SSブログ

札幌コンサートホールKitaraで札響を聴く。 [国内クラシックコンサート・レビュー]

北の大地、札幌コンサートホールKitaraは、じつに素晴らしいコンサートホールであった。音響はもちろんのこと、ホールの内装空間の雄大さ、清潔感すべてにおいて自分が経験したことのないレベルで極上のホールであった。
                                                   
札幌コンサートホールKitaraは、過去にも2回ほど体験しているのだが、大ホールでパイプオルガン、小ホールでピアノのコンクール。やはり自分の中には、大ホールで大編成のオーケストラを存分に味わってみたい、自慢の大ホールの音響を存分に堪能してみたい、そういう願望があった。
                                                   
大ホールの音響は、やはり大編成のオーケストラを存分にホール内で鳴らしてこそ、そのときどう感じるか、そこにかかっているように常日頃から思っている。
                                                   
オーケストラも札響、札幌交響楽団をこのホールで聴いてみたい。
                                                   
”札幌コンサートホールKitaraで札響を聴く。”
                                                    
まさに究極の選択。
これを自分の近々に成就したい夢のトップに掲げていた。
                                                   
父親、母親、実家の件で帰省する必要があり、そのときKitaraで札響が聴ける日に照準を合わせて日程を組んだ。いつも帰省するときは、夏休み、年末年始に札響のコンサートカレンダーを確認するのだけれど、札響は、夏休み、年末年始はお休みなんですよね。
                                                   
だからいままで何年もチャンスがありながら、タイミングが合わなかった。3月の北海道、札幌はまだ雪が残っていて、歩行するのはかなり大変だったけれど、やはり行ってよかったと思っている。
                                                   
一時期、お腹の調子が最悪で、雪でコンディションが悪い中、歩行するのがなんとも気が重くて、今回はKitaraは延期してまたの機会にしようかな、とも思ったが、やはり行ってよかったと心から思っている。
                                                   
札幌コンサートホールKitaraは、札幌中島公園の中に建っている。
                                                   
中島公園は、札幌市中央区にある公園で、「日本の都市公園100選」、「日本の歴史公園100選」にも選定されている大きな公園で、札幌の歓楽街である、すすきのに隣接しているが、水と緑豊かな公園になっている。
                                                   
国指定の重要文化財である豊平館や八窓庵、人形劇の専門劇場である札幌市こども人形劇場こぐま座、音楽の専用ホールである札幌コンサートホールKitara、札幌市天文台などがある。
                                                   
築山林泉回遊式庭園などの日本庭園もあり、とにかく広くて自然豊かな大変美しい公園である。夏などは散策するにはとてもいいスポットだと思う。
                                                   
とにかく膨大に広い。札幌の地下鉄南北線の中島公園で下車して、Kitaraまでは、地上出口からそのまますぐにわかるように1本道になっている。足元の悪い3月であったので、雪道の中を歩いていく訳だが、地下鉄中島公園駅からKitaraまではかなり歩いた感覚であった。
                                                   
札幌コンサートホールKitara
                                                   
DSC03725.JPG
                                                   
DSC03847.JPG
                                                   
北海道内初の音楽専用ホール。
札幌市が所有し、同市の外郭団体である公益財団法人札幌市芸術文化財団が指定管理者として運営管理を行っている。
                                                   
札幌交響楽団が活動拠点にしているほか、「パシフィック・ミュージック・フェスティバル」(PMF)などの拠点にもなっていることでも有名。その音響は、まさに世界水準のコンサートホールとして有名で、1998年にバーミンガム市交響楽団を伴って演奏に訪れた指揮者サイモン・ラトルは「近代的なコンサートホールとしては世界一」と評したことは有名である。
                                                   
以来、札幌コンサートホールKitaraがミューザ川崎と並んで、日本のコンサートホールがいかに世界トップ水準レベルなのかは、サイモン・ラトル、マリス・ヤンソンス、ヴァレリー・ゲルギエフといった巨匠たちが来日で当ホールで公演するたびにその感想を伝えたことで、有名になっていった。
                                                   
札幌コンサートホールKitaraの音響設計は永田音響設計の豊田泰久さんである。
                                                   
自分はいまから10年前の2013年に大ホールでパイプオルガンしか聴いたことがなく、大編成のオーケストラをこの大ホールで聴いてみたい、そして世界の巨匠たちが大絶賛するこの大ホールの音響というものを思う存分堪能してみたい、とずっと心に願っていたのだ。
                                                   
