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やきとり三船 [グルメ]

おらが町のソウルフード。ソウルフードというのは”その地域に特有の料理。その地域で親しまれている郷土料理”という意味だが、まさに、この”やきとり三船”ほど、そう呼ばれるのに相応しい食べ物はないだろう。


おそらく日本中の誰も知らない。本当におらが町のみ有名な、おらが町のソウルフード。そんなお店である。


もう今回はラーメン特集に次いで、ローカル色全開だ~。(笑)


北海道というのは戦後、そもそも未開の地だったわけだが、そこに道外の人(北海道弁で内地の人といいます。)が北海道に移り住んできたその由来は炭鉱である。


戦後の北海道の町は、炭鉱が大変なビジネスで、未開の地、北海道はその石炭が眠っている宝の山であったのだ。その石炭を掘ることでビジネスになっていく。まさにいまのアラブ連邦のような石油みたいなものだから、炭鉱は大変な自然資源だったわけだ。


北海道のあちこちの町が炭鉱の町として栄え、そこでたくさんの人が働いた。道外、内地の人が北海道に移り住むというのは、この炭鉱で働くということと同義語であった。


戦後北海道が栄えていく、そのきっかけだったのが炭鉱ビジネスだったわけだ。


何を隠そう、うちのオヤジも実家は九州・佐賀県であるが、長男のオヤジのみ、北海道に移住してきたのも炭鉱で働くためである。でも肺結核を患い、退職。その後、高校教員としての道を歩み、定年まで全うした。


自分がこどもの頃(と言っても生まれたときからこの町にいるのではなく、いまの実家に引っ越ししてきたのは高校生のとき。)、美唄という町は炭鉱で栄えた町であった。


今回、ご紹介するおらが町の岩見沢やきとり三船は、そんな”美唄焼き鳥”三船がそもそものルーツなのではないか、ということのようだ。


北海道三大焼き鳥といえば


「美唄焼き鳥」

「室蘭焼き鳥」

「函館 ハセガワストアーの焼き鳥弁当」



「室蘭焼き鳥」は豚肉を使用。

「美唄焼き鳥」は鶏の正肉を使い、モツ、モモ、ムネ、レバー、ハツ、皮などが一緒に刺されている。


 なぜに岩見沢に「美唄焼き鳥」があるんだろうか?



「美唄焼き鳥の歴史」


・戦後間もない頃【三船 福太郎氏】が美唄市我路地区にて「三船」開業。

・1965年頃から1970年にかけて炭坑閉山。

・我路地区の三船を譲り、美唄中心部に移転。

・1965年岩見沢に「やきとり 三船」開業。

・1968年に三船の弟子が美唄市に「たつみ」を開業。

・1970年頃、親族により美唄市に「福よし」開業。


ちなみに

・士別にある「鳥源」は岩見沢三船で修行し

・士別で開業札幌と旭川に鳥源がある。

・士別店のご主人 亡くなったけど店名を変えて

・士別で焼き鳥営業している。


 

美唄市は炭鉱で栄えていた時代があり炭鉱は東美唄、南美唄、茶志内など最盛期の人口は9万人であったが現在は2万1千人と四分の一まで人口が減少。


三船開業の地である「我路地区」は「三菱鉱業美唄鉄道線」も運行していた時代があり、近隣には旅館、飲食店、映画館もあってこの地区だけで3万人ほど住んでいた。


また美唄駅から鉄道も引かれ

美唄駅→東明駅→盤の沢駅→我路駅→美唄炭山駅→常盤台駅

と10.6kmを鉄道で結ばれていた。


子供達もかなり多く住んでおり沼東幼稚園、沼東小学校、沼東中学校、旭幼稚園、旭小学校常盤幼稚園、常盤小学校、常盤中学校などの学校もあった。



そんな岩見沢にある”やきとり三船”。


もう古くから存在する。1965年創業だから自分が生まれたときからである。もちろん自分たち家族が引っ越してきてからもずっとそこにあった。


やきとり三船は、今では創業50年以上岩見沢市のソウルフードでもある。


岩見沢駅前というか、バスターミナルの向かいにある。大変失礼ではあるが、もう震災で臨時で作ったプレハブ、掘っ立て小屋のようなお店である。(笑)いわゆる首都圏のような屋号があって、暖簾、提灯があって、雰囲気のあるいかにも日本の居酒屋ってなそんな感じとはほど遠い。


