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渋谷の街で90年余り。「名曲喫茶ライオン」 [喫茶]

名曲喫茶といえば、自分の場合、新宿の「名曲喫茶らんぶる」であるが、ずっと以前から気になっていた名曲喫茶がある。それは渋谷にある「名曲喫茶ライオン」である。


ここは、もう新宿よりもっと歴史が古く、まさに名曲喫茶の走りになった由緒あるお店である。自分は昔からずっと行きたいと思っていたのだが、なかなかきっかけがなくて実現に至っていなかったのであるが、自分の青春時代の新宿の「名曲喫茶らんぶる」のことを書いたら、もうこうなったら、かねてから憧れていた渋谷の名曲喫茶ライオンも訪れてみようと思ったのである。


オーディオマニア、オーディオファンの方なら、この渋谷の名曲喫茶はよく知っていると思うし、行かれた方は多いのではないだろうか。


●渋谷の歴史の生き証人


およそ100年ほど前、東京の中でも「渋谷は田舎」だったことをご存知だろうか。華やかな中心地・ショッピングや観劇の中心といえば銀座や日比谷。


渋谷という街は何もない、ただの田舎だったのだという。


現在も残る道玄坂の「百軒店(ひゃっけんだな)」は、その田舎だった渋谷に、銀座や浅草のような場所を作ろうと1924年に西武によって開発されたエリアだ。


今も現役で営業している「名曲喫茶ライオン」は大正15年に恵比寿・並木橋で開業。まだ何もない渋谷の百軒店の誘致に答えて移転した、老舗中の老舗である。


現在の道玄坂は、夜の印象が強いゆえに、なかなか足を運ぶ機会は少ないかもしれない。思い切って重厚なドアを開けて見ると、その想像もしていなかった世界に度肝を抜かれることだろう。「タイムトリップ」とはまさにこのこと。


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現在は1・2階の営業だが、吹き抜けの店内にドーンと鎮座するど迫力の巨大スピーカー。全席が、スピーカーに向き合うように配置されている。背もたれに白いカバーがかかっている特徴的な椅子が整然と並んで、まるで列車やバスの座席のよう。



●クラシック音楽と向き合うゆっくりした時間


席に着くとリーフレットが手渡される。毎日15時と19時に「定時コンサート」が行われる。その内容はあらかじめ記載されている。プログラムを楽しみに来る客も多いのだとか。もちろんノーチャージ。


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クラシック音楽に詳しくなくても聞いたことのある音楽が流れる。敷居が高いような気もするが、コーヒー代の550円だけ払って、この大音量の迫力コンサートが楽しめるなんて素晴らしい。


2階の一番前のアリーナ席は、学生さんが陣取ること多いとか。ここでスピーカーと向き合えば、大迫力のコンサートだ。なんでも初代がパイオニアに特注で作らせたこだわりの3Dサウンドシステムだと言う。


●ライオンが歩いてきた歴史


三代目店主の石原圭子さんが説明してくれる。


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「これは戦前のライオンね。大正15年に恵比寿で開業して、昭和元年にこの場所に移転してきた。この写真は昭和18年頃ね。」


その写真が残っているのもすごいが、バックのお店が当時からモダンなことにも驚かされる。


「私はここにお嫁に来る前は、日本橋で育ったの。初めて渋谷に来た時は衝撃だったわね・・・。何もなくて。こんな何もない田舎にお嫁に来て、大丈夫かしら!?って。銀座や日比谷に歩いていける華やかな場所で育ったのに(笑)。今は、ビックリするくらい変わったわね。」


石原さんはその時から渋谷の歴史を見守ってきたのだ。


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「このあたりは空襲ですっかり焼け野原になってしまったの。それでもパパさん(初代の山寺弥之助さん(通称パパさん))はすぐにライオンを復興させた。この辺りでは一番早かったんじゃないかしら。この写真は復興した後のライオンね。よーく見ると、初代の建物より凝った彫りが入ったりしてるでしょ?」


●積み重ねた歴史はお店だけではない。


「ここに来るお客さんは、自分の定位置の席が決まっているのよ。自分は1階のここ、2階のここ、スピーカー前、とか人それぞれね。毎日絶対、そこ。音楽をじっと聴くのに適した、それぞれのお気に入りがあるのね。何十年も同じ席に座り続けているおじいちゃんも多いわよ」