いま、その瞬間が訪れようとしている。
                                                   
これから徐々に紹介していきたいと思うが、ひと言でいうならば、札幌コンサートホールKitaraは、とても雄大でまさに北海道をイメージするような広大な広さのホールであった、ということである。
                                                   
コンサートホール自体は、これは音響設計のこともあり、あまり広くはできないし、狭くもできない。音響設計的に適切な容積というのがあるのだ。なのでホールとしては、べつに首都圏のコンサートホールの大ホールと同程度レベルの容積、広さでじつにスタンダードである。客席2008席で、残響時間:空席時2.2秒(満席時:2.0秒)。
                                                   
これはホールの容積としては決まっているスタンダードな値、容積である。あまり広くしても、また狭くしても、途端に音響が破綻してしまう。適切なホール容積というのがある。だから首都圏のコンサートホールとまったく同じ規模感、容積感である。
                                                   
自分がびっくりしたのは、そのホワイエ空間の広大さである。ホワイエは別に音響と関係ないので、もう自由に広く設計できる。
                                                   
札幌コンサートホールKitaraのホワイエ空間は、首都圏のコンサートホールのホワイエ空間の優に3~4倍はあるのではないだろうか?首都圏のコンサートホールは、まさに土地価格が高いので、ビルの中にそのホール空間がある場合が多く、狭い空間を有効活用しているような印象である。というかそうせざるを得ないのである。
                                                   
でも札幌コンサートホールKitaraは、まさにめちゃめちゃ広い自然の公園、札幌中島公園の中にポツンとそびえ立つ建物である。そのような敷地的制限がまったくないのだ。
                                                   
だからホワイエ空間にしろ、その造りすべてにおいて余裕があって、すごい広大なのである。自分は過去2回訪れたのだけれど、そのことをあまり考えなかったのだけれど、今回訪問して、その広すぎるホワイエ空間を歩いてみて、そういうことなのではないのかな、と思ったのだ。
                                                   
まさに贅沢な造り、デザインで、スペース的にゆとりのある設計。そのゆとりが、その場にいる者にとって、心の安心感というかのびのび感というかとにかくストレスがない。広々としていてスカッとする。
                                                   
まさに北海道のコンサートホールだよな~と思ってしまう。広大なイメージの北海道ととてもイメージが合います。
                                                   
開場前、並んでいるとレセプショニストの女性スタッフが集まってくるわけだが、その人数に驚いてしまった。開場前の円陣を組んでのブリーフ・ミーティングや開場扉前に集まってくるその人数。軽く15人は超えているのではないだろうか?
                                                   
首都圏のホールでは、開場扉に集まるとしたら、せいぜい3~5人くらいだと思うのだが、Kitaraは軽く10~15人はいたような気がする。これはおそらく広大なホワイエ空間含め、施設内がかなり広大なので、これに見合う人数を用意しないといけないのだろう、と自分は考えた。
                                                   
これがじつに広大な札幌コンサートホールKitaraのホワイエ空間。ご覧あれ。
                                                   
DSC03793.JPG
                                                   
DSC03832.JPG
                                                   
ここはクローク。
                                                   
DSC03800.JPG
                                                   
ここがCD売り場になります。
                                                   
DSC03802.JPG
                                                   
ドリンクバーも1階と2階でゆうに3か所はあったように思います。
                                                   
DSC03817.JPG
                                                   
そして、いよいよホール内潜入。
                                                   
DSC03758.JPG
                                                   
DSC03766.JPG
                                                   
DSC03768.JPG
                                                   
DSC03773.JPG
                                                   
DSC03778.JPG
                                                   
                                                   
毎度のことながらこの瞬間はほんとうに息を吞んでしまうというか、全身に雷が落ちたかのようにピリッときてしまう。
                                                   
本当に美しいホール。
本当にいいホールだな~とため息がでました。
                                                   
アリーナ型のワインヤード。
Kitaraの音響設計では、曲線の反射壁を客席に設置しており、まさにワインヤードの音響設計という標準的で教科書どおりの設計空間である。
                                                   
北海道産の柔らかい木材を使用していて、そのブラウンの色彩が視覚的も非常に暖かくてじつに美しいと思う。ホールの下層の壁面では、縦に入ったスリットなど反射音の拡散のためと思われる凹凸が見受けられた。
                                                   
