SSブログ

カバー曲のほうがいい。 [オーディオ]

最近Spotifyを使い始めた。それもスマホで。(笑)いままでの自分であったならあり得ない心境の変化だ。


きっかけはインターネットラジオのradikoである。スマホでチャッチャッとザッピングしながらどんどんラジオを聞き流すのが快感で、こんな風に音楽のストリーミングもできないかな、と考え始めたのが発端である。


自分はSpotifyがあまり好きではなかった。


まず高音質という点で、ハイレゾ・ストリーミングではないし、二流、三流のストリーミングというイメージだった。ロッシー(損失系)の圧縮を使っている。やっぱり非可逆性で音を圧縮するということをしたらダメである。そこにどこか格下のランク付けをしてしまう感じがあった。


そしてなによりも抵抗があったのが、配信での収入の作曲家、演奏家などの権利者への還元率が極端に低いプラットフォームなのである。音楽を水のように扱う。蛇口をひねれば、水道水が自由に飲めるように、音楽もそうあるべき。音楽業界にそういう考え方を広めたのは何を隠そうSpotifyだ。


Spotifyはストリーミングでの音楽業界の走りだった。


だから、いまではストリーミングは音楽再生であたりまえの技術になったけれど、作曲家や演奏家にとっては、まったく収入やお金が入ってこない。自分の曲を聴かれている割には、まったく収入にならないそんな割の合わないビジネスとなってしまった。


ユーザーの利便性、使い勝手の良さだけが優先される、そんな状況になってしまった。


インターネット音楽配信を仕事とし、きちんとした対価を著作権者に還元することを目的としていた自分にとって、Spotifyは昨今の諸悪の根源のように思えた。



mora qualitasがサービス終了で失意のどん底に落ち、Amazon Music HDもいまひとつ使う気になれない。なによりもオーディオシステムに火を入れた後に、ノートPCに電源を入れて、アプリを立ち上げて・・・その立ち上げ時間が異様に億劫である。


音楽を聴きたいと思ったときに、こんなたくさんの儀式をする必要があるのか?


ましてや、ノートPCの前に行って陣取って操作しないと曲の選曲ができない。


スマホで気軽にすぐに立ち上げて音楽を聴く。スマホでチャッチャッと音楽をザッピングしていく。ずっとそちらのほうが全然簡単だ。


いまではスマホでストリーミングで音楽を聴くなんて誰でもやっていることですね、きっと。いい音で聴きたいと思うなら、ストリーミング専用のWALKMANとかDAPとか、そしてトレンドの高級イヤフォン。時代はどんどんインナータイプのオーディオが主流になっていく。


値段が安くて手頃で、気軽にいつでも簡単に音楽が聴けるようになる。オーディオ業界はいまやそういう時代じゃないでしょうか。


何百万、何千万も投資して、部屋にビシッとハイエンド・オーディオを鎮座させて、究極の音質で聴く。悲しいことだけれど、もう我々のような種族含めて、だんだんそういうのは絶滅危惧種になっていくのかもしれない。


なによりも国民はお金がありませんね。そんな環境を揃えられるのは、高収入の家庭のごく一部です。限られた人しか楽しめない世界なのかもしれない。


そんな端くれにいた自分だけれど、Spotifyでしかもスマホ再生を始めてしまった。



fimpli-678055-unsplash-728x410.jpg


これが意外や意外、すごく便利なのだ。(笑)こりゃ楽ちんだな~と思ってしまう。


スマホだから音質なんてもちろん問題外。もうスッカスッカの音で酷い音なのだけれど、好きな音楽を探すという点では、かなり便利であることがわかった。Spotify まだ使い始めて1か月も経っていないのだけれど、だからまだきちんと使い方をマスターしている訳ではないけれど、便利だということだけは実感してしまった。


なによりも驚いたのが、Spotify Radioという機能だ。


spotify-new-your-library-ios-android.jpeg


普通、自分はこの曲を聴きたいと思って、検索したらその曲が現れるのだけれど、そしてその曲を再生しても、その後に、なにやら次から次へと曲が再生されるのだ。しかもエンドレスにずっと続くのである。聴いているとわかるのが、その最初の自分が選んだ好きな曲に、なんかすごい似ている曲ばかりなのだ。


あ~これは個人嗜好の楽曲解析によるデータマイニング技術なんだな~ということがすぐにわかった。データマイニング技術自体はべつに新しい技術でもなく、どこのストリーミングでもやっていることだと思うけど、ラジオのようにエンドレスで流すというのがいいですね。


