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知的財産エンターティメント [ライセンス・知財]

日テレ毎週水曜日の10時からの知的財産エンターティメント「それってパクリじゃないですか?」、通称「それパク」観てますよ~。


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いやぁ~もううれしくて、うれしくて。ドラマで、知的財産、知財をテーマにするなんて、初めてのことじゃないでしょうか?


ドラマ初の試みですね。もう毎回、すごく刺激的で。グサグサ刺さってくる。知財というと、世間一般的に、やはり難しいものと思われているところがあって、やはり専門的な分野で、専門知識も多いので、取っ付きにくいですよね。


やはり実務を経験しないとダメだと思います。

国家試験の知財検定とかあるけど、否定はしませんが、やはり実務ありきですね。

実務で覚えるものですね。


このドラマで驚くのは、その脚本の巧妙さでしょうか。

もうプロですね。(笑)


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知財の専門的な知識を、いかに庶民にわかりやすいように、かみ砕いてドラマの脚本作りをしているか、本当に毎回驚きます。1話完結型ですが、かならず1話ごとに知財の世界のcommon senseを新しい知財の専門知識として勉強できるように、かならず1アイテム、2アイテム盛り込んでますよね。


もうこの脚本家は知財のプロというか、その筋の業界の方がやっているな、と思いますね。


原作は、漫画「それってパクリじゃないですか?新米知的財産部員のお仕事」。


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奥乃桜子さんのお仕事小説ですが、一度読んでみたいです。業界筋の人で読んだ人の感想によると、かなり現場の言葉がボンボンと出てくるし、知財の世界が分かっていないと書けないというか驚くらしいですよ。


のだめカンタービレのときもあまりにクラシックのことをよくわかっている描写で驚いた。。。そんな感じらしいです。


特許庁も出てきましたからね。(笑)

本物の特許庁審査官もドラマに特別出演してました。

もう驚きました。


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特許庁も全面協力ですよ。普段は絶対カメラが入れないようなところも公開して撮影協力したらしいです。審査官と面会室での撮影をしていましたね。すごいです。


知的財産、知財をテーマにして、世間はどこまで喜んでいるかわかりませんが(笑)、知財業界、その業界で生きている人は、もうみんな大喜びですよ。SNSのタイムラインは1話終わるごとに業界筋では大騒ぎです。


知的財産の業界あげて、このドラマをバックアップしてますね。


コミカルなのがいいですね。難しい世界なのに、小難しくならないように、テンポが良くて、明るくコミカルなのがいいです。


とにかく自分が毎回驚くのは、その脚本の巧妙さです。本当によくできている。業界のことをよく知っていて、毎回新しい業界の常識を盛り込んでくる。

本当に驚きです。


キャスト、役者さんたちもみんな魅力的です。とてもグーです。


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自分が観ていて思わずドキッとするのは、”侵害”という言葉がよく使われることです。

侵害とか抵触という言葉は、この世界ではとてもデリケートな言葉で、あまり使うことに躊躇してしまう用語です。自分はかなり抵抗あります。


たとえば自分の会社の製品が、他社の特許を侵害、あるいは抵触しているときに、そのことをメールで書いたりすることはご法度なことなのです。


大変なリスクがあります。


他社から訴訟で提訴されたときに、最悪のときは、裁判所から証拠として、社内の資料を全部提出することを命令されたりすることもあります。もちろん証拠隠滅のような行為をしたりすると大変なことになります。


ディスカバリー、Discoveryと呼ばれるもので、証拠として、会社の設計資料や各個人端末のメールとか全部裁判所、というか弁護士に提出することを命令されます。紙書類はコピーして、電子化したりして提出します。電子化するので、Discoveryの中でもそれをe-Discoveryといいます。


自分の会社も他社から裁判所に提訴されて、e-Discoveryをやったことありますよ。

もうそれは大変です。棚にあるファイルをページ1枚1枚片っ端からコピーして電子化するのです。またIT部に協力をしてもらって、個人端末のメールも全部アーカイブからなにから提出します。当時の自分は若かったのでなんでもやっていたところがあって、あのe-Discoveryだけは、もうあまりに単純作業過ぎて辛かったです~。


もちろんそれらの資料は日本語で書かれてますので、弁護士のほうではそれを英語に翻訳するのです。もう全部の資料です。気が遠くなる作業です。訴訟、提訴されるのは、通常訴訟社会の米国なので、英語に翻訳します。


もし、その中に、自分の会社の製品が、他社のこの特許を侵害している、という記述があったら、もうそれでアウトです。自分の会社の製品が、他社の特許を侵害している、ということを自分達で認めていながら、実際そうやって侵害行為をしていた、つまり知っていて故意に、意図的にやっていた、というように判断され、これは大変重い罪になります。


そういう証拠が見つかったら、”3倍賠償”と言って、通常の訴訟額の3倍を払わないといけない、というそういう米国訴訟でのルールがあるのです。実際、こういう証拠が見つかってしまい、3倍の訴訟額を払って、会社の経営に大きいインパクトを与えてしまい、会社が傾きかけた会社もいっぱいあるのです。


ですから、侵害している、とか、抵触している、とか、メールや文書などの書面では絶対残さないことなのです。もちろん侵害や抵触だけじゃないです。それ以外にも知財の世界ではいろいろタブーな言葉は、あまり記録として残すようなことはしないことが肝要なのです。だから普段のメールでもそういうセンシティヴな言葉、内容は、絶対メールでは書きません。


すべて電話で言葉で話します。


だから、そういうリスクのあることは、なるべく記録として残さないという注意が必要なのです。もうこれは感覚ですね。個人の注意というか、感覚の問題、素養が求められます。


だから、自分は、侵害とか抵触という言葉は、なかなか怖くて書くことは絶対しませんが、あまり使いたくない言葉なのです。(笑)


あと、他社特許侵害で、ライセンス料を求められる、つまりライセンスオファーされる件ですが、高額を請求される、という話がドラマではよく出てきます。


これは実際あり得ます。


自分の場合は、技術ライセンス、技術特許ですが、そういうことがないように規格必須特許は、パテントプールや特許プールという団体がいます。MPEG画像圧縮とかAAC音声圧縮とか、デジタル放送とか規格必須特許は、もういろいろな企業が特許を出願していて、それを管理している団体がいます。


そういうパテントプールで管理してもらうと、やはり規格必須特許なので、やはり普及させることが第一目標なので、レートはなるべく安価で、誰もが気安く使えるような低価格なレートで運営してくれるのです。


だからどの企業も安心して使えるというか、プール団体だったら安心して、信頼して使えるということで、ロイヤリティを払って技術を使ってくれるのです。


だからその技術は普及します。


もし、こういうプール団体がいなかったらどうなるか?

もう個人の会社単位で、必須特許を持っていたりすると、オレの特許はかなり規格必須だぞ、ということで、高額なロイヤリティをふっかけてくるのです。


高飛車な態度なのです。


それじゃ普及しませんよね。

交渉難航します。


MPEG画像圧縮、AAC音声圧縮、デジタル放送、DVD、Blu-rayとかみんな規格必須特許ですね。まず普及しないとダメですから、そういう意味で、そういうライセンス面で独り歩きしないように、パテントプール、特許プールという団体が管理することで、安価なレートで運営してくれて、信頼も多く寄せられ、安定している団体なので、その技術が普及するのです。


ドラマを見ていて、そこが技術の世界とはちょっと違うかなと思いました。


それにしても、とにかくめちゃめちゃ興奮するドラマです。

よくぞ、この知的財産をテーマにしたドラマを制作する、という企画を立ててくれたな、と感謝したいです。


最終回まで、いろいろ楽しみに突っ走りたいです。


毎週水曜日10時はほんとうに楽しみです。






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知的財産ライセンス許諾 [ライセンス・知財]

いま我が社はライセンス監査を受けている真っ最中である。自分も毎日大変です。技術の権利を保有している団体、企業のことをライセンサーといいます。ライセンサーからその技術の使用許諾を得て、その代わりにその対価(ロイヤリティ)を払う側をライセンシーといいます。


ライセンス監査というのは、監査期間というのを設けて、その期間の支払い状況をチェックするのです。ちゃんとロイヤリティを払っているかどうかを精査することをいいます。きちんと払っていない場合は、その分の未払金+利息+追徴金を支払わないといけません。


もううちは過去の監査のたびに膨大な金額を払ってきたので(笑)、もう監査がやってくる、となるといつもビビってしまい、大変な一大事なのです。


実際の監査は、ライセンサーがやるのではないのです。監査を専門にやる監査法人という監査のプロがいるのです。ライセンサーはそこに依頼して(費用を払って)、いわゆる監査の代理人としてライセンシーと相対する訳です。



我々が監査で相手にするのはこの監査法人です。通称”監査人”といいます。


監査のプロですから、もう膨大な営業売上データを解析する、膨大な販売モデル名を瞬時に把握する、そういう才能に長けたプロの集団です。


監査人にはいろいろピンキリいるんですね。かなりラフでずぼらな監査人もいれば、かなり性格の悪い、見るところが細かくて、いかに我々からふんだくってやろうか、という意欲満々の監査人から、もうすごいバラエティに富んでます。


我々からいえば、今回あたった監査人の良し悪しによって、その監査が天国で快適か、地獄の相を呈するか分かれるのです。


監査のときは、もう大変です。会社の組織全般総動員で取り組む必要があります。監査人から、これらの提出データを提出してください、という要求があります。もう監査期間中の売上データ、それも単体だけでなく連結も含めて、とか。そのほか膨大な資料を提出します。


監査人って、ほんとうにすごいな、と思うのは、この膨大なデータ資料をぜんぶつぶさに解析するんですね。すごい能力です。


監査は、時間的工数だけでなく、費用的にもいろいろ大変です。いわゆる監査費用です。


どの技術契約もそうですが、監査で何パーセント以上の間違いがあった場合は、監査費用はライセンシーが負担するというような条項が契約書に記載されていることが多いです。


そうなるともう膨大な監査費用を請求されるのです。監査結果による未払金+利息+追徴金のほかに、この監査費用となるともう目も当てられない大変な出費です。


監査費用は、時給、日給になっていて、監査が長引けば長引くほどどんどん費用がかさんでいくのです。


監査結果がけじまって、監査人は監査報告書というのを作成して、ライセンサーに報告します。それでその報告結果に応じて、費用のやりとり、支払い関係をライセンシーと交渉するという感じでしょうか。


もうライセンス管理を仕事をする者にとって監査ほど恐怖なものはないですね。


いま音声圧縮技術AACの権利保有者であるVia Licensingによる監査を受けています。


自分も含めて、オーディオファンはAACをバカにする人多いじゃないですか。そりゃわかりますよ。音声のデータを間引いて圧縮するなんて音が悪くなる。。AACなんて普及レベルのコーデックということでバカにする人が大半だと思います。とくにオーディオ業界に従事している方々には。


でもですよ。いまのAACがいかに世界中で普及して、もうあたりまえの技術として、もうどんな商品にでも使われているかご存じですか?


USBメモリー、PC、デジタル放送の音声、Bluetoothの音声、欧州のデジタルラジオ、iPod/iPadの音声、カー製品などの車載機器・・・もうこれだけでは済まないくらい、もうあらゆるところに使われているのです。


技術を開発する権利側にとって、もっともその技術を活用できるやり方というのが、技術ライセンス許諾というやり方です。技術の使用を許諾する代わりにロイヤリティを払え、というお金儲けのビジネスです。


うちの会社だけで、このAACを使うことで、年間何十億以上払ってますから。そうしたら日本中の企業、世界中の企業でみんなAACを使っているんだから、Via Licensingは年間だけでも、いったいいくらの金を儲けているんだ?と思いますよね。


彼は本当に大金持ちなのです。


やれ、DSDだ、ハイレゾだ、とか高音質を謳っても、根本お金がなくて技術を維持していくのがだんだんジリ貧になっていく。。。そして消滅。


悔しいかな、金が稼げているというのが正義なのかもしれません。


AACなんて、AACなんて問題外、AACは音が悪い、なんて言ってたって、実際問題、世界中でありとあらゆるところで普及して、ライセンス契約でこれだけ膨大な富を得ているんですから、結局最終的な勝者は誰なの?という感じです。


こういうやり方こそが、知的財産の正しい活用なのではないでしょうか?


特許には自社権利の保護、新技術の出願などいろいろやり方がありますが、究極はやっぱりお金を稼げる特許になることが最終目的なのではないでしょうか?


