産子育ての希望をかなえる

・魅力的な地域をつくる


やっぱり東京、首都一極集中型ないま、過疎化、元気のない地方をもっと元気にさせたい、という意図があるみたいだ。テレワークがあたりまえになると、場所を選ばず働ける。デジタル化、DX化が進んでいくと、教育DX、教育分野でのオンライン授業とか、医療でも遠隔医療とか、国は地方をもっと活性化させたいのだと思う。あるいは子育ての補助など地方では優遇するなど。。。


でもこの問題はすごく難しい問題ですね。自分もそうだけど、東京から離れるのはイヤだ、という人もかなり多いと思う。なかなか難しい問題だと思います。すんなりはいかないと思います。



デジタル人材の育成・確保も大事だけど、世の中がデジタル化していくと、一番不安視されているのが、高齢者の方がついていけない、置いてきぼりになることではないだろうか。過激な人は、そんな高齢者層をいちいち心配していると結局なにも進まない、という強硬派もいる。でもやっぱり理想は、誰一人取り残されないための取り組みであろう。


そして自分の日記で詳しく取り上げようと思っているのが、構想を支えるハード・ソフトのデジタル基盤整備である。


ここは非常に興味がある。

今回はここを徹底的に取り上げたい。


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構想を支えるハード・ソフトのデジタル基盤整備は、つぎの5つの項目からなる。


・デジタルインフラの整備

・マイナンバーカードの普及促進・利活用拡大

・データ連携基盤の構築

・ICTの活用による持続可能性と利便性の高い公共交通ネットワークの整備

・エネルギーインフラのデジタル化


これをひとつひとつ紹介していきますね。


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総務省「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づき、光ファイバ、5G等の通信インフラの整備を地方ニーズに即してスピード感をもって推進していく。


昔むかし、夢の次元で語られてきた全国情報スーパーハイウエイ構想というやつですね。

日本全国中に通信のネットワークインフラを張り巡らせるということです。

日本のDX化を実現するには、まずは通信インフラが整備されないといけないですね。

まずインフラがないと話にならないですよね。(笑)


具体的な物理ネットワークとして、光ファイバと5Gで進めていくということなんですね。光ファイバは有線、5Gは無線です。通信が大前提となりますが、それに伴って従来の放送の果たす役割というのも変わってきますね。放送と通信はつねにペアなのです。通信の発展にともなって放送の在り方もどんどん激変していきます。その議論も必要だと思います。


あと、自分はこの中でデーターセンターってこれから非常に重要な役割を担ってくると予想しています。いままでの日本にはあまりなかった分野ですが、これから大事になりますね。じつは後で述べますが、自分のこれから連載する日記で結構このデーターセンターって必要なのです。


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マイナンバーカードはもういわずとしれたDXテーマのひとつですね。欧州で国家としてDXに成功したフィンランドのように政府と国民の間に信頼関係が必要ですね。日本の政治家への信頼関係からするとなかなか難しい問題ですね。(笑)


自分は思うんですが、もっと政府は国民に説明しないといけないですね。マイナンバーカードを持つとどういうことができるようになるのか、健康保険証や運転免許証と合体化させることで、こんな夢のあるようなことが実現できるんですよ、という夢を語らないといけない。


医療費が何パーセント下がるとかくだらなすぎる。(笑)レベル低すぎですね。(笑)目先の普及のためのくだらない策を考えるのではなく、もっと夢のあるサービスの可能性を説明するほうがよっぽど効果あります。


そういう説明がないから、ただ合体化させて、その後考える・・・じゃダメなんですよね。もっと先を見通して、想像に想像を膨らませて、先に利便性のあるアイデアを考えちゃう、先に見識者あつめてアイデア会議をやってしまう。そういう仕事、苦労が必要なんではないのでしょうか?


国民に利便性を説明するということは、その説明する人の頭の中にそういうアイデアがないとダメだと思います。現状そこまで頭が回っていないのではないでしょうか。なんとなく合体化するといいよな~ぐらいの感覚なのではないでしょうか。



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これは自分的にはかなり大事なファクターでありながら、その実現性として技術的に一番難しい処なのではないかと思います。国と各地方間、そして公共機関と民間企業とのデータ共有とかデータ連携など。。って簡単に言うけど、これ一番大変じゃない?(笑)


システム全体のアーキテクチャ設計ですね。自分はここに一番痺れます。


ICTの活用による持続可能性と利便性の高い公共交通ネットワークの整備.jpg


ICTとは、「Information and Communication Technology」の略称。日本語では、「情報通信技術」と訳され、コンピュータを単独で使うだけでなく、ネットワークを活用して情報や知識を共有することも含めた幅広い言葉である。


交通インフラ、交通ネットワークの整備ということなんだろうけど、交通インフラといえば、飛行機、車、電車、船などがある。それ以外になにがくるというのか。自分は正直この部分は、いまひとつそのターゲットが明瞭には理解できなかった。


最先端のデジタル技術を活用したリニア中央新幹線の早期整備は、とてもよく理解できます。ここは、まだなかなかどうやっていくかわからないところなんでしょうね。具体的なところに落とし込んでいくまで現場の意見、力が必要なんだと思います。


交通インフラのDX化ということでは、自分はMaaS(Mobility as a Service)を候補に上げたいです。要は、ある地点からある地点に移動する、旅行するときに、乗り継ぎ含め、どういう乗り物で行ったらいいかの情報を提供し、選択し、さらにその乗車チケットの予約、購入までをスマホやタブレットでできてしまうアプリのことです。


スマホ1台あれば、目的地まで行けるみたいな。。。感じです。MaaSは今後のカービジネス、モビリティ関連では重要なサービス・技術になって行くと予想しています。カー業界は熱いです。MaaSは、旅行業界にとっても大きな革命期になると思っています。


エネルギーインフラのデジタル化.jpg


エネルギーインフラのデジタル化は、ちょっと自分の専門外というか、門外漢ではありますけど、送配電インフラの増強やデジタル化による運用の高度化を推進。。ここでしょうね。ポイントは。



これはただ目標を立てたら、それで終わりという訳ではありません。

PDCAやらないといけないのです。PDCAというのはPlan Do Action Checkの略です。計画をたてて、実行して、それをチェックして反省、改良、軌道修正していくという意味です。


このデジタル田園都市国家構想では、KPIといって、重要業績評価指標というのを設けています。こういうゴール、達成感で進めていくということです。

この日記のメインテーマである「構想を支えるハード・ソフトのデジタル基盤整備」では各々の項目でつぎのようなKPIを立てています。


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そんな遠い世界のことじゃないですね。2025~2030年あたりで達成する日程感です。


どうですか?


