海外生活をすることの勧め [クラシック雑感]
自分の経験談だと、ヨーロッパに住んでいて、たまに日本に帰国して、そしてまたヨーロッパに帰るというルーチンを繰り返していると、それがすごい簡単なこと、いつでもやれるようなことに、そのときは感じるんですよね。ヨーロッパ~日本間がすごい近い距離に感じます。
でも一度、日本に本帰国してしまうと、それがものすごく難しい、ハードルが高いことになってしまう。
旅行としてヨーロッパに行くとなると、かなり大仰なことで、一大イベントのようになってしまう。
かなり距離が遠くなる感じがします。
やっぱり若い時代に、どんな形であれ、1度でいいから海外での生活は体験したほうがいいと思います。
若い時代がいいです。
歳とってくると、持病を持つようになって定期通院をしないといけなくなり、海外での生活は難しくなる。自分もできればもう一回海外で暮らしてみたいとも思うけれど、持病通院があり、命にかかわることなので、危険すぎていまはもう無理だと思ってます。旅行で十分いいかな、と思います。
だから健康体の若いころがいいです。若い時の方がなんでも吸収できるし、そして環境に順応できる体と脳の柔らかさがありますね。
もちろん海外生活に向く人、そうじゃない人もありますね。いろいろな面でありますが、一番大事なのはメンタル面かな。1人で居ること、孤独でいることがあまり苦にならない人がいいですね。
海外で生活すると1人感、孤独感が日本のときより大きくなります。自分は1人が好きな人なので、全然苦にならないし、日本にいるときも、ヨーロッパにいるときもほとんど同じ感覚のようなものだったので、差を感じなかったです。
自分は1人でいろいろなところに出かけて感動したり、1人でいろいろ瞑想していたりするのが好きな人なので、そんな人には向いていると思います。
でもいまはSNSがすごい発達しているから、海外にいても日本のみんなと常に繋がっている感覚が持てますね。そういう点ではそういう心配はないのかもしれません。
自分の時代とはずいぶん違いますね。逆を言えば、そのSNSで常に日本と繋がっているから、せっかく海外にいるのに、海外に住んでいることの恩恵、有難みがわからなくてダメなのかもしれませんね。
そういう意味でも、せっかく海外に住んでいるなら、SNSを遮断する生活を思い切ってするのもいいのかもしれません。
クラシックの音楽家のみなさんは、やはりぜったいヨーロッパでの留学は経験されたほうがいいと思います。
いまはインターネットがすごい発達してあたり前の時代だから、遠距離であっても日本に居ながら、どこの国の情報でも簡単に得られるし、その国、その場にいるような感覚になれるけれど、でもそういうことじゃないんですよね。
それじゃダメなんですよね。
やっぱり実際のヨーロッパのその国、その街に住んで、あの美しい街の景観の中を自らが歩き、ブロンドの西洋人がふつうに歩いているその空間に、自分もその中に埋没している感覚、同化している感覚がとても大切で、その空間にいっしょに自分も居ること、あの空気感をじっさい自分の肌で感じないと絶対ダメです。
芸術家にとって一番大切な”感性”は、その現地のリアルの空間にじかに住んでみないと絶対養われないことだし、体得できないことだと思います。
だからヨーロッパ現地に住む経験は絶対必要です。
クラシックのルーツ、故郷はヨーロッパだし、古の作曲家が活躍したその国、街でじかにその空間を自分の肌で触れて体感することで、その芸術の”感性”を磨く、養うことは絶対必要だと思います。
その経験がある、なし、でその後の音楽家人生でずいぶん大きな差が出てくるのではないでしょうか?
でもそんなことは、自分が言うまでもなく、音楽家のみなさんは若いうちに、留学しますよね。それがあたりまえの演奏家人生のルーチンになっていますよね。
自分はそのクラシック界の常識が最近ようやく分かってきました。(笑)
鉄は若いうちに打て!ですね。
いま留学中の若い演奏家の方々は悔いが残らないように精一杯、現地の空気、感性をすべてを吸収してきてください。応援しています。留学資金の問題、奨学金・・・いろいろ困難はありますが、やっぱり海外生活はぜったいしたほうがいい。
いまはコロナの問題もあって、そのタイミングにあたってしまった若い子たちは本当に可哀そうだとは思います。その背負ってしまったハンディをリカバリーしてあげられる仕組みがあるといいですね。そして、このふざけた世相を早くなんとか終わらせて、また夢と希望に満ちたあの世界が戻ってくるといいですね。
2021-06-20 10:02
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