個人レベルの特許でライセンスオファーしても、相手が簡単に応じる訳もなく、実際放置されるのがオチでしょう。(笑)


金を稼げる特許というのは規格必須特許である場合が大半です。


規格必須特許というのは、画像であればMPEGであるとか、音声であればAACであるとか、世界のスタンダード規格として普及している技術の特許です。


これらの特許は世界中の技術メーカーが特許を出していますので、それらの特許を管理する団体がいるのです。それがパテントプールという団体です。


たとえばMPEG画像圧縮にしたって、もう世界中、日本中の最先端の有名企業が特許を出願していますね。パテントプールというのは、その特許群を管理している団体です。


この規格必須特許のライセンス契約、使用許諾契約でロイヤリティを世界中の企業から徴収しているのは、このパテントプールの役割になります。


そして世界中から得たその膨大な収益をどうしているか、というと、そのパテントプールに所属している、つまりその技術の特許を出願しているメーカー達に分配するのです。お金を配るのです。


でも全員に等分で分配する訳ではありません。


出願特許の出願数の多い順に比例配分で分配されるのです。つまり特許出願で、より貢献している企業には、それだけの配分で収益金が分配されるのです。


だからパテントプールに所属している企業は、なるべく出願数を稼ぎたいがために、分割出願をどんどんやるのです。クレーム、請求項をいろいろ違うポイントから解釈して、ひとつの出願をどんどん分割していくのです。だから似たような特許がどんどん増えます。(笑)


これこそが、パテントプールに所属する企業の特許戦略です。分割出願をどんどんして、比例配分を多くする。


自分が知財にいたときはこのような感じだったのですが、いまは違うかもしれませんね。


パテントプールは、画像圧縮のMPEGであればMPEG LA、音声圧縮AACであれば、Via Licensing、日本のデジタル放送であればULDAGE(アルダージ)とかです。DVDのときは、DVD 3C/6C,Philips/Thomson 4C/3Cとかありましたね。


特許は、やはり発明というイメージがすごく大きくて、発明をすることで、特許出願しました、というポイントだけですげーとみんなから思われる。これが世間の特許に対するイメージですよね。


「特許出願する」


このことに最大な敬意を払う。


でも登録査定、特許査定になった特許は維持していくのが大変なのです。特許庁に毎年、年金を払っていかないといけないのです。支払いが滞ると特許査定取り消しになります。登録査定、特許査定の件数を自慢する、このテーマをこれだけ出願している!それで評価する傾向がありますね。


でも裏を返せば、それを今後維持していくのは膨大な金喰い虫である、ということですね。ただ、自社権利の保護だけじゃ無理ですね。死蔵特許ではだめですね。


やはりその特許を活用していかないとダメだと思います。

他社からお金を稼げる特許にならないとダメだと思います。


知的財産権のもっとも効果的な活用法はライセンス許諾契約だと自分は思います。そうなるような特許を出願できるといいと思います。個人レベルの特許ではなかなか難しく、やはり規格必須特許になりますね。こういうことができる特許と言うのは。。。


AACは音が悪いなんて、バカにするけど、これだけ金儲けしているんだから、最終的な勝者はじつは彼らなのではないでしょうか?(笑)


さて、いま自分がとりかかっている、その憎っくき相手、Via Licensingとはどんな団体なのか?ちょっと紹介してみます。



Via Licensing


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知的財産ソリューション企業


2002年の設立以来、Via Licensing はジョイント特許ライセンスソリューションによるイノベーションを可能にするための基準を設定してきました。Via チームは、何十年にもわたるイノベーションの歴史と業界のベストプラクティスを活用して、市場向けの創造的な新しい知的財産ライセンス許諾アプローチを継続的に開発しています。


Via Licensing の柔軟なソリューションは、従来のパテントプールモデルに基づいて構築されており、今日の複雑な IP市場に対応するプライベートな多極 IPライセンス許諾ソリューションを提供します。こうした公平、合理的で、高い透明性のある提供は次のような利点を含みます。


・新しい規格および技術の採用の加速

・グローバル エコシステム全体のコラボレーションの前進

・技術開発企業の継続的な収益化チャンスの育成

・ホールドアップとホールドアウトのリスクの軽減

・地域的 IP ライセンス許諾問題への対応


Via Licensing は、イノベーションおよび技術のライセンス許諾で 50 年を超える経験を持つ Dolby Laboratories, Inc. の独立管理子会社です。


なんと!Dolbyの子会社だったんですね!

自分は2016年にもDolby監査で散々な目に会いましたよ。


Via Licensing監査も今回で2回目。


こいつらには散々な目に会っています。(笑)


この人たちか・・・(^^;;


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経験豊富、高い透明性、信頼できる存在。


Via Licensing の連携ソリューションは、グローバルエコシステムを通して広範な業界の参加を促進します。1,000 を超えるライセンサーとライセンシーが Via Licensing の安定した知的財産ソリューションを頼りにしています。


Via Licensing は、メーカーが今日の製品の構築における基盤技術の実装に必要な知的財産の利用を合理化し、リスクと取引コストを削減できるようにします。また Via は、発明者がイノベーションにおける収益率を最大化し、開発した新しい規格や技術の適用を速めるように貢献します。


Via Licensing では現在、オーディオ、ワイヤレス、および他の産業で、影響力のある幅広い技術を網羅する 10 のライセンス許諾プログラムを提供しています。また当社は、IP リスク管理に関連する特許を取得して集約することにより Via のワイヤレスパテントプールが提供する価値の増大に取り組むパテントバンクを完全所有子会社として管理しています。



1,000を超えるライセンサーとライセンシーが、Via Licensingの知的財産IPを使っている???


我が社だけで年間10億以上としても、10億×1,000=10兆円!!!

なんと彼らは、自分のIPライセンスで、年間10兆円稼いでいるんですよ。


これこそが本当の勝者というものではないでしょうか?(笑)



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Via LicensingのIPライセンスの扱う分野は、


●オーディオ

Advanced Audio Coding (AAC)

MPEG-H 3D Audio

MPEG-4 SLS

MPEG Surround


●WIRELESS

WCDMA


●パテントバンク


●その他

OCAP tru2way

AGORA-C


●LEGACY PROGRAMS

LTE

4G Multi-Generational

DRM (レガシー)



あと何か月かかるだろうか・・・。いまのVia Licensing監査。。

この共同ライセンス許諾のリーダー、恐るべき相手であることがよくわかりました。






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属地主義と域外適用 [ライセンス・知財]

なかなか興味をひく面白いニュースを拝読した。結構突っ込みどころがいっぱいで、専門的に突っ込むと相当のスペースを必要のように思える。
                                                   
ドワンゴが、対FC2特許権侵害訴訟で敗訴
                                                   
こういう解釈ができると、今後のネット社会と、なんかいままで信じてきたものとの間にずれが生じてきて、これは結構考えどころじゃないかなとも思ったりする。
                                                   
株式会社ドワンゴが、ニコニコ動画におけるコメントの動画へのオーバーラップ表示に関する特許権に基づき動画配信業者FC2を提訴し、敗訴したというニュースだ。
                                                   
今回の判決では、FC2のシステムはドワンゴの特許発明の技術的範囲には属しているが、クレームの構成要件一部が日本国外で実施されているため、特許権侵害は成立しないという判決だそうだ。
                                                   
今回の特許ではシステム・クレームのみが権利化されており、ドワンゴは、FC2がコメントファイルと動画ファイルを米国内のサーバから日本国内のユーザー端末に送信することで当該システムを「生産」しているという理論構成で、侵害を主張したのだが、裁判所は、「上記の”生産”に当たるためには、特許発明の構成要件の全てを満たす物が、日本国内において新たに作り出されることが必要であると解すべきである」とし、一部の処理が米国内のサーバで実行されていることを理由として、特許権侵害を認めなかった。
                                                   
・・・ということだそうである。
                                                   
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特許で一番大事なところは、クレーム、請求項です。このクレームに、自分がこの出願で一番主張したいことを書きます。もちろんクレームは、本文に書いてある範囲内で書くことになります。本文に書いていないことをクレームで主張することはできないのです。いい特許、いいクレームを主張することは、その本文を書くところから頑張らないといけないのです。
                                                   
クレームには、システム・クレーム、方法クレーム、装置クレームという種類があり、どういうところを権利化したいのか、システム全体を権利化したいのか、方法を権利化したいのか、装置を権利化したいのか、というように権利化したい対象に応じて、クレームが変わります。
                                                   
実際は、クレームの一番最後を締める言葉が、システム、方法、装置となるだけの違いなのですが。また1件の特許で、これら全部のクレーム形態を全部含めるというのが通常です。
                                                   
相手に権利行使(ライセンスオファー)するときは、あるいは権利行使された場合は、当該特許のこのクレームが勝負になります。このクレームで判断します。
                                                   
相手から権利行使され、貴社の商品は、弊社のこの特許リストを侵害しているので、お金払ってちょうだい、という申し入れを受けたときに、本当にそうなのかどうかを検討します。
                                                   
そのとき、侵害しているか否かは、その特許のクレームで判断します。ちなみに、ここで言っている特許というのは、登録査定の特許です。特許として認められている、相手に権利行使できる特許です。ただ公開されているだけの公開公報ではそのような権利はありません。
                                                   
どうやって、その特許のクレームを使って侵害しているかを判断するか、というのは、まずその特許のクレームを構成要件ごとに分解します。構成要件A,B,C,D・・・というように細かくその構成要件ごとに分解するのです。
                                                   
そしてその構成要件ごとに自社の製品は合致するかどうかを確認していきます。たったひとつでも合致しない構成要件があれば、侵害しない。全部合致してしまった場合は、侵害する、です。
                                                   
このような検討表をクレーム・チャートといいます。
                                                   
パテントクリアランス、特許侵害調査は、このように特許ごとにクレームチャートを作って判断していきます。
                                                   
上記のドワンゴ特許訴訟の問題では、
                                                   
・そのクレームの構成要件のすべてを満たすものが、日本国内において新たに作りだされることが必要。
                                                   
・クレームの構成要件一部が日本国外で実施されているため、特許権侵害は成立しないという判決。
                                                   
という判決で、FC2のサーバーは米国内なので、侵害せずという判断なのか、と理解しました。
                                                   
はたして、そうなのか?
                                                   
う~むと思ってしまいました。このインターネット全盛の時代、国境を条件に厳密に判断していくのは、段々無理があるのではないか、と思うからです。相手の特許の権利から逃れるには、サーバーを海外に置いてしまえばいい、ということになってしまいますからね。
                                                   
特許の世界では、属地主義といって、特許権の効力はその国の中で閉じる、という暗黙の常識があります。日本の特許庁へ出願した特許は、日本国内のみに権利行使できます。海外には権利行使できないのです。
                                                   
海外に権利行使したい場合は、外国出願をします。まず国を特定しない中間位置のPCT出願をします。記述言語は英語です。そこから審査を経て、権利行使したい国に移行します。記述言語はその移行先の言語です。各国に移行してはじめて、その国で自分の特許が権利行使できるようになります。
                                                   
これは自分が現役時代に漠然と思ったことですが、外国出願ってなんでこんな二段構えなのかな、と思ったことがあって、それはいきなり各国に出願するのでは、その言語が大変なのでは、と想像しました。
                                                   
だって、韓国のハングル語でびっしり書かれた特許公報を読む気になりますか?(笑)
中国語の漢字体でびっしり書かれた特許公報を読む気になりますか?(笑)
                                                   
欧州各国の言語で書かれた特許公報についてもしかりです。
                                                   
その前段階として、英語で書かれて、内容を把握するための中間ポジションのPCT出願が必要なんだと思いました。
                                                   
特許の世界で花形なのは、やはり米国です。米国は訴訟社会なので、なんでも裁判で訴えてしまいます。だから知財訴訟とかも、世界と比較にならないほど米国では盛んで、米国訴訟でのそういう判例はある意味、いいお手本なのです。でもそういう背景にあっても、尚、彼らが主役なのは、やはり特許公報が英語で書かれているからではないかと自分は理解しているのです。
                                                   
英語で書かれているから、誰でも理解できるのです。米国特許USPは、世界共通の特許公報なのだと思うのです。自分は、欧州知財に興味があるのですが、現実問題、各国に移行された後のその国の言語で書かれた特許公報となるとなかなか障壁が高いのではないか、と思っています。
                                                                                                       
そういう訳で、知財の世界では米国が花形なのだろう、と理解しています。
                                                   
話が横道にそれてしまいましたが、そうすると、こういう出願した国のみで権利行使できる、という属地主義の原理はインターネットの国境を意識しないシームレスなビジネスは、だんだん時代に合わなくなってきているのではないか、と思ってしまいます。
                                                   
