鎌倉五山 寿福寺と浄智寺 [寺院・仏閣]
鎌倉五山のランク付けでは、寿福寺は第三位なのだけれど、それだけでは評価できないとても大切な所縁の伝説を持っているお寺である。
寿福寺は、源氏のルーツの地に立つお寺なのである。
平安時代に検非違使の平直方が鎌倉に居を構えて以来、この地は桓武平氏の東国における拠点であった。その後、源頼義が直方の娘婿となり、嫡男の源義朝が生まれると屋敷を源氏に譲った。鎌倉と源氏の縁の始まりである。
1051年前九年の役として知られる戦いで奥州に向かう源頼義が源氏山で勝利を祈願した。鎌倉幕府を創建した源頼朝の父、源義朝。源氏の頭領であり関東に大きな基盤を築いた義朝の館が、かってこの場所にあったといわれている。
頼朝が鎌倉に拠点を置いたのも父である義朝の地盤がこの鎌倉にあったためであり、その点においてもこの寿福寺の地は源氏と鎌倉幕府にとてもゆかりの深い土地といえるのだ。
寿福寺は、源義朝の邸宅あとに開山として栄西が招かれ、建立されたと伝えれられている。開基は北条政子。
お寺を初めて建てるときは、必ず開基と開山という2人の役割がいる。開基というのは、いわゆる資本主、スポンサーのことであり、そのお寺を建てるのにお金を出した人である。大抵の場合は、その当時の時の権力者がなる場合が多い。
それに対して開山というのは、そのお寺の教え、悟りを開いた人である。大抵の場合は、僧、お坊さんがなる場合が多い。
寿福寺は、開基が北条政子、そして開山が明庵栄西。
1200(正治2)年、源頼朝の妻・北条政子が頼朝の死後、頼朝の父である義朝の旧邸跡に明庵栄西を招いて創建した寺で13世紀後半になって禅宗の寺院となった。
本尊は釈迦如来坐像。その脇には大きな仁王の像がある。鎌倉五山の第三位。
三代将軍実朝もしばしば訪れ、最盛期には十数か所の塔頭を擁する大寺であったという。
まさに源氏のルーツの地に立つ寿福寺。
鎌倉五山の中で、もっとも重要なお寺であることがわかった。これはもう鎌倉五山の順位など関係ない。
ただ、このお寺は、すごいミステリアスなのだ。基本的に非公開なのである。一般公開されていない。そして電話・FAXの受付もいっさいしていないのだ。
超ミステリアス!
秘密のベールに包まれた禅寺なのである。
ただし、正月やGWには、特別公開するようで、自分はぜひ近々のGWの照準を合わせて、再び寿福寺を訪問してみたいと思っている。
秘密のベールに包まれた寿福寺の仏殿、境内をぜひ拝みたいと思っている。たくさん写真を撮ってきて、日記にしたいと思っているので、お楽しみに!
寿福寺は基本は非公開なので、中の境内は拝見できないのだが、でも見れる観光スポットはちゃんとあるのだ。そこはつねに公開なのである。
事前にネットで調べたところ、これはぜひ行く価値がある。それだけこのスポットには魅力がある!ここを観るだけでも価値がある、と即決で判断した。
これは行かない訳にはいかない。
さっそく寿福寺に行く。鎌倉駅から小町通りをずっと歩いていって、ずっと端まで行って、左折する。住宅街の中をひたすら歩いて行って、線路を超えたら、もうそこは寿福寺である。
総門。
源実朝を偲ぶ石碑が立てられていた。1992年に建てられた石碑のようだ。寿福寺は、政子だけではなく、源実朝や源頼家とも所縁の深いお寺なのである。
そして、寿福寺といえばこの参道。この参道の敷石は鎌倉随一の美しい意匠と言われている。
寿福寺の一番の魅力はここでしょう。でも自分が写真を撮ると下手なんだなぁ。(笑)
事前にネットで調べたプロの写真はこんな感じです。
鎌倉随一の美しい意匠。自分はこのプロの写真をみて、これはぜひ行ってみて、自分の目でじかに見てみたいと思ったのだ。
そうしてもうひとつのスポットを見に、このお寺の裏山のほうに向かう。
こんな怪しげな裏山への山道。ここで合っているのかちょっと不安になる。
そうすると、また門が現れる。
ここに看板を発見する。
おぉぉ~ここで間違いない!