みんなが音楽を楽しみにここに来る。持ち込みも可能だが、この店にはレコードからカセットまで、圧巻の音源が揃っている。おしゃべりをしに来る店でなく、じっくり音楽を楽しみに来る喫茶店なのだ。


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音楽や文学にゆかりのあるお客さんが多いらしく、贈呈された絵画や書物は店の財産になっている。お客さんも含めた歴史の積み重ねが、この店のあちらこちらに見られるのも楽しい。


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もちろん現在でも日々営業しているライオンだが、スタッフさんたちが日々使う中にも、昔ながらのものが垣間見える。ライオンが紡いできた歴史に敬意を表し、大事に使ってきているのがよくわかる。


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こちらは厨房内にある、2階まで商品を乗せて運ぶ、エレベーター。もちろん自動ではなく、横にある紐を引っ張って押し上げるタイプ。スタッフさんによると、たまに重すぎたりして途中で落としてしまうのだとか(笑)


「パパさんが頑丈にやってくれたから、戦後だともう70年近く経っているのに内装や設備の劣化はあまりないのよ。将来は私の次男が継ぐので4代目も決まっているの。まだまだこの先何年も、何十年も続いていってほしいわね」


おしゃべりして、インスタ映えする商品の写真を撮るカフェの楽しみ方が流行っているが、たまには一人で歴史の重みを感じながら音楽を聴いてゆっくりする。そんな時間の過ごし方も「粋」なんだと、550円のコーヒー片手にいかがだろう。



情報引用元:


Harumari TOKYO:東京・渋谷 渋谷の街で90年余り。「名曲喫茶ライオン」は令和の時代にも輝き続ける





渋谷の道玄坂を上がっていったところにある。正確には、道玄坂を上がっていき、右折して「百軒店」の枝道を入っていく。ここのエリアはやっぱり自分はあまり好きじゃないというか苦手かも?


結構お色気関係、多いんだよね。(笑)あとごちゃごちゃし過ぎて汚いというか。。いかにも渋谷といえば、そうなんだけれど。。。



そうするとあっけなく発見。

緑の看板が大きく目立ち、すぐに発見。


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創業1926年。まさに渋谷の街で90年余り。渋谷の歴史の生き証人だ。名曲喫茶の名店中の名店である。なかなか入りづらい雰囲気は確かにある。


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1階の様子。


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上の写真は、やはりインタビュー用に撮影したプロの写真で、さすがに美しく撮れているけれど、素人の自分が撮って、実際の肉眼で似た感じは、極めてこんな感じである。あと、プロの写真はおそらく2階の写真ですね。2階の方がそのようなプロモーション用に向いているんだと思います。


自分は、最初この1階を見たとき、想像以上に狭くて暗く薄汚いところだな~という印象であった。


自分は、この1階の1番前に通された。


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これが「名曲喫茶ライオン」の自慢のステレオ・システム。


ふつうのレコード喫茶と違って、このステレオ・システムがど~んと鎮座していて、店内を一種独特な雰囲気にしていると思う。


店内の中央に据えられた大きな3Dスピーカーから聞こえる壮大なクラシックは臨場感に溢れ、音楽の素晴らしさを体感できると言われている。


ちょっと見、市販のものとはとても思えず、自作のスピーカーのように思えるのは、見たと同時に感覚的にわかった。送り出しの機器はよくわからなかった。


全館(各階)ステレオ音響完備(帝都随一を誇る)。真のHiFi、立体音響、3Dサウンドとの触れ込みである。初代(山寺弥之助さん(通称パパさん))がパイオニアに特注で作らせたこだわりの3Dサウンドシステムだと言う。


音響の専門家に音の波形を見ながら調律をしてもらった特別仕様だそうである。


何事にも専心し徹底的にこだわる弥之助氏の性分は、「帝都随一を誇る」とうたった音響装置の製作でも本領を発揮する。当時のこだわりが、雑誌「サライ」(小学館発行/1995年第4号)に記されている。


二代目・宗夫氏が生前に語った、戦後の店舗再建の際にオーダーメードしたスピーカーに関する説明だ。


実際のオーケストラは、基本的にステージでは向かって左側に高音楽器、右側に低音楽器が並ぶ。ステレオ録音ならこの配列をそのまま再現できるが、モノラル録音では不可能だ。そこで、モノラルの音でもステレオに近い音を再現するために、スピーカーを左右非対称にし、低音と中高音を3つに分けた4チャンネルスピーカーを設計したという。開発には、某大手家電・音響メーカーの研究所に勤めていたエンジニアが協力した。


