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知的財産エンターティメント [ライセンス・知財]

日テレ毎週水曜日の10時からの知的財産エンターティメント「それってパクリじゃないですか?」、通称「それパク」観てますよ~。


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いやぁ~もううれしくて、うれしくて。ドラマで、知的財産、知財をテーマにするなんて、初めてのことじゃないでしょうか?


ドラマ初の試みですね。もう毎回、すごく刺激的で。グサグサ刺さってくる。知財というと、世間一般的に、やはり難しいものと思われているところがあって、やはり専門的な分野で、専門知識も多いので、取っ付きにくいですよね。


やはり実務を経験しないとダメだと思います。

国家試験の知財検定とかあるけど、否定はしませんが、やはり実務ありきですね。

実務で覚えるものですね。


このドラマで驚くのは、その脚本の巧妙さでしょうか。

もうプロですね。(笑)


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知財の専門的な知識を、いかに庶民にわかりやすいように、かみ砕いてドラマの脚本作りをしているか、本当に毎回驚きます。1話完結型ですが、かならず1話ごとに知財の世界のcommon senseを新しい知財の専門知識として勉強できるように、かならず1アイテム、2アイテム盛り込んでますよね。


もうこの脚本家は知財のプロというか、その筋の業界の方がやっているな、と思いますね。


原作は、漫画「それってパクリじゃないですか?新米知的財産部員のお仕事」。


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奥乃桜子さんのお仕事小説ですが、一度読んでみたいです。業界筋の人で読んだ人の感想によると、かなり現場の言葉がボンボンと出てくるし、知財の世界が分かっていないと書けないというか驚くらしいですよ。


のだめカンタービレのときもあまりにクラシックのことをよくわかっている描写で驚いた。。。そんな感じらしいです。


特許庁も出てきましたからね。(笑)

本物の特許庁審査官もドラマに特別出演してました。

もう驚きました。


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特許庁も全面協力ですよ。普段は絶対カメラが入れないようなところも公開して撮影協力したらしいです。審査官と面会室での撮影をしていましたね。すごいです。


知的財産、知財をテーマにして、世間はどこまで喜んでいるかわかりませんが(笑)、知財業界、その業界で生きている人は、もうみんな大喜びですよ。SNSのタイムラインは1話終わるごとに業界筋では大騒ぎです。


知的財産の業界あげて、このドラマをバックアップしてますね。


コミカルなのがいいですね。難しい世界なのに、小難しくならないように、テンポが良くて、明るくコミカルなのがいいです。


とにかく自分が毎回驚くのは、その脚本の巧妙さです。本当によくできている。業界のことをよく知っていて、毎回新しい業界の常識を盛り込んでくる。

本当に驚きです。


キャスト、役者さんたちもみんな魅力的です。とてもグーです。


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自分が観ていて思わずドキッとするのは、”侵害”という言葉がよく使われることです。

侵害とか抵触という言葉は、この世界ではとてもデリケートな言葉で、あまり使うことに躊躇してしまう用語です。自分はかなり抵抗あります。


たとえば自分の会社の製品が、他社の特許を侵害、あるいは抵触しているときに、そのことをメールで書いたりすることはご法度なことなのです。


大変なリスクがあります。


他社から訴訟で提訴されたときに、最悪のときは、裁判所から証拠として、社内の資料を全部提出することを命令されたりすることもあります。もちろん証拠隠滅のような行為をしたりすると大変なことになります。


ディスカバリー、Discoveryと呼ばれるもので、証拠として、会社の設計資料や各個人端末のメールとか全部裁判所、というか弁護士に提出することを命令されます。紙書類はコピーして、電子化したりして提出します。電子化するので、Discoveryの中でもそれをe-Discoveryといいます。


自分の会社も他社から裁判所に提訴されて、e-Discoveryをやったことありますよ。

もうそれは大変です。棚にあるファイルをページ1枚1枚片っ端からコピーして電子化するのです。またIT部に協力をしてもらって、個人端末のメールも全部アーカイブからなにから提出します。当時の自分は若かったのでなんでもやっていたところがあって、あのe-Discoveryだけは、もうあまりに単純作業過ぎて辛かったです~。


もちろんそれらの資料は日本語で書かれてますので、弁護士のほうではそれを英語に翻訳するのです。もう全部の資料です。気が遠くなる作業です。訴訟、提訴されるのは、通常訴訟社会の米国なので、英語に翻訳します。


もし、その中に、自分の会社の製品が、他社のこの特許を侵害している、という記述があったら、もうそれでアウトです。自分の会社の製品が、他社の特許を侵害している、ということを自分達で認めていながら、実際そうやって侵害行為をしていた、つまり知っていて故意に、意図的にやっていた、というように判断され、これは大変重い罪になります。


そういう証拠が見つかったら、”3倍賠償”と言って、通常の訴訟額の3倍を払わないといけない、というそういう米国訴訟でのルールがあるのです。実