デジタル化、DX化って簡単に言ってますけど、マイナンバーカードの目先の議論より、もっと広い見地、Scopeから結局国はなにをやりたいのか、ということがわかったのではないか、と思います。


自分は、この「デジタル田園都市国家構想」のHPを読んだとき、結構ショック大きかったです。


じつは、この日記の本当の目的はそこにはないのです。(笑)


なぜ「デジタル田園都市国家構想」を紹介する日記を持ってきたかと言いますと、そのあとに自分は、DX時代のコンサートホールとはどういう形態のものなのか、コンサートホールをデジタル化するってどういうことなのだろう?ということをかねてより1年前から日記で書いてみたいとずっと思っていて、なかなか実現できないでいました。


でも意を決して、去年のクリスマス休暇から年末年始の休みにかけて、自分1人だけのブレスト(ブレインストーミング)をやって徹底的に考えてみてアイデアを捻っていたのです。そりゃたった数週間、1か月だけ自分1人で考えたアイデアですからそんな大したレベルのものは考案できません。


自分が長年ずっとコンサートホール通いをしてきて、こんなことができたらいいな~と思っていたこと、そして最新の技術開発状況をネットで徹底的に調べて、それをいまのコンサートホールに無理やりくっつけたというレベルです。


全然洗練されてないし、こなれてないです。また単に今後これはコンサートホールに活かせる最新技術なのではないか、という技術の紹介、示唆にとどまっているところもあります。


でもいいんです。のろしをあげる意味でも、そういうことをぜひ書いてみたいと1年前からずっと考えていたので、それをようやく実現できただけでもいいと思ってます。自分にとっては、1年越しについに夢成就なのです。


実際の実現ベースの段階でのアイデアですと、もっと数年先(あるいは数か月先)にいろいろなその道の専門家のプロフェッショナルな方々によって練られていくに違いないと思っています。


それでいいと思ってます。

またそうあるべきだと思っています。


そんなバカなことできるわけないじゃないか!と言って現在の既成概念で最初から拒否する姿勢の人とか、現在の常識を掲げて、つねに全否定する姿勢の人よりも、バカにされてもいい、そういうアイデアを出す人のほうが偉いと自分は思っています。


それは・・・だからできない。。というのは簡単なことだと思います。


そんな経緯からDX時代のコンサートホール・オペラハウスの在り方として、どういうことがあるのか、を連載としてこれから語っていきたいと思っています。


このシリーズは、2017年に連載した「コンサートホールの音響のしくみと評価」に次ぐ、自分の代表作になると信じています。


よろしくお付き合いをいただければ、と存じます。


そのための序奏・プレリュードとして、そのデジタル化、DXの概念ということで、国が推し進めている「デジタル田園都市国家構想」を最初に持ってきたのでした。



デジタル田園都市国家構想









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体験!石川県立音楽堂 [コンサートホール&オペラハウス]

石川県金沢の石川県立音楽堂コンサートホールは、2001年9月の開館。金沢駅のすぐ真横に鎮座している。


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オーケストラ・アンサンブル金沢の本拠地。石川県教育委員会が設置・管理するコンサートホールで、施設運営は(公財)石川県音楽文化振興事業団が行っている。


設計は芦原建築設計研究所が行った。


一見すると首都圏の多目的ホールのような趣だが、ホールとしては、コンサートホール、邦楽ホール、交流ホールの3種類が存在し、コンサートホールは音楽専用ホールである。


ホールの複合施設という感じであろうか。コンサートホールは、室内管弦楽・室内楽・ピアノを演奏・鑑賞する場として適している。




フロントを入るとこんな感じ。コンサートホールはこの2Fにある。


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2Fに上がる。ホワイエの定義をホールの前に広がる寛ぎ空間とすると、さらにその前にある待機スペースといったところか。ここで開場まで椅子に座って待っている。


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今日の公演。最近対費用効果、コスト削減ということで、こういうフライヤー、ポスター類を展示しないホールも増えてきているけど、ここはちゃんと展示してくれる。これがあると、やはり気持ちがなんとなくリッチな感覚になりますよね。これはやはりあったほうがいいと思います。


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開場してホワイエ空間。


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ホール側面の通路。


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そしてホール内潜入!毎度のことながら見知らぬ未知の世界への潜入ということで、自分の息がとまる瞬間でもある。


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シューボックス型のコンサートホール。


音響実験を何度も行った結果得られた数値と専門家の意見をもとに、残響時間、ホールの形状・容積、天井高、客席構成、内装仕上材料などに細かな配慮をして設計された。



客席規模は室内管弦楽を鑑賞するのにちょうどよい1560席とし、バランスのよい音響、迫力ある臨場感を味わえるようになっている。1560席というのは、シューボックススタイルの原点となったライプツィヒのゲヴァントハウスと同じ席数であることが拘りのようである。


やはりOEKの本拠地ということで、室内楽を念頭に、それに見合った規模感、エアボリューム感を意識して設計された室内楽ホールなのである。


う~む、自分はますます水戸室内管弦楽団と水戸芸術館との関係に似ていると思ってしまうのである。


開演前は、ステージ上で写真のようにスクリーンが降ろされ、そこに静止画が投影されていた。神尾真由子さんも近日中に広上淳一&OEKで、このホールでコンサートをするんですね。ぜひ来てみたいけど、もう一回、また金沢に来るのは大変かも?(笑)


残響時間は、1.6~2.2秒。コンサートホールの最適な残響時間の目安は2秒と言われているから、標準値というところか。


内装材は木材パネルのように思えた。


ホールの響き自体の印象としては、暖色系のウォームな響きの質感で、両側面からの反射音も豊富で、響きに囲まているような感覚で、かなりいい音響だと感じた。


両側面、上下面が平行面の直方体のシューボックスならではの、いわゆる典型的なシューボックス型音響というやつでいわゆるライブな感覚である。


ホールの側面写真では、ステージの側面、後方、そして1階席全般の周囲が三角錐の音響拡散体の形状で設計されているのがよくわかる。サントリーホールでもよく使われている典型的なスタンダードな音響拡散体ですね。


音響拡散体は、ステージからの発音に対してその反射音をある一か所のかたまりのところに偏った返しをするのではなく、客席に満遍なく同密度で反射させるための工夫である。この三角錐でいろいろな角度に反射され、客席に平等に音が行き渡るように工夫をするものである。


ホール空間を眺めていると、不思議なことを感じる。ステージ周辺、1階席周辺は、この三角錐拡散体で覆われている設計なのだが、2階席周辺がツルンツルンテンであることである。3階席の上層部になると、装飾梁と、前部から後部にかけて次第に小さくなるサイズの異なった薄い4角錐形状の音響拡散体で囲まれているのである。


2階席周辺のツンツルテン。これはなんか意味があるのかな?ここも1階席、3階席同様、屈曲を施して定在波対策するべきだと思うのだが。。。


家庭のオーディオルームでもシューボックスのコンサートホールでも最大の敵は定在波である。定在波というのは、同じ音波が直方体の平行面で反射を繰り返し、進行方向と同一で逆方向に進行する波が重なると、 波がその場で振動するように見える現象が生じることをいいます。


これはかなりの音響障害になります。


これは直方体で両側面が、同じ平行面だから起こります。そうならないように、戻らないように、拡散体や障害物を埋め込んだりします。前述の三角錐形状も、単なる拡散体だけではなく、定在波対策も包括していると思います。



両サイドテラスのシートは一見豪華なハイバックシートであるが、これは完全に並行した対抗面との間で生じる定在波障害の対策の一環であろう。(あくまで自分の勝手な推測)


天井はいわゆるヴォールト(かまぼこ天井)でヴォールト面に多数の4角錐型の小型ヴォールトを配置したプラスターボード製の一体型・複合ヴォールト型反響板。



開演前はスクリーンが降ろされ隠れているが、開演になるとスクリーンがあがり、パイプオルガンが見えてくる。ドイツ、カール・シュッケ製のパイプオルガンを装備している。


自分が今回取得した座席は、1階席真ん中のやや前方(10列目)ヴァイオリン奏者がよく見える位置と、腹に響くステージからの直接音をがっしり受け止めたいがため、この座席を選んだ。ヴィジュアル的にも音響的にも満足できました。


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金沢遠いけど、このホールでいろいろな座席で音響比較体験をして、なぜそう聴こえるのか考えてみたい衝動に駆られてきました。


新しいホール体験はじつにひさしぶりで、こうやってつぶさにホールを観察することも本当にご無沙汰。(いつもは通いなれているホールだから、そんなこともしない。)