常連客だったそうだ。


その後、このオーディオ・システムは、米国の音響専門誌「AUDIO」の1958年12月号で全ページにわたって写真入りで大きく紹介され、世界的な名声を得た。


まさにクラシック再生に特化した拘りの特注の自作スピーカーだったのである。正直なところ、上の改造の意味がわかりにくいが(なぜそのようにするのか。)要はポイントはモノラル音源を再生することが極めて多いので、それの対応のために苦肉のために考案した策、特注ものなのだろう。



これは驚いた。


そしてすごい楽しみである。


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レコード5,000枚、CD500枚以上を所蔵しているという。欧州の伝統的なコンサートホールのような重厚な佇まいで一世紀近くクラシックファンを魅了してきた名曲喫茶の草分けである。



創業者の山寺弥之介氏は、会津若松の造り酒屋の御曹司だった。大正末期に母親と共に上京し、1926年に恵比寿(並木橋)で喫茶店「ライオン」を開業した。半年後に渋谷への移転を決めたが、砂利道の不衛生な駅前を避け、標高15mの小高い坂の上に店舗を構えた。開店当初は流行歌ばかり聞かせていたが、常連客が持ち寄ったクラシック・レコードの楽曲に触発され、当時の都内にはまだなかったという「名曲喫茶」に鞍替えした。


「創業者は、感覚の鋭い方。趣味人でモダンボーイでした」


「パパさん」と呼ばれた創業者の印象を語るのは三代目店主の石原圭子さん(86歳)。夫で二代目の石原宗夫氏(故人)は、創業者の義弟にあたる。2007年に77歳で永眠した宗夫氏の後を継いだ。


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自分は、コーヒー(ブラック)をオーダー。そうするとリーフレットとともにサーブされた。


ライオンでは、毎日午後3時と7時に「定時コンサート」を開催している。レコード会社の担当者が新譜を持参して紹介した頃の名残だそうだ。テーブルにコーヒーなど注文の品とともに、作曲者・曲目・演奏者の月間プログラムを記載したリーフレットが配られる。演奏が終了すると、スタッフがその都度、楽曲をアナウンスする。これもライオンならではしきたりだ。


コーヒーは一杯550円。パパさんの従兄弟がロンドンの「ライオンベーカリー」で修業して覚えた直伝の抽出法「湯煎式」で淹れている。豆は、現在は浅草の石川コーヒーから仕入れているが、三代目・圭子さんがアメ横まで買い出しに行き、店に戻ってミルで挽いた時期もあったという。圭子さんは現在も、この「湯煎式」でコーヒーを淹れるのを毎朝の日課としている。


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リーフレットには、7月のプログラムがday by dayでびっしり書かれている。この日、17日(土)は、ブラームスの交響曲第2番であった。



さて、どんな感じで進められるのか、大人しく郷に入れば郷に従えで、様子を伺っていた。


まず、おしゃべり禁止。寝るのはOKである。

ちょっと周りを見渡してみれば、みんな読書をしている人が多かった。

本を読みながら、店のシステムで音楽を聴いているという感じである。

あるいはスマホをいじっているかな。


また座席がいっせいにスピーカー側に向いていて、また隣の他人と話すことはほとんど不可能な距離感なのである。みんな、し~んと静まり返って、再生されているクラシック音楽を聴いているのである。


進行は、若いお兄ちゃん。


1曲終わるごとに、「いまの曲はリクエストで、〇〇〇の〇〇、●●●の演奏によるものでした。」というアナウンスをする。


それをずっと繰り返すのである。


アナウンスするときに、システムをオーディオからPAマイクに切り替えるのだが、その途端にブ~ンというハム音が鳴るのがご愛敬であった。(笑)あれはなんとかならないものか???


リクエストはもちろんお客からだが、どうやってやっているのか、わからない。

リクエスト用のメモ用紙、筆記用具もなかったし。

スマホなどのオンラインでやっているのかな?


あと、リクエストを受けてから、この膨大なラックからどうやってアクセスしているのかもナゾ。PC管理しているほど進んでいるようにも思えず、結構人間によるアナログ・マニュアルのような気がするのであるが・・・。


土曜日の14:00頃に行ったのだが、結構繁盛していて1階に関して言えば、ほぼ満員御礼の盛況ぶりである。


さて、肝心の音、サウンドはどうであったのか?この拘りに拘った特注設計による3Dサウンド、立体音響とはどのようなものであるのか?


