今日はおかしな日であった。 [クラシック雑感]
この日は本当におかしな1日であった。
サントリーホールのことで日記にしたいことがあって、その日記で使う写真を撮影するために、その目的のためだけにサントリーホールに行ったのだ。
そんな邪心な心などいっさいなく・・・
ところが終わってみれば、結局この日はまさかのダブルヘッダー。音楽三昧の1日となった。あきらかに間違いなく自分の周りを護っていただている音楽の神様の思し召しだったのであろう。ありがたいことである。
そもそも赤坂・六本木に向かう途中の銀座線でレトロ車両に遭遇したときから、この日はなにかある、きっといいこと、感動することがあると予感した。
その通りになった。
いざホールに行ってみると、いままさに旬で開催されている話題のサントリーホール・チェンバーミュージックガーデン(CMG)の公演があるではないか!
さらに出演は、これまたいま旬のヘーデンボルク・トリオと来たもんだ。
長男・和樹(ヴァイオリン)、次男・直樹(チェロ)、三男・洋(ピアノ)のオーストリア・ザルツブルク出身の兄弟によるピアノ・トリオ。
スウェーデン人の父(ヴァイオリニスト)と日本人の母(ピアニスト)のもとに生まれ、それぞれ両親から音楽の手ほどきを受ける。
長男・和樹、次男・直樹はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の正団員として活動するほか、室内楽の演奏活動にも積極的である。幼少の頃より各々デュオでの共演を重ね、2012年にトリオとしての活動を開始。
和樹さん、直樹さんは、毎年元旦のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートでの幕間のインタビューなどですっかり日本のお茶の間でも有名人ですね。
これはもう体験するしかないだろう!当日券売り場に駆け込んだところ、当日券はあった。やったー!
ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第4番、ブラームス ピアノ三重奏曲第3番、そしてブラームス ピアノ三重奏曲第2番である。
ベートーヴェンとブラームスというドイツ色の強い王道の室内楽プログラムであったが、この3人が演奏すると、とてもウィーンの香りのする優雅な響きに聴こえたのは、あながちご本人たちの出生と無関係なことということはないであろう。
素晴らしかったです。大変感動しました。
いま話題の若手の音楽家のコンサートにはどんどん出向いて応援していきたいのだが、自分はいまやすっかり予算体力がなくなって貧乏体質になってしまったので、なかなか自分から自らどんどん出向くということが難しい。
気づけば自分が昔から応援している音楽家専任になってしまい、それで満足しているところもあった。
今回はいい刺激でした。ぜひ今後とも頑張ってほしいです。
そして、このCMGのコンサートの当日券のチケットを買ったときから、当然大ホールの本日の公演も目にしてしまう訳であって、それが非常に自分にとって悩ましいこととなった。
吉野直子さんのハープに、飯守泰次郎先生と東京交響楽団。
カール・ライネッケのハープ協奏曲とブルックナー交響曲第7番。
あぁぁ~これは行きたいな~。
吉野直子さんがピンチヒッターで登場、そしてライネッケのハープ協奏曲は世界初演ということで、数週間前からSNSで告知されていたのを自分は目にしていて、これは行きたいな~と常日頃思っていたのでした。(スミマセン、ピンチヒッターでなかった場合は大変失礼いたします。要はうろ覚えなのです。)。
そのまま放置になっていて、この日たまたまサントリーホールに来たら、この公演を今晩やることを知って、これは行っちゃうしかないでしょ?と即決断である。
急いで、サントリーホールの当日券売り場の窓口で確認してみると、当日券はオンラインのみでの販売だという。
オンラインのみの販売!!!
いまサントリーホールの前に立っていて、スマホしか持っていない自分にとって、オンラインのみ、ってどうやるんだ?
郵送は除外として、コンビニ発券の場合、別に引換券を印刷しなくても、その番号をコンビニ店員に通知するだけでもチケット発券してくれるから、そうするか?
このホールの近くにコンビニありますよ、と女性スタッフ。
でもなんか違うよな。やや面倒くさい感。
東響が最近宣伝アピール中の電子チケットのことをその瞬間思い出した。
よし!それでやってみるか!