DSC03792.JPG
                                                   
ただ、反射音の万遍な方向への拡散はとても音響的に大事なことであるけれど、やりすぎるとホール空間のデザインにもスマートさがなくなってそこはトレードオフのようなところもあると思っているので、その点、Kitaraはそんなにゴテゴテにやっている訳でなく、空間デザインと調和を取りながらうまくその塩梅を調整している。そんな空間に思えた。基本そんなに拡散のためのスリットというか凹凸はないような感じでツルンツルンの反射壁のように思えた。
                                                   
ホール空間上部の周辺のモコモコした反響板のスタイルは、かなりユーモラスで可愛らしいイメージがあり、北海道らしさがあるように思える。
                                                   
                                                   
前回訪れたときは、ステージ上空の音響反射板の存在に気付かず、このホールは、まさかそれがないのかな、と驚いたが、今回よく見たら、ちゃんとありました。そりゃそうですよね。(笑)ない訳ないですよね。なんか天井と保護色になっていてまったく目立たず気づかないのもよくわかるような気がしました。でもステージの真上にあるのではなく、ややステージから客席に入った上あたりにあるところが、他のホールと違うところだな~と思いました。
                                                   
DSC03787.JPG
                                                   
                                                   
自分は、この札幌コンサートホールKitaraのホール空間を見た瞬間、どうしても東京赤坂のサントリーホールの空間を思い出してしまいます。パッと目に入ってくるその瞬間のイメージ、それはホール形状、最背面からみたワインヤードのそのスタイル、そして色調感覚的にあまりにサントリーホールにそっくりなのです。
                                                   
自分がはじめてKitaraのホールに入った2013年のときにもまったく同じ印象でした。この2つのホール、本当によく似ていると思います。
                                                   
今回Kitaraの天井の造りもしげしげと確認したのですが、もうまったくサントリーホールと同じです。最前面のステージあたりからどんどん上に上がっていくスタイルで、真ん中あたりで頂点に達し、そこから最後尾に向けてまた下がっていくスタイルです。いわゆる三角形の起伏で、これはまさにサントリーホールだよな~と思いました。天井のデザインもまったく同じです。
                                                   
それイコール、ベルリンフィルのベルリンフィルハーモニーホールの天井とまったく同じと言っていいことになります。サントリーホールは、ベルリンフィルハーモニーホールの天井を参考にして、自分のホール天井を設計しましたが、札幌コンサートホールKitaraの天井もまさにサントリーホール、ベルリンフィルハーモニーホールの天井とまったく同じなのです。
                                                    
札幌コンサートホールKitaraは、サントリーホールの進化型のコンサートホールと言っていいと思います。
                                                   
コンサートホールは年代が経過するにつれて、その建築設計スキル、音響設計など技術進歩でどんどん進化していくものです。新しいコンサートホールほどそのような進化が目覚ましいものです。
                                                   
そんな印象を受けました。
                                                   
では一番肝心の音響面の印象。
                                                   
自分の座席はここでした。
                                                   
DSC03785.JPG
                                                   
これは名だたる世界の巨匠が絶賛するのも納得する素晴らしい音響でありました。札幌交響楽団という大編成の鳴りをじかんにこの空間で堪能したわけですが、もうなにをはいわんやですね。
                                                   
自分を1番深く感動さしめたことは、音が飽和しない、サチらないそのゆとりのある空間、容積感ということです。いわゆるダイナミンクレンジですね。
                                                   
ミューザ川崎もそうですが、音響のいいホールというのは、ステージ上のオーケストラという発音体に対して空間的な余裕があるのです。その空間自体がそのオケの発音を丸っとそのままつつみ込んで全体を潰さない、そのまま丸っと再現できるようなそんな空間的余裕を感じることです。
                                                   
ですからオーケストラの響きも余韻が長く、非常に美しい響きとして再現されます。
                                                   
ホールの響きは、天井も高く、そんな空間的余裕を感じるので、ステージからの実音に対して反射音もやや分離して遅れて聴こえてくる感覚があってそう聴こえることが余計に3次元的で立体的に聴こえてくる要因にもなっていて、空間の広さ、余裕を感じさせていい響きだな~と思わせる原因になっていると思いました。
                                                   