確信を持った自分は、さらに裏山のほうに向かう。
そうすると、階段を昇ったところは、そこには一面に墓地が開けていた。
そして自分が目指したところ。それがここである。
北条政子、源実朝のお墓。
寿福寺の裏山には、北条政子と源実朝が眠る墓があるのだ。
墓地、最奥に源氏山をくり抜くようにやぐらがある。ここに北条政子、そして源実朝のものと言われる五輪塔を安置したやぐらがある。実朝の塔があるやぐらは「唐草やぐら」と呼ばれ唐草模様の彩色がかすかに残った珍しいものだそうだ。
ここが北条政子のお墓(やぐら)。
そしてこちらが源実朝のお墓(やぐら)。
現場で見たところ、どちらが政子、実朝の墓なのか、よくわからなかった。確信が持てなかった。ただ政子のほうは、看板に書いてあったので、たぶん間違いないと思う。
こちら側のアングルからも、政子、実朝のお墓を撮る。
寿福寺のもっとも所縁のあるポイントとして、この政子、実朝のお墓がある、というのはあまりに強烈なメッセージだし、ここはぜひ訪れないといけないだろう、と思ったのだ。
自分は嬉しかった。まさかここで、政子や実朝のお墓参りができるなんて思ってもいなかったから。鎌倉五山のことを調べていくうちに、順位付けの順番で、今度は寿福寺の番ということで調べたらこんなミステリーが待っていたのだから。
自分は高まる鼓動を抑えることができなかった。
寿福寺の観光スポットは、美しい参道と、この政子、実朝のお墓参りである。そしてなによりも源氏のルーツに立つ禅寺である。非公開の秘密のベールに包まれたお寺であるけれど、鎌倉五山の中でもっとも重要な立ち位置にあると言えるのではないだろうか。
寿福寺の裏山からそのまま源氏山公園に行くこともできる。そこには有名な源頼朝像があるのだ。
ぜひ行ってみようと思ったのだが、うまくたどり着けなかった。
源氏山公園の源頼朝像は、また機会を改めて、別ルートで行きたいと思っている。鎌倉駅から結構歩くので、歩行に支障がある自分にはかなりハードルが高い。どうしようか困っているところだ。
日を改めて、今度は浄智寺。
浄智寺は、鎌倉五山第四位の禅寺である。
浄智寺が創建された十三世紀の後半の鎌倉は、北条氏がきわめて盛大で禅宗がもっとも栄えた時期である。
1281年(弘安4年)執権として有名な北条時頼の三男、宗政が29歳で亡くなる。浄智寺は宗政夫人が幼少の師時を開基にして、宗政の菩提を弔うために創建されたお寺である。
開山が3名連なるのが、鎌倉では他に例をみないが、当時は渡来僧が多かった禅宗の雰囲気が垣間見れる。史料が乏しく真相は不明だが、3人の中で唯一の日本人である「南洲宏海」が、すでになくなっている「兀庵普寧(ごったんふねい)」に開山の名誉を遺贈し、実際には「大休正念(だいきゅうしょうねん)」を据えたのではないかと推測されているそうだ。
浄智寺は、北鎌倉駅から歩く。北鎌倉駅の建長寺や円覚寺などがある方面とは、反対方面にある。
浄智寺惣門(高麗門)
「寶所在近」の文字が掲げられた美しき惣門。池の前には苔むした石の反橋がかけられた、美しき惣門。その脇に鎌倉十井のひとつ「甘露ノ井」がある。
浄智寺の鐘楼門
鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門。
杉林に囲まれた参道は鬱蒼としていて、その先に鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門がある。手前の鎌倉石の階段も美しく、すり減った鎌倉石が歴史を刻む古刹の佇まいをみせてくれる。2007年に再建された鐘楼門は「山居幽勝」の額が掲げられ、花頭窓のある上層には1649年(慶安2年)の梵鐘が吊るされている。
曇華殿と木像三世仏坐像
曇華殿(どんげでん)と呼ばれる仏殿。本尊は珍しく室町期作の木像三世仏坐像で県指定重要文化財である。
浄智寺本尊。木像三世仏坐像
向かって左から阿弥陀・釈迦・弥勒の各如来で、過去・現在・ 未来の時を代表している。鎌倉地方に多い衣の裾を台座に長くたらした様式が見どころ。鎌倉仏の特徴をよく表しているといわれている。
巨木。コウヤマキ
鎌倉市指定文化財のマキ仏殿脇のコウヤマキは鎌倉第一の巨木。鐘楼前のビャクシンとともに鎌倉市指定文化財になっている。
浄智寺は趣があって、美しい。
そのほかにも、拝観した順路で紹介していきたい。ネットで調べてみたが、以下の写真がなんなのかよく判明しなかった。当日行き当たりばったりで写真を撮るので、あとで後日調べて照合するという超めんどくさいことをしないといけないのだが、これらの説明があるものはなかった。
浄智寺といえば、大体、上に挙げた浄智寺惣門(高麗門)、鐘楼門、曇華殿と木像三世仏坐像、そして巨木。コウヤマキがメインのスポットなのでこれ以上の細かい説明は、ネットでいろいろ探したけどなかったようだ。これだけ網羅しておけば十分ということか。
行く前に見どころを全部把握しておくことは、かなり難しいため、ひとつ後悔したところがあった。境内奥の、洞穴の中に立っている布袋さまは、「鎌倉・江の島七福神めぐり」の布袋和尚(ほていおしょう)。お腹をさするとご利益があるとされ、皆が触っていくので、お腹のあたりが、黒くなっている。
今回この布袋和尚を拝見できなかったのは、なにより後悔である。次回行くときは、かならずお腹をさすってこよう。
説明なしで写真を並べるだけでも、その通りに歩いて拝観している雰囲気が味わっていただけるものと思う。鎌倉五山第四位、浄智寺、素晴らしい禅寺でした。
鎌倉幕府と所縁のある鎌倉五山の禅寺巡り。残りは、浄妙寺である。
浄妙寺は境内に英国ガーデンテラスのある鎌倉のお寺で、これまた魅力的なのだ。石釜ガーデンテラスというレストランがあり、境内で食事ができるという驚きの異空間。またパンやコーヒーをいただけるテラスや、抹茶をいただける喜泉庵があり、知る人ぞお寺グルメのユニークなお寺なのだそうだ。
とても楽しみにしています。
2022-03-18 10:17
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