掘っ建てプレハブ小屋を至急にやきとり屋さんにこしらえました。。。そんな風情である。でもこれがまさに思い出一杯。まさにやきとり三船なんだよね~。


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このやきとり三船。本当に溢れんばかりの想い出でいっぱいである。


ちょっといわゆるいまの居酒屋さんにあるやきとり、タン、ハツ、レバー、・・・など我々がふつうに味わっているいわゆる我々がふつうにイメージする”やきとり”とはちょっと違うのだ。


焼き鳥メニューはモツ串と精肉の二種のみ…お客さんの大半はモツ串注文する。


開店15時には来店客に混じって、持ち帰り注文客が続々訪れる…50本~100本注文が普通。とにかくすごい本数なのだ。みんなおうちで楽しまれるということなんですね。


このやきとり三船はイートインももちろんだけど、ここのお店はテイクアウトがすごい多い。ある意味、テイクアウトの比重のほうが大きいと思うくらい。テイクアウトがこのお店の稼ぎの大半を担っているのではないかと思われる。


店内の電話はひっきりなしに鳴りっぱなしで、それも携帯電話ではなく、固定電話の子機みたいなものを使う。そして注文を受けるのだ。それもかなりの本数。”もつ70本、明日の17時、○○様。”そして出来上がったところを見計らって、お客さんがお店に取りに来る。

 

これがある意味、このやきとり三船のビジネスの主幹といっていい。これで稼ぎを出している。もちろんイートインも混んでいるので、ここでも楽しめる。


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もうこういう感じで、お店の電話がひっきりなしにかかってくるのだ。大抵女性の給仕さんがとる。そして注文を受ける。モツ50本、モツ100本ですね。。今日の17時頃にはできると思います。。。という感じである。とにかく注文を受ける本数がハンパではない。(笑)東京の焼き鳥屋さんで、お持ち帰りでこんなに大量の焼き鳥をテイクアウトで注文するという光景はまずありえないのではないだろうか。この現象は、まさに北海道の地方、岩見沢市の独特の食文化を象徴しているように思う。みんな家族一家団欒で、うちの中で三船のやきとりを食べるんですね。そういう光景が目に浮かぶようです。


自分にとって、三船のやきとりといえば、この大量に注文が入ってお持ち帰りするテイクアウトのビジネスのほうに強烈な印象が残っている。


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電話はいまどきのスマホではない。あくまで固定電話の子機を使うのだ。昔からずっと子機を使うことで通している。女性の給仕さんが子機で注文を受けている姿はある意味、このお店の名物シーンではないだろうか。モツ40本、モツ80本と大量に注文を受けると、それが大体何時頃に焼き上がるかを男の串焼き担当に確認して、何時頃に出来上がります、と返答する。それで注文完了である。そしてその注文本数だけ、焼き上がったら、こうやってまとめてビニールでグルグル、そして新聞紙でグルグル巻きにして、その上にマジックで〇〇様と書いてテイクアウト用商品の出来上がりだ。そしてその時間帯になったら、お客さんがそれを取りに来るという感じである。


このやきとり三船のモツは強烈な匂いが漂う。すごい匂いです。もちろん美味しい匂い。家の中でこのお持ち帰りの三船のやきとりを食べていると家の中が、このモツの匂いで充満してすごいことになります。かなり強烈なやきとりだと思います。


