下北沢本多劇場 [演劇]
若者の街、サブカルの街、そして演劇の街、わが青春のまち、下北沢、いやもとい下北 (シモキタ)に再凱旋である。下北沢本多劇場で舞台を観劇するためである。
お昼頃、下北に着いたので、そのまま無添加薬膳スープカレーCOSMOSへ。20種類の野菜と豚角煮のスープカレーを頼んだつもりが、店員さんが勘違いして、20種類の野菜とチキンレッグのスープカレーがやってきた。
まぁよい。謝る店員さんに、いいよいいよ、チキンレッグも食べたかったから。
それでも気が済まない店員さん、ソフトドリンクを1杯無料でごちそうしてくれた。
ごっそうさん。
スープカレー、美味しかった~。
さて、観劇は18:00からだから、開場時間含めてもあと5時間くらいどこかで時間を潰さないといけない。下北は、あういう街柄だからお洒落な気の利いたカフェとか昔懐かしの昭和の純喫茶とか意外やないんだよね。
そこで思い出した下北の南口エリアにあるミスド。(ミスタードーナッツ)
ここは自分の記憶によると36年前からずっとあるような記憶があるのだけれど、中に入ったら、もう全然別世界。たぶん自分の勘違いかもしれないな。
とにかく、ここミスドの2Fでドリンクとドーナッツで、休憩、時間を潰すことにした。
暇を持て余すんだろうな・・・。
・・・そう思いきや・・・ところがどっこい。驚くような光景が待っていた。
つぎからつぎへとやってきてあっという間に2Fは満席。それもみんなファッショナブルな若者ばかり。女性はすごい美人が多いし、ファッショナブルでカッコいい~。男性も細身でダンディで、カジュアルな服装でカッコいんだよね~。男女のカップルが多いけど、女性友人同士、男性友人同士も多い。
とにかく若いエネルギー満載という感じで、フロア内はすごく活気づいている。
若い人、若者って本当にカッコいい。
そんなカップル同士、友人同士の話している姿がなんとも絵になっているんだよね~。
若者らしいカジュアルなんだけど、ファッショナブルでセンスがよくて・・・。
そしてキャピキャピモードで絶賛トーク中である。
この世界はもう完璧に自分にとって異次元の世界であった。(笑)普段いる世界とはまったく別の世界であった。ジェネレーション・ギャップを感じたことはもちろんである。
でも何度もいうけど若い人カッコいいよ~。
自分の歳になるとカッコいいというのは大人の高級なダンディ・・・こんな雰囲気な部類になってしまう。でも若者世代のカッコよさはカジュアルでフレンドリーでお洒落。そんな軽さがある。なんか自分が遠く昔に忘れかけていたもの・・・こんなカッコよさもあったな~ってな感じである。
う~む、カルチャーショックだったな~。
もうその若者たちのお喋りしている姿をただ眺めているだけで、もう最高だった。5時間もミスドに居た訳だが、満席のお客はつぎつぎチェンジしていく訳だが、それを眺めているだけで最高に楽しかった。
まさにフロアは全員若者である。下北というまちは、まず高齢者はいません。若者だけで構成されている街といっていい。
自分は、そんなファッショナブルでカッコイイ若者たちの中にカメレオンのように紛れ込んで、1人初老のおじさんがソフトドリンクとドーナッツを食べながら、その若者空間の中に保護色になって同化していたのである。(笑)
みんな誰も自分のことなんて気にしない。誰も自分のような高齢者がいることを不思議に思わない。
自分は新しいお楽しみスポットを見つけたかもしれない。
若者空間の中を楽しみたいのなら、下北の南口エリアのミスドの2Fである。
ここが最高の穴場である。ここに陣取っていれば、あなたは現代の若者の空気、若者空間の中に身を潜めて楽しむことができるのです。
大きな発見でした。(笑)
さて、前振りが長くなりました。
ようやく下北沢本多劇場。
下北沢の演劇専用の民営劇場である。
下北沢が演劇の街と呼ばれるのも、この本多劇場があることで、演劇のメッカになっていることが影響があると言われている。若い芸人さんたちは、みんなこの本多劇場で舞台を踏めることを夢に見るんだよね~。
本多劇場グループ代表の本多一夫により銭湯の跡地に、1982年11月3日に開場した。こけら落しを飾った作品は唐十郎作の『秘密の花園』。下北沢が「演劇の街」と呼ばれるのはこの本多劇場の存在が影響している。
思っていたほど、そんなに古くもない。1987年に自分は上京。そしてここから1994年までの7年間。下北に通い詰めた訳だが、本多劇場も1982年開場と言うことは当時としても新しかったんですね。
本多劇場は2Fにある。
そのビルの1Fと2Fには下北沢マルシェがあって、雑貨、古着などいかにも下北らしいそんな販売店がそこにひしめき合っていた。