ついつい聴いちゃうから。自分の耳で聴くから、自分の好みなのかどうか判断できる。お勧めをするときに、ジャケ写を並べるだけじゃ、ユーザーはクリックしようという気にはならないからダメなんだよな~と自分は思っていたが、こうやってラジオのようにエンドレスで自動で流すというのは、なかなか頭いいな、と思いました。


自分の耳で判断できるから、いい曲と思ったら、どんどんクリップしてお気に入りに入れていけばいい。そうすればマイリストのお気に入りには、自分がいままで知らなかった新しい曲との出会い、自分の好きな曲がどんどん蓄積されていく。


それは最初に自分がこの曲を聴きたいと思って検索した曲に雰囲気や曲の構成が似た曲ばかりが流れてきて、それを選ぶわけですから、似た曲同士のコレクションができるのです。(笑)


でももともとは自分が好きな曲なのだから、それはそれで幸せなのかもしれない。


top.jpg



Spotify RadioはSpotifyユーザーが好きな曲、好きなアーティストなどをベースに、Spotifyに登録されている4000万曲の中から、自動的に好みの曲を選曲してくれるという機能のこと。


Spotifyによって、ユーザーが設定したベースとなる曲やアーティストと雰囲気の近い曲を自動的に選曲してくれるので、長時間途切れることのない音楽体験が可能となり、知らない音楽と出会うこともできる。


また、気に入った曲を新たに見つけたら、いつでも自分のお気に入りやプレイリストに追加することができる。さらに、チューニングすることが可能で、より自分好みのラジオ局にすることもできる。知らない曲も交えて再生されるので、新しい音楽体験を可能にするものである。



ユーザーにラジオのように半ば強制的に聴かせるというのがいいですね。絶対聴いちゃうから。そうすると自分の耳で直接判断できる。あっこの曲いいな、という感じで。


個人嗜好解析のための楽曲解析という技術は、それこそずいぶんと昔から研究されてきたテーマでした。音楽には、メロディ、リズム、ハーモニーという三大要素がありますが、音声波形を時間軸、周波数軸双方面でその波形特徴を抽出して、他の曲の波形解析で似たような雰囲気の曲を検索、探し出してくるという技術です。


自分が現役の昔の時代は、たとえば曲名はわからない、思い出せないけれど、鼻歌なら歌える。鼻歌をアプリに聴かせるとその曲をあててくれる、また似たような曲をどんどんネットから探しだしてくれる、そんなアプリの開発もしていました。


何を隠そう、前職時代に大病で3年間休職して、ようやく社会復帰できる、というときに最初に復活して取り組んだ仕事がこの楽曲解析だったのでした。


音高推定技術とよばれるもので、音高というのはいわゆるピッチのこと。音高推定技術とは、楽音の基本周波数を推定する技術のことです。音高推定技術を使ったシステムとして、自動採譜システムなんかがありました。楽曲を聴いてそれを採譜していくことです。


音楽家の方なら、普通に音楽大学の授業で必須科目でやっていることですね。(笑)楽曲解析にはいろいろな手法があるのですが、音高推定技術もその中のひとつに過ぎないです。


これを自分は一生懸命やってました。この技術について、米国特許を徹底的に調べてました。当時は、ファミリー特許という存在も知らず、英語で書かれたUSPをガリガリに読んでいたものです。そして特許リストを作って、音高推定技術で出願されている技術をExcelのリストでまとめていたのでした。


いまや楽曲解析、個人嗜好にあわせたデータマイニング技術。至極あたりまえの技術になっていてどこでもやっているスタンダードな技術になりました。


プロジェクトXのオジサン世代のようなことを言って恐縮ですが、やっぱり技術と言うのは、開発してから実際の運用ベースに普及するには、20年くらいはかかるんだな、と思いました。


そして夢として語っていたことは、それは必ず何十年後かに技術として実現する時代がやってくるということです。


インターネット音楽配信もいまやストリーミングとして、至極あたりまえのサービスとして世間に普及、定着しているし、楽曲解析による個人嗜好お勧めなんかもあたりまえのサービスになりました。


音楽配信に限らず、すべての技術についてそうだと思います。実際の運用ベースになるまで、やはり何十年とかかるんだな、と思いました。ずっと技術の世界で自分が見てきた実感です。



Spotifyで、カーペンターズのI need to be in loveが聴きたくて検索したのだけれど、そうするとこの曲の後、永遠にSpotify Radioで似たような曲が永遠にエンドレスで流れるのです。


あのカーペンターズのカレンの美しい歌声と流れるような流麗で綺麗な曲と、雰囲気がそっくりで、しかも自分が知らなかった美しい曲をたくさん知ることができ、どんどんクリップしていき、お気に入りに放り込んでいくのです。


