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サントリー美術館 [美術]

東京・六本木にあるサントリー美術館は、かねてよりぜひ訪問してみたいとずっと思っていたのだが、ご存じのようにがさつな性格ゆえ、美術とは縁遠く、なかなか足を運べないでいた。


ところが、京都 東山総本山、智積院の障壁画が寺外展示されるということを、サントリー美術館のFBのページで認識し、そのあまりに精華な障壁画の数々に打ちのめされてしまい、これは絶対行かなきゃダメだ、インターネットのHPのデジタル画ではなく、自分の眼でしっかり観ておかないと絶対後悔する、と思った。


なぜか自分のセンスにピンと来たのだ。サントリー美術館にもぜひ足を運んでみたいと昔からずっと思っていたので、いい機会だと思った。


サントリー美術館は、六本木の東京ミッドタウンにある、日本の古美術が中心の私立美術館。運営は公益財団法人サントリー芸術財団がおこなっている。


1961年、サントリー社長・佐治敬三が「生活の中の美」を基本テーマとして千代田区丸の内のパレスビル内にサントリー美術館を開館した。その後、1975年に港区赤坂のサントリービルに移転した。2005年1月にサントリー東京支社がお台場に移転することに合わせて一時的に休館し、2007年3月30日に防衛庁跡地を再開発して建築された「東京ミッドタウン」に入居する新「サントリー美術館」として再オープンした。


2019年11月に一時的に休館し、改修工事を施し、2020年7月にリニューアルオープンした。


リニューアルのデザイン監修は、本館が入居する東京ミッドタウンガーデンサイトと本館の設計を手掛けた隈研吾が行った。本館と森美術館と国立新美術館と合わせて3館で「六本木アート・トライアングル」を構成している。


森美術館と国立新美術館は北海道の友人を東京でのおもてなしの企画のときに連れて行ってあげて体験していたので、自分としては、この「六本木アート・トライアングル」の中では、あとはサントリー美術館だけだったのだ。


だからこれはぜひ行かなきゃダメだとずっと思っていた。


美術館の規模としては、森美術館や国立新美術館と比較すると、やや小ぶりという感じで、コンパクトな印象を受けた。


一般的に主な収蔵品が日本の古美術である美術館は戦前の実業家のコレクションを母体としたものが多いが、サントリー美術館は収蔵品が戦後から1つのテーマをもって集められた点が特徴的である。


さっそく、六本木にゴーである。六本木に行くなんて何年振りだ?

自分とは縁遠い街である。


都営大江戸線で、六本木駅に下車してから直結で繋がっている。


もうそこから別世界である。自分とは遠い距離の世界である。眩しいくらい輝いていて都会的だった。


六本木の東京ミッドタウン、ガレリア、ザ・リッツ・カールトン東京、ガーデンテラス・・・。さすが赤坂・六本木。東京の一等地である。


もう自分はその非日常感に舞い上がってしまった。住みたいとまでは思わないが、職場がこんなところにあって毎日通勤できれば貴族だな~なんて思ったりもした。


サントリー美術館は、この東京ミッドタウン、ガレリアの中の3Fにあるのだ。


東京ミッドタウン、ガレリア。


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サントリー美術館。


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インターネットでチケットを買うこともできるし、ここの窓口で直接買うこともできる。素敵な建物ですね~惚れ惚れ。。


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あら~、鎌倉殿の13人の大江広元役の栗原英雄さん。

京都 東山総本山、智積院の障壁画展の音声ガイドのゲストナビゲーターを務めていらっしゃるということで、歴史の荒波を越えて今日まで大切に守り伝えられた智積院の名宝について、解説なさっているようです。


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さすがです!