やっぱり楽しい。なんちゃってコンサートホール・マニアだけど、好きなんだからしょうがない。日記の中でもこのホール体験記を書くのがなによりも大好き。本当にひさしぶり。


金沢の石川県立音楽堂は、非常に標準的なスタンダードなシューボックス・スタイルのホールで音響もいかにもシューボックスのような響き方、聴こえ方をするホールだった。


ひと言でいうならば音響は素晴らしいと思います。見た目も内装空間が人間の五感にいい木材のブラウンで統一されていて、極めてスタンダードだな~と思いました。









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体験!軽井沢ヴィラセシリア音楽堂 [コンサートホール&オペラハウス]

永田音響設計の創始者、永田穂さんが、人生最後の自分へのご褒美として、最晩年に音響設計した音楽堂が軽井沢にある、ということを知った。


イタリアの小さな教会をイメージして設計したそうで、「50席。これが最高のぜいたくです」と仰っていたとか。


これはぜひ体験しに軽井沢に足を運ばないといけないと直感した。


軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂。


軽井沢駅から徒歩15分くらいの距離で、軽井沢別荘地帯の中にある自然豊かで大変恵まれた環境に立地していた。


この音楽堂にある2つのパイプオルガン、イタリア・ルネッサンス様式のパイプオルガンとバロック様式のパイプオルガンとの競演のオルガンコンサートを開催するという。


この音楽堂を体験するには、もう最高のシチュエーションではないか、と思い、GWの真っ只中、緊急事態宣言下にあっても予定を強行した。


軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂については、その音響データやそもそもその音楽堂の情報などあまり存在しなく、結構謎めいた神秘的な音楽堂である。


教会なのか、というと、定期的に司教をよび、信者を集めてミサをやる、という感じでもなさそうで、ここにあるパイプオルガンを使って、春と秋にオルガンコンサートを開催するという感じなので、教会と言うよりは、やはり音楽堂という呼び方が適切なのであろう。


軽井沢に2007年に設立、音楽の守護聖人の名を冠したオルガン専用ホール。聖母子像の絵が飾られた礼拝堂のような静謐な空間。客席は50席。オルガンコンサートに理想的な豊かな残響をもち、日本で唯一の16世紀イタリア・ルネサンス様式のパイプオルガン(フランチェスコ・ザニン・オルガン工房製)を設置。ブルーと金色の装飾が美しく、手動フイゴ(パイプオルガンの送風装置)での演奏も可能。ガルニエ社製ポジティオルガン完備。オルガン教室も開講しているという。


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この日のオルガンコンサートでのお話、そしてオルガニストは、和田純子さん。
じつはこの音楽堂を含めたこの建物は、和田さんの邸宅なのだそうだ。
和田さん個人所有の音楽堂なのだ。
もう驚きとしか言いようがない。


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オルガンコンサートは、14時半から開演なのであるが、自分は早く着きすぎて、12時には到着して、この美しい庭園の椅子に腰かけて、美しい自然の風景をひたすら眺めてホケ~としていた。


脳を休めていたのである。


街の喧騒音はまったくせず、鳥のさえずり、ときたま教会の鐘が鳴るというまったく音のしない世界。この自然の美しさを眺めながら、脳を休めるには最高のシチュエーションであった。


そうすると建物の中から和田さんが出て来られ、時間を間違えているのではないかと心配され、声をかけてくださった。簡単なご挨拶といくつかの会話を交わし、開演の時間を待つこととした。


そしてついに開場。
春のオルガンコンサート、たったの2000円である。入口で現金払い。
素晴らしい環境に、良質な音楽で、たったの2000円。


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音楽堂は、入り口から入って地下のほうに降りて行って、そこに入り口がある。
そこから音楽堂に入る。


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オルガンの響きのためには1000m3の空間が必要とのことで、床は地下1階、天井は2階建家屋の屋根まであり、壁はコンクリートの打ち放しというまさに中世ヨーロッパの小礼拝堂を思わせるたたずまいである。この大きさ(高さ)の建物を地上に建てるには、軽井沢では 建築許可が下りず、やむなく地下を掘ったという造りである。


これは一般家庭のオーディオルームの建築もそうですね。オーディオルームをいちから自前で造るなら、やはり天井が高い3m/4mくらいの天井高が欲しい。でもその高さは、建築法からなかなか難しく、地面を掘ることで、天井高を稼ぐという方法ですね。



詳細は定かではないのだが、オルガン専用ホールとして設立されたときは、まだパイプオルガンが搬入されておらず、ます最初のパイプオルガンがこの音楽堂に搬入されたのが、4年後の2011年のようだ。


それが、このイタリア・ルネッサンス様式のパイプオルガン。


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イタリアの伝統ある製作技術を誇る老舗オルガンビルダー、フランチェスト・ザニン・オルガン工房による日本では珍しい歴史的オルガン建造法で忠実に再現されたという16~17世紀のイタリア・ルネサンス様式のパイプオルガン。


このパイプオルガン、まずオルガンにとって理想的な音響の空間を作る事から始め(色々残響調整で工夫をされたそう)、その後その空間に最適なオルガンを作れる製作家を世界中から選択し、どんなオルガンにするかを製作家と存分に討議した上3年という年月を経てついに完成したという、演奏家が最高のパイプオルガンを持とうという熱い想いがやっと実ったというべき作品となったそうなのである。


つまり、まずハコである音楽堂を先につくって、そこの残響時間ふくめ、その空間に最適となるオルガンをあとから造ったということである。


和田純子さんの個人による音楽堂で、オルガニストでもある和田さんが、最高の音楽堂で、そこで鳴る最高のオルガンを制作してしまう、という自分の究極の夢をとことん突きつめたのが、この軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂なのだ、という事実をここにしてようやく自分は理解できたのである。


もう驚きとしかいいようがなかった。
音楽堂の情報があまり公式になっていないのもそういう背景があるのかもしれない。


北イタリアに工房を持ち、多くのオリジナル樂器の修復や多彩なモデルの製作で7代に渡る長き時代オルガン製作を続けてきたというザニン工房のオルガン。拝見すると各所に長年の経験から得られたという伝承の技が駆使されている上に今回またこの工房お得意のイタリアルネサンス様式の楽器とあって素晴らしい出来で仕上がっている。


聞けば経験豊富な技術者の現場でのシビアなパイプのヴォイシング作業と念入りな調律の賜物だとか。また手フイゴ(パイプオルガンの送風装置)での演奏が可能だそうである。


オルガンのために設計された空間に最適なモデルを設置するという夢のようなストーリーで完成したこのパイプオルガン。このイタリア・ルネッサンス様式のパイプオルガンこそ、この音楽堂のもっとも大切な命の源なのであろうと確信した。



そして、あらたに去年の2020年2月にイタリアからこの音楽堂に搬入したのが。このバロック様式パイプオルガン。


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オルガンケースは200年前に制作された調度品(飾り棚)を使用。木管ゲダクト8、ロールフルーテ4、プリンシパル2の3ストップ。調律法はヴァロッティだそうである。


新しいパイプオルガンは、イタリア・ルネッサンス様式オルガンと同じ、イタリアの会社の同じ人の作でだそうで、小型のパイプオルガンであるが、表から見える金属のパイプは、飾りだそうで、裏に “木のパイプ”を使っているそうで、柔らかく優しい音色がする。



全体に楕円形上の形状をしていて、天井の高さはそれこそかなり高い。


コンクリート打ちっぱなしの全方位とも石造りの空間。もちろん反射音の吸音ゼロの世界であるから、エネルギー減衰することなく、どんどんエネルギー感ある音で空間は充満する。天井、床も石造りである。