そうすると美しい曲リストの一丁上がり!です。


Spotifyにはずいぶん偏見を抱いていたけれど、やっぱりこういう使い勝手の良さ、便利という面で聴衆の気持ちを掴んでいまや業界スタンダードになっているんだな、と思いました。


GUIもすごくシンプルでわかりやすいです。全然マニアックじゃなく、初心者向けです。


いまやオーディオ・システムのスィッチはほとんど入れなくなりました。(笑)いまや全部スマホで済ましている。自分の変わりように驚いています。


すぐに音楽を聴けて、気軽にザッピングしながら聴ける。すごい利便性を感じます。


ストリーミングも一時期のセンセーショナルな登場から、やや落ち着いてきて、もう高音質、スペックを売り込むだけの高音質指向だけではもう売れないのではないでしょうか?


使い勝手、便利さ、GUIの使いやすさなど、大衆に寄り添った形でないと、淘汰されていき段々生き残れなくなっていくような気がします。


あと、ストックしてある楽曲の豊富さですね。これは命線ですね。自分は、mora qualitasではこれにずいぶん悩まされましたから。


Quboz,TIDAL,ROONなど、重くて高くて複雑なものを使って税に入っている男のオーディオマニア達を尻目に、全然Spotifyで十分じゃんと思い直している自分でした。(笑)


Spotifyも昔は、MP3とかでしたが、いまやAACのハイビットレート(128kbps)や、ロスレスとかも出てきて、高音質化に向かっています。



さすがにスマホで聴くと、音はスカスカですが、Spotifyの場合、ノートPCとスマホで連携させることが可能なのです。両方でSpotifyを立ち上げて、スマホで選曲すると、それをノートPCのほうで鳴らすことが可能です。



415FADFA-86CF-4935-9C48-B15B11704485-scaled.jpeg


いわゆるスマホをリモコン代わりにすることですね。ノートPCのほうは、USB-DACやオーディオシステムと繋がっているのできちんとしたSPで聴くといい音で聴けますね。


またスマホのお気に入りリストの曲は、あとでCDなどのパッケージメディアで買っておくことも大事ですね。自分のものにできます。


最後に、こうやってSpotify Radioで自分の好みで新しい曲との出会いで確信したことがあります。これはなにもいまに始まったことではなく、昔からずっとそう思っていたことですが、音楽ってやっぱり原曲よりカバー曲のほうが魅力的に感じるということです。


もう絶対カバー曲のほうがいい!!!


原曲で凝り固まったイメージを、一気にその殻を破ってくれる新しい歌手、新しい声、新しいアレンジによる新しい斬新なアプローチ。


いやぁ~カバー曲のほうが全然いいな~と思うことしきりです。昔からそう思っていました。


セルフカバーといって、自分の歌を後年自分でアレンジを変えて出すカバー曲もいいと思います。


先日、村上春樹さんの村上RADIOで、ビートルズのラバーソウルのカバー特集をやっていたのですが、これがじつに目から鱗が落ちる感じで、よく知っている曲ばかりだけれど、カバー曲がじつにいいんだな。ビートルズの原曲より全然魅力的に感じます。


自分が、Spotify Radioを使うようになって、たくさんのカバー曲を見つけましたが、とくにお気に入りなのが、米国の女性歌手Mary MacGregorが歌うJust The Way You Are。素顔のままで。


Mary MacGregor.jpg


過ぎし日の想い出 

Mary MacGregor


古すぎてCDは売ってませんでした。ストリーミングのみや、AmazonでMP3ダウンロードのみですね。



素顔のままでは、もうビリー・ジョエルの定番中の定番の大名曲。1977年にアルバム「ストレンジャー」からの第1弾シングルとして発売された大ヒット曲でした。


ビリー・ジョエル世代の自分にとっては忘れることのできない名曲です。


この曲をMary MacGregorが歌うと、もう全然別世界の素晴らしい世界になるのです。ビリー・ジョエルでは醸し出せないような女性歌手の美しい声だからこそ表現できるというような、もう全然別世界。


やっぱりカバーに限るな~と思いました。


Mary MacGregorは、1974年頃に活躍した米国のポップス歌手で、ネットにはあまり情報がなく詳しくは素性はわからないです。でももうすでに御年74歳で現役引退しているようです。


ストリーミングのお勧めを聴くようになると、こういう思いもかけない素晴らしいカバー曲に出会うことが多くなりました。


ちなみに、スマホのストリーミングを使うのは、ポップスの曲だけですね。クラシックをスマホで聴こうという気にはまださすがにならないです。


ストリーミングに合うのは、短い曲ですね。クラシックは長いし、やはりスマホのスカスカの音で聴きたいとは思わないです。きちんとしたシステムでいい音で聴きたいです。







nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。