自分にとってどうしても諦めきれないのである。このまま引き下がったら悔いが残りそうな気がしたのである。
それからは、ホールの前の陳四川飯店の前のテラスのテーブルと椅子に座って、スマホと格闘である。
まず東京交響楽団の公式HPにアクセス。電子チケット・クレジットカード決済の項目を読む。
よし!いっちょやったるか!
まず東響のチケット・オンラインシステムに登録。まずここから始めないといけない。(笑)
このとき、登録アドレスを家のノートパソコンではなく、スマホのアドレスにしておかないといけないことを寸前で気づく。
あぶねぇ、あぶねぇ。あやうく、チケットがおうちに行ってしまうところであった。
普段この手の登録は、うちのノートパソコンのアドレスで登録しているから、ついついそうしてしまうところであった。
東響の電子チケットは、スマホにLineがインストールされていることが前提条件のようであった。
よし、これから電子チケットを購入。
当該コンサートの購入。座席指定がスマホの画面が小さすぎて、指が大きすぎて、座席をピンポイントでクリックできない。1度で3席同時に押したりでかなりストレス。何回もやり直す。
もうここでいいや、と妥協して、クレジットカード決済。最後のセキュリティコードを入力するときにスマホの画面小さすぎて、うまくいかずそのまま四苦八苦しているうちにタイムオーバーで終了。
あぁぁぁ~もうぉぉぉ~!!もう1回やり直しである。それを3回くらいやったであろうか?イライラ度ストレスMAX状態である。
このとき、スマホの画面を拡大・縮小するとき、指2本の指幅で広げる動作、スワイプ、ピンチイン、ピンチアウト。これやれば一発でOKですね。そのことを最後に気づきました。(笑)
普段自分はスマホを見るだけなので、あまり使わない動作ですが、これをやればスマホでもOKになりますね。スマホ画面の小さな画面で、あのコンサートホールの座席表の座席位置をピンポイントでクリックするのはかなり至難の業ですから。
電子チケット購入完了!
自分のスマホに電子チケットのURLが送られてきます。でもちょっと時間がかかりますね。すぐに送られてくる訳ではないです。
ちょっと自分は心配で心配でドキドキしていました。
これで送られて来なかったらギャグだよなぁ~とか思いながら・・・
東響の電子チケットは、チケットのURLはスマホに送られてきて、そのURLをクリックするとLineのアプリ上で動作するような仕組みになっている。
具体的にどんなチケット画面なのかイメージできなかったので、QRコードかバーコードがあって、それをサントリーホールでのリーダーで読み込んで入場するのかな?
ところで座席番号ってどうやって確認するの?
未体験ゾーン、ドキドキである。
そうしたら電子チケットがスマホに送られてきた。
その画面はいたってシンプルで、座席番号が印字されているだけである。それに東響のアイコン・デザインがあって東響のチケットであることがわかるような感じになっている。
そこでサントリーホールのゲートのところのスタッフにそのスマホ画面を提示するだけでOKである。
やったー!ホールに入場できた!!!