それが今回のドワンゴの判例を読んで自分がピンと思ったこと。
                                                   
じゃあ外国出願すれば済むことじゃないか、というかもしれませんが、言うのは簡単。外国出願って結構大変なんですよね。ものすごくお金がかかるし、世界全国になんて無理。有力国に絞って移行します。じゃないと費用とか管理とか大変です。
                                                   
こういう特許の権利行使の域外適用って、今後のインターネット全盛の時代は、とても重要になってくるのではないかと勘ですが思います。
                                                   
相手の特許から逃れるんだったら、サーバーを海外に置けばいい・・・てな論法ですからね。
                                                   
知財の世界は巨大なシステムで歴史があるので、大樹木でフットワークが重いんですよね。だからこういう網の目をくぐってくるようなカウンターには、弱いのです。パテントトロールもそうですね。相手は、そういう巨大なシステムをよく理解していて、それをうまくかいくぐってくる感じで攻めてくるので、なかなかそういう攻撃に弱いのです。
                                                   
フットワークが重いのです。
                                                   
なんか、今回のドワンゴの域外適用の判例を読んだとき、やはり新しい時代が着々と近寄ってきて、なんか時代に合わなくなってきている・・・そんな感じがしました。あくまで自分の勘ですが。。。
                                                   
この判決は、突っ込めば相当深い議論になると思うのですが、まずは自分が感覚的に思ったことをつらつらと書いてみました。
                                                   
                                                                                                     

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単語帳 [ライセンス・知財]

技術契約の場合、大半が外国企業とのやり取りになるので、契約書は英語が基本です。自分が扱う契約書の90%以上は英語じゃないでしょうか。
                                                  
読むたびに毎度思うことだが、契約書の英語って難しいんだよね。(笑)Legal、いわゆる法律、法務関係の専門用語の乱発なので、とても日常英会話、日常英語とはかけ離れている。こんな単語、普段の英語で使わないだろ!というような単語が多いです。
                                                  
契約書の中身については基本は、法務部門が精査するので、契約リスクの洗い出しについてはお任せすることが多いが、やはり自分も目を通しておかないといけない。
                                                   
そうすると自分が関与するLicense Fee関連、Penalty関連、単価テーブル、Payment/Reporting、報告・支払関連、訴訟時の責任分担などは必ず目を通します。
                                                   
ここは意外とどこのライセンサーでも同じ表現なので、平易な文で、しかも自分がもうベテランで読み慣れていることもあって、スイスイなのだが、契約書全部、きちんと完全読解しようと思うと、なかなか大変なもんです。
                                                   
契約書は日本語でも難しくて分かりずらいのに、英語だともっと大変ですね。(笑)契約書を読むたびに思うことですが、ものすごく責任を感じますよね。ここに書いてあることによって、今後の自分たちの行動にどう影響を及ぼしてくるか、その契約リスクを読み取って慎重に解析しないといけない。
                                                   
とてもシリアスになります。契約書を読むたびに毎回そう思います。契約書は非常にセキュリティ度の高い秘匿書類でもありますね。
                                                   
これはある意味、契約の当事者かどうかでその読み込み度が違うんですね。契約リスクをどう読み取るかは、やはり契約の当事者じゃないと実感が湧きにくいものなのです。
                                                   
自分はあくまで契約を管理する側の第三者であって、当事者ではないので、その契約書の内容のシリアス度について真剣になりにくいところがあるかもしれない。。。と最近自分はおもふ。
                                                   
他人が結んだ契約を、自分が管理する上で目を通す際は、相手の立場や事情が理解できていないと、なかなか把握は難しいかも。どうしても契約書の記載の上っ面のリスク回避程度なのでは、と思います。
                                                   
自分の場合、技術契約の使用許諾契約という契約ジャンルで、しかもLicense Fee,Payment/Reporting関連のみ目が真剣になる。
                                                   
でも契約書がカバーする範囲は、なかなか広いです。
                                                   
契約って、本当に世の中にありとあらゆる種類の契約があって、業務委託契約だとか、秘密保持契約(NDA)だとか、購買取引契約だったりとか、土地売買契約、マンション賃貸関係とか、もう世の中に無数にありますね。
                                                   
自分と相手との取り決めのルールを書面として残すのが契約書です。
                                                   
やはり契約書の文書は、一種独特の難しさとシリアスさがあって、しかも契約の当事者でないとなかなか取っ付きにくい、理解しずらいという性格の文書ですね。
                                                   
日本語の契約書は、甲乙表現ですね。読んでいくうちにどっちが甲だったっけ?どっちが乙だったけ?ってなりますね。(笑)英語の契約書であれば、序文にあたるWITNESSETHとかWHEREAS条項だったりしますね。
                                                   
契約書の文体は一種独特の文化です。
                                                   
いままでこのスタンスで接してきましたが、でもこのままでいいのかな、とふっと昨日思い、契約書に使われる難しい英単語を、自分の知識ライブラリーとして覚えていこうと思うことにしました。
                                                   
やはりその道のプロとして、と自分を啓蒙したい場合は、きちんとそこまで考えないと、ですかね。
                                                   
そこで、大学受験以来、使ったことのなかった単語帳を買ってみました。(笑)
                                                   
61JiLGy6oJL._AC_SL1400_.jpg
これで自分にとって新しい専門用語の英単語を覚えていこうと思います。
                                                   
でも契約書を実際作っているのは、弁護士とかプロだから、その弁護士によって使う専門用語が違っていたりすると思うんですよね。だからその契約の契約書単位で、同じ意味なのに、違う英単語が使われていたり、とか面倒だな、とは思います。
 
                                                   
                                                                                                     

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電子契約の最新情報 [ライセンス・知財]

PKIを学ぶことで、電子契約の骨子となっている技術(暗号)がわかりました。ここまでは、自分の昔取った杵柄なので、自分の得意な分野を披露するだけだから別に大したことはなし。


これからは電子契約について、自分は勉強する立場、学習する立場になります。


電子契約ってどんなものなのか?


結構Confidentialなことなのかな、と思っていたけれど、ネットで”電子契約”と検索すると、もう出てくる、出てくる。かなりon publicな内容のようです。


いろいろな記事を読むと、なるほどと思えることばかりで、いまの電子契約について世間に公開されている情報を紹介してみたいと思います。


何度も言いますが、これは文化庁のアーティストの業務委託契約の契約書問題だけの問題ではないのです。自分の業務の技術ライセンスの使用許諾契約にも関わってくることだから、他人事ではないのです。


自分のために書いているようなものです。



まず、これから紹介する各内容は、以下の情報・図を引用させていただいています。情報の出処をきちんと明示しておきたいと思います。


情報引用元:


電子契約の6つのメリットとは?デメリットや使わない理由も紹介



電子契約とは?書面契約や電子署名との違いや導入時の注意点を紹介!



電子契約サービスランキング



電子印鑑GMOサインの技術力

契約印相当と実印相当、2種類の電子署名に対応!



ゼロから学べる電子契約の基礎—電子契約の導入メリットと注意点




●電子契約とは


電子契約とは、電子署名を施した電子ファイルをインターネット上で交換して、企業等が保有するサーバーやクラウドストレージなどに保管しておく契約方式のこと。


これまでの書面の契約では、契約内容を記した紙にハンコによる「押印」やペンで「手書き署名」を行って証拠化していた。


電子契約では、パソコンやスマートフォンを使い、暗号技術を応用した「電子署名」と「タイムスタンプ」を電子ファイルに施すことで、スピーディかつ安全に当事者の合意の証を残すことができる。


書面の契約書と同様に、裁判で証拠としても扱われる。


書面契約と電子契約の違い.jpg

電子契約のイメージ


電子契約イメージ図.jpg


ここで、電子署名については、PKIの日記で書きましたね。公開鍵暗号方式とハッシュ関数を使う方式です。ここで新たに出てくるのは、タイムスタンプという技術です。これは自分も知りませんでした。タイムスタンプは時刻ですね。契約締結のときの時刻情報などを契約書に紐づける情報だと思います。


その時刻情報はどこから取ってくるのか、は自分が気になるところです。グリニッジ天文台の世界標準時計からじゃないとダメですね。(笑)タイムスタンプも信頼あるところからの情報じゃないとダメだと思います。


●公開鍵暗号方式とハッシュ関数を用いた電子署名


まず復習の意味も兼ねて、公開鍵暗号方式とハッシュ関数による電子署名について、もう一回おさらいします。


公開鍵暗号方式とハッシュ関数の電子署名.jpg

まず送信者は、契約書PDFをハッシュ関数をとってハッシュ値(MAC)をとります。これがこの契約書の中身を表す神様データです。


そしてこのハッシュ値(MAC)を自分の秘密鍵で暗号化します。


そして相手に、契約書PDFと、自分の秘密鍵で暗号化したハッシュ値(MAC)を送ります。このとき自分の秘密鍵とペアになる公開鍵もいっしょに渡します。秘密鍵は自分の中だけでしまっておく極秘の鍵ですが、公開鍵は公開してもいい鍵なので、これを相手に渡します。


これらを受け取った受信者は、相手の公開鍵で、そのハッシュ値(MAC)を復号化します。このとき暗号がちゃんと解けたら、これは、ちゃんとその相手から届いたものであることの証明になります。なぜなら、その相手の公開鍵で暗号が復号できた、ということは、その暗号は、その相手の秘密鍵で暗号化されていることになるからです。


そして、出てきたハッシュ値(MAC)と、送られてきた契約書PDFを自分のほうでもハッシュ関数を通してみて得られたハッシュ値と比較します。


それで同じであれば、それは契約書PDFの内容が改ざんされていない、一致していることの証明になります。


これが公開鍵暗号方式とハッシュ関数を用いた電子署名でしたね。内容が改ざんされていないこと、正しい相手から送られてきたこと、この両方を検証することをいいます。


相手の公開鍵は、相手からもらってもいいですが、第三者機関である認証局(CA)から取り寄せたほうが信頼度は大きいですね。



電子契約って、この電子署名がすべてといっていいんですね。この暗号技術が骨子技術になります。


じゃあ実際使うユーザーのほうで、このような公開鍵暗号方式とかハッシュ関数とかをいちいち理解していないといけないのか、というとそれはナンセンスですね。それじゃ普及しませんね。


自分も電子契約を使ったことないですが、なんでもこんな感じなんだそうです。


署名パネル.jpg


電子署名を施した契約書をPDF閲覧ソフトであるAdobe Reader(無料)で開くことによって右上の署名パネルというボタンを押すと、その署名パネル欄から以下の情報が確認することができ、証拠力の保持が確認できるんだそうです。


1.送信者および受信者が合意した日時(秒単位)。

2.送信者および受信者のメールアドレス。

3.締結後、署名内容に改ざんがなされていないこと。


1がタイムスタンプですね。2と3が公開鍵暗号方式とハッシュ関数による電子署名ですね。


だから難しい暗号セキュリティの技術のことを理解していなくても、こういう電子契約のアプリの中で、ユーザーはそれを意識せず、GUIの中で完結しているんですね。


たぶんそうだと思っていました。(笑)一般ユーザーにあまり暗号セキュリティうんぬんは、イケていないと思っていました。



●立会人型と当事者型(署名方式)


自分が、電子契約のことで今回新しく知ったのは、電子契約には、その署名方式に立会人型と当事者型と2タイプあるということでした。


立会人型


立会人型-1.jpg



当事者型


当事者型-1.jpg




ひと言で2つの署名方法の違いを表すと、電子証明書を必要とするのが「当事者型」(いわゆる認証局(CA)からきちんと電子証明書(公開鍵証明書)を入手する)。 一方、電子証明書を必要とせずメール認証などにより本人確認するものを「立会人型」と呼びます。


電子契約サービスを比較する際、この署名方法の違いを認識する必要がある理由は、「立会人型」では訴訟で不利になる可能性があるためです。


当事者型では、電子認証局で厳格な本人確認のもと発行された電子証明書を用いて契約締結する。 印鑑に例えると、実印における印鑑証明書=電子証明書だと考えてほしい。そのため、当事者型では本人性も担保される。


しかし、立会人型の本人性の担保は、電子契約サービス各社に委ねられている状況。各社、本人性担保のためのあらゆる対策をしていますが、立会人型の本人性に担保に関しては、実際に判例が出てこない限り判然としない部分でもあります。