昔、子供の頃、オヤジは自分の家族のために、このやきとり三船のやきとりをよく買ってきてくれたものだった。それを家で家族で食べるみたいな。。。


あるとき、さきに電話で注文した後に、車でオヤジと自分でそれを取りに行く訳だが、オヤジが突然、「このお店に、お父さんの教え子が働いているんだよな。恥ずかしいからお前が取りに行ってこい。」と言われたこともある。(笑)


そうやって三船で受取り、それを家で家族全員で食べる。そういう楽しみ方が多かった。その後、オヤジと自分でサシでこの三船で一杯やりながら三船のやきとりを楽しんだことも多かった。


そして自分が大病で休職していた2000~2003年の3年間、北海道の実家で休職していた訳だが、このときも北大病院に定期健診に出かけるとき、札幌澄川の純連で味噌ラーメンを食べた後、岩見沢に帰ってきたら、さらにここのやきとり三船でモツ20本を楽しむ。


そんなサイクルを送っていた。この頃はすごい大食漢であった。(笑)


まさにおらが町にある代表的なやきとり屋さんで、子供の頃から慣れ親しんできたまさにおらが町のソウルフードなのである。


今では、美唄焼鳥を食べられる店は札幌市内にもいろいろ店舗が有る中で、このおらが町にある”やきとり三船”はその伝統を受け継ぐまさにソウルフードと言っていいのである。


今回の帰省のときに、まだやっているのかな、とネットで調べたところ、岩見沢やきとり三船閉店、という記事を見て、あちゃ~と思い、ついにここも閉店か~まぁ確かに自分が高校生時代から40年以上も経っているからな。しかもお店の創業としては1965年から。閉店になっても仕方がないか、と思ったが、いざ行ってみると、なんとなんの変哲もなくいつも通り、通常通りに午後15時から開店しているのである。


うれしかったね~。


ということで、じつに超ひさしぶりに体験してきました。やきとり三船。


この店内まったく自分の記憶では子供の頃だからもう40年以上変わらず。まったくこのまま。


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魚拓なんかも飾ってある。


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やっぱりやきとり三船といえば、この風景なんですよ。お店の一番端で炭火でやきとりをガンガン焼いていくんです。もうこれは男の仕事。


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電話での注文をとる。給仕さんは女性の役割だけど、この串を焼くのは、まさに男の仕事。頭にねじり鉢巻きを巻いて、冬でも半袖で炭火でガンガンに熱い中を串を裏返ししながら焼いていく。これだけ膨大な串を焼いていく訳だからその煙がモクモクと上に上がっていく。それを店外のダクトから外に放出していく。


よく外から、やきとり三船のお店を見ていると、大きなダクトがあってそこからモクモクと煙が放出されているのがよくわかるのだ。その煙が見えると、あ~お店始まっているな、という合図なのだ。


ちなみに、三船のやきとりは、タレで焼くという文化はありませんから。(笑)オール塩で焼きます。


やきとり三船のやきとりは、塩とコショウのみです。


やきとり三船のモツ、いわゆるモツ串は、ふつうに我々が想像する焼き鳥、タン、ハツ、レバー、・・・とはまったく違う別物だと思っていい。見た目も食感もである。なにからなにまで、あのふつうの焼き鳥とは全然違います。


やきとり三船のモツ串のルーツは、美唄焼き鳥にある。

ここでちょっとその美唄焼き鳥について解説を試みる。


美唄焼き鳥とは?


