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電子契約サービス [ライセンス・知財]

取引先から「契約書を送りますので、捺印したあとPDFで送ってください。」って簡単に言うけど、全然簡単じゃない。(笑)あとで紙も残るし。。。


自分は、2020年にコロナ禍になって、在宅勤務中心の就労形態になってから家にあるプリンターをスキャン機能付きのPDFファイル作成可能のプリンターに買い換えましたから。


仕事上、書類に捺印や、海外の書類の場合は、直筆のサインが必要になり、そのためには相手が送ってきたPDF書類をいったんプリントアウトして紙にして、それに捺印や直筆のサインをして、それをさらにプリンタのスキャナーで読み取ってPDFファイルにして、また相手に送る、という作業があるからだ。


在宅勤務の初めの頃は、家のプリンターにスキャン・PDF機能がついていないため、こういう業務が発生した場合、いちいち会社に出勤して、会社のでっかい業務用複合機でやっていたのだ。


書類にはんこを押すためだけに会社に出社する、じゃないけど、スキャン・PDFするためだけに出社するのはあまりに愚なので、自分ちのプリンターをついにスキャン・PDF機能付きのプリンターにアップグレードしました。


それでもこういう作業は、なんか時代の流れに逆らっているように思える。レガシースタイルのやり方ですね。


自分の仕事上、「契約書」という書類を扱うことが常なのであるが、契約書って、いまだに紙?という文化で時代遅れになりつつあるような気がする。


契約書というのは、基本今のやり方だと、最初はお互い草稿案を修正できるようにMicrosoft WORDなんかで作成されていて、やりとりしていて、その契約内容がお互い最終承諾して契約締結に至ったときに、その文書をPDF化して、お互いのサイン、捺印を契約書にして締結となる。


そのとき、PDFで送って、それをプリントアウトして捺印、直筆サインしたものを再度スキャンしてPDF化するというような作業をやる。


でも契約書って、原本といわれる文化なんですよね。


原本というのは、そういうPDF化しない生の本物の捺印やサインがされているリアルな本物の紙の契約書のことです。


その原本を後日必ず相手に郵送するのです。


契約書はPDF化したものでは、真の証とならないところがあって、あくまで原本が神様的な存在なのです。


郵送には時間がかかるから、まずは内容確認、契約締結確認のためにPDFで先にやりとりをして、そしてあとから原本を相手に送る、という二重のことをやっているのです。


PDFより原本の方が、神様的存在、もっとも信頼できる本物の存在という扱いなのです。


自分は、昔、この慣習、慣わしを知ったとき、うわぁ、これぞライセンスの世界、ライセンスのカルチャーだなぁと思ったことがあります。


PDFでいいじゃん、と思っていましたから。



文化庁がいま取り組んでいる音楽家、アーティストたちの出演依頼などの”業務委託”の契約書問題。もし、従来通りの原本主義の契約書文化だと、もう音楽家、アーティストたちがその原本を相手に郵送するために、毎回郵便局に通うなんて手間が増えるのでしょうか?(笑)


ありえないですよね。ナンセンスです。契約書を取り入れるのはいいことなのかもしれないけれど、余計な肉体労働が増えては、まったくナンセンスですよね。


当面は、いまのやり方のいったんプリントアウトしてスキャンしてPDF化する、というやり方なのでしょうけど、これも本筋ではないと思います。


来年度の2022年から国では、電子帳簿保存法が改正され、インボイス制度も視野に入ってくる。今後、請求書やインボイスなどを紙で残してはいけなくなります。


うちの会社もそうですが、経理部門は本当に大改革で大変ですね。国のデジタル庁が率先して、はんこれす、ペーパーレス化に取り組んでいます。まさにDX、デジタルトランスフォーメーションへ突き進んでいますね。


その中で、自分の仕事のエリアだけでいうならば、契約書の世界もDX化が実用になってきます。



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それが「電子契約サービス」というものなのだと思います。


昨日、ちょっと調べていたら、う~ん、まさにこれからはこれこそ新しい契約のスタイルだなぁと思いました。


自分もいま一生懸命勉強している最中です。


電子契約サービスのシステムの根幹をなすのが、PKI(Public Key Infrastructure)といわれる暗号セキュリティの世界の公開鍵暗号システムをつかった電子署名で捺印、サインの代わりをすることを肝としていて、自分はこれだな、と直感で確信しました。


自分は前職時代に、インターネット音楽配信の仕事をやっているときに、このPKI、暗号セキュリティのことは仕事でかなりやりましたから。インターネットに音楽データを流すときに、まさか裸で流すわけにもいかず、どうしてもセキュリティ技術の習得が必要だったからです。


PKI・・・公開鍵暗号、ハッシュ関数による電子署名、電子証明書(公開鍵証明書)、そして認証局(CA)(第三者機関)。


自分の青春時代のシンボルのテーマでした。


電子契約サービスは、このPKIのシステムが根幹になっていることを知って、昔とった杵柄ではないですが、う~ん、こりゃいっちょやったるか、という気持ちになっています。


契約書の世界で、今後、電子契約サービスによるDX化が進むと、新しい希望が見えてきますね。


文化庁の契約書問題は、ぜひこの電子契約サービスをつかって、契約書のやりとりをしてほしいものです。いちいち郵便局に行くような愚な行為は発生せず、時代の流れに合っているような気がします。



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電子契約サービスというのは、電子文書の本人性(本人によって作成されていること)と非改ざん性(内容が改ざんされていないこと)を証明する「電子署名」を使って、企業間の契約のやり取りを電子的に実現するサービスのことをいいます。