まさにイタリアの小さな教会、礼拝堂を思わせる空間である。


自分がその音響を実際、聴いてみてまず驚いたことは、とにかくその残響時間の長さである。これはハンパないほど凄いものであった。自分のヨーロッパ経験含め、これほど響きの長い空間は体験したことがないくらいであった。


自分の直感のものさしだと、残響時間5秒~7秒は軽くあるな、と勘が働いた。


コンサートを聴くうえで響きの豊かないいコンサートホールの残響時間は、2秒を目安に音響設計されている。この軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂の音響設計データは正式にはパブリックにはなっていないようなのであるが、残響時間は8秒なのだそうである。


残響時間8秒の世界。


まさに自分にとって前人未踏の世界。

これが残響時間8秒の空間であるか~という感じである。


イタリア・ルネッサンス様式のパイプオルガンは、教会と同じように、背面の天井の高いところに設置されているのだが、音の出どころがまったくそことはわからない音離れしている感覚で、まるでしっかりと前方定位、いや完全な全方位定位ともいうべきか、まさに天井から四方八方から音が降り注いでくる感覚なのである。


自分の全身に、まさに研ぎ澄まされた、いかにも石造りの吸音ゼロの反射音である硬質な音のシャワーを全身に浴びるという想像を絶する凄い空間であった。


まずハコを造って、その音響空間に適切なパイプオルガンをあとから作り込む。
そうして得られた、まさに計算され尽くした音響が、いまここにあるのだ。


残響時間8秒の世界は、いろいろ自分に考えさせられることもあった。


それは途中、和田さんのお話、スピーチがあるのだが、その声が、空間に響きすぎて、よく明瞭に聞き取れないのだ。響きが多すぎる空間というのは、本当に気持ちのいい空間と自分は思っていたので、それがこんな副作用があるとは思ってもいなかった。


もちろんマスクをして話されていたということも加味するべきであろうが、それでも声に響きが重なって聞きずらいなぁという感覚を持った。


やはりコンサートホールや教会の音響設計は基本は反射系の設計なのかもしれないが、適度に吸音するというファクターもある程度、考慮しないといけないものなのかな、とも思った。


教会の音響設計では、やはり司教の説教、お話が信者によく明瞭に聞こえないといけないというのも大事な要素だと思うからである。


おそらくこの音楽堂の空間は、教会のミサのためではなく、純粋に最適な響きでオルガンを鳴らす、オルガンコンサートを開催するための空間であると思うので、これはこれでベストソリューションということなのだろう。


とにかく自分がいままで経験したことがないような想像を絶する音響空間であった。


つぎにパイプオルガンの音色の印象であるが、最初にイタリア ルネッサンス様式のパイプオルガン。これはコンサートホールにあるような大オルガンよりは小型であるので、それなりのボリューム感で鳴っていたが、なかなか音色のパレットとしてのカラーが基本的に明るくありながら低音などの重厚感もしっかり聴こえてくるバランスのいい音であった。帯域バランスは素晴らしいと感じた。自分がいままで聴いてきたパイプオルガンの音色の聴感上の感覚の差異はあまり感じず、とても伝統的で楷書的ないい音色だったように思う。


音像もキリッと明瞭で音場も広い。
重厚感はかなりある。
いいオルガンだなぁと感心しながら聴いていた。



それに対し、バロック様式のパイプオルガンは、とても可愛らしい音。小ぶりな筐体にふさわしいとても優しくて可愛らしい音であった。非常に質感が柔らかくて、ソフトな音の感触で優しい音であった。とてもいいオルガンだと思いました。聴いていて、かなり癒されます。いいオルガンですね。またあらたな宝物を持たれましたね。



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永田音響設計の永田穂さんがイタリアの小さな教会をイメージして設計して「50席。これが最高のぜいたくです」と言って音響設計した軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂。(c)朝日新聞社


それは、軽井沢のこの自然豊かな別荘地に、自分が追求する音響空間をまず拵え、そしてその空間に最適な音響を計算しつつ、その空間専用の新規のパイプオルガンを特注制作で造ってしまう。。。オルガニストとしても最高の夢を叶えた。


そういう真実が隠されていたとは夢にも思わなかった。


世の中には本当にすごい、そして素晴らしい人がいるものなんだな、と驚くばかりである。


ぜひ次回の秋のパイプオルガンコンサートにも馳せ参じたいと思っている。


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軽井沢ヴィラ・セシリア音楽堂 春のパイプオルガンコンサート 2021
2021年5月4日 14:30~15:30

主催・お話・オルガン:和田純子


G.ピッキ(1571-1643)
トッカータ ニ短調


W.バード(1543-1623)
ファンタジア イ短調


G.フレスコバルディ(1583-1643)
トッカータ 第11番


F.C.de アラウホ(1584-1654)
ティエント 第53番
カンツォン「陽気な羊飼い」


JP.スヴェーリンク(1562-1621)
トッカータ 第18番 ハ長調


S.シャイト (1587-1653)
「我はかくも傷ついて」によるファンタジア


M.プレトリウス (1571-1621)
賛歌「日の出づる処より」


J.S.バッハ(1685-1750)
「ああ哀れな罪人なる我を」
トッカータ ヘ短調





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The Story of SUNTORY HALL [コンサートホール&オペラハウス]

サントリーホールは、日本のコンサートホール・カルチャー、コンサートホール文化に革命をもたらした。「すべてはサントリーホールから始まった。」という名言もわかるような気がする。


・コンサートホールでお酒を提供する。
・レセプショニスト。
・クローク。


これらはサントリーホールが生み出した画期的な文明開化である。それ以降の日本のコンサートホールでは、これらは至極あたりまえの光景となって定着していった。


もちろんそれ以前の東京文化会館が中心だった時代も素晴らしい歴史があることはもちろんであるけれど、自分が東京に上京したのが1987年の年だったから、物心ついた頃からサントリーホールがすでに身近なものであった、ということである。


なによりも自分の基準であるカラヤンといっしょに造ったコンサートホールである、というのが自分の拠り所であった。


サントリーホールは独特のブランド感がありますね。
自分はやっぱりサントリーホールが好きだなぁ。


クラシックが好きになった、嵌まり込んでいくきっかけになったことも、このコンサートホールの存在が大きかった。クラシックファンは、作曲家や演奏家、そして曲、その音楽に興味をもつのが、最初のきっかけかもしれないけれど、自分はもちろんそれもあるけれど、自分の場合、やっぱりオーディオやコンサートホールの存在が大きかった。


自分は本当にコンサートホールが大好きなんですね。


建築美というか、外観ももちろんだけれど、ホール内装空間、ホワイエすべてにおいて至高の芸術作品だと思っています。その空間のデザインを見ているだけで、ゾクゾク震えがくるというか、すごい高尚な気持ちになります。そのコンサートホールによっていろいろな考え方のデザイン空間があって、それを鑑賞するのが大好きです。


そして音響、ホールの響きというのが、なによりも好き。いろいろなホールを体験して、それぞれホール固有の響きがあって、それを楽しむのが好きです。なぜそのように聴こえるのか、を考えるのが好き。


またこの人は、日記で毎度同じことを書いている、と揶揄されているかもしれませんが、それは自分が好きなだけなのであって、放っておいてください、というところでしょうか。


書いている内容は、あくまで素人かもしれませんが、やっぱりそういうホールの響きのことを考えるのが好きだからしょうがないし、そうやって書くことで自分が満足できるのだから、自分にとって最高の娯楽なのである。考えることにはお金はかかりませんからね。


日本のコンサートホールだけでは満足できなくなって、海外のコンサートホールも体験したくなり、行脚を繰り返しました。いまとなっては大きな財産です。


そんなサントリーホールであるが、今年は開館35周年の記念イヤーなのである。


その波に乗っての一環だと思うが、建築画報から「The Story of SUNTORY HALL」という本が出版された。


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ザ・ストーリー・オブ・サントリーホール
https://www.amazon.co.jp/-/en/gp/product/4909154655


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サントリーホールを建築した安井建築設計事務所による書籍である。

これは素晴らしいです!