これはなかなか難しい。


なるべく日記を盛り上げたいので、前向きに表現して持ち上げたいのだが、なかなかどこをどう褒めればいいのかなかなか厳しい。


最初の出音を聴いて、まずそのナローレンジな音に閉口。

まさしくヴィンテージの音である。

そして音が歪んでいる。歪みまくっている。

音場ゼロ、音の拡がりもない。

定位もあまりいい感じでない。まず定位していない、と思う。定位感がない。


なによりも基本となる情報量が徹底的に足りないサウンドである。


これを3Dサウンド、立体音響と言っては・・・。(笑)

聴いているのがかなり苦痛な音であった。


たぶんモノラル音源なんだろうな?という予想はすぐにできた。

音源自体がすごい古いのだろう・・・ということも。


何曲か続けて再生するも、そんなに印象の違いもなく、う~ん、これはがっかりだなぁ~という感じでちょっと失望していた。


店内のリクエストやコレクションされている音源が、圧倒的にモノラルが多いからスピーカーを特注させて、モノラルでもステレオのように音の拡がりが出るように改造設計したものなのではないのか?


そんな恩恵がまったく感じられなかった。


そのときに、自分はちょっとネジを巻き替えた。


つまり古い音源を聴く用の耳、脳に意識を変えることである。ふだんのモダン音源と古い音源を聴く場合、同じものさしで聴いていてはダメなのである。自分は普段は圧倒的にモダン音源の方が多いので、その感覚で比較してはダメなのだと思った。


意識しながら、当時の時代背景の演奏形態、録音品質を考慮し、その上でその当時の価値観、画期的だったことを振り返り、モノラル音源を聴いていかないとその良さはわからないのではないか、と思ったのである。


そう思い直してから、その苦痛な感じはずいぶん和らいで、前向きな印象、聴き方に変わっていったような気がする。


客層は年配の高齢層か、というとそうでもなく、かなり若い人も多いので、みんなそのような過去の音源、きっとここにしかないモノラル音源、そういう貴重なレコードを聴きに来ている場合も多いのだろうと推察した。


こういう名曲喫茶、レコード喫茶っておそらくその店内の独特の雰囲気を楽しむ、ということもあるだろうけれど、もういまや市販されていない、ここにしかない貴重なモノラル音源ってあって、それを聴きに来ているんでしょうね。


そのときである。


バッハのヴァイオリン・コンチェルトがリクエストでかかったときである。


ホッとするサウンド。いつものサウンド。モダンな響きで今風のサウンドが聴こえてきて、お~いいじゃない、いいじゃない、やればできるじゃない!・・・である。


やっぱりいままでのは古い時代の演奏、音源だったんだね。

現代のサウンドでもなかなかの再生力であった。


でも自分はオーディオに関しては、首都圏を始め、全国のいろいろな猛者のサウンドを聴いてきているから、手厳しいです。


まだまだ。とても絶賛できるサウンドではなかった。特注の立体音響、3Dサウンドとはとてもアピールできるレベルではない。そこまではまだまだ到達していないと思う。


見かけとくらべて、まだまだ音が見掛け倒しのようには感じた。


でもそんなことを力説する自分の方が、きっとずっとオーディオに関して、いや人間として青いというか、まだまだ子供というか、軟や奴なんだと思う。


オーディオマニア、オーディオファンにありがちなタイプなのだと思う。わかっていないのは自分のほうなんだと思う。



なによりも創業1926年、まさになにもなかった野原の渋谷を90年余り見続けてきて、渋谷の生き証人でもある「名曲喫茶ライオン」。その当時から引き継がれてきた伝統は、そのような比較をするべくものではなく、もっと絶対値評価として、その貴重な資産を尊重するべきものなのである。


その歴史的な存在価値を、そのまま受け入れ、それを堪能する、それが失礼にあたらない本当の遺産と対峙する姿なのだろう。


そう思い直して、15:00からの定時コンサートの「ブラームス 交響曲第2番」を聴き込んで、店を後にした。


かねてよりずっと訪問したいと思っていた渋谷の「名曲喫茶ライオン」。念願がかなって嬉しかったです。


自分のオーディオライフの中でも貴重な足跡となることは間違いない。





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