このホールとしての空間的余裕という点では、開演前のステージで団員の数人が先に登場して楽器の音を鳴らしてリハーサルしていますよね。オーボエ奏者が鳴らすそのオーボエの音を聴いて、自分は鳥肌が立ちましたから。
                                                   
そのオーボエの音がすっ~~と上空に上がって消え去っていくその長さに自分は鳥肌が立ちました。これはいい音響だな~という感じで。しかもすごい広い空間の感覚。。。
                                                   
大体そこのホールの響きの良し悪しは、この開演前のステージでの団員が鳴らしている楽器の音を聴くとすぐに判断つきますね。
                                                   
一席当たりの空間もかなりゆとりのある空間で、首都圏のホールとは全然快適さが違う感じです。
                                                   
音質も非常に前から後ろまでクリアな音。実測周波数特性は他のホールと違ってどフラットだそうですから、納得のいくところです。そして全体的に木目調の内装空間でもあることから、やや暖色系の柔らかい音質のように感じました。
                                                   
”札幌コンサートホールKitaraの音響は、まさに明晰でクリアな音で、3次元的、立体的に聴こえるぐらいの空間としての余裕があって非常にダイナミックレンジの大きな音響空間であった。”
                                                   
と結論付けることができると思います。
                                                   
まさに日本のみならず、世界を代表する屈指の音響を誇る名ホールだと自分は確信しました。大編成のオーケストラが鳴る空間でないとこのことはわかりませんね。
                                                   
                                                   
そして最後に札響、札幌交響楽団の演奏です。
                                                   
330121148_754247253080318_2689688579983617467_n.jpg
                                                   
                                                   
自分が聴いた演奏会は、札響の第651回の定期演奏会でした。この日のプログラムは、今年ラフマニノフ生誕150周年記念ということで、それに因んだ内容となりました。
                                                   
自分はお恥ずかしながら札響を生で聴くのは、今回が初めてだと思います。いろいろ過去に想いを巡らしてみましたが、記憶にないのです。
                                                   
札響ってどんなオーケストラなのか、どのような演奏をするのか。とても楽しみにしていました。
                                                   
札幌コンサートホールKitaraでオーケストラを聴くなら、まず1番最初に札響で聴きたい。それが筋というか正道のように思いました。それ以外のオケの選択肢はまったく自分にはなかったです。
                                                   
自分のために札幌交響楽団のことを簡単に説明しておきます。(札響公式HPより抜粋)
                                                   
                                                   
札幌交響楽団は1961年に発足し、2021年に創立60周年を迎えました。北海道唯一のプロ・オーケストラとして「札響」の愛称で親しまれ、透明感のあるサウンドとパワフルな表現力は雄大な北海道にふさわしい魅力を放つオーケストラとして常に人気を集めています。
                                                   
2018年春から札響を率いるのはスイスの名指揮者マティアス・バーメルト。また、通算22年にわたり指揮者を務めてきた尾高忠明名誉音楽監督、広上淳一友情指揮者のほか、正指揮者に川瀬賢太郎とともに、オーケストラのさらなる充実と発展を目指します。2022年4月現在の団員数は、コンサートマスターを含めて74名。年間の公演回数は道内外で120回をこえます。海外においても2011年創立50年のヨーロッパツアーに続き、2015年には台湾4大都市での5公演を成功させました。札響は、常に多くの道民・市民に愛されるオーケストラを目指し、北海道から世界に発信する活動を展開しています。
                                                   
レコーディングにも積極的で、尾高と札響は、シベリウス、グリーグ、ドヴォルジャーク、エルガー、邦人作品等のCDをリリース。ベートーヴェンの交響曲全集のCD化に続き2013年から3年にわたって取り組んだシベリウス交響曲全曲演奏のCDは、2021年秋に全集として再発売される。
                                                   
エリシュカは来日を重ねる毎に全国的な人気が上昇し、札響とのチェコ音楽のCDは音楽雑誌で推薦盤に選ばれるなど高く評価された。2021年、日本での最終公演を収めたBru-rayが冬にリリースされることとなり、再び話題を集めている。2015年から18年3月まで首席指揮者を務めたマックス・ポンマーとは、メンデルスゾーン「讃歌」、バッハ「管弦楽組曲」等がCDとなり、そのユニークな活動は注目を集めた。マティアス・バーメルトとは創立60周年を記念して自主制作したCD「The Waltz」を2022年3月に発売した。
                                                     