ドラマご苦労様でした。 



サントリー美術館の展示は、4Fに上がって、そこから3Fに下がって一連の展示を観るという進行である。自分はその通り順路で進んだのだが、あとで気づいたのだが、6Fに今回の智積院展の内容を説明してくれる動画がエンドレス再生されている部屋があるのだ。普段はイベントホールとして使われている部屋のようである。それを観れば、今回の智積院展の説明、意味が一発でわかるのである。非常に短い動画で10分もないと思う。


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美術にあまり詳しくない人にとって、こういう動画説明は本当に助かる。自分は智積院の障壁画に衝撃を受けたけれど、その歴史を事前にきちんと勉強しようとまでは思っていなかった。こういう動画案内は美術鑑賞、絵画鑑賞にとって最高だと思う。


この動画を見てから、展示を観ると、もう全然感動度合いが違うのである。だから自分は後でそのことに気づいたので、先に1回さらっと観て回ったが、6Fにこの部屋の存在に気づき、この動画を拝見し、その歴史を理解したらもう大興奮!そうだったのか~!という感じでもう一回2回観て回った。


サントリー美術館の智積院展をこれから観る方は、ぜひ先に4Fではなく、6Fまで上がって、この部屋で動画案内を視聴して歴史を理解してから展示を廻ることをぜひお勧めします。そっちのほうが断然感動します。


では、自分流に、この京都・智積院障壁画展の歴史について解説してみたいと思う。


情報引用元:


京都・智積院の名宝~サントリー美術館



特集 京都の初期障壁画 1「長谷川等伯の障壁画」

公益財団法人 京都市文化観光資源保護財団

成安造形大学教授 小嵜 善通



東山随一の名勝庭園と長谷川派の傑作

京都宝物館探訪記




京都 東山総本山・智積院のルーツは、真言宗の宗祖である弘法大師空海にある。平安時代9世紀初めに紀伊国(現在の和歌山県)で真言密教の根本道場となる高野山を開創した。


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●桃山絵画の精華 長谷川派の障壁画


豊臣秀吉は天正19年(1591)に3歳で夭折した息子・鶴松(棄丸)の菩提寺として、京都・東山の地に祥雲禅寺を建立する。祥雲禅寺の建築は鶴松の三回忌となる文禄2年(1593)には竣工したと考えられており、長谷川等伯一門が描いた金碧障壁画群も同時期には完成していたと推定されている。


長谷川等伯。この人、画家がこの障壁画展示の主役である。ここに展示されている障壁画は、この長谷川等伯、およびその子孫久蔵によるものなのである。


長谷川等伯とは?

(石川県七尾市の等伯野外像)


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長谷川等伯は、能登(石川県)の七尾というところに生まれ、30歳を過ぎてから京都に出てきた、いわゆる「成り上がり」の絵師であった。当時京都の画壇は、狩野永徳率いる狩野派の独壇場。御所や名のある寺院、そしてそれまで豊臣秀吉が建てさせた聚楽第や大坂城なども、狩野派が一手に引き受けていた。


等伯はそこにまさに真っ向勝負を挑んだのである。


狩野永徳。もうこれは障壁画としては最高峰の人でしたね。


もう若いとはいえない年だった長谷川等伯であったが、千利休をはじめとした文化人の理解や後ろ盾を得て、大徳寺や南禅寺、妙心寺といった名刹の仕事を少しずつ手がけ、名を上げていく。これに狩野派も危機感を募らせ、実際に長の永徳自らが等伯に仕事を与えまい、と妨害工作をしかけたこともあったそうだ。


ほどなくその狩野永徳が急死。それと同じ時期に、秀吉の長男の鶴松がたった3歳で亡くなり、その菩提寺として智積院の前身である祥雲寺が建立されることになる。そこで、気鋭の画家として注目されていた等伯に白羽の矢が立てられたのであった。


天下人、豊臣秀吉からの依頼に等伯は一門全員、全身全霊をもって望み、この一連の障壁画を描き上げた。秀吉の期待に見事応えた長谷川等伯とその一門の名は天下に知れ渡り、結果狩野派と並ぶ地位と名声を得ることとなるのである。


農民から成り上がり、天下人へ上り詰めた豊臣秀吉と、田舎から上京しに名だたる絵師となった長谷川等伯。どこか境遇の似たこの二人。その間には奇妙な縁のようなものもあったのかもしれません。