よって、より安全・安心に電子契約サービスを導入していきたい会社は、当事者型を選択できる電子契約サービスを検討することをおすすめします。


やっぱりねぇ・・・公開鍵暗号方式を採用する場合は、絶対、認証局(CA)を入れたほうがいいんですよ。同じ公開鍵を入手するにしても相手からと、きちんと電子証明書(公開鍵証明書)として認証局(CA)から入手するのとでは全然信頼度が違います。


自分も今の会社で、ライセンス訴訟とか特許訴訟とかすごい身近なのですが、訴訟って面倒くさいよ~~~。(笑)かなり面倒で厄介なものです。そういう訴訟の場合、ちゃんとしたエビデンス、証拠力というのが立証される必要があって、そういうことを鑑みると、やっぱり電子契約サービスの中でも、署名方式は当事者型を選ぶことですね。


あとで一番最後に記しますが、いま巷でいろいろある電子契約サービスの中でも、この署名方式が立会人型と当事者型といろいろ採用するタイプがそのサービスによって違うんですよね。そこをよく注意して選んでほしい。


じつは、この当事者型と立会人型とガッチャンコしたハイブリッド型というのもあります。


ハイブリッド型


ハイブリッド型-2.jpg

自社は当事者型で、契約相手はメール認証による立会人型を利用することで、「契約相手の利便性」と「法的適合性・署名権限管理の担保」を両立できる、というものです。



●電子契約のメリット


①印紙税の削減

②事務労力・コストの削減

③契約締結までのリードタイムの短縮

④保管・管理の効率化

⑤リモートワーク対応が容易

⑥契約更新の確認漏れ防止


・・・ですかね。


①が一番大きいですね。印紙税はバカにならないです。契約書は原本が神様という文化から発生するものです。


紙の契約書は法律により、収入印紙を貼ることが義務付けられているのです。税額は契約の種別や契約金の大きさによって異なります。1件辺り200円~大きいものでは数十万円。1件の金額は高額でなくなくても、建設業・工事業・運送業など多くの請負契約を結ばなければならない企業にとっては大きな負担。


電子契約に切り替えた場合、契約書は法律で言うところの「課税物件に掲げる文書」ではなくなるため、印紙税が不要になります。


②は、まさに契約書の世界って原本が神様なんですが、その契約書原本にかかる費用です。


紙の契約書の場合、1つの契約を締結するまで多くの事務作業が必要になります。たとえば、「契約書を印刷し、製本する」「契約書に収入印紙を貼る」「封筒に宛名を記入する」「封筒に契約書を封入する」「郵便局に投函しに行く」など。


手間暇だけでなく、インク代・印刷代・郵送代などの事務コストも見逃せない部分です。


電子契約では、契約書のやりとりはインターネット上で行われます。電子ファイルをアップロードするだけで済むため「印刷・製本」「宛名書き」「封入・投函」などの事務作業は必要ありません。スタッフはその時間を他の作業に費やすことができます。インク代・印刷代・郵送代などのコストも省けます。



自分は思うんですが、自分の場合、あくまで企業が導入するかどうかの立場でしか、ものを考えられないのですが、企業が導入する場合、年間にいくらの契約を締結するかを割り出し、それにかかる事務労力・コストの算出、そしてそれにかかる印紙税を全部算出して、従来の方法だったら、これくらいかかるのが、電子契約に切り替えたら、これだけで済むから、それだけコストダウンのメリットがありますよ、というような検証の仕方をしていかないと踏み切れないと思うんですよね。


さらには企業の場合、もう過去にレガシーの膨大な紙の契約書原本を管理していますから、それをいまさら、ということはあると思うので、おそらくは紙と電子契約の両立という形にならざるを得ないと思うんですよね。


文化庁の契約書の場合は、これから導入という新しい分野ですので、電子契約オンリーでいいのだと思います。




書面による契約の締結は、印紙代、郵送代、印刷費、さらにはそれらの作業にかかる人件費や、書類の保管費(法人税法上、紙の契約書は7年間の保存義務)といった様々なコストが発生する。一件あたりの費用は数百円から数千円程度に過ぎなくても、総額では毎月数十万円以上の費用になっていることも少なくない。


電子契約を導入することで、契約書類はインターネット上でデータを受け渡しでき、そのままファイルとしてクラウド上に保管できるので、郵送費はもちろん、印刷費、物理的な保管スペース確保の費用などが不要になる。


また、ファイルをインターネット上にアップロードするだけなので、業務フローが簡素化され人件費も最小限にできる。



コスト削減.jpg

④も電子化すると、パッと検索できますし、契約種別管理もたやすいですね。


契約書というのはとてもセキュリティ度の高い、かなり秘匿性のある厳重管理が必要な書類ですので、アクセス制限とか厳重管理が容易くなるような気がします。


あと、企業向けとしてはワークフロー機能は絶対欲しいです。企業は承認プロセスなど、何段階にも渡っていろいろな人を経由しますので、ワークフローは絶対必須です。ワークフローがある電子契約サービスがいいですね。



●電子契約のデメリット



①すべての契約が電子契約に対応しているわけではない

②電子契約に切り替えるには取引先の協力が必要

③取引先の状況によってはサポートが不可欠


①は電子契約に対応していない契約というのはこういう契約があるそうです。


・定期借地契約・定期建物賃貸借契約

・宅地建物売買等媒介契約

・マンション管理業務委託契約

・訪問販売等特定商取引における交付書面

・労働者派遣(個別)契約 など


②、③は自分が初めてこの電子契約のことを知ったときに、とっさに思ったことです。ある意味、電子契約が普及しないとしたら、ネックになるとしたら、ここなんじゃないかな、と思いました。


契約というのは、相手、取引先があって初めて成り立つものなんですね。契約書というのは、自分と相手との取り決めのための文書になります。だから相手あってのこと。


自分の場合でいえば、技術ライセンスの相手、ライセンサーは、100~200ぐらい相手がいます。その相手が全部電子契約に切り替えるとは思えないんですよね。さらに後述しますが、巷にある電子契約サービスというのはいろいろな種類のサービスが存在しますから、その取引先によって、その使っている電子契約サービスが違っていたりして、それを全部自社のほうで吸収するのは、なかなかしんどいと思うのです。


相手が従来通り、紙がいいといえば、そうならざるを得ないし、やはり現実問題、契約書は紙と電子契約の両立という形が現実的なんじゃないかな、と予想します。


契約というものは、相手あってのものですね。


厄介だと思うのは、相手、取引先から電子契約使いたいんだけど・・・と来たらどう対応するか、ということです。(笑)これは日夜、自分が恐れおののいていることです。(笑)だからこそ、電子契約について、いまからいろいろ勉強しているのです。



自分が、電子契約について、一番納得いった文章が下記の文言です。これが一番妥当なんじゃないかな、現実的なんじゃないかな、ということ。電子帳簿保存法とか、もう請求書や伝票など紙で保存できなくなる時代、このデジタル化の波が押し寄せているときに電子契約は、どうしても考えないといけないことだけれど、下記の文言が一番妥当なんじゃないかな、と思いました。



電子契約に切り替える最も大きなメリットと期待されているのが「印紙代の削減」「事務労力・コストの削減」です。導入を検討する際には「月間、どれくらいの契約締結数があるのか」「どれくらい印紙代を支払っているのか」「契約締結のために事務工数がどれくらいかかっているのか」を試算してみましょう。


明らかなメリットがあれば電子契約を利用すべきですが、中には判断に迷う企業もあるはずです。たとえば、印紙代は契約類型・契約金額の大小により異なります。契約締結数がそれほど多くない場合は、コストメリットを実感しにくいかもしれません。また電子契約への切り替えは事務フローの見直しを必要とします。今のフローが上手くいっており「余計な手を加えたくない」という場合は、導入を見送るのも一つの見識です。


ただし、長い目で見ればデジタル化の潮流は避けて通れません。自社で切り替えなかったとしても、取引先から持ちかけられることを頭の隅に留めておきましょう。きたるべき時に備えて“契約締結数がここまで増えたら・これぐらいの事務コストがかかったら電子契約に切り替える”など、ある程度の導入ラインを考えておくことをお勧めします。



でも間違いないことは、企業の場合は、これは個人単位でできることでは到底なくて、法務部門、IT部門が先導を切って進めていかないといけないことですね。


それは間違いないことだと思いました。




最後に、いま巷にでている電子契約サービスの一覧表を添付します。こんなにたくさんのサービスが存在するんですね。機能別表にしてあります。


費用として月間1万円弱の費用がかかるようです。


比較15選.jpg


15選-2.jpg




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特許庁のオンライン見学 [ライセンス・知財]

特許庁へは行ったことがないのだが、どのようなところなのか興味があってネットで調べてみると、まず随分モダンで立派な建物であることに驚きます。


000188070.jpg


こんなに近代オフィスなの?凄いです。


霞が関中央官庁街の一角にあるそうだ。いわゆるお役所なので、中央官庁街というのはとても納得がいきます。


特許庁の歴史は古くて、昭和9年に建てられ、いまのビルは平成元年に建て直しをしたものらしい。


人生で1度でいいから、特許庁へ行ってみたいな、とも思いますが、当然のことながら入所には通行許可証の電子ICカードが必要で、部外者禁止のようです。


そりゃ至極当然ですよね。(笑)


特許出願で、特許庁審査官との闘いを長い期間に渡ってやっていたときは、相手の特許庁審査官が、こんな立派なオフィスにいらっしゃるとは思ってもいませんでした。


自分がイメージしていたのは、もっと官庁らしい歴史のある煉瓦造りの古臭い建物だろうと思っていましたから。


でも、とても興味深い記事を見つけました。


それは”特許庁のオンライン見学”というものです。


特許庁が「オンライン見学」をスタート~家にいながら特許庁施設への訪問を体感。発明、実用新案、意匠及び商標に関する事務を行う特許庁が、来庁せずとも特許庁施設への訪問を体感できる「オンライン見学」を開始した。


オンライン見学では特許庁の仕事や知財に触れるコンテンツが多数用意されており、普段はなかなか身近に感じにくい特許や商標、意匠への一般の理解が深まることが期待されている。


・・・だそうです。


これはいいですね!自分はすごく興味があります。


正式にオンラインで申し込む必要があって、日時を指定して、オンラインで見学ができるようです。Skype for Bissness やMicrosoft Teamsでやるそうです。


特許庁は部外者禁止ですから、見学者を庁内へ導き入れて、見学させるリアルツアーは実際は難しいでしょうからこうやってバーチャルなオンラインツアーであれば、敷居もぐっと低くなって、主催者側にとっても見せたくないものなど、あらかじめ十分精査したコンテンツを作れますからいいですね。


オンライン時代だから可能になったことだと思います。



オンライン見学内容は、


・特許庁主要施設の動画紹介(庁舎入口から出願窓口、公報閲覧室、審査室(特許・意匠・商標)、審判廷など)

・特許庁の審査官等からのレクチャー(知財制度の紹介、特許・商標審査や検索システムの紹介など)

・「徹底解剖!これが特許庁だ!~仮想特許庁~」の自由探索・質問受付


見学対象者は、


中学・高校・大学などの学生、企業(特許事務所を含む)の新入社員など、5から50名の団体。


だそうです。知財に関して初心者向けのツアーだったんですね。(笑)知財とはなんぞや!特許庁とはなにをやっているところなのか?を初心者向けに紹介するのが目的のようです。


実際、特許庁ってこんな感じになっているそうです。


特許庁の構造.jpg


親しみやすいアニメーションで、学生など普段特許に触れることがない人々でも楽しめるのが特徴のようです。


特許庁って、やはり出願業務が中心なのだろうと思います。特許(発明)、実用新案(特許よりもっと軽いもの)、意匠及び商標に関する事務を行うところが特許庁なんですね。


・特許審査室(全員理系・分野に漏れなし)

・調整課(審査のルールメーカー)

・審判部(特許庁の法の番人)

・広報室(特許庁の情報発信はすべてここから)

・企画調査課(特許庁のアイデア課)

・普及支援課(霞が関唯一の営業部隊)

・国際政策課・協力課(世界への出願をより便利に)


特許庁ってこんな感じなんですね。


自分が闘いを挑んでいた特許庁長官のいる部署フロアは、特許審査室ですね。きっと。一部、二部、三部、四部と分かれています。


なんかこういうオンラインでバーチャルに組織案内されるだけでも、もう全然十分ですね。なんとなく特許庁ってこんなところ?というのがよくわかったような気がします。



興味のある方は、この特許庁オンライン見学に申し込まれてはいかがでしょうか?