レコード店もありました。漁っていく?(笑)
開場するとホワイエが現れる。まっ特段そんなに普通ですよね。
そしていよいよ下北沢本多劇場の劇場空間に入場。
客席は1フロア、客席数は386席。
客席は、かなりの急こう配で舞台の視認性はとてもいい。
役者さん、俳優さんの地声による舞台だから、そんなに広くはできない。これは確信持てなかったけど、PAは使わないんだろうな。ナレーターや効果音、音楽にはPAを使うことはあっても、役者さんのセリフにはPAは使わない。
ヘッドセット、ヘッドマイクは顔にはつけない。つけたら興ざめしちゃうから、やはり地声でやってほしいな、という想いが自分にはあった。
・・・役者さんはやはりちゃんと地声でやっていらっしゃいました。
そのためには、劇場空間としては、この386席というのが限界容積なのであろう。オペラ歌手じゃないんだから。(笑)
PAをやるためのSPは劇場内に設置はされているようでした。
舞台装置は非常にシンプル。そんなに制作費用もかけられないだろうから、ストーリーを展開していく上で最低限の機能のスペース、間取りがあればいいという感じで、非常にシンプルだった。表面が石造りのような塗装を想像させるイメージ。舞台転換はない。この舞台装置だけで全ストーリーを進めていく。
自分はこの座席からステージを観劇させていただきました。
さて、下北沢本多劇場でなにを観劇するか?
自分は公演カレンダーを見ながら熟慮して、これに決めた。
カモメよ、そこから銀座は見えるか?
やっぱりフライヤー、ポスターのイメージで選んでしまった。やっぱり他の作品と比べて、作品自体に若々しさ、若いイメージがあって、自分はこういう感じの雰囲気が好き。どうせ見るなら若い人のお芝居が見たいと思って、この作品にした。
主演の黒島結菜さんがすごい魅力的に感じた。いいな~、素敵だな~という感じ。
M&Oplaysプロデュースで、岩松了さん作・演出。
岩松了さんと主演の黒島結菜さん。
・カモメよ、そこから銀座は見えるか?
年の瀬の銀座を舞台に、肩を寄せ合って生きてきた兄妹が、かつて家庭を崩壊させた父の愛人と出会い、徐々に打ち解けてゆく”赦し”の物語である。
以下の写真は、主催者側から公開された写真である。
まず、自分が役者さんたち、俳優さんたちの舞台を初めて観劇して、めちゃめちゃ驚いたこと。それは発声、演技ともにものすごいメリハリ、切れがあること。俳優さんや役者さんたちにとって、映画、テレビのドラマで撮影するのとは、舞台は完全に別次元のお仕事なのだということがわかった。
まず驚いたのは発声。どの役者さんもすごいよく通る声で、かなり大きな声。芝居の場面としては、別に大きな声を出すところでもなければ、どちらかというと小声であるようなところも、はっきりくっきり明快でじつによく通る声で大声で話す。さすがプロだな~と驚いたとともに、これは映画、ドラマの撮影とは全然別物だな、と直感した。
そして演技そのものもすごいキレがあって、オーバーアクションといおうか、いわゆる舞台版という感じなんだよね。これはおそらく舞台という実空間で演技を披露する訳だから、ふつうの日常動作ではお客さんは気づきにくい訳で、386席という大空間のお客さん全員にはっきり認識してもらうためには、舞台上の役者さんは、ややオーバーアクション気味にメリハリの効いた演技表現が必要になるんでしょうね。
舞台の作品は、役者さんたちの休憩時間のない2時間なら2時間で、役者さんたちの動きだけで物語を展開して行かないといけない。そうするとセリフの物言いが明快で大きいこと、そしてオーバーアクション気味でもいいから演技もメリハリがあること。そして進行テンポもこれは舞台独特のリズム感の良さというか、小気味いい進行というか・・・。
そして休憩時間なく、役者さんの舞台上のセリフ、動きだけで物語を進行して行かないといけないこの緊迫感というか綱渡りのようなスリリングな感覚。
舞台はこれは演劇文化として、映画・ドラマとはまったく別物だな~、と自分はまずこの点だけで大きく感銘を受けた。
とにかく役者さんの声がすごい大きいのです。もちろんPAなんか使いません。386席に隅々にいき渡るほど、完璧なまでによく劇場内を通る声。驚きました。そしてキレのある演技。
普段の映画やドラマの演技って、もっと普通っぽい、いわゆる普通の空間で、人間が普通に会話している、そこをそのまま撮りますよね。これは演技についても同じ。ふつうな日常動作を撮るのみ。音声の場合は、それをアフレコなのかもしれませんし。