その当時の祥雲寺、いまの智積院で、長谷川等伯一門が描いた障壁画が、この『楓図』『桜図』をはじめとした金碧障壁画である。


『楓図』は長谷川等伯、そして『桜図』はその長男である久蔵の作品である。この『楓図』『桜図』を描いたとき、齢50を過ぎていた等伯に対し、久蔵はまだ24歳という若さ。事実上、これが画壇へのデビュー作であった。


『楓図』


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『桜図』


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桃山時代の最高傑作ともよばれるこの障壁画。

『楓図』は長谷川等伯の最高傑作とも言われている。



6Fの動画案内では京都の智積院の部屋の中の一部として、この障壁画が埋め込まれている図、つまり部屋全体が映し出されていて、おそらく京都・智積院の部屋の現場で撮影した写真・動画なのだろう。


自分はそれと同じ図が欲しかった。いわゆる障壁画はあくまで部屋の一部なんだよ、という図が欲しかった。でもネットで探したのだが、見つからなかった。あくまで障壁画そのものの単体の図しかなかったのだ。


自分は部屋付の全体の図が欲しいです。(笑)


長谷川等伯などの長谷川派一門の金碧障壁画は国宝に指定されている。智積院の宝物館は、この金碧障壁画が国宝に指定されたことを受けて造られたもので、言わば「障壁画のための宝物館」なのである。


もう京都に行きたいです~。サントリー美術館による寺外展示じゃ満足できないです。本物の京都の智積院に行ってみたいです。姫路城ツアーの際は、ぜひ京都にもう一回再訪したいと思っていて、東願寺とか三十三間堂とか、まだ未踏の地を足を踏み入れてみたいのである。その企画に、この京都・智積院で長谷川等伯の金碧障壁画を観るという新たなミッションを加えることにしたい。


もう大興奮である。


でも普段はこの文化財非公開なのかな?(笑)いつも公開しているわけではないですよね。保管の意味からして。何年かに1回特別公開という形なのでしょうね。



この障壁画自体も、実は描かれた当時とはサイズがかなり変わっているのだそう。現在はちょうど襖絵ほどの大きさになっているが、本来はより高さも幅もずっと大きく、まさに天井までの壁一面を覆うほどであったという。というのも、智積院は過去4度も火災の憂き目にあっており、その度に僧侶達は「せめてこの絵だけは!」と必死でこれらを壁から剥がし、持ち出して避難させていた。そのために人の手が届く高さと幅で切り取った大きさになってしまったのだそうである。


もし、本来の大きさでこの絵を見ることが出来たなら…



久蔵はなんと『桜図』を描き上げてわずか2年後に亡くなるのである。『桜図』はデビュー作であると同時に、彼の遺作となってしまったのである。


等伯は、息子に自分のすべてを教え込み、託していたのだが、自分より先に26歳という若さで亡くなってしまうとはもう悲しみにくれて立ち直れなかったようである。動画案内では、この部分が一番じ~んと感動しました。


長谷川等伯の他の作品も紹介。


『松に秋草図』


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もちろん国宝である。


智積院に残されている長谷川一門の金碧障壁画は、『楓図』『桜図』のほか、『松に秋草図』『松に黄蜀葵(とろろあおい)図』(いずれも国宝)、そして『松に梅図』『雪松図』『松に立葵図』などがある。



智積院には、その後、堂本印象1891(明治24)-1975(昭和50)という画家がその襖絵を献上している。

それが「婦女喫茶図」。


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和服を着た夫人と洋服を着た夫人がお茶をしているという図である。長谷川等伯一門による精華な障壁画と打って変わって、淡いほのぼのとした画風である。



堂本印象は、古典を扱った日本画がメインだったが、戦後、ガラッと変貌して海外の生活を取材した洋画となり、 さらには、抽象日本画ともいうべくユニークな画風を確立した。京都の智積院の襖絵に描かれた抽象画は、これまた、他に例を見ないだろう。