いま気づきましたが、この申し込みサイトには、オンライン見学のほかに、来庁しての見学、というのもありますから、直接見学することも可能なんですね。


ただ、おそらく新人さん向け対象なんだと思います。



【国家公務員】最も入庁してよかった中央省庁は「特許庁」と発表。


こういう記事も発見しました。驚きとしかいいようがないです。


オープンワーク社の「入社してよかった会社のランキング」に、国家公務員の勤務先である中央省庁のうち、唯一「特許庁」がランクインしたとのこと。



2019年10月23日に、「新卒入社してよかった会社ランキング」を、企業情報サイトの「OpenWork」を運営するオープンワーク社が発表しました。


この「新卒入社してよかった会社ランキング」は単に民間会社のランキングというわけではなく、中央省庁の若手職員の回答も集計しているようです。


そのランキングに、他の省庁や名だたる有名企業をおさえて10位に入ったのが経済産業省の外局である「特許庁」です。


国家公務員については10位の「特許庁」が最も順位が高く、入庁してよかった省庁だと感じる職員が多いようです。


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①「特許庁」は他の「国家公務員」と待遇面は同じ

②残業向きではない「特許庁」の仕事

③「特許庁」は、「個」の力の集合体

④職員一人一人が独立して仕事をするため上下関係が気にならない


こんな理由があるんですね~。


②,③,④について、もうちょっと詳しく補足してみますね。


②残業向きではない「特許庁」の仕事


「特許庁」の働きやすさのひとつとしてあげられるのが、業務内容が残業向きではないという点です。「特許庁」の主な業務である、申請された技術や商品等に特許を出すかどうかを見極めるための「審査業務」は、集中力が必要な業務です。


特許が認められるかどうかは企業の社運を占うというほど重要な場合もあるため、「特許審査官」の業務を任された場合は、集中し、かつ効率よく1件1件の申請について審査しています。


そのような集中が必要な業務のため、長時間だらだらと続けてしまうとミスも生まれたり、効率が悪くなったりすることは望ましくありません。


そのため、審査業務は特に短期集中型で行なっているほか、審査以外の業務に携わる職員でも、週に1回は定時退社日を設けたり、月に1回は休暇取得日を設けたりするよう呼びかけているようです。



③「特許庁」は「個」の力の集合体


また、「特許審査官」は基本的に独立して業務を行う仕事だという特徴があります。


「特許庁」では、「特許審査官」をはじめ、独立して業務を行う慣例があります。


個人単位で業務のペースやスケジュールを設定できることは、就職後の満足度にも繋がっているようです。例えば、チームでの業務をしていると、会議や打ち合わせなど、他の職員のスケジュールに合わせなくてはならず、自分のルーチンワークは後回し、というケースが多くなりがちです。


しかし、「特許庁」では個人単位で業務の計画を立てることができるため、定時に退社するかどうかも自分次第ですし、有給休暇が比較的取得しやすくなります。


個人が独立して業務を行なっているとはいえ、特許申請について判断が難しい場合には他の「特許審査官」と、この特許申請は妥当か、ということを議論できる環境も当然あります。


手厚い研修と、個人の計画が尊重される職場環境が、「入庁してよかった」という満足感に繋がっています。



④職員一人一人が独立して仕事をするため上下関係が気にならない


「特許庁」の独立した業務形式は、休暇がとりやすいというだけでなく、上下関係が気にならないという利点もあるようです。


「国家公務員」の中でも実力主義という面があるので、たとえ後輩であっても、先輩と対等に議論することができます。


入庁当初には先輩審査官によるしっかりとした研修がありますので、その時には上下関係を意識する場面もあるかと思いますが、一人前の「特許審査官」として独立して担当を持つ頃には、上下関係を意識せずに、意見交換ができるようになると言われています。



情報引用元:


公務員総研

【国家公務員】最も入庁してよかった中央省庁は「特許庁」と発表




いいですね~~~。これはいいですね~。自分向きだと思いました。


特許庁いいな~。自分は経験もあるし、と思いましたが、特許庁って国家公務員なんですね。(笑)そこですでにアウトですね。難関の国家公務員試験を合格しないとダメなんですね。


喜びもつかの間でした。。。


特許庁審査官については、自分にはこんな想い出があります。昔、病気仲間というか、いっしょにデイケアなどに通っていた仲間がいたのですが、東大出身で三菱に勤めていた奴ですが、病気により退職。


再就職先を、なんと!特許庁審査官に応募している、というのです。(非常勤でしたが)自分は腰を抜かすほど驚きました。自分はそのとき今の会社で特許庁審査官と闘っていた真っ最中の真っ只中でしたから、もう驚くしかなかったです。


しかも奴は知財の経験、出願の経験もなし。


それは無理だろう!と内心思い、やんわりとこの分野、経験ないとかなり大変だよ、とアドバイスしました。


まぁ予想通り不合格ではありましたが、でも奴の勇気と向学心はとても尊敬に値しました。奴はいまどうしているのかな・・・ちゃんと社会の歯車に戻れたのかな?





自分でなんか新しい事業を始めようとするとき、新しいアイデアが生まれたときは、必ず特許出願をすることをお勧めします。


特許出願は、その言葉上、一般市民にはとても敷居が高いものに思われるかもしれませんが、そして主に企業向けの話だと思われているかもしれませんが、そんなこともありません。


個人としても出願できます。


世の中で自分が1番最初に発明したことなのに、特許出願を怠ったために、後年第三者が先に出願してしまい、さらに権利行使までされてしまって、お金を払わないといけなくなる。。自分のアイデアだったのに。。。そんな馬鹿げたことはあってはなりません。


特許明細書の作成、特許庁への特許出願業務は、特許事務所に依頼すればいいのです。(世の中に特許事務所は星の数ほどあります。)特許事務所で、弁理士資格を持った先生方に書いてもらうのです。


その代わり、何十万という出費が必要になります。


そして幸運にも登録査定の特許として認められた場合は、そこから毎年、その登録査定の特許を維持するため特許庁に年金を払う必要があります。企業の場合は、それは会社が払いますが(会社が出願人のため)、出願人が個人の場合は、個人でその年金を払う必要があります。


特許出願はやるべきだとは思いますが、結構金食い虫なんですよね。(笑)ただの無料の世界じゃないです。


無事登録査定として認められてから、その特許の有効期間は20年です。20年後にはその特許は満了となります。期限切れです。満了日以降はその特許の主張や権利行使はできなくなり、そのアイデアは誰でも使えることになります。


作曲家の著作権と同じようなものですね。著作権の期限が切れた場合は、著作権フリーになるみたいな。。


その20年の中で、苦労して出願した特許をどう活かすかは、まさにその本人次第だと思います。


特許出願のメリットには、この2点があります。


①自社権利の保護のための特許。

②他社からお金を稼げる特許。


①は、自分のアイデアなのに、他人に自由に使われ放題。海賊ビジネスなんてそうですね。中国や東南アジア圏の海賊ビジネス、模倣やり放題は本当にすざましいです。模倣地帯の温床なのです。


この温床によって著作権者はもう膨大な億単位の被害額を被っているのです。当然、こういう海賊ビジネスは取り締まりをしていかないといけないのですが、そのためにはこの技術が自分の発明だよ、ということを証明できないといけない。


その証明の権威として特許があるのです。そういう自社権利の保護、個人の権利の保護のために特許出願をしておきます。



もうひとつの②は、もうちょっとプロフェッショナルな領域です。無事登録査定として認められた特許は、つぎにその技術を使っている世界中の企業に対して、権利行使(ライセンスオファー)して、その使用料、実施料としてロイヤリティ、ライセンス料を支払ってもらう。それが結構な収入源になります。


自分の仕事でそれを嫌とも痛感しています。自分の会社、自分の事業部だけで、年間、何億、何十億という膨大なお金を、ライセンス料として他社に支払っているのを目のあたりにしていると、やっぱり特許って他社からお金を稼げる特許が一番効果的な使い方なんではないかな、と実感します。


もうこれだけでひとつの大きなビジネスになりますね。知的権利、知的貢献度、知的作業によるお金儲けですね。これは大きいです。


ライセンスの世界には、自社が他社からお金を稼いでくる収入と、自社が他社に対してお金を支払う支出とに分けられ、そのインとアウトで収支の赤字、黒字が決まります。


①の自社権利の保護はとても大切なことだけれど、特許の維持は金食い虫なので、結構特許数が増えていくにつれてボディブローのように効いてきます。②のお金を稼いでくる特許は、相手に認めさせるまでが大変なことですが(それこそ裁判に訴訟したりしてまでもやる)お金が入ってくるようになってくると、もうドル箱ビジネスなのかもしれません。


そういう意味で、やっぱり②がいいよな~とか思ってしまう訳です。


①と②の違いは根底は同じところにあるのですが、違いは相手に権利行使(ライセンスオファー)するかどうかです。


自分も技術者時代は結構、特許出願しましたが、先行文献調査を怠らないようにして、自分で出願したいポイントを整理してまとめます。自分流のプライベートな特許レポート(アイデアシートみたいなもの)を暫定で書いておくのです。そしてそれを特許事務所の先生方に説明するのです。


そうすると、特許事務所のほうで、きちんとした特許明細書を作成してくれます。そして特許庁に出願してくれます。


特許出願は出費が必要ですし、特許維持は金食い虫ですが、やはり自分の権利はきちんと保護しておいた方がいいと思います。企業だけの話だけでなく、どんな職業ジャンルでも関係することだと思います。








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電子契約サービス [ライセンス・知財]

取引先から「契約書を送りますので、捺印したあとPDFで送ってください。」って簡単に言うけど、全然簡単じゃない。(笑)あとで紙も残るし。。。


自分は、2020年にコロナ禍になって、在宅勤務中心の就労形態になってから家にあるプリンターをスキャン機能付きのPDFファイル作成可能のプリンターに買い換えましたから。


仕事上、書類に捺印や、海外の書類の場合は、直筆のサインが必要になり、そのためには相手が送ってきたPDF書類をいったんプリントアウトして紙にして、それに捺印や直筆のサインをして、それをさらにプリンタのスキャナーで読み取ってPDFファイルにして、また相手に送る、という作業があるからだ。


在宅勤務の初めの頃は、家のプリンターにスキャン・PDF機能がついていないため、こういう業務が発生した場合、いちいち会社に出勤して、会社のでっかい業務用複合機でやっていたのだ。


書類にはんこを押すためだけに会社に出社する、じゃないけど、スキャン・PDFするためだけに出社するのはあまりに愚なので、自分ちのプリンターをついにスキャン・PDF機能付きのプリンターにアップグレードしました。


それでもこういう作業は、なんか時代の流れに逆らっているように思える。レガシースタイルのやり方ですね。


自分の仕事上、「契約書」という書類を扱うことが常なのであるが、契約書って、いまだに紙?という文化で時代遅れになりつつあるような気がする。


契約書というのは、基本今のやり方だと、最初はお互い草稿案を修正できるようにMicrosoft WORDなんかで作成されていて、やりとりしていて、その契約内容がお互い最終承諾して契約締結に至ったときに、その文書をPDF化して、お互いのサイン、捺印を契約書にして締結となる。


そのとき、PDFで送って、それをプリントアウトして捺印、直筆サインしたものを再度スキャンしてPDF化するというような作業をやる。


でも契約書って、原本といわれる文化なんですよね。


原本というのは、そういうPDF化しない生の本物の捺印やサインがされているリアルな本物の紙の契約書のことです。


その原本を後日必ず相手に郵送するのです。


契約書はPDF化したものでは、真の証とならないところがあって、あくまで原本が神様的な存在なのです。


郵送には時間がかかるから、まずは内容確認、契約締結確認のためにPDFで先にやりとりをして、そしてあとから原本を相手に送る、という二重のことをやっているのです。


PDFより原本の方が、神様的存在、もっとも信頼できる本物の存在という扱いなのです。


自分は、昔、この慣習、慣わしを知ったとき、うわぁ、これぞライセンスの世界、ライセンスのカルチャーだなぁと思ったことがあります。


PDFでいいじゃん、と思っていましたから。



文化庁がいま取り組んでいる音楽家、アーティストたちの出演依頼などの”業務委託”の契約書問題。もし、従来通りの原本主義の契約書文化だと、もう音楽家、アーティストたちがその原本を相手に郵送するために、毎回郵便局に通うなんて手間が増えるのでしょうか?(笑)


