ザルツブルクと川崎の音楽的友好の軌跡 [クラシック雑感]
ミューザ川崎シンフォニーホールは本当に素晴らしいコンサートホール。日本が世界に誇る最先端のコンサートホールと言って過言ではないだろう。
世界の巨匠、マエストロが大絶賛するその抜群のアコースティック、音響の素晴らしさ、そして従来のホールとは一線を画すその斬新で近代的な空間デザイン。まさに近代ホールの最先端をいくという感じで超カッコいいホールである。
もちろん自分の大好きなホールである。
自分の家に近いこともあって、またミューザ川崎の音響を極め尽くしたい、徹底的に自分のものにしたいという気持ちがあって、東響の名曲全集の定期会員になって3年間通いました。またミューザ川崎友の会は現在も会員継続中である。
大谷康子さんがコンサートマスターの時代ですね。その最後のお勤めの公演も見届けました。そして新しい水谷晃くんへの交代も体験。そんなちょうど端境期のときでした。自分が通っていたのは。
大谷康子さんは、そのあと、お別れ記念として、ミューザで1公演で4大ヴァイオリン・コンチェルトを演奏というすごい企画もあったのではないでしょうか?自分は座席にいましたよ。ヴァイオリンを弾きながら観客席に降りてきて自分の目の前を通り過ぎましたから。
ミューザ川崎のホール設計、空間デザインの設計をなされた設計者のお方の事務所にも訪問させてもらった経験あります。いまでこそ華形ホールの最先端をいきますが、その当時ならではのいろいろな苦労を伺いました。川崎にクラシックのホールを建てるなんて土台無理、集客できない、もっとエンタメ系のホールにしないと・・・とか散々な反対の目に遭ったとか。。。などなど。
2004年にオープンになったばかりのまだまだ歴史の新しいホールであるが、まさに”音楽のまち、かわさき”のシンボルとして、そしてクラシック界でのまさに中心的な存在のコンサートホールに育っていまに至るなんて、いまの繁栄ぶりをその当時予想できた人ははたしてどれくらいいるであろうか。
こうしてみるとミューザ川崎は自分にとってもとても所縁が深いホールである。
もちろんこれからも・・・である。
そんなミューザ川崎の2Fのホワイエにオーストリア、ザルツブルク市との音楽の友好の軌跡のパネルが展示されているのをご存じであろうか。
もちろんとても有名なことなので、誰もが知っていることだけれど、こうやって改めて日記にしてみるのもいいことなのではないか、と思い立ち、自分の日記で特集してみることを思い立った。
2004年にミューザ川崎開館とともに、駅前のところもラゾーナ川崎とか、大規模なショッピングモールも備え、一連の都市開発がなされて、”音楽のまち、かわさき”として街おこしみたいな感じで新しい街のブランドイメージで再スタートした。
川崎といえば、やっぱり煙突から煙もくもくの工場地帯というイメージが大きかったから、ずいぶん大きなイメチェン路線であった。
そんな”音楽のまち、かわさき”のイメージ戦略の一環として、あのザルツブルク音楽祭で有名なザルツブルク市と川崎市は姉妹都市を提携するのである。
上のパネルはそんなザルツブルク市と川崎市との音楽的な友好の軌跡を描いたパネルなのである。ちょっと感動します。
今度、ミューザ川崎にコンサートに行った折は、ぜひ一度そのパネルをじっくりと読んでいただけると嬉しいです。
ちょっとその内容を紹介してみますね。
●川崎市とザルツブルク市の友好
両市の友好都市提携は、平成3(1991)年1月、洗足学園音楽大学でモーツァルトコンサートが開催された際に川崎市長とザルツブルク市長が、両市の芸術文化のおける交流について、会談したことを契機としています。同年8月には、川崎市長を団長とする代表団がザルツブルク市を訪問し、続いて平成4(1992)年にザルツブルク市長を団長とする代表団が川崎市を訪れ、洗足学園前田ホールにおいて友好都市締結議定書を取り交わしました。ザルツブルク市とは、日本国内で唯一の友好都市となります。
ザルツブルク市と川崎市の友好都市締結議定書~展示されています。
●ザルツブルク市との人材交流事業①
寄付金を活用したザルツブルク市への訪問団の派遣に合わせて、人材交流のさらなる架け橋となるため大谷康子川崎市文化大使がザルツブルク市でリサイタルを開催したほか、公募による川崎市民交流団も現地を訪れました。
大谷康子川崎市市民文化大使のリサイタル
ミラベル宮殿で大谷康子川崎市市民文化大使によるヴァイオリン・リサイタルが開催され、駐日オーストリア大使をはじめザルツブルク市関係者やモーツァルテウム大学関係者に演奏を披露しました。
川崎市訪問団のザルツブルク市派遣
学生たちは、滞在期間中、著名な音楽家を数多く輩出してきた世界的に有名な音楽専門教育機関であるザルツブルク・モーツァルテウム大学を訪問し、教授などによるレッスンを受けるとともに、同大学の学生たちによる演奏会を鑑賞しました。
●ザルツブルク市との人材交流事業②
オーストリア音楽家交流コンサート
両市の相互理解と友好を深めるとともに、良質なクラシック音楽や海外の音楽文化に触れる機会を提供する平成25(2013)年から、オーストリアから音楽家を招聘し、市内音楽大学の演奏家との交流コンサートを開催した。