現在の首席指揮者マティアス・バーメルトは2018年4月に就任。21年9月、札響60周年記念の演奏会に、コロナ禍のもと1年半ぶりの来日を果たし、喝采を浴びた。(2022年4月現在)
                                                   
                                                      
尾高忠明さんと非常に所縁の深い楽団なんですね。今回聴けたのも尾高忠明さんでしたから、本当に最善の選択でよかったと思います。尾高さんとは、札響に限らず、東京でも節目節目のコンサートでお世話になっていることが最近かなり多く、不思議な縁を感じます。
                                                          
演奏会全体を通して感じた札響の印象は、非常に素晴らしい演奏能力をもったオーケストラであること。もうびっくりしました。この日終始かなり圧倒されっぱなしで、この3月4日の演奏会は一生涯自分にとって忘れることのできないコンサートといっていい。
                                                            
この宝物のようなコンサートホールを持ちながら、これだけの実力を兼ね備えた演奏能力の楽団がオフィシャルとしているのですから、もうすごいことだと思います。北海道民はほんとうに幸せ者だと思います。クラシックという点では恵まれた環境にいると思います。
                                                              
観客動員も7~8割埋まっている感じで上々で、客層も首都圏と比べるとかなり若い印象を受けました。
                                                         
弦楽器、管楽器、打楽器すべてにおいてそつがなくてバランスよく秀逸で、全体的な優等生的なパフォーマンス、演奏をするオーケストラだと思います。とくにどこの楽団でもそうですが、心配な金管楽器の安定感なども平均点以上でそつがない。あまり目立った欠点がなくべつにあら捜しをしているわけではありませんが、すべてにおいて合格点以上のバランスの良さ。弦楽器のあの分厚い重厚なハーモニーは素晴らしかったな~。そしてあの嫋やかなオーボエなどの木管楽器も。
                                                          
とにかくすべてにおいて、そつがなく合格点以上なのです。褒めてばかりでもなんですから、それなりに指摘ポイントもあるといいと思うのですが、この日の演奏しか知らない訳ですが、本当に素晴らしかったというしかない。
                                                               
いいオーケストラだと思いました。
尾高さんとの信頼関係、連携も素晴らしく素晴らしい演奏会でした。
                                                          
もうひとつ大きく感心したことは、プログラムの内容が非常によく考えられていて、あまり商業的に感じないこと。エルガーの序曲「南国にて」、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番、そしてラフマニノフ交響的舞曲。
                                                          
マニアックというほど極端ではないですが、商業路線とはかなり毛色が違う聴きごたえのあるプログラムで、自分はかなり興奮したし、いいプログラムだなぁと感心しました。
                                                        
とくにプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲を実演で聴くなんて、いったいいつ以来でしょうか?ちょっと記憶にないです。
                                                   
首都圏では、なかなかお目にかからない演目ですよね。ヴァイオリン好きの自分もかなりのコンチェルトの演奏会に接していますが、プロコフィエフはなかなか経験が少ないです。本当にヴァイオリンが好きな人は、こういう演目が本当に好きなのになぁと思ってしまいます。
                                                         
メンデルスゾーンも確かに素晴らしい曲ですが、プロコフィエフのあの渋い玄人好みのあの旋律を聴くと興奮が止まらないと思いますよ。プロコフイェフがわからないと本当のヴァイオリン好きとは言えない、そう断言してもいいと思います。自分はそれだけプロコフィエフは好きですし、いいと思ってます。
                                                        
この日のプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番のソリストを見事に演じたのが、金川真弓さん。
                                                              
金川真弓-c-Bruno-Bonansea-1024x683.jpg
                                                           
1994年ドイツ生まれ。4歳から日本でヴァイオリンを始める。その後ニューヨークを経て、12歳でロサンゼルスに移る。現在はハンス・アイスラー音楽大学ベルリンで、元ベルリン・フィル コンサートマスターのコリア ブラッハー教授に師事している。
                                                         
2016年プリンセス・アストリッドコンクール(ノルウェー)および2013年ヤッシャ・ハイフェッツ国際コンクール(リトアニア)第1位。オーケストラとは、ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団(チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲)、フィンランド放送交響楽団(ベルク ヴァイオリン協奏曲)、リトアニア国立交響楽団(ブルッフ ヴァイオリン協奏曲)などと共演している。2012年アメリカの“パフォーマンス・トゥデイ”アーティストに選ばれ、演奏とインタビューがナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)を通じて全米に放送された。
                                                        