ホールマニア、サントリーホール・ファンにとっては堪らない1冊になるのではないでしょうか?開館当時に出版された、あの黒本と同じくらい衝撃ですね。


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プロによる撮影は、やっぱりすごい臨場感と迫力があって、素晴らしい写真。
写真から飛び出してくるような感じがしますね。
自分はとてもこんな風には絶対撮れません。


いろいろな対談やそれぞれにインタビュー寄稿があったりして読み応え抜群です。
ちょっとさわりを紹介しておきますね。


対談:堤剛サントリーホール館長×佐野吉彦(安井建築設計事務所 代表取締役社長)
「サントリーホールの”新しさ”と音楽の未来」


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堤館長


「また現地(ヨーロッパ)を訪れたのは深い秋の頃で結構寒くて、皆さんコートを着てこられるのですが、コートは必ずクロークに預けていたんですね。日本ではそれまで、膝の上に畳んで置いていたわけです。それも取り入れなければということで、サントリーホールが初めて、これほど充実したクロークをつくったわけです。


それから印象的だったのが、ホールのレセプショニストが席に案内だけでなくてちょっとしたサポートをしてくれること。今日のソリストは?なんて聞くと、パッと答えてくれるような方がいたことです。それにすごく感心して、おもてなし対応ができるSPS(サントリーパブリシティサービス)を組織したことが、ホールの建築や音響に加えて画期的なことだったのではないでしょうか。それは佐治がいつも言っていたように、「etwas Neues:何か新しいことを(見つけよう)」ということ。それと「最後は人やで」という言葉が生きているのではないか、と思いますね。」


以前、レセプショニストについて日記にしたことがあり、そこでその仕事を紹介したが、こんな感じである。


これまでクラシックファンの間で「もぎりのおばちゃん」などと愛着を込めた呼ばれたご婦人方が、ホール入口でチケットの半券をもぎる。そのもぎり方も結構素っ気ないというか、そして制服というよりうわっぱりのようなものを着ていた感じだった。


1986年にサントリーホールが開館して、その様子は一変した。


サントリーホールに登場したのは、キャビンアテンダントばりのそろいの制服を身に着けた女性たち。柔らかい物腰と丁寧な受け答えで聴衆を迎え入れ、席に案内する姿は、高級ホテルでのおもてなしのようだった。


でもサントリーホールのレセプショニストは怖いです。(笑)おそらく、いや間違いなく日本のコンサートホールの中でもっとも写真撮影が厳しいのはサントリーホールである。


開演前の挨拶代わりにホール内を撮影していると、レセプショニストがすかさず飛んできて注意されます。自分はサントリーホールの場合、レセプショニストに関してはいつも注意されているイメージしかないです。(笑)



対談:眞鍋圭子(サントリーホール エクゼクティブ・プロデューサー)×
   木村佐近 安井建築設計事務所 理事)
「回想:ホール計画時から開館当初の頃」


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眞鍋さん


「最初に佐治さんたちがいらっしゃるということをカラヤンさんにお伝えした時、朝から1時間も電話でいろいろ尋ねられたんですよ。何、ホールをつくる?に始まって、どこにどんなホールをつくるんだ、誰が・・・あの佐治さんが。ふ~んといって、いつできるのかと。1986年にオープンしますと申し上げたら、それなら、まだ自分は生きているな。オープニングにベルリンフィルと行こうとおっしゃって期待に胸を膨らませておりました。」


眞鍋さん


「というのは、おそらく、カラヤンさんは最初からヴィンヤード型しか頭になくて佐野先生にどういうことを考えていらっしゃるんですか、と尋ねたら、先生は手で描かれたんです。それはシューボックスを変形させたものでした。そうしたら、カラヤンさんは、客席の2階の幅を拡げなさい、に始まり、ヴィンヤードのホールの特徴を話し始めたんです。先生の方では、シューボックスは眼中にないな、という感じを持たれて、敢えて出されなかったのではないでしょうか。」


木村さん


「幅を拡げなさいという言葉は記録に残っていますけれど、我々が一生懸命つくった模型の写真は何だったんでしょうか(笑)」


眞鍋さん


「おそらく、その写真は、一気にカラヤンさんがヴィンヤードのことを話し出したので、出せなくなったのだと思いますよ。」


眞鍋さん


「・・・佐治さんはずっと二人が話しているのを聞いていたのですが、一言カラヤンさんに「何でヴィンヤードがいいと思っていらっしゃるんですか」と。


カラヤンさんは、一瞬「えっ」となった後、ニコッとして「いい音を聴こうと思ったら家庭用のいい音響装置があるかもしれない。でも、人がコンサートホールに足を運ぶのは、そこに人が集うということであって、自分たち音楽家も観客がまわりにいて、一緒に音楽をつくるという形にしたい。それがこれからの音楽会の意義じゃないか」といったことをおっしゃったんです。そうしたら佐治さんが、ああそうかと。膝を叩いて「ほな、そうしましょ」と。


眞鍋さん


「カラヤンさんに佐治さんが「コンサートホールにはオルガンちゅうものが要るんですか」と尋ねたんです。カラヤンさんは目を見開いて、もちろんと。「オルガンのないコンサートホールは家具のない家みたいなものだよ。うちのホール(ベルリン・フィルハーモニー)は最初にオルガンを入れるのを忘れていたから、右手にある。あそこしか置く場所がなかったのだけれど、ものすごく指揮しづらい、やっぱりオルガンは真ん中にあるのがいいのだよ」


木村さん


「サントリーホールの礎を築いた佐治さんがいらっしゃって、その夢をかたちにしたのが佐野正一、その夢を響きにしたのが永田先生。そしてカラヤンさんがいなかったら、このかたちにはなっていなかったと思うんです。3人とカラヤンさんを結びつけたのが眞鍋さんなのですが、なぜそこに眞鍋さんがおられたのか、といういことを少しお話いただけますか」


眞鍋さん


「カラヤンさんと佐治さん、佐野先生、永田先生、ドイツグラモフォンの方、それに私が通訳で訪れました。模型にレーザー光線を当てて音の反射を調べるのですが、カラヤンさんは身を乗り出して中に入って、感心していました。そしてよいものができるであろうと話されていたのですが、最後に「しかし、一番大事なのはそこで鳴る音楽だよ」と。はい、肝に命じますという感じで、そういう音楽家の言葉は心に残っていますね。」


木村さん


「永田先生はヴィンヤードというかたちをつくることが決まったときに、まわりの音響設計の仲間から、命取りになるからやめろ、と言われたそうです。それを押して取り組んで、これだけのことをやり遂げたと。やっぱり、懸けていたのだと思います」



対談:木村左近(安井建築設計事務所 理事)×
   豊田泰久(永田音響設計 エクイゼクティブ・アドバイザー、プリンシパル・コンサルタント)
「建築家と音響設計家によるサントリーホールこぼれ話」


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豊田さん


「確かに歴史に”もしも”はないのですが、サントリーホールとカラヤンの結びつきがなかったら、どんなホールになっていたでしょう。その後のコンサートホールのデザインに与えた影響の大きさを考えると、サントリーホールだけではなく、世界中のコンサートホールの姿、形が現在のものとは異なっていただろう、ということだけは間違いなく言えると思います」