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モツも皮も、鶏を丸ごと一串に


かつて炭鉱で栄えた美唄(びばい)市には、地元の人たちが愛してやまないソウルフードがいくつもある。その一つが「美唄やきとり」で、炭鉱マンのスタミナ源として愛されてきた。一番の特徴は、一串に数種類のモツ、鶏皮、モモ肉が入っている「モツ串」にある。この独自スタイルは、1953年に美唄市の「三船」という店で誕生し、市内いくつもの店に受け継がれている。


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美唄のやきとりは、一串にレバーやハツ、砂肝、キンカンなどのモツと、鶏皮、モモ肉が、全部刺さっていることが最大の特徴、一羽の鶏をさばいたら、すべてムダなくおいしく食べよう、と考案されたもの。さまざまな食感と旨味が口に広がり、なんとも奥深い味わいである。串に刺す順番は、一番下が皮、次が北海道らしく玉ネギ、次がモツ、再び玉ネギ、最後がモモ肉。玉ネギは美唄の名産品で、焼くと甘味が増して鶏肉との相性抜群。メニューには精肉(ムネ肉)だけの串もあるが、お客さんが注文するのは圧倒的に「モツ串」である。


とにかくたくさん食べるのが美唄流


やきとりを注文するとき、美唄では10本単位で大量に注文するのが普通。一人10本、20本食べるのは当たり前。味付けはシンプルに塩こしょうのみ。


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三船のやきとりは、モツ串と精肉の2種類のみだが、自分はモツ串のほうが好きだし、注文するのもモツが圧倒的だ。この日、モツ40本注文。10本ずつ上がってくる。


これがやきとり三船のモツ串。


モツ10本


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モツ20本になるとこんなに凄い!


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串の中に黄色いボール状のものが見えるであろう。これがキンカンと呼ばれるものである。キンカンというのは見ての通りで、卵の黄身の元になるものである。キンカンはトロッと黄身が液体状にとろけだしてくるところもあるようだが、ここ三船では、ガンガンに焼いてしまうので、もう完全な固形状態の黄身である。


こういうキンカンが串に刺さっているというのは、いわゆる美唄焼き鳥、やきとり三船のひとつの特徴なのではないかと思う。自分はいままで焼き鳥にキンカンが刺さっているというのはあまり見たことがなく、このやきとり三船のモツ串が初めてであった。逆にこの串に刺さっているキンカンを見ると、あ~~~いまやきとり三船のモツ串食ってんだな~としみじみ思うのである。


やきとり三船のモツ串は、食べてみてもやはりふつうの焼き鳥(特に塩味)とも全然違う。独特の食感で、基本はすごいサッパリ系。香りがつ~んと鼻に抜けてくるような香りの豊潤さがあって、よく買ってきて家の中で食べてると、その香りが家の中で充満する感じになる。


油でジューシーで、サッパリ系で香りが豊潤。我々が普段食している焼き鳥とは似ても似つかないまったくの別物。かなり個性的な味付けだと思う。中毒性があります。しばらくするとまた食べたくなるそんな感じ。


すごく美味しいと思います。


このやきとり三船に来たら、モツ串だけを食べるのではなく、かならず締めとしてかけそばを注文することをお勧めします。ここのそばはかなり美味しいです。


自分は、そばは、やはり駅のホームにある立ち食いそばほど美味しいものはないと思っていますが、あのホームで漂うあのなんともいえないそばのつゆ、だしの香りの味、まさに朝夕出退勤するサラリーマン殺しですよね。(笑)


三船のかけそばは、その立ち食いそばを超えます。ここのそばのなにが美味しいかと言うとそのダシ、つゆです。これはいままで食べたことがないくらい香ばしいというか脂っぽいというか、かなり香ばしくて、この味は自分の長い人生の中でこの味はどこに行っても味わえることができないです。唯一ここでしか味わえないダシ、つゆの味だと思います。


なんともすごく脂っぽくて香ばしい醤油味なんですよね。

ここのかけそばは、日本中探しても、このおらが町のこのやきとり三船でしか味わえないと思います。


もちろん自分は締めとして、かけそばをオーダー。

美味しかった~~~。


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ネットで、やきとり三船閉店の記事を見たときは、ついに来るべき時が来たか~と思いましたが、今回帰省したとき、べつになにごともなかったように営業を続けられていたのには心底ホッとしました。


また末永く続けられることを期待しています。







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