そこからさらにホールに入るところのレセプショニストのスタッフに再度スマホの電子チケットを提示したとき、スタッフから注意を受ける。
「チケットを提示するのボタンを押してください。」
「そしてスマホの画面を指で丸の形を書くようになぞって描いてください。」
そうすると、”使用済み”の電子印鑑が表示された。
おぉぉぉ~!自分は驚いてしまった。
東響の電子チケットとは、こんな感じの画面である。
このプロセスを通してようやくすべてのプロセス終了である。
電子チケットというコンセプト自体はそんなに新しいことではないですね。ヨーロッパのコンサートホールやオーケストラでは数年前から導入していて、日本より電子チケット化は進んでいます。
ヨーロッパでは電子チケットのことを”e-ticket”と呼びます。
海外のサイトで買うとき、紙チケットの郵送がいいか、e-ticketがいいか、の選択を迫られます。チケットの郵送は、海外からだと郵便事故が怖いので、自分の場合は大抵 e-ticketのほうを選択します。
そうすると自分のノートパソコンにチケットのURLが送られてきます。そのチケットにはQRコード、バーコードが印字されているのです。
2020年5月のマーラーフェスティバル2020のチケットは、大半の公演は旅行会社のほうで、アレンジしてもらいましたが、自分自身が直接アレンジしないといけないコンサートもあって、その分は自分は e-ticketで調達しました。
マーラーフェスティバル2020のコンサートの e-ticket です。
右上のところにQRコードがあるでしょう。これを入場するときにコンサートホール側で読み込むのです。
だからヨーロッパのe-ticketは、チケット購入したときに登録アドレスにチケットのURLが送られてきて、それをクリックして開いて、その電子チケットをプリンターで印刷して、それをゲートで提示します。
あるいは、印刷するという作業をせずに、スマホ画面を提示するという使い方もあったと思います。自分はスマホを使うやり方はあまりやっていなかっただけです。
ヨーロッパのコンサートホールは、ゲートのところの女性スタッフはみんな、片手に携帯型のバーコードリーダーを持っているのです。
そしてお客さんのe-tikectに印字されているQRコード、バーコードをその携帯型リーダーでスキャンして、それでOKかどうか判断するのです。
バイロイト音楽祭のときもそうでした。みんな女性スタッフは片手にバーコードリーダーを持っていて、e-ticketのバーコードをスキャンして、「はい、OK。どうぞ!」という感じでどんどん処理していくのである。
おそらくこれは、e-ticketのバーコードをスキャンして、それが正規のチケットのホール座席なのかどうかをきちんと判別するセキュリティ機能の意味もあるのだと思います。
東響の電子チケットの特徴は、オーケストラ側ですべて完結できるシステムである、ということである。つまりコンサートホール側の協力を必要とせず、オーケストラ側ですべて完結できてしまう、ということ。
東響の電子チケットを使ってのホールのゲート通過は、特定のバーコードリーダーや設置されているリーダーを使って読み込むという作業は、いっさい必要とせず、スタッフによるスマホ画面の目視で、はい、OKです、というところである。
もちろんスマホの画面に丸を描いて、使用済みの電子印鑑を表示させる、という特徴はある。
セキュリティの観点からすると、それが正規の座席であるかどうかは、やはりバーコードリーダーで読み込んで正規性チェックする必要があると思う。
でも、使用済みの電子印鑑を表示させる、という動作自体が、もし偽造の電子チケットであれば、そういう認証手続きができない訳であって、そこで本物かどうかが証明されているのである。
そういう点で東響の電子チケットは、バーコードリーダーを必要としないコストのかからない画期的な開発である、といえるのではないだろうか?
もちろんよく内部の技術事情がわからないので、これから検討次第でいろいろ情勢は変わってくるであろう。
これからのDX時代のコンサートホールの在り方として、発券の手間(郵送&コンビニ)のいらない電子チケットは一石を投じるであろう。
欲しいときに、すぐに購入できて、その場で提示できる。
もちろん問題は山積みではある。クラシックのコンサートの客層は、高齢化社会なので、スマホを使ってのこのような一連の操作が苦手でついていけない、という問題もある。
そういう点では、ポップスやロックなどの若年ファン層のほうが占める世界のほうにいち早く根付くのかもしれない。
また、自分はそんな電子化、オンライン化することがすべていいと思っているわけではない、と考えている1人である。
やっぱりクラシック・コンサートのチケットは紙がいいです。(笑)何十年もこれで過ごしてきているから、やっぱり馴染みが深いです。愛着があります。
上は現地スイス・ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで体験したスイス・ロマンド管弦楽団のチケットである。(SACDの右横にあるもの)
こういうお洒落なチケットホルダーに包まれて送られてくると、その豪華ゴージャス感、真心のこもった親切感が感じられて、人間としてとても幸せな気分になるものである。
全部、e-ticket化してしまうと、とても合理的かもしれないけれど、そこには味気がないものになってしまい、そういう大昔からクラシック界が大事にしてきた大切な心が失われるような気がしてならない。
そういうアナログ的な大切なものもやはり残していって、デジタルなオンラインな仕組みと同居していくということが、これから数年間はずっと続いていくものと思うのである。
2021-06-27 14:01
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