紙の場合には、送り主本人しか持っていないものとして印鑑が使われ、その印影が本人のものであると証明するものとして印鑑証明書がある。これに対して、電子署名では主に「公開鍵暗号方式」を採用している。ここで印鑑の代わりになるのが、送信元が電子署名を生成(暗号化)するときに使う「秘密鍵」である。その秘密鍵とセットになる「公開鍵」が本人のものであると証明するのが「電子証明書」である。この方式の電子署名を特に「デジタル署名」と呼ぶ。


昔、20数年以上前にセキュリティをやっていたときは、当時はこの電子証明書のことを公開鍵証明書と言っていました。名称は変わっているけど、セキュリティの考え方の本質は、26年以上経過して今でもまったく変わっていないと思います。


電子署名とよく似た言葉として「電子印鑑」がある。ただ電子印鑑は一般的に、「印影のイメージを電子文書に貼り付ける(電子的に押印する)こと」を指しており、本人性や非改ざん性には触れない場合が多い。


電子印鑑は、パソコンのアプリで、印鑑を電子的に造れるやつで、それを電子文書にペタって押すものですね。確かにパソコンの中だけでできてしまい、紙に出力する必要はないけれど、これには本人性や非改ざん性を証明する

チェックする機能はないので、まったく使えませんね。



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電子契約サービスの導入により、企業にもたらされるメリットとデメリットは以下の通りである。


●電子契約サービスのメリット


電子契約サービスの採用による企業側のメリットは

(1)ビジネスのスピードアップ

(2)コスト削減

(3)コンプライアンスの向上

(4)リモートワーク推進のしやすさ


が挙げられる。


(1)ビジネスのスピードアップ


契約書に物理的な押印や郵送が不要で、電子的なやり取りだけで済むため、契約締結のスピードを高められる。


(2)コスト削減


印紙税や用紙代、郵便料金、保管スペースが不要になり、作業にかかる工数も削減できる。電子契約サービスを利用するボリュームにもよるため試算が必要だが、サービス利用料よりも削減できるコストが大きくなる場合が多い。


(3)コンプライアンスの向上


取引状況を一元管理でき、契約書の紛失や災害による消失への備えのほか、監査時の非改ざん性の保証が可能となる。


(4)リモートワーク推進のしやすさ


押印や書類の発送、受け取りが不要となる。契約文書のために出社する必然性がなくなり、リモートワークを推進しやすい。




●電子契約サービスのデメリット

一方、電子契約サービスの採用による、企業側のデメリットとしては以下のものがある。


(1)社内の規則や業務フロー変更の難しさ


社内の規則や業務フローの変更が必要となるが、変更に抵抗がある組織では、導入は困難となる。


(2)取引先との商習慣変更の難しさ


取引先との商習慣を変えることも簡単ではない。大前提として、取引先への丁寧な説明が必要となる。電子契約を導入できない取引先が残ると、紙と電子の契約が併存する事態となる。


(3)対応すべき契約サービスの乱立


複数の取引先が異なる電子契約サービスを導入すると、多数の電子契約サービスに対応せざるを得なくなる。



・・・これは結構痛い処ついていますねぇ。これもなかなか普及できないかもしれない大きなポイントになるかも?と思います。


レガシーとの闘いですね。いまのシステムでもちゃんと廻っているんだから・・・という感じでしょうか。


いま世の中に出始めている電子契約サービスっていろいろなサービスが乱立しているんですね。


もし取引先から、電子契約サービスを使いたいのだけれど・・・と言われたらどうする?ってな感じです。そしてその相手先によってその使用しているサービスが違っていたら、社内で管理するのは大変ですね。


自分の仕事である技術ライセンスでも、本当に大多数のライセンサーがいるので、みんなに統一したシステムを使うように啓蒙したり、説明したりプロモートしていくのはなかなか大変のような気がします。


やっぱり従来のやり方でいい、という感じにもなるところも多いかもですね。


この問題については、政府も対応を始めています。今後はデジタル庁やデジタルトラスト協議会(JDTF)で電子署名などを含むいわゆる「トラストサービス」に関する認証制度を作ることになるそうであるから、国でビシッとひとつ大きな根幹フレームワークを作ってほしいものですね。


電子契約サービスは、いろいろなシステム・スタイルがあります。


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基本はこのように契約書をインターネットのクラウド上で、保管管理するもので(クラウド型契約管理)、第三者機関(認証局CA)のような位置づけの会社でお互いの本人確認、証明書を発行生成して、そのやりとりの正当性(本人であることをの正当性、内容の非改ざん性)を電子署名で保証してあげるというもののようです。


それが従来の印鑑、直筆サインに匹敵するものになります。


とにかく契約起案から締結まで、ひとつの電子フロー作業で統一することができ、紙に印刷、捺印・直筆サインそしてさらにスキャン・PDF化という手間もなくなる。オール電子化になる。これこそまさに契約書の世界でのDXといえるのではないでしょうか?


いろいろな電子契約サービスが混在するので、自分もいまいろいろなシステムを勉強しているところです。


文化庁の契約書問題は、アーティストの負担を考えると、この電子契約サービスを導入してほしいものです。企業は規模がデカいので、改革が大変ですが、文化庁のほうはこれからの話ですから、結構小ぶりに収めることもたやすいのではないでしょうか?


では、次回はこの電子契約サービスの骨格をなす、PKI(公開鍵暗号方式インフラ)について解説を試みてみたいと思います。この公開鍵暗号、ハッシュ関数、認証局(第三者機関)がわかっていないと、電子署名の意味が真に理解できないと思います。


自分のために書いています。自分の昔取った杵柄で、自分のことにも関することなので、自分の勉強ために書いています。









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