木村さん


「アルコール度数にプラスする旨味の話をした方がよいかもしれません。美しい響きは残響時間だけでは決まらないこと。ヴィンヤード型の形状は、カラヤンが目指す演奏者と聴衆との一体感を生み出す視覚的効果だけでなく、床からも立ち上がるいくつもの壁が美しい響きにかかせない初期反射音を生んでいることなど、美しい響きの基本についてお話できたらと思います」


豊田さん


「今では建築図面は全てコンピューターで作成されますし、音響のスタディも全部コンピュータで処理されますが、この音響模型実験だけはいまだに現役なんですよ。模型内で収録した音を聴いて最終的に判断するのはやはり人間なのです。音響実験で扱う音信号の処理はコンピュータで行うようになって測定の精度も上がりましたが、最後に音を人が聴くプロセスだけはコンピュータでというわけにはいかないのです。実際のコンサートを人の代わりにコンピュータが聴くことができないのと同様の理屈ですね。」


豊田さん


「ただ単に演奏者の意見を聞いて、それを取り入れるだけではうまくいきません。それらの意見を材料として上で、デザインとして昇華したものでなければならないと思います。私は建築のデザイナーではありませんが、いくつものコンサートホールの建築デザインの現場を見てきています。サントリーホールの舞台裏まわりのデザインは本当によくできていると思いますよ。


例えば、指揮者やソリストの楽屋がステージと同じフロアにあって、しかもステージ出口の直近に配置されていることなどは、多くのミュージシャンから高く評価されています、


考えてみれば当然のことなのですが、世界中の多くのホールでこれが実現できていません。ステージの裏側にアーティストラウンジと呼ばれる、出演者がコンサートの前後に集まってくつろいで簡単な飲食もできるスペースがありますが、これも皆さんから喜ばれていますね。間違いなくよい演奏に繋がっていると思います」


・・・・・


これくらいにしておこう。(笑)
これでもほんの1/80くらいというところであろうか。


とにかくすごい読み応えで、面白い話がいっぱい。
サントリーホールのことなら、なんでもわかる百科事典みたいな感じである。


そしてプロによる豪華写真が華を添える。


サントリーホール・ファンの自分にとっては堪らない本&写真集だと思います。
自分の宝物ですね。



サントリーホールが開館〇〇周年という祝祭イヤーになると、必ずその記念事業というのが公表される。その中の名物コーナーとして、”正装コンサート”というのがある。


記念ガラ・コンサートというもので、この記念のコンサートの日だけは、観客のみなさん正装、つまり男性であればタキシード、礼服、女性であればドレス、和服を着て、そういう厳粛な雰囲気で楽しみましょう、という粋な計らいである。


自分は5年前の開館30周年記念ガラ・コンサートのときに、この正装コンサートを体験した。


いやぁぁぁ~もう別世界。
自分の居場所がないくらい富裕層が集う空気感であった。


正装が必要な夏のヨーロッパの音楽祭も数多経験したけれど、このサントリーホールの記念ガラはこれまた別世界で緊張しましたねぇ。日本の正装コンサートの場合、女性は和服姿というのが特徴で素晴らしいな、と思いました。


そのときの感動の場面をまた紹介しましょう。
あの感動よ、もう一度!です。


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もうレッドカーペットの世界。ウィーンフィル・メンバーによる開演前のファンファーレでした。


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まさに紳士・淑女の世界。自分も礼服でビシッとして決めました。
カメラでバシャバシャ撮ってたのは自分くらいなものです。(笑)


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堤館長ももちろんいらっしゃいました。


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こういうシーンを体感して思ったのですが、こんなことが日本でできるのはサントリーホールぐらいしかないのではないか、サントリーホールだからこそできるんではないか、と。


この開館30周年記念ガラ・コンサートは、小澤征爾さん&ズービン・メータのダブル指揮、そしてアンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)にヘン・ライス(メゾ・ソプラノ)、そしてウィーン・フィルという夢のようなキャストであった。


写真撮影という点では鬼のように厳しいサントリーホールもこの日だけはカーテンコールは撮影可でした。


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自分は、この日の上流社会の場を体験した後、夜遅くおらが街に到着したとき、あまりの空腹に耐えきれず、あの中華屋さん「キングチャイナ」に入って半チャンラーメンをかっこんだのでした。全身をビシッと礼服で決めておきながら。(笑)



今年は、開館35周年記念イヤー。この正装コンサート、記念ガラはあるのかな?と確認したところ、やはりあったのである。


サントリーホール35周年記念 ガラ・コンサート 2021(正装コンサート)

2021年10月2日(土) 18:00開演 


ソプラノ:ズザンナ・マルコヴァ
テノール:フランチェスコ・デムーロ
バリトン:アルトゥール・ルチンスキー
指揮:ニコラ・ルイゾッティ
東京交響楽団


今年のウィーンフィル来日公演は、この記念ガラとは別枠で10月に別途設定されている。リッカルド・ムーティ指揮である。


なんと東響がホスト・オーケストラとして登場だ!
出世だな~。(笑)

驚きです。


前回の30周年ガラのときは、チケット代5万を投資した。
小澤さんにメータに、ムターだからね。

それくらいは当然の額かもしれない。


それと比較して今年は小粒ではある。

同じレートで5万を主張するのであろうか。
もう少し低めの価格設定になるのであろうか・・


自分はサントリーホールの正装コンサートは、もう5年前体験して十分と思ったのだけれど、ひょっとしたら今年も行ってみようか、という気持に揺れ動いている。


海外に行くだけで何十万と投資するのだから、昨今のまったく海外に行けない状況下であれば、5万円くらいの投資はどうってことはないのではないか、と思うのだ。


ただひとつ懸念がある。


それは今年の10月頃になったら、もうマスクはしないでいい状況下、感染状況になっているかどうかだ。正装コンサートで、タキシード、礼服、ドレス、和服を着こなしながらマスクをしている図は・・・(笑)


ここいらはサントリーホールはどのように判断されるのであろうか?


こんなコロナ禍、マスク必須の現況下であるからこそ、この正装コンサートの実際の現場の図を観てみたいと無性に思ってしまうのである。


ちなみに5年前に新調した礼服、いまでも着れるのか、埃にかぶっていた礼服をタンスの中から取り出して試着してみたところ、大丈夫ちゃんと着れました。


余計な出費は必要ないようで、行こうと思えば、あとはチケット代投資の問題だけである。


最後にひと言言わせてもらうならば、あの頃は本当にいい時代であった。
もうこのような環境での体験は同じレベルでは無理なのであろうか?