ありえないですよね。ナンセンスです。契約書を取り入れるのはいいことなのかもしれないけれど、余計な肉体労働が増えては、まったくナンセンスですよね。


当面は、いまのやり方のいったんプリントアウトしてスキャンしてPDF化する、というやり方なのでしょうけど、これも本筋ではないと思います。


来年度の2022年から国では、電子帳簿保存法が改正され、インボイス制度も視野に入ってくる。今後、請求書やインボイスなどを紙で残してはいけなくなります。


うちの会社もそうですが、経理部門は本当に大改革で大変ですね。国のデジタル庁が率先して、はんこれす、ペーパーレス化に取り組んでいます。まさにDX、デジタルトランスフォーメーションへ突き進んでいますね。


その中で、自分の仕事のエリアだけでいうならば、契約書の世界もDX化が実用になってきます。



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それが「電子契約サービス」というものなのだと思います。


昨日、ちょっと調べていたら、う~ん、まさにこれからはこれこそ新しい契約のスタイルだなぁと思いました。


自分もいま一生懸命勉強している最中です。


電子契約サービスのシステムの根幹をなすのが、PKI(Public Key Infrastructure)といわれる暗号セキュリティの世界の公開鍵暗号システムをつかった電子署名で捺印、サインの代わりをすることを肝としていて、自分はこれだな、と直感で確信しました。


自分は前職時代に、インターネット音楽配信の仕事をやっているときに、このPKI、暗号セキュリティのことは仕事でかなりやりましたから。インターネットに音楽データを流すときに、まさか裸で流すわけにもいかず、どうしてもセキュリティ技術の習得が必要だったからです。


PKI・・・公開鍵暗号、ハッシュ関数による電子署名、電子証明書(公開鍵証明書)、そして認証局(CA)(第三者機関)。


自分の青春時代のシンボルのテーマでした。


電子契約サービスは、このPKIのシステムが根幹になっていることを知って、昔とった杵柄ではないですが、う~ん、こりゃいっちょやったるか、という気持ちになっています。


契約書の世界で、今後、電子契約サービスによるDX化が進むと、新しい希望が見えてきますね。


文化庁の契約書問題は、ぜひこの電子契約サービスをつかって、契約書のやりとりをしてほしいものです。いちいち郵便局に行くような愚な行為は発生せず、時代の流れに合っているような気がします。



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電子契約サービスというのは、電子文書の本人性(本人によって作成されていること)と非改ざん性(内容が改ざんされていないこと)を証明する「電子署名」を使って、企業間の契約のやり取りを電子的に実現するサービスのことをいいます。


紙の場合には、送り主本人しか持っていないものとして印鑑が使われ、その印影が本人のものであると証明するものとして印鑑証明書がある。これに対して、電子署名では主に「公開鍵暗号方式」を採用している。ここで印鑑の代わりになるのが、送信元が電子署名を生成(暗号化)するときに使う「秘密鍵」である。その秘密鍵とセットになる「公開鍵」が本人のものであると証明するのが「電子証明書」である。この方式の電子署名を特に「デジタル署名」と呼ぶ。


昔、20数年以上前にセキュリティをやっていたときは、当時はこの電子証明書のことを公開鍵証明書と言っていました。名称は変わっているけど、セキュリティの考え方の本質は、26年以上経過して今でもまったく変わっていないと思います。


電子署名とよく似た言葉として「電子印鑑」がある。ただ電子印鑑は一般的に、「印影のイメージを電子文書に貼り付ける(電子的に押印する)こと」を指しており、本人性や非改ざん性には触れない場合が多い。


電子印鑑は、パソコンのアプリで、印鑑を電子的に造れるやつで、それを電子文書にペタって押すものですね。確かにパソコンの中だけでできてしまい、紙に出力する必要はないけれど、これには本人性や非改ざん性を証明する

チェックする機能はないので、まったく使えませんね。



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電子契約サービスの導入により、企業にもたらされるメリットとデメリットは以下の通りである。


●電子契約サービスのメリット


電子契約サービスの採用による企業側のメリットは

(1)ビジネスのスピードアップ

(2)コスト削減

(3)コンプライアンスの向上

(4)リモートワーク推進のしやすさ


が挙げられる。


(1)ビジネスのスピードアップ


契約書に物理的な押印や郵送が不要で、電子的なやり取りだけで済むため、契約締結のスピードを高められる。


(2)コスト削減


印紙税や用紙代、郵便料金、保管スペースが不要になり、作業にかかる工数も削減できる。電子契約サービスを利用するボリュームにもよるため試算が必要だが、サービス利用料よりも削減できるコストが大きくなる場合が多い。


(3)コンプライアンスの向上


取引状況を一元管理でき、契約書の紛失や災害による消失への備えのほか、監査時の非改ざん性の保証が可能となる。


(4)リモートワーク推進のしやすさ


押印や書類の発送、受け取りが不要となる。契約文書のために出社する必然性がなくなり、リモートワークを推進しやすい。




●電子契約サービスのデメリット

一方、電子契約サービスの採用による、企業側のデメリットとしては以下のものがある。


(1)社内の規則や業務フロー変更の難しさ


社内の規則や業務フローの変更が必要となるが、変更に抵抗がある組織では、導入は困難となる。


(2)取引先との商習慣変更の難しさ


取引先との商習慣を変えることも簡単ではない。大前提として、取引先への丁寧な説明が必要となる。電子契約を導入できない取引先が残ると、紙と電子の契約が併存する事態となる。


(3)対応すべき契約サービスの乱立


複数の取引先が異なる電子契約サービスを導入すると、多数の電子契約サービスに対応せざるを得なくなる。



・・・これは結構痛い処ついていますねぇ。これもなかなか普及できないかもしれない大きなポイントになるかも?と思います。


レガシーとの闘いですね。いまのシステムでもちゃんと廻っているんだから・・・という感じでしょうか。


いま世の中に出始めている電子契約サービスっていろいろなサービスが乱立しているんですね。


もし取引先から、電子契約サービスを使いたいのだけれど・・・と言われたらどうする?ってな感じです。そしてその相手先によってその使用しているサービスが違っていたら、社内で管理するのは大変ですね。


自分の仕事である技術ライセンスでも、本当に大多数のライセンサーがいるので、みんなに統一したシステムを使うように啓蒙したり、説明したりプロモートしていくのはなかなか大変のような気がします。


やっぱり従来のやり方でいい、という感じにもなるところも多いかもですね。


この問題については、政府も対応を始めています。今後はデジタル庁やデジタルトラスト協議会(JDTF)で電子署名などを含むいわゆる「トラストサービス」に関する認証制度を作ることになるそうであるから、国でビシッとひとつ大きな根幹フレームワークを作ってほしいものですね。


電子契約サービスは、いろいろなシステム・スタイルがあります。


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基本はこのように契約書をインターネットのクラウド上で、保管管理するもので(クラウド型契約管理)、第三者機関(認証局CA)のような位置づけの会社でお互いの本人確認、証明書を発行生成して、そのやりとりの正当性(本人であることをの正当性、内容の非改ざん性)を電子署名で保証してあげるというもののようです。


それが従来の印鑑、直筆サインに匹敵するものになります。


とにかく契約起案から締結まで、ひとつの電子フロー作業で統一することができ、紙に印刷、捺印・直筆サインそしてさらにスキャン・PDF化という手間もなくなる。オール電子化になる。これこそまさに契約書の世界でのDXといえるのではないでしょうか?


いろいろな電子契約サービスが混在するので、自分もいまいろいろなシステムを勉強しているところです。


文化庁の契約書問題は、アーティストの負担を考えると、この電子契約サービスを導入してほしいものです。企業は規模がデカいので、改革が大変ですが、文化庁のほうはこれからの話ですから、結構小ぶりに収めることもたやすいのではないでしょうか?


では、次回はこの電子契約サービスの骨格をなす、PKI(公開鍵暗号方式インフラ)について解説を試みてみたいと思います。この公開鍵暗号、ハッシュ関数、認証局(第三者機関)がわかっていないと、電子署名の意味が真に理解できないと思います。


自分のために書いています。自分の昔取った杵柄で、自分のことにも関することなので、自分の勉強ために書いています。









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知的財産の世界 [ライセンス・知財]

知財やライセンスの世界というのは、企業の中ではとても重要な役割の業務なのに、あまり世間の表に出てくることが少なくて、自分は残念に思うのである。


もっと陽の目を浴びてもいい仕事なのになぁ・・・と昔からずっと思っている。確かに業務内容は、ほかの業務と比較しても、かなり高度な専門性が必要で、ある意味”特殊業務”と言ってもいいのかもしれない。


そのことが原因で、世間一般では理解されずらい、よく知られていない、というのはそういうところに起因しているのではないかな、と思うのである。


自分の趣味であるクラシックやオーディオには、あまり関係してこない世界なのかもしれないけれど、音楽家やフリーランスにとって、業務委託される際の「契約書」をルール化することに関しては、とてもこの世界と関連性がある。


きっと考えてもいなかったような視点から関連性が出てくる可能性もある。


「知財・ライセンスの世界」を、もっと世間の人に知ってもらいたい、という目的で日記を書いてみることにする。


「知財・ライセンスの世界」でもっとも一番有名なのは、特許、特許出願であろう。


世間で一番最初に自分が考えたこと、自分が最初にやり始めたことなのに、特許出願をするのを怠って、結局第三者の誰かに先に出願されてしまい、その人にお金を払わないといけなくなる。。。こんな馬鹿げたことは絶対あってはいけないことである。


そういう権利を保護する、これは自分が考案した発明・技術なのだよ、ということを書面として権威化してオーソライズする。これが特許出願である。


特許出願は日本の場合、出願日が早い人、先に出願した人に分がある。同じテーマの特許出願をしても、その出願日が早い人の案件が優先される。


あとで出願した人のは、却下されてしまうのだ。


この日本の特徴は、”先願主義”と言われる。これが米国だとちょっと違うんですよね。米国では”先発明主義”といって、出願した日を競うのではなく、先に発明したことを競うのである。


これってある意味、すごい大変で骨が折れることなんですよね。先願主義なら、単に出願日を見れば判断できるけれど、先に発明したことを証明するって、どうやるんだ?かなり大変なことである。


特許出願するときに、まず自分の出願したいアイデアが、すでに誰かに出願されているかどうかを調べる必要がある。先行文献調査である。


これは出願する際は絶対必要な作業である。こういう検索をする検索ツールがきちんと存在するのである。特許庁のIPDLとか、民間企業の検索ツールとか。


特許には、公開公報と特許公報の2種類が存在することを知っていますか?ていうか、まず特許の公報って見たことありますか?(笑)


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いわゆる特許明細書というもので、これは初めて読む人にはかなり読解困難であると思われる。日本語なのに、とても表現が難しい言い回しなのである。


特許を出願したからといって、すぐにそれが特許になる訳ではないのである。出願して、それが他に似たような先行文献がなくて、新規性・進歩性がある、と特許庁に認められて、初めて登録査定、特許公報となるのである。


いわゆる第三者、他社に権利行使できる特許は、この特許庁に認められた登録査定の特許公報である。


出願したら1年経過するとその内容は、公開公報として一般公開される。誰でもその内容を見ることができる。この公開公報はあくまで公開されるというだけであって、きちんとした特許ではないのである。公開公報では、自分の発明だよ、と主張することができないし、相手に権利行使することもできないのである。ただ公開されている、というだけなのである。


出願するときの先行文献調査は、特許公報ももちろん対象だけれど、この公開公報を対象とすることが通常である。


1年経過して公開公報として公開され、そこから登録査定の特許公報になるまでに長い闘い・道のりが待っている。


特許庁審査官との戦いである。


これはこれだけの先行文献(引用文献)がすでに出願されているので、新規性・進歩性がないということで、拒絶理由通知として返却されてくるのである。


それに対して、いや、ここにきちんと新規性・進歩性があります。あるときは、請求項(クレーム)を変形させて改善することで、その請求範囲を修正して、その先行文献との差異化を図って反論する。


意見書・補正書を書いて反論するのである。これを中間処理という。これを特許庁審査官と何回もやりとりをして戦うのである。


拒絶理由通知の反論は、結局3回まで許される。そうして、結局最後まで認められなくて却下となる場合が拒絶査定である。でもこの3回の反論のうち、どれかが認められ、逆転で登録査定となって特許公報となるケースもある。


出願して、無事登録査定の特許公報になるまで7年かかると言われている。


どうしても早い特許公報化を目指したい場合は、早期審査を請求すると3年くらいで縮じむ場合もある。(これは古い情報です。最近はもっと早期化されているかもしれない。)