堂本印象の絵画作品だけを扱った所蔵美術館というのもあるのだそうだ。


この「婦女喫茶図」。智積院の宸殿襖絵なのだが、これまで宸殿が公開されたことがあまりないそうだ。2019年に特別公開されたそうですよ。


こちらの図が、実際の智積院の部屋の襖に描かれている構図である。自分はこういう写真がリアル感満載で好きです。


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現在、サントリー美術館で展示されている京都・智積院展というのは、まさにこの智積院にある国宝、長谷川等伯一門による金壁障壁画を、寺の外に移動させて、東京でお披露目しようというコンセプトなのである。


そしてこの堂本印象の「婦女喫茶図」も京都から移動してお目見えである。


以上の内容を、自分は6Fの動画案内で10分間くらい勉強させてもらったのだ。これを知っているのと、知らないのとでは、実際展示を観て回るときの感動度合いが全然違うのだ。


もうまずぜひ6Fヘゴー・・・である。


では、歴史の知識習得が終わったところで、実際のサントリー美術館の展示を観ていくことにしよう。


残念ながら、サントリー美術館は館内撮影禁止である。(笑)まっ美術館はふつうみんなそうですよね。


撮影可能なところは自分のカメラで撮影した写真。撮影禁止エリアは、サントリー美術館のFBページからお借りしています。サントリー美術館の写真は、きちんとWatermark(電子透かし)が画像に入っています。


まず展示の4Fに行くとこんな感じです。


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「婦女喫茶図」が見えますよね。動画案内観てからだと、もう大感動です。


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長谷川等伯の楓図です。等伯の最高傑作です。もう圧巻です。自分は息が止まってしまい呼吸困難になりました。


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そして息子久蔵の桜図です。画壇にデビューと同時に遺作となってしまいました。


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もちろん京都・智積院展では障壁画だけではありません。いろいろな名宝が展示されていました。息を飲みました。



密教法具

智積院内の修法で用いられてきた密教法具一式は、緻密で華やかな装飾にもご注目ください。


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釈迦如来坐像

鎌倉時代の優品、《釈迦如来坐像》は第3展示室入口でご覧いただけます!


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英一蝶

智積院には歴代の能化(住職)や在俗の有力者を通じてさまざまな名品が集いました。京都所司代・牧野英成が寄進した本作は、英一蝶(はなぶさいっちょう)が学んだ江戸狩野派の様式による貴重な作品です。本作品の展示は12/26までです!いま観なきゃ。


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重要文化財 童子経曼荼羅図

鬼神から童子を守る乾闥婆が中央に描かれた、鎌倉時代の優品。鮮やかな色彩が残る貴重な本作。展示は12/26まで!鎌倉に拘る自分はどうしてもこれが観たくてフライングして今日行ってきたのです。


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十六羅漢図屛風

長谷川等伯最晩年の作。ユーモラスな羅漢の表情にご注目!


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ここが通常非公開の茶室「玄鳥庵」です。

残念ながら非公開でした。


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じつは1日違いの昨日。特別公開で、お抹茶と季節の和菓子が楽しめる呈茶席を開催したそうです。茶室の中はこんな感じなのだそうです。意外と広いんですね。


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サントリー美術館は館内撮影禁止なのですが、唯一撮影が許されている撮影スポットがあるのです。6階ホール入口にはほぼ原寸の《楓図》の巨大パネルが!こちらは自由に撮影可能なのです。


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この写真は自分のカメラで撮ったものです。(笑)まさに長谷川等伯の最高傑作の《楓図》。それを撮影可能のスポットにするなんて心意気が憎いですね。もう圧巻でした。



こんな感じでした。

どうでしたか?


3Fのショップには、展覧会図録が売っています。おそらくこの一連の金壁障壁画の写真集だと思います。これはぜひ欲しかったな~。いろいろカフェでたくさん食べたかったので、お金がないので見送りましたが、ぜひ欲しかったです。一生の記念になります。もちろんこのショップはECサイトもあるので、オンライン経由で買えますね。だからいつでも買えると思いましたので、見送りました。


智積院展の展覧会図録


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サントリー美術館 京都・智積院の名宝。

2022.11.30~2023.1.22までです。


ぜひ行かなきゃ。

事前予約不要です!








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