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体験!東京藝術大学奏楽堂 [コンサートホール&オペラハウス]

5年ぶりに東京藝術大学キャンパス内にある奏楽堂でコンサートを楽しんできた。


前回は2015年3月に同じ東京・春・音楽祭の演目で、その年はリヒテルの生誕100周年ということもあって、リヒテルが愛したプーランクやモーツァルトを演奏しようという粋な企画で、トウキョウ・モーツァルト・プレーヤーズの若々しい演奏家たち、そして指揮に2014年に日本デビューを果たした期待のヴァハン・マルディロシアン氏、ピアノに数々の国際コンクール優勝で世界中で音楽活動をしているリュドミラ・ベルリンスカヤさんを迎えて、素晴らしい演奏がおこなわれたのだった。


前半は、ディヴェルティメント、ピアコン17番、交響曲第31番とじつにモーツァルトの美味しいところ品揃えのような感覚で、十分楽しませてもらった。


後半のプーランクの舞踏協奏曲(オーバード)は、舞踏、いわゆるステージの半分を使ったミニバレエ付きの演出で、とても新鮮であった。


懐かしいです。つい最近のことのようです。


そのとき、この新しいほうの奏楽堂を体験して、全体に木目調の木のホールで暖かい響きでいいホールだなぁと感心したものだった。


そのとき「暗騒音」というタイトルの日記で、奏楽堂のホールの音響の印象を書き綴ったのだが、ホール探訪記という形でもう一度正式に日記にしたいと思ったので、いまこうして書いている次第である。


5年ぶりの東京藝術大学。


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いまやコロナですっかり部外者立ち入り禁止になってしまった。
なんと、食堂の利用も遠慮ください、との但し書きがある。(笑)
もう大浦食堂は体験できないんですね。


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大学キャンパス内にある新しい奏楽堂ももちろんだが、自分にとっていわゆる旧奏楽堂のほうもとても思い入れ深い想い出がある。


旧奏楽堂(旧東京音楽学校の奏楽堂)


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上野公園の中にあって、本当に緑の自然が美しい。


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この旧東京音楽学校というのは、いまの東京藝術大学音楽学部の前身で、その施設だった奏楽堂は、日本最古の木造の洋式音楽ホールで、いまでは国の重要文化財に指定されている。 この建物の2階にある音楽ホールは、かつての滝廉太郎がピアノを弾き、三浦環が日本人による初のオペラ公演でデビューを飾った由緒ある舞台なのである。


2012年の4月に、この歴史的建造物の奏楽堂を体験した。


そのきっかけは、ここで、フィルハーモニア・アンサンブル東京というユニットの演奏会が開かれるためだった。 指揮はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で長年ヴィオラ奏者を務めた土屋邦雄さん。 このフィルハーモニア・アンサンブル東京というのは、土屋邦雄さんを慕い、2009年にソニーフィルハーモニック主催のメサイア演奏会のために結成されたアマチュアオーケストラで、このオーケストラの命名は、土屋さんによるもので、土屋さんが主宰していて活動したアンサンブル・フィルハーモニアベルリンに由来するものなのだ。


この奏楽堂は、なんでも1958年に来日した作曲家ヒンデミットを迎えて、当時東京藝術大学の学生だった土屋さんが、ヒンデミットの無伴奏ヴィオラ・ソナタを演奏したという縁がある。


そしてそのことが土屋さんがドイツに留学することになるきっかけになったのだ。


その由緒あるステージに50年以上経過したいま再び土屋さんが指揮者として立つ。その当時はいかなる想いだっただろうか?


そんなとてもメモリアルな演奏会に、土屋さんのお誘いを受けて、ゴローさんがヴァイオリン奏者として参加することになった。その応援のために私やエム5さんがかけつけたのだった。 


奏楽堂の中に入ると、本当にクラシカルな歴史的建造物という感じで趣がある。うかつに触れると壊れてしまいそうな繊細感がある。


じつは当時の奏楽堂は、毎週日曜日をはじめ、火曜、木曜と9:30~16:30まで一般公開されていて中に入ることができた。(入場料300円) しかも日曜日の14:00~15:00は2階にある音楽ホールでコンサートが開催され、鑑賞することが出来たのだ。


この日曜日コンサートは藝大の学生が演奏している。

自分はこの藝大生コンサートのチェンバロ・コンサートも体験したことがある。


旧奏楽堂の音楽ホールを体験するには、この藝大生コンサートはなかなかいいと思いますよ。音響はデッドだったと思います。(笑)


旧奏楽堂は、もともと別の場所にあったものを、この上野公園のいまの場所に移築した経緯があって、その後、修復作業に入ってしまい、そのメンテナンスが終わって、最近ふたたび開館したという運びなのである。


カレンダーを見てみると、日曜日の藝大生コンサートは相変わらず定番として存在するようだし、あの当時にはなかったような公演の数々が予定されているようで、なんとも嬉しい限りである。


自分がちょっと気になって、ぜひ行ってみたいと思っているのは、今年の年末にあるN響メンバーによるブランデンブルグ協奏曲全曲演奏会であろうか?


これはぜひ行ってみたい。

土屋さんのコンサートの時もブランデンブルグ協奏曲だった。
きっとなにかの縁なのだと思う。


思えばいまから9年前なんですよ!時間なんてあっという間。つい最近のことのようである。あのときエム5さんと隣り合わせでいっしょに土屋さん、ゴローさんを応援していたのでした。


あのときがん手術で療養中の小澤征爾さんもかけつけていた。例のあの赤ジャンパーを着て。懐かしすぎる!!!


土屋邦雄さん、いまはどのようにお過ごしになられているのであろうか?調べてみると、去年の2020年5月にフィルハーモニア・アンサンブル東京のコンサートが第一生命ホール開催予定であったのがコロナで延期になってしまったようだ。


このアマチュアオケの演奏会も11回の数を数えていた。
再開したら、久しぶりにぜひ足を運んでみたいと思っています。


我々の世代では、ベルリンフィルの日本人奏者といえば、安永徹、土屋邦雄の時代である。土屋さんが日本人初の快挙。1959年に入団。1959年ですよ。自分が生まれる遥か前である。


当時、クラシックの世界と言えば圧倒的な西洋人社会、西洋人ステータスの中で、アジア人、日本人としてその荒波の中をかいくぐっていくそのご苦労はいかんばかりであるか、と推測する。


しかも帝王カラヤン時代のベルリンフィルである。


そういう先人のご苦労のもとにいまの我々の安泰があるのだと思うと、いろいろ思うところも多い。


次回の土屋邦雄さんのフィルハーモニア・アンサンブル東京演奏会、ぜひ行きます。ここに宣言!そして日記で熱く語ってみたいと思います。


話を本題に戻しましょう。


この旧奏楽堂と東京藝術大学キャンパスに行く途中にある、この上島珈琲、ここを通るたびにいつもお洒落でいい雰囲気だなぁと思っています。(笑)おそらく藝大生であろう若い人たちでいつも満席です。


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こちらが東京藝術大学キャンパス内にある新しいほうの奏楽堂。


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明治23年に創設されて以来、音楽教育の練習、発表の場として永く使用されてきた旧東京音楽学校奏楽堂は、建物の老朽化が進み、また、音楽の演奏形態の拡大等に対応できなくなってきたため、昭和59年に解体し、その後、上野公園内に移築再建された。


東京藝術大学奏楽堂は、コンサートホールとして新しく建設されたものである。ホール全体が一つの優れた楽器として、調和のとれた響を生むものとして考え、音響特性を使用目的に応じて変えられるよう、客席の天井全体を可動式にして音響空間を変化させる方法を採用している。また、古典から現代作品を演奏出来るフランスのガルニエ製オルガンを設置してある。


エントランス


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ホワイエと呼べるかどうかわからないが、こんな感じである。基本、大学の施設なので、商用のホールとは違うので、最低限の目的を達していればいい訳で、とても質素な感じである。


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奏楽堂ホール内。


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自分は5年ぶりに入ってみたとき、そして全体の内装空間を見渡した時、ちょっと違和感があった。それはこんなに立派なパイプオルガンがあったけな?という印象である。5年前の「暗騒音」の日記の写真を確認してみたところ、5年前はこんな感じであった。


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やっぱりね。パイプオルガンがない。これはその後新設された、というわけではなく、5年前は、この部分を覆って隠していたのでしょう。


とにかく自分は、今回このパイプオルガンの存在に圧倒されてしまった。
パイプオルガンのことはまた後述、詳しく書こう。


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ホールの形状はシューボックス。客席は、徐々にスロープがついていて後ろにいくほど傾斜がキツくなる。5年前は最後尾の座席だったので、その傾斜のキツさで、ステージを見下ろす感じでかなり怖かった記憶がある。今回は中央で前方寄りなので、それほどの傾斜は感じない。