だから出願して、すぐに特許になると思ったら大間違いなのである。


公開公報、特許公報を見たことがある人はわかると思うが、特許には、請求項(クレーム)と本文明細、そして図がある。特許にとって、一番大事なのは、請求項(クレーム)である。


この請求項(クレーム)は、この特許は、どこを自分の権利として主張したいのかを簡潔に記載したものである。本文明細は、いわゆる本文である。本文に書いてないことを、請求項で主張することはできないのである。だから中間処理の際に、請求項をいろいろ変形させて対応するためにも、本文を広い範囲で記載するのもひとつのスキルである。



特許出願は、日本で出願された場合、つまり日本の特許庁に出願した場合、その特許がその権利を主張できるのは日本国内だけである。そのままでは外国に権利行使できない。米国で出願された特許は、米国内だけで権利行使できる。


これを海外にも権利行使できるようにするには、外国出願をする。まず日本に出願して、そこから外国出願の手続きをする。


外国出願は、まずPCT出願といって、国を特定しない中間位置のポジションで出願する。記述言語は英語である。そして審査を通れば、つぎにどこの国に移行したいのかを決める。


米国に権利行使したい場合は、米国に移行する。ドイツに権利行使したい場合は、ドイツに移行する。記述言語は、その移行先の国の言語である。


だからよく米国の企業、たとえばMicrosoftなんかが、日本の企業に権利行使してくる特許を保有しているのは、彼らはまず米国で出願して、それを外国出願して、日本にも権利行使できるようにしているのである。


米国特許は、その出願番号からUSPといわれる。


自社で登録査定になった特許がたくさんあることは、それだけ企業としての力がある証明であるが、実際はそんな簡単なことでもない。


登録査定になった特許は、年間いくら、というように、特許庁に年金を納めないといけない義務になっている。登録査定を持っている件数が多いほど、特許庁に収める年金額も膨れ上がり、その特許がきちんと活用されているならば、それも仕方がないと思えるが、それがほとんど死蔵特許のような状態の場合は、ただお金を払っているだけの金食い虫になっている場合もある。



そういう場合は、他社に自社特許を売却するとか、そのまま登録特許を取り下げるとかしてコスト削減を図る場合も多い。




企業が、なにか新製品を開発したいと思ったときは、まず特許の抵触調査・侵害調査をおこなう。これは、その新製品のアイデアの内容がすでに世の中に特許出願されているかどうかを事前に調べるのである。


これを怠ったら、膨大な開発費を投じて、新製品を開発しました。工場のラインですでに商品は生産されています。さあ世の中に流しましょう、という段階で、それは我が社の特許を侵害している、抵触していると裁判で訴訟され、差し止め請求を受けて、販売中止になってしまう。


これはあまりにダメージが大きすぎる。


ちゃんと開発前に、そういう特許の抵触調査、侵害調査はやっておかないといけないのである。このときに対象となる特許は、もちろん登録査定の特許公報のほうである。


公開公報は対象にならない。当然ですね。


なにか新製品を開発したい、どういうジャンルで、どういう戦略で進めるべきかを考えるうえで使われるのが特許マップ、パテントマップである。


これは特許出願の検索ツールで、あるテーマについて、出願公報を検索して、それをマップとして可視化、見える化してその技術の世の中のトレンドを一目瞭然で把握しようという試みである。


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注目したいポイントを解析軸に持ってきて、出願人、そして出願数などが可視化できるようにする。そして業界の弱点、誰もやっていなさそうな箇所はどこなのか、我が社として攻めるべきポイントはどこなのか、を特許出願という角度から眺めるのである。


特許出願は、実際の事業を始める前に行うことが多いため、世に先行して出願している場合が多く、企業がどこに注力しているのかを把握するには結構いい手段なのである。



ライセンス訴訟、特許訴訟を専門に扱う部署も当然必要である。外国企業との交渉であることから、原則バイリンガル(もしくはトライリンガル)の能力が備わっている必要がある。


訴訟の場合は、必ずどこの企業でもそうであるが顧問の弁護士というのを雇っているというか契約している。その弁護士とともに協力して、訴訟の解決にあたっていく。


訴訟、係争の場合、大事なのは交渉論法、交渉スキルである。相手とのかけひき、戦略をもって交渉にあたらないといけない。相手が人間なので、かなり人間的で、心理作戦みたいなところがあるから、結構ドロドロである。(笑)


これは出願業務と違って、かなり系色が違う。そして動くお金の大きさも大きいことから、会社の経営、運命に影響するケースが多いため、非常に神経の磨り減る業務である。


この業務については、以前「パテントトロール」の日記で書いた通りである。



ライセンス料管理は、これまた知財・ライセンスの世界では、重要な業務である。


ライセンスの世界を俯瞰するとこのような世界である。


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ライセンスの世界は、特許権、商標権、著作権(印税)の集合体といえる。いままで述べてきたのは、特許権の世界である。


商標と言うのは、デザインとか言葉のフレーズとかである。それを権利化したもの。そして著作権は、もちろん印税関係である。


商標権や著作権にも、いままで述べてきたような特許権のような世界がある。


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ライセンスというのは、ある技術などの利用許諾を認め、技術供与する代わりに、その対価、つまりロイヤリティ、使用料、実施料を払ってもらうという世界である。


ライセンスの世界に成り立つ基本関係である。


技術を提供する側、利用許諾を認める側をライセンサーといい、技術を利用する側、対価を支払う側をライセンシーという。


特許というきちんとした書面でオーソライズされている場合もあるし、そういう書面がない技術ライセンスの場合もある。


そのときに、このライセンサーとライセンシーと間での取り決めを決めた書類が「契約書」である。この契約書の中の契約リスクを読み取るスキルについては、以前日記で書いた通りである。


ロイヤリティ支払、ライセンス料支払の基本的な考え方は、ライセンサーがある決まったターム(期間)にどれくらいの収入を得たいのか、で決まってくるもので、それで、年間US$xxxx,3年でUS$xxxxの金額を提示してきて、それをライセンシー側が、その額を対象モデルの台数で割り込んで、単価を算出する。。。


この世界は、いわゆるローンの支払いの世界なのである


大体こういう世界の繰り返しである。



差し障りのない範囲で書くなら、こんな感じであろうか?

確かに特殊業務であることは間違いない。


ただ、言えるのは、特許公報を読み込む能力と言うのは、ちょっと独自の才能が必要で、難しい日本語表現、そして最新技術内容で、結局この公報で書いてあることはなに?なにを主張したいの?ということを即座にまとめる才能が必要である。


これはかなりの才能が必要だと思うのである。


ましてや、特許公報、いわゆる特許明細書を自分で書く、というのは相当鍛錬が必要になります。


日々、特許公報を読まないといけない、そして内容を簡潔に把握しないといけない、これはかなり苦痛な作業ですよ。


知的財産部の部員、いわゆる”知財マン”は、特殊能力のメンバーの集まりといえるであろう。


お隣の中国では、「眞子さま」「佳子さま」「秋篠宮家」を商標登録してしまったという。(笑)


こんな知財に関する知見のなさが普通にまかり通ってはいけない。

自分の権利はきちんと自分で守らないといけない時代なのである。












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AI契約審査プラットフォーム [ライセンス・知財]

契約、契約書というのは、どの世界でも必ず存在するもので、自分のような企業に勤める人には間違いなく必須なものだし、あるいはアーティストなどの芸術文化に携わる人にとっても、契約って必ず存在するであろう。


とにかくありとあらゆる分野で契約、契約書というのは存在する。


それで契約書に目を通したことのある経験の方ならわかると思うが、契約書を読解するのはかなりスキルが必要ですね。


いわゆる”契約リスク”と呼ばれているもので、そこに記載されている文言が、自分たちにとって不利になる条件なのかどうか、将来的に自分たちを縛ることになるかどうかを、その契約書に記載されている内容からひも解いて判断していかないといけない。


これを読み取れる、というのはかなりスキルが必要になります。


これは企業でいえば法務部門のお仕事ですね。


自分もライセンス関連の仕事をしているので、技術ライセンスに纏わる契約書を、自分の事業部に関しては、何百もある契約を全契約とも全部自分で管理している。


その際、契約書の内容にももちろん目を通すが、急いでいるときは、自分の業務に関わるライセンス・フィーの部分の記載だけを確認したりして端折ったりする。


基本、契約書の中身の吟味は、必ず法務部門の目を通すプロセスが入っているので、法務のチェックを必ず通っているからだ。


企業は、法務部門という専門家の組織があるからいいけれど、そうじゃないたとえば芸術文化やそれ以外の職業の方で契約、契約書にサインするときに、その契約書の中身を吟味する、というときはどうしているのであろうか?


契約書を理解して、可否の判断をしないといけないので、弁護士さんにお願いする、とかいろいろな方法があるのだろう。


3~4か月前から自分のSNS TLに、突然現れてきて、やたらと自分へのアピール度がすごい。(笑)自分のTLに、毎日いろいろ違う角度からのアピールポイントで宣伝してくるのだ。


自分がライセンス関連の日記などを書いていたりしたこともあったので、それが反映されて、向こうから自主的にポップアップ・サービスしているのだろう。


でも目を通してみると、なかなか興味深くて、なんか今風で企業の法務業務のDXに結構貢献するんじゃないかな、という予感がする。


自分は全然このベンチャー企業の方々の回し者ではないけど、ちょっと紹介してみることにした。また彼らがアピールするほどの精度があるかどうか、も保証しませんので、そこのところ、ご承知ください。



「LegalForce」というベンチャー企業で、その骨子は、AIで契約書を審査・レビューするというビジネスである。


契約書レビューでよくある課題。


・契約書レビューに多くの時間がかかっている。

・リスク箇所や抜け漏れの見落としに不安がある。

・担当者の忙しさや習熟度によりレビュー品質に差がある


この課題を、どう解決していくか、というと、



1.AIで瞬時に契約書レビュー完了。


Wordへのシームレスな連携も実現。AIによる自動レビュー機能で、契約書のリスクを瞬時に洗い出しする。また、Word上で1クリックするだけで、洗い出された指摘に対する修正文例を、簡単に契約書の文中へ挿入でき、修正までの時間短縮を実現。



2.一般的な基準+自社の基準で、


契約書のリスクを網羅的に洗い出し。AIが網羅的にリスクを洗い出すので、気づきづらい「抜け漏れ」も指摘。また、一般的な基準でのリスク検知から、自社基準との比較など、様々な角度からリスクを洗い出せる。



3.社内のノウハウにも、弁護士の知見にも、いつでもすぐに手が届く。


LegalForceでは一定の基準での契約書レビューが行うことができ、レビュー結果には解説・修正文例・修正方針があるので経験年数関係なく、品質を担保する。また、LegalForceにアップロードした契約書や弁護士が作成したひな形集を条文ごとに検索して利用いただける。


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AIを使った契約書チェックの仕組みのフローとしては、


1.契約書原案


2.AIにより最短1秒で内容をチェック。

・自社に不利な内容や表現。

・条項の抜けや漏れ。

・正しい表現を参考で提示。


3.弁護士や企業の法務担当者が修正。


4.契約書が完成。


とあるから、3.で人間の専門家によるチェックがきちんと入っているから、AIに全部任せてしまうのではなく、あくまで前段のフィルタみたいなポジションでAIを活用し、その後に人間による再チェックという感じのようだ。あくまでAIにより効率化、時間削減を図ろうという位置づけのようだ。


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・・・だそうである。(笑)


契約書レビューにAIを使う、というのがすべての骨子だが、このベンチャー企業を立ち上げるきっかけになったのが、この企業CEOの角田望弁護士が、米国の裁判で、今日の弁護士は、AIの〇〇さんです、という裁判官の紹介を聞いて、衝撃を受けたらしい。(笑)米国ではAIが裁判の判断をする。。。これをなんとか日本に持ち込めないか、ということで思いついたことらしい。


昨年4月に設立された「LegalForce」は、大手法律事務所から独立した角田望弁護士(31)が率いる。従業員は、わずか7人だが、企業が秘密保持契約(NDA)などを結ぶ際、法的な観点から契約書を点検するサービスを提供する。(みんな若いよね~。いかにも新進気鋭のベンチャー企業という感じだ。)


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特徴はAIの活用だ。


契約書ごとに①自社に不利になる可能性がある条項や表現。②条項の抜けや漏れなどを自動でチェックする。間違いや修正が必要な箇所があれば、正しい表現が参考例として提示される。