これまでに、日本で名倉淑子、ジュリアード音楽院プレカレッジで川崎雅夫、ロサンゼルスのコルバーン・スクールにてロバート リプセットの各氏に師事。使用楽器は、ドイツ演奏家財団のドイツ国家楽器基金から貸与されたペトラス・グァルネリウス(マントヴァ、17世紀後半製作)。(2017年1月現在)
                                                               
                                                                          
                                                                                   
自分は大変申し訳なかったですが、この日の演奏会まで存じ上げませんでしたが、初めて実演に接して、クセがなく非常にスタンダードで育ちのいい気品のある演奏をするヴァイオリニストだと思いました。この難曲のプロコフイエフをものともせず完全に自分のスタイル下においた演奏で、かなり圧倒されました。プロコフィエフのヴァイオリンはふだんなかなかお目にかかれないので、自分のメモリーの中で曲とともに強烈な印象として刻み込まれた感じです。
                                                  
いいヴァイオリニストだな。。。と驚きを隠せなかったです。なんかこうやって自分の知らない間にどんどん若い演奏家が育ってきて陽の目をみてどんどんデビューしていく。日本のクラシック業界の未来も明るいと思いました。
                                                                      
一生忘れらない演奏になりました。
ブラボーでした。
                                                     
そしてラフマニノフの交響的舞曲。通称シンフォニックダンス。
ラフマニノフ生誕150周年の今年に因んで選ばれた曲ですが、素晴らしかったですねぇ。もうこの日の演奏の中でもっともボルテージMAXとなった曲です。
                                                             
この曲、もう大好きです。自分の大好物です。なんともラフマニノフらしい異国情緒溢れるメロディに、そしてなによりもカッコいいですよね。最高にイケている曲だと思います。
                                                                
第1楽章で炸裂するグランカッサとともにオケ自体がドスンドスンと落とし込む箇所、オーディオ再生的にもかなり興奮して美味しい箇所でしてこの部分は何回聴いてもすごい快感、興奮するものです。生演奏でじかにこの箇所を聴いたのは何年振りでしょう?
                                                                     
数年前にポリヒムニアのRCO Liveでヤンソンス&RCOでこのシンフォニックダンスのSACDが出て、自分の愛聴盤でした。この第1楽章のドスンドスンの箇所を何回も繰り返して聴いていました。
                                                              
尾高&札響が披露するラフマニノフの交響的舞曲は、まさに抜群のオーケストレーションとアンサンブル能力を自分にこれでもか、これでもか、と魅せつけるような迫力があり、自分はもう正直ノックダウン寸前という感じで相当興奮していました。
                                                                        
この曲が大好きということもあるし、それ以上に初めて聴く札響のパフォーマンスの素晴らしさにひたすら驚くしかなかったです。
                                                                           
失神寸前だったと言っていいです。
                                                                            
なかなか首都圏でもこれだけの出色のコンサートに出会えることは少ないと思います。そしてなによりも終演後しみじみ思ったのは、プログラムが商業的に感じなく、かなり聴きごたえがあって渋くていいプログラムだったなぁと感心したことです。
                                                                             
こういうクオリティの高い公演を聴けるというのは、北海道のクラシックファンにとって大変恵まれたことなのではないかと思った次第です。
                                                                               
一生の記憶に残るいい演奏会でした。
                                                                        
                                                                    
330338782_5859315554117828_8401320023819728457_n.jpg
(c)札幌交響楽団 Facebook
                                                                
                                                                  
                                                                       
334852207_107580065573977_8475479493422200803_n.jpg
(c)札幌交響楽団 Facebook
                                                                     
                                                                                                                                                              
334529882_591269059540896_6340360612542584254_n.jpg
(c)札幌交響楽団 Facebook
                                                  
                                                       
2023/3/4 (土) 17:00~
札幌交響楽団 第651回定期演奏会~ラフマニノフ生誕150年記念~
札幌コンサートホールKitara
                                                      
指揮:尾高忠明
ヴァイオリン:金川真弓
管弦楽:札幌交響楽団
                                                           
前半
                                                                         
エルガー 序曲「南国にて」
プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番
                                                               
(休憩)
                                                         
後半
                                                        
ラフマニノフ 交響的舞曲








nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。