映画・ドラマというのは、発声、演技ともにあくまでふつうの日常なのです。でも舞台は全然違うんだな。発声、演技ともに完璧な舞台専用モードが役者さん、俳優さんには必要なんだ、ということがよく分かりました。舞台を専門にやっている役者さんとかもいますよね。そういうことなのかな、とも思いました。
映画・ドラマと舞台はまったくの別物であることがよく理解できました。
自分は、映画やドラマはもちろん大好きでその年に人気のあったドラマや映画は必ず見るようにしていますが、舞台だけは縁がなかったんですね。いままで1回しかなくて、それも友人からの招待で、渋谷の劇場でなんかアングラ劇団のアングラお芝居のような類で、ふ~ん、まっもういっかな?という感じの印象しかなかった。
だから舞台の観劇としては、今回の観劇が初挑戦といってもいいかもしれなかったです。
大きな勉強でした。
主演の黒島結菜さん目当てだったので、とてもよかったです。やはり声の発声が素晴らしく、じつによく通る声でいい声していました。心揺れうごく繊細な主人公を見事に演じていたと思います。ブラボーでした。
男性陣もみんな素晴らしかったですが、自分は舞台役者さんたちに疎いので、よく存じ上げていない不勉強者なのですが、男性陣もみんなよく声がよく通って、メリハリの効いた演技、アクション、これぞまさに舞台!という感じがよく伝わって来て名演だったと思います。
父の愛人役だった松雪泰子さん。松雪さんはもうテレビなどでたくさんご活躍されていて有名俳優さんなので、よく存じ上げていましたが、松雪さんも凄かったんだよな~。すごい存在感!!!やっぱり声の発声がぜんぜん完璧なまでに舞台モード。すばらしい声量と、明晰な声質でさすが!!と唸らざるを得なかったです。
とくに自分が参ってしまったのは、大人の女性としての色気なんですね。(笑)出演者はみんな若い役者さんたちばかりだから、その中で松雪さんの声は、愛人という役柄もあるのでしょうけど、妙に色っぽいというか、大人の女性だな~という妖艶さがあって自分はかなりヤラレました。ちょっとメロメロという感じになってしまいました(笑)
愛人。。。大人の女性・・・なんかすべてがピッタリ。さすが役作り、ベテランの境地だと思いました。やっぱりベテラン女優さん、存在感として際立っていたように感じました。
この日の舞台は、完売御礼でした。386席満員でした。驚きですね~。やっぱり舞台ファンというのもあるんですね。そういう層があるんですね。みんなすごい熱心なんですね。舞台ならではの醍醐味、楽しさというのがあるんですね。映画やドラマでは満たせないものなんですね。
脚本家の三谷幸喜さんがコラムで仰っていたことに、
舞台というのは、役者さん、俳優さんのそのままの素が全部観客に見えてしまう勝負の場所のように思います。映画やドラマですと、カメラというフィルタを通して視聴者に届き、その途中の経過でカット割り含め監督、編集者の意図で役者さんたちの演技、見え方に加工をすることもできます。でも舞台は自分そのものがそのままリアルタイムで観客に見えてしまう。そこでの芝居は、まさに役者さん、俳優さんのその人が全部現れてしまう勝負処なんだと思います。
だから役者、俳優としての下手さ加減もリアルで露呈してしまう。そういう意味で舞台は難しいし、勝負の場所なんだと思います。
これはまさに実感として、より一層理解できるようになりました。
しかし、役者さん、俳優さん、ホントにすごいですねぇ。
自分は、クラシック音楽、ジャズ、ロック、ポップスなど音楽が大好きな人生を送ってきたのですが、みんなやっぱりプロですよね。オレはみんなこれでご飯食べてきているんだ、というプロ意識満載ですよね。
人間、この世に生を受けて生きている以上、かならず、これでオレはメシを喰ってる、という才能がどの方にもありますよね。
そのことをまざまざと認識した舞台観劇でありました。
下北沢本多劇場、十二分に体験、楽しませていただきました。
舞台観劇、つぎにいよいよバースタインの最高傑作「ウエストサイドストーリー」のブロードウエイ・ミュージカル版を渋谷東急シアターオーブで観ます。映画では拝見しましたが、ミュージカルは初めて!ウエストサイドストーリーは、やはりミュージカルが原点!ミュージカルでこの名作を観ないといけませんね。
しかもミュージカルの本場のブロードウエイ・ミュージカル!
すごく楽しみにしています~。
終演後、さらにふたたび無添加薬膳カレーCOSMOSをもう一回再訪し、しつこくもう一回、20種類の野菜と豚角煮のスープカレーを注文したところ、今度はちゃんと豚角煮のほうのスープカレーが届きました。(笑)
1日に2回、COSMOSのスープカレーをいただくとは!(笑)
ここのスープカレー美味しいです。お勧めです!