最終的には弁護士や企業の法務担当者が目を通し、必要あれば修正して契約書を完成させる。


このサービスは、すでに電通や花王、サントリーなど35社の企業、そして8社の法律事務所で導入されている。



開発の際は、京都大の学術メディアセンターが技術面で支援した。「自然言語処理」と呼ばれる、人間が日常的に使う言語をコンピューターに処理させる技術が応用されているという。


こうした契約書のチェックは従来、専門的な知識を持った弁護士や企業の法務担当者が一言一句、確認していた。M&A(合併・買収)や共同開発などの契約書は100ページ単位となることも珍しくないが、AIの活用によって、精査や作成に要する時間を半分から3分の1程度に短縮できるという。


企業法務の分野は、専門知識を持った人材が限られるため、企業の法務部門や担当弁護士は多忙を極める。角田氏は、「AIの活用で、知識や経験が重視される労働集約型の職務から脱し、高度な判断や思考に時間をかけられるようになる」と効果を強調する。


法務分野にIT(情報技術)やAIといった技術を取り入れる取り組みは「リーガルテック」と呼ばれる。


訴訟社会の米国では多くのベンチャー企業が設立されており、関連市場は1兆8000億円との試算もある。


英国でも裁判所の判決をAIが高い確率で予測する技術が開発されている。英オックスフォード大などの研究では、弁護士を補助する「パラリーガル」は将来、AIやロボットに代替されて、消える可能性がある職業のひとつとされている。



でも自分が思うには、契約と言っても本当にいろいろなジャンルが存在する。


ライセンス、秘密保持契約(NDA)、業務委託、売買、譲渡、・・・エトセトラ、エトセトラ。もう無数であろう。


自分が仕事で関与する技術ライセンスにしても、本当にいろいろな技術があるので、そんな世の中のありとあらゆる無数に存在する契約を、本当に全部網羅できるのかな、という一抹の不安はある。


精度ってどのくらいなのかな・・・という・・・。


でもAIだから、それこそ人間が測り知ることのできないくらいの無限の処理能力があって、そんな心配はあっという間に駆逐してしまうのかもしれない。


どうしても契約を締結しないといけない、契約書にサインをしないといけない、というときに、このAI契約審査プラットフォームのツールさえあれば、瞬時に素人でもおおよその判断はできるのかもしれない。


毎日、自分のSNS TLに猛烈に自分にアピールしてくるので、気になって気になってしょうがなくて、結構刺激的なことを宣伝してくるので、気になっているベンチャー企業である。


日記で紹介してみました。




LegalForce









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パテントトロール [ライセンス・知財]

昨日7月13日付のニュースでとても自分のアンテナにビビッとくるニュースがあった。


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「アップル、巨額の特許料支払い判決に対し英国市場からの撤退を示唆。」


本訴訟はOptis Cellular Technology社がアップルに対して、自社の「標準化された」スマートフォン技術(3GおよびLTE関連の特許)を使用したことに対して70億ドル(約7700億円)ものライセンス料の支払いを拒否したため、特許侵害で提訴したというもの。


これに対して先月、英国の高等裁判所はアップルに特許侵害があったと認定している。


同じ特許に基づく訴訟は米国でも提訴されており(Optis Wireless Technology、Optis Cellular Technology、Unwired Planet、Unwired Planet Internationalを含む5社の共同)昨年8月に5億600万ドル(約600億円)の特許料支払いの命令が下されたものの、控訴審で判決が覆されている。


米MacRumorsはこれら5社が、事業の実態がないパテントトロールだと指摘していた。



今回アップルが問題視しているのは、訴訟では英国の特許侵害のみが検討されたはずが、判決では全世界で販売されたiPhoneを対象とした金額が設定されていること。そのため、米国での判決の10倍以上もの支払いが命じられているわけである。


これに対してアップル側の弁護士は、もし裁判所がiPhoneで使われている技術に対して「商業的に受け入れられない」特許使用料を支払うよう強要すれば、英国市場から撤退する可能性があると警告した次第である。もしもアップルが英国市場を放棄すれば、理論的には支払いから逃れることはできる見込み。



アップルが決して小さくはない英国の市場から撤退し、iPhoneの販売ばかりか販売済みiPhoneのサポートまで止めてしまうのは常識的には考えにくいこと。しかしアップルは以前から「技術革新を侵害する」との理由からEU規制当局に特許トロールを抑止するよう要請しており、裁判所が歩み寄らなければ、万が一ということもありうるのかもしれない。



・・・こんな感じである。


要点は、


・英国での訴訟なのに、支払金額が全世界ベースの販売台数に基づいていること。

・相手が、事業の実態がないパテントトロールであること。


というところであろうか。


裁判所に訴えられたライセンス訴訟は、下手すると、差止請求で自社製品の市場での流通を禁止されるばかりでなく、巨額な賠償請求、裁判費用、弁護士費用などの支払いを命ぜられ、会社の経営を揺るがすだけの莫大な影響を持つので、とてもセンシティブな問題、ある意味血生臭いドロドロした世界である。


どこの企業でもかならず顧問の弁護士を抱え、その弁護士を通じて訴訟にあたるものである。


よくこの訴訟の類のニュースで、”和解した”という表現があった場合は、”金を払った”という意味なのである。その金額が両者との交渉で落し処というか、納得いく金額で収まったという意味なのである。



アップルがiPhoneを英国から撤退って、かなり大きなことではないだろうか?販売済みのiPhoneのサポートまでやめてしまうとなると英国市民の悲鳴が聞こえそうだ。


アップルは、それ以外にもかなり多数の訴訟問題を抱えて、なかなか火の車のような感じである。


自分が今回の日記で、ぜひ取り上げたいと思っているのは、そしてぜひ知ってほしいと思っているのは、パテントトロール、特許トロールという輩たちである。


この”パテントトロール”、”特許トロール”という言葉は、いわゆる英語でいうところの蔑称で、蔑んだ言葉使いなのである。


パテントトロールの意味を解説したイメージビデオもネットにはいろいろ公開されているようで、そこに使われている画像をピックアップすると、こんな感じである。


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蔑称で、蔑んだ言葉遣いであるとともに、この画像のイメージの悪さ。

いかに彼らが悪者扱いのイメージなのかがよくわかるであろう。


コロナ禍で、自主警察とか、自称摘発ポリスとかが、ある意味悪い産物の象徴として流行ったが、それのライセンス版と考えてもらっていい。


自分は、このパテントトロールが昔から苦手である。(感覚的にですが。。)自分の中でかなりイメージが悪い。


どれくらい前からだったかなぁ?10年くらい前に突如ライセンスの世界に登場して、そのあくどいというか、非常に計算され尽くしたその手口に、生理的に反感を抱いていた。


うちの会社も随分このパテントトロールには痛い目にあってきたし、そしてパテントトロール対策・保険をしている。


これはうちだけではなく、技術系の会社、ハイテクの企業は、みんなこのパテントトロールには、散々痛い目にあって、その対策をやっているのではないだろうか。


●パテントトロール、特許トロールとは


パテントトロールまたは特許トロール(英: patent troll)は、自らが保有する特許権を侵害している疑いのある者(主にハイテク大企業)に特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする者を指す英語の蔑称で、その多くは、自らはその特許を実施していない輩たちである。(特許に基づく製品を製造販売したり、サービスを提供したりしていない)



●パテントトロールの特徴


パテントトロールは小規模な企業であることが多い。パテントトロールは、元来メーカーであり自社製品の製造販売のために特許権を取得した企業が、製品事業の中止や売却により保有特許が死蔵特許化したことによって、それを活用してライセンス料獲得をはじめたのが起源であるとの分析がある。


しかし、その後パテントトロールの事業性が知られるにつれて、パテントトロール自身は当初から研究や製造の設備を持たず、自らの研究開発によっては特許権の取得を行わないことが多くなっている。


自ら発明を行って特許権を取得することよりも、特許権を侵害している企業を見つけて権利を行使し、巨額の損害賠償金やライセンス料を得る目的で個人発明家や企業などから安価に特許権を買い集め、いつでも特許権侵害訴訟を起こせるように、特許ポートフォリオの拡充に努めているとされる。


当然のことながらパテントトロールとよばれる者自身が自らパテントトロールと称することはなく、表向きはソフトウェア開発などの事業を会社の事業内容として掲げていることもある。


これは利益目的ではなく、裁判に備えて自社実施をアピールするために製品開発を行っていることをアピールする目的が大きい。 




●企業がパテントトロールの攻勢に弱い理由


通常、同業の製造業・サービス業の企業同士(例えば自動車メーカー同士や電機メーカー同士)では、同業他社が自社の特許権を侵害している疑いがある場合でも、損害賠償や製造差止などを要求することは少ない。


これは、同業者間では相互に同じような技術を有している可能性が高く、相手側の特許侵害を追及した場合、逆に相手側からも特許侵害で反撃されるリスクがある上、競合企業であっても部品購買などで互恵関係があることも多いため、紛争がこじれると互いに不利益になるとの意識が強いからである。


そのため、特許権侵害の紛争が起きても比較的友好的にライセンス料支払いの交渉をしたり、相互に自社の特許権をまとめて実施許諾するクロスライセンス契約に持ち込んだりするなどして円満に解決を図ろうとする。 


しかし、パテントトロールは自らは製品の製造やサービスの提供を行っておらず、他社の特許を侵害するリスクがないので、強気に権利行使することができる。


訴えられる企業の側としては、パテントトロールに対し特許侵害で反訴することはできず、パテントトロールは製品の製造販売・サービス提供を行っていないため差止請求による牽制もできないため、クロスライセンス契約による解決は実質的には不可能である。


また、売上が大きく幅広くビジネスを行っている大企業であるほど、特許紛争で負けて製造やサービスの提供が中止に追い込まれた場合の損害が大きくなる。


さらに、訴訟が長引くだけでも、新製品の開発の計画が狂ったり、顧客に不安感を与えて販売に悪影響があったり、人的リソースを訴訟に割かざるを得ない等の多大な不利益がある。


このため、パテントトロール側の要求が不当なものであったとしても、それに応じることが起こりうる。 


また、弁護士費用を含む訴訟費用についてみると、訴訟費用と同程度以下の実施料を求められた場合には、例え裁判で争って勝ったとしても求められた実施料以上の費用がかかることになるため、当初からパテントトロールの要求に応じて裁判を回避した方が損失を抑えることができることになる。


この傾向は、特に証拠開示(ディスカバリー)手続等によって弁護士費用が膨大になる米国において顕著である。



こんな輩たちである。(笑)


つまり自分たち自らはペーパーカンパニーのようなもので、他社から特許を買い漁って、特許ポートフォリオを構築して、その特許を使っていると思われる他社に権利行使して、莫大で巨額なライセンス料、使用料、実施料を得ることを目的に活動している会社なのである。


自分たち自らは、事業実態を持たないペーパーカンパニーなので、もし相手を訴えたときに、その相手からカウンターとしての反撃を食らうこともない。


結局、裁判費用、弁護士費用、商品の流通計画への影響を考えたりすると、悔しい、不条理・不当とは思いつつもパテントトロールの提示額で和解したほうが、全体として安上がりで収まるということから、和解締結してしまうことも多い。


ある意味彼らの思うツボなのかもしれない。


企業にとって、非常に厄介な存在である。いまのご時世、ハイテク企業ならつねに、このパテントトロールによる攻撃の危険にさらされている、と言ってもいいのかもしれない。


いまこのパテントトロールの餌食になっていく企業は年々増えつつある。


でもネットでの記事を斜め読みをしていると、このパテントトロールのやり方をフェアではない、と思ってるのは業界みんなそう思っているのであり、このようなビジネスが成り立つこと自体、問題あり、ということで世界中の知財法などで、このパテントトロールのやり方を禁じていく方向に持っていく、あるいは軌道修正するような流れはあるみたいである。


ぜひそうなってほしいです。


自社で開発した技術を特許出願し、それに基づいての事業形態がきちんと存在し、その事実に基づいて他社に権利行使する、という本来のライセンス供与の在り方に忠実にあるべき、その原点に戻るべきだと思うのである。


パテントトロールのやり方は、トンビに油揚げ的で、なんか感覚的に癪に障るんですよね。あくまで自分の個人の感覚なのですが。。。


今回のアップルiPhoneの特許料訴訟で英国撤退。。というニュースを読んだとき、その相手がパテントトロールであることを読んで、あ~やっぱりな、相変わらずやっかいな存在、奴らだなぁ~と思うことをしきりだったのである。


明日は、いや今もわが身ではありますが・・・(笑)


ライセンス訴訟、知財訴訟の世界では、こういう存在のカンパニーもいるんだということを知ってほしく、この日記を書きました。





 

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