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以心伝心 [クラシック演奏家]

ピアニストの小山実稚恵さんが、自分のホームでもあるサントリーホールで、今年から2025年に至るまで全4回、ピアノ協奏曲(コンチェルト)の演奏会を開催する。


この新シリーズのタイトルは「Concerto<以心伝心>」。


2025年のデビュー40周年を寿ぐ気宇壮大な企画である。


2026年には小山さんの「ホーム」のひとつサントリーホール開館40周年も映し出す。


うわぁ、またサントリーホール40周年記念ガラコンサート、正装コンサートがありますね。こりゃまた大変だ。


小山さんが仰るには、「以心伝心。この4文字に想いを込めました。ご一緒する4人の指揮者との以心伝心、そしてオーケストラ、お客様、ホールとの以心伝心です。今コンサート数は年間60回ほどですが、5~6割がコンチェルトです。コンチェルトを通じて音楽を学んだのです。」


小山実稚恵さんのコンサートは、ひさしくご無沙汰していたのだが、どうしても自分を惹きつけるものがあって、ぜひこの公演に行くことを即決で決めた。


それはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏してくれるからだ。


大野和士さん、東京都交響楽団との演奏である。


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小山実稚恵さんと大野和士さんとは東京藝術大学の同級生で、「学生時代からの親友。心の奥でつながっている人」だという。大野和士さんとはデビュー25周年、30周年もご一緒した。


はっきり覚えていますよ。デビュー30周年の2015年のときに、自分はこの小山実稚恵、大野和士&都響の競演でラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番をサントリーホールで実演で聴いたのでした。いまでもあの感動は昨日のことのように覚えています。


あの日は、サントリーホールの向かいにあるアークヒルズのレストラン街の中にお気に入りのお茶漬け専門店というお店があって、開演前にそこで腹ごしらえをしたのです。


このお茶漬け屋さんは、大層自分のお気に入りで、サントリーホールでコンサートがあるときは、必ず開演前にここで夕食としてお茶漬けを食べるのが自分のゲン担ぎみたいなものだったのです。


でも、この小山さんのデビュー30周年コンサートのときを最後に閉店してしまったんですよね。すごい悲しい思いをしました。


どうでもいいつまらないことですが、小山さんのデビュー30周年のときは、それがどうもカップリングで自分の記憶の中に絡みついている状態でして。(笑)


もうこの話は、何回もしてきたことなので、もう充分ご存じだと思うが、自分にとってラフマニノフのピアノ協奏曲第3番という曲は、ピアノコンチェルトの中で最も大好きな曲で、自分はこの曲に心底心を奪われてきたし、この曲の実演を求めて、いろいろコンサートに足を運んだとても思い入れ深い曲なのである。


ラフマニノフといえば、ピアノ協奏曲第2番のほうが出世作で、世間一般では有名なのかもしれないが、自分は圧倒的に3番のほうが好きである。


この曲が好きで好きで、好きすぎて、かなり嵌った時期があった。もう大昔のことですが。


3番は、ピアニストにとって課せられる技術的、音楽的要求が著しく高いことで有名な作品で、演奏するのが極めて難しく、自分の時代では3番をコンサートで演奏するピアニストがあまりいなかった。だから聴衆にとっても3番の実演を体験するのがなかなか難しかった時代だったのだ。


小山実稚恵さんは、自分にとって、その3番を弾いてくれる数少ないピアニストの1人だった。ラフマニノフの3番を日本で最初にコンサートで実演をしたのは小山実稚恵さんなのだ。(指揮は小泉和裕さん)


小山さんは「ラフマニノフの3番はもう好きすぎて、高校の頃から毎晩寝る前に聴いていました。いろいろな景色、場面が浮かんでくるコンチェルトです。ロシアン・ロマンはもちろん、ニューヨークの摩天楼からエキゾチックな夜の景色を見下ろすかのような感じもあります。回想、ノスタルジックな場面もいいですね」。


あとは清水和音さん。及川浩治さんくらいかな。。覚えているのは。あとは、ほとんどが外国人ピアニスト。だから日本で3番の実演を体験しようと思ったら、当時は小山実稚恵さんのコンサートに行くしかなかった。数えてはいないけど、生涯で軽く10回以上は体験していると思います。


いまは、もう若いピアニストは、いとも簡単に3番を弾いちゃいますよね。(笑)なんか時代だな~とは思います。


これも何回も言ってきていることだけど、ラフマニノフの3番ってなぜかCDでは、あまり自分の気に入った音源を見つけられなくて、なぜかオーディオではあまり感動しないんですよね。でも実際のコンサートや映像素材だとものすごく興奮するし、感動する。


この謎の解明はいまでも自分にはわからなくて、3番ってピアニストの演奏している姿、運指やオーケストラとのコンビネーション、こういう総合的なものが音とともに全部視覚として入り込んできて初めて大感動するものなのではないのかな、と思っていたりもする。


第3楽章のコーダの最終章、テンポを上げて一気に盛り上がり、その頂点に達したところで派手な軍楽調の終止に全曲を閉じる。この賑やかで一気にシャットダウンするラフマニノフ終止。それまでのちょっとスラブ調でロマンティックな旋律に溢れ、ドラマティックでもある長い長い音楽絵巻を一気にここにて終結するべく、もうこの瞬間!


体全体に稲妻が走ります。


ここの感動を味わいたいから最初から聴き続けている、また何回もコンサートに足を運ぶみたいな。いわば中毒みたいなものです。3番はかなり中毒性あります。


とにかくCDなどの音源じゃなぜかダメなんです。実際の生コンサート、映像素材でないとこの感動はなぜか伝わらないのです。なぜ視覚を通してでないと感動しないのか、それは自分にとって永遠の謎なのです。


その解明を探し続け、もう何十年も経つ。


そんなラフマニノフの3番。ほんとうに久しく聴いていない。コンサートはもちろんのこと、オーディオでも全然。そんなところに、この小山実稚恵さんの以心伝心のコンサートの情報が入ってきたので、ぜひ見参しようと思った次第である。


ラフ3を聴くなら、自分の原点である小山さんのピアノで聴きたいというのもトリガーだったと思います。


そしてさらに決意し、ここに宣言したい。


この小山実稚恵さんの以心伝心シリーズ、2025年までの全4回とも皆勤賞で参加しようと思うのである。


ピアノ協奏曲というのは、やはり華がありますね。これはコンチェルト全般に言えることですが、ソリストという華があって、さらにオーケストラというダイナミックな演出を楽しめる。ソリストの独奏に、オーケストラの演奏が丁々発止、物語のように絡み合い、掛け合っていく。なによりもコンサート、音楽としてのスケール感が大きい。リサイタル、オーケストラ・コンサートよりも華があって、その満足感を遥かに凌駕する圧倒的な感動、満足感を味わえるものだと思います。


これはヴァイオリンでも同じですね。


10月29日、とても楽しみにしています。この日メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番も楽しめますよ。そして来年はベートーヴェンの3番と5番だそうです。



後記_2022.11.3


この日は後半から上皇后美智子様のご臨席ということで、一種異様な興奮状態の中での小山実稚恵さんのラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番となりました。


いやぁ~いつも凄いけど、この日は特に神がかっていました。美智子様もお立ちになって拍手。それにつられて聴衆全員スタンディングオーベーションで大喝采となりました。


思わずじ~んと来てしまい涙ぐんでしまいました。


一期一会の演奏でした。

一生の想い出になると思います。


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(c)Suntory Hall Facebook Page





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