●ザルツブルク市・ザルツブルク音楽祭からのミューザ川崎シンフォニーホール復興への寄付について。
ご存じ、2011年の東日本大震災のときにミューザ川崎は被災した。その復興に向けて、ザルツブルク市・ザルツブルク音楽祭は寄付活動をおこなってくれたのだ。
平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災で被災を受けたミューザ川崎シンフォニーホールは、2年間の休館を余儀なくされ、その間、国内外の音楽家や市民などから早期復旧を望む声とともに、多くの支援が寄せられました。
その際、ザルツブルク音楽祭総裁のヘルガ・ラーブル・シュタードラー氏をはじめ、出演者の方々から、「ミューザの復興に向け、オペラのゲネプロ(最終リハーサル稽古)での収益金を寄付したい」という申し出がありました。
同音楽祭は、これまでも慈善興業をおこなっており、東日本大震災への支援を考える中で、著名な音楽家の方々から高い評価を得てきたミューザの被災を知り、支援いただけることになったものです。友好都市であるザルツブルク市もこれに賛同し、音楽祭の収益金と合わせて総額20万ユーロ(約2100万)の支援をいただきました。いただいた支援金はホールの復興に向けた取り組みとホールの魅力や利用者サービスの向上、「音楽のまち、かわさき」のすそ野を広げる取り組みに活用しました。
ミューザ川崎シンフォニーホール復旧支援寄付者氏名がこのように黄金のパネルで彫刻され、展示されています。ピアニスト小川典子さんのお名前も発見しました!
どうですか・・・すごいでしょう!ザルツブルク市と川崎市がいかに音楽的に友好関係を築き上げてきたか、よくわかります。そしてあの東日本大震災のときにミューザが被災したときも、寄付金ふくめいろいろ助けてくれたんですね。とても涙なくしては見れないです。
ぜひミューザ川崎の2Fのホワイエに行ったときは、このザルツブルク市と川崎市との友好の歴史パネルをご覧になってほしいです。開演前でもいいし、インターミッションのときでもいいです。
ミューザ川崎のコンサートで開演前になると、ホール内に鐘の音が響き渡りますよね。あれは、じつはザルツブルク大聖堂の鐘の音だということを知っていますか?(それはさすがに知っていますよね。(笑))
ザルツブルク大聖堂。世界遺産に登録されています。自分も2013年にザルツブルク音楽祭に行ったとき、このザルツブルク大聖堂を体験してきました。
下の写真は自分が撮影したザルツブルク大聖堂の写真です。
モーツァルトは、この教会で洗礼を受け、オルガン奏者も務めているのです。モーツァルトが洗礼を受けた時の洗礼盤もあって、それをそのときにじかに見ることができた自分は本当に幸せ者です。
またカラヤンの葬儀もここで行われ、10年後の1999/7/16にカラヤン没後10年記念コンサートと称して、アバド&ベルリン・フィルがこの大聖堂でコンサートを行っています。これはNHKで放映され、録画して大事なコレクションとして保管してあります。自分の宝物。ときどき観て感動しています。
じつは、この大聖堂では時々オーケストラコンサートが開かれていて、自分はぜひここでモーツァルト所縁ということでモーツァルトのレクイエムをこの大聖堂で聴けたら最高に幸せだなぁ~と思っていたのです。
でも、旅程と合わなかった。オルガンコンサートであったら、やっているようだったので、そのオルガンコンサートを聴くことにしたのです。
この大聖堂のパイプオルガンはヨーロッパ最大のオルガンと言われているようで、願ってもいないチャンス。
この大聖堂は普段はフリーパスで自由に入れるようになっていて、自由に見学できる。オルガンコンサートのチケットはどこで売っているのかな?と悩んでいたら、大聖堂前のお土産屋さんで販売していた、という盲点であった。(笑)
ザルツブルク大聖堂で、ヨーロッパ最大級のパイプオルガンで聴くオルガンコンサートはもう最高でした。体にジンジンと響いてくるオルガンの音色。
正装の紳士・淑女が彩る音楽祭と違って、着飾ったりしないざっくばらんなザルツブルク市民のみなさんといっしょにオルガンコンサートを楽しんだのです。
これは最高だったなぁ~。
そんなザルツブルク大聖堂の鐘の音が、そのままミューザ川崎の開演前の鐘の音として使用されているのです!
そしてさらには、このザルツブルク大聖堂の鐘の音が、JR川崎駅の前にモニュメントとして建立されて、そこからその鐘の音が聞こえる仕組みになっているのです。
矢羽根案内サインモニュメント
ザルツブルク大聖堂の鐘の音を現地で録音してきた、とても美しい鐘の音色が、8時、12時、18時に流れる仕組みなのである。五線譜はモーツァルト作曲のアイネ•クライネ•ナハトムジークの楽譜の冒頭が表現されているそう。
これから川崎駅での待ち合わせは、ザルツブルクの鐘の前で…(笑)
ザルツブルク市と川崎市との音楽的友好の絆について。。。でした。
2021-06-14 21:46
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