程よい感じである。


座席の列方向の間の間隔のスペースがとても広くて観客に優しい。首都圏内のコンサートホールの座席の列間隔は、かなり狭く、休憩の時に「前を失礼します。」と言って横切っていくときのあの窮屈さは、コンサートゴアの方なら誰しもが経験していることだと思うが、この奏楽堂はそのスペースがかなり広くて、かなりスイスイである。


こりゃいいな~と思った。


座席の列間隔のスペースはもちろんホール内の音響設計にも関わってくることなので、簡単にはいかないが、ユーザー目線でいうとかなりいい印象。


ホール空間をみると、そんなに反射音対策の凹凸を強烈にデザインするなどのインパクトはなく、どちらかというと平坦な印象さえ受ける。でもすぐに目に留まるような派手な音響デザインはないけれど、よくよく見ると繊細な音響デザインが施されていたり、吸音カーテンがあったりとかで、細かい配慮はされているんだろうな、と想像した。


ふつうのコンサートホールっぽくないです。


でも壁下面のところは、コンクリート剥き出しで、あきらかな反射音対策っぽい凹凸デザイン。ここはふつうのコンサートホールっぽいです.


全体に木目調の木のホールである。

壁は木のパネルを使っていた。
床は木材フローリングである。


でもホール建設自体が木造建築というわけではなく、内部は鉄筋コンクリートである。コンクリート打ちっぱなし。そして音の反射をつかさどるところのホール内装表面に木材を使っているという感じなのであろう。


一般家庭の住宅もそうであるが、壁などの内部の構造に空洞があると、音が共振して濁りやすく極めて音響の悪化をもたらす。だから壁内部はコンクリートでガチガチに固く造って、表面のみを木材でコーティングすることで周波数特性を整えている、と予想するのであるが、どうであろう。。。


天井はかなり高い。


ただし、この天井、高さを可変できる天井可変装置だそうで、ホール全体の容積を変えることで、残響時間を変えることが可能なのだそうである。ステージ上で演奏される音楽に応じて、その残響時間を可変できるようになっている。クラシックだけに限らず多ジャンルの演奏形式に対応することを目的としている。


残響時間は、1.7秒~2.4秒とされている。


天井は、首都圏のふつうのコンサートホールの天井に見られるような、音響操作デザインはなくこれまた、あまりに平坦で驚いてしまう。(笑)外光用の電気が一面に施され、このような感じになっているのもあまりコンサートホールっぽくない。


こんなんでいいのかな?と心配してしまう。(笑)


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シューボックスなので凝縮された濃い音空間である。


木のホールだと音の輪郭、角がまるいウォームな響き、暖かい響きを想像しがちであるが、そんな極端な聴こえ方はしなかった。あまりそんなに木のホールという聴こえ方はしなかった。


音像は極めて明晰で、音の輪郭もしっかりしており、どちらかというとウォームな響きとは正反対にあるようなメリハリのある響きだと感じた。


弦楽器の音も解像感があって、籠っていたりしない。
ピアノの音も煌びやかである。

音場も広く素晴らしい。


自分の座席が中央で、前方寄りなので、より直接音がしっかり届き、響きに混じり込んでしまう感覚にならなかったことも要因のひとつであろう。


そして表面は木のパネルだけど、その建築の内部はコンクリート打ちっぱなしというのもじつはその真の理由にあるのかもしれない。


ホールの音響としては文句なく素晴らしく、世間一般で言われるような木のホールの代表的な聴こえ方はせず、もっと普通にいい響き、聴こえ方をした、という感じなのである。


まぁ経験回数が少ないですからね。


それこそ、サントリーホールやミューザ川崎、東京文化会館のように数えきれないほど体験しないと、そこのホールの響きの真の姿は語れませんね。




そして、5年前にはなくて、今回初めて目にした奏楽堂のパイプオルガン。
これは本当に圧倒された。見る限り本当に圧倒されるのである。


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フランス、ガルニエ社製パイプオルガン。
3手鍵盤、足鍵盤、ストップ数76である。 


実際コンサートではこのパイプオルガンの音色も聴いた。


もちろんゴージャスな音なのだけれど、普段いろいろなホールで聴いているオルガンの音とは結構違うような気がする。かなり違います。低音の量感という感覚でちょっと違う。


深く縦方向に沈み込む音ではなく、そういう深さ方向があまりない軽い明るさというのか、うまく表現できないけれど、ちょっと違う感じがしたなー。


これはこれでいい音色だとはもちろん思います。
フランス、ガルニエ社製といえば有名ですよね。


パイプオルガンも1台1台で本当にいろんな音色をもつ子供たちですね。


そして、この日のコンサートでは、東京・春・音楽祭ライブ・ストリーミングがおこなわれていたのでした。


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総じて、東京藝術大学の奏楽堂は、木のシューボックスのホールであるが、木造の音響らしくない響きだった。ホール内装空間デザインも、ふつうのコンサートホールっぽくないとても平坦な感じである。。。と言えるのではないだろうか。


音響設計は、永田音響設計です。


この東京藝術大学キャンパスの奏楽堂の素晴らしさ、木のホールらしさ、というのは、その実際聴こえる響きの聴こえ方というよりは、その視覚的な木材の柔らかさ、五感、視覚的に優しいところと言えるのではないだろうか?


そんな印象を抱いた。



この日のコンサートは、東京・春・音楽祭2021 ベンジャミン・ブリテンの世界 番外編。


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数年前から、この音楽祭でシリーズで取り扱われていたコンサート。そのときから自分の中で気になっていた存在ではあった。ブリテンは、普段のコンサートではあまり取り扱われない作曲家だと思ったので、ぜひ今年は!と思い行ってみることにした。


加藤昌則さんが企画構成されているシリーズで、加藤さんによるレクチャー型のコンサートである。


去年がコロナで中止になってしまい、今年は番外編ということで、特別に企画されたコンサートである。自分もブリテンは、なかなかこういう機会がないと自分から聴こうとは思わないので、とても勉強になり刺激を受けた。


加藤さんの能弁でとても流暢な語り口に感動しながら、20世紀英国を生きた、才能溢れる作曲家ブリテンの肖像、その世界を堪能させてもらった。


自分には持っていない世界で、本当に大きな刺激であった。


ブリテンが普段から持ち歩いていたリコーダーについても、このコンサートを体験しなければ、改めてこうやって単独で聴く、という機会もなかったであろう。


来年の本番であるブリテンのオペラ「ノアの洪水」。ぜひ参加させていただこう、と決意した次第である。



東京・春・音楽祭2021 ベンジャミン・ブリテンの世界 番外編
20世紀英国を生きた、才知溢れる作曲家の肖像


2021.4.11(日)15:00~ 東京藝術大学奏楽堂


ブリテン


アルプス組曲
ヴィットリアの主題による前奏曲とフーガ
子守歌のお守り op.41より
ウィリアム・ブレイクの歌と格言 op.74より


(休憩)


ジミーのために~ティンパニーとピアノのための

◎レクチャー・コーナー
歌劇<ノアの洪水>
シンプル・シンフォニー op.74(弦楽五重奏版)


出演

企画構成/ピアノ/お話:加藤昌則
バリトン:宮本益光
メゾ・ソプラノ:波多野睦美
ヴァイオリン:川田知子、吉村知子
ヴィオラ:須田祥子
チェロ:小川和久
コントラバス:池松宏
リコーダー:吉澤実、池田順子、中村友美
打楽器:神田佳子
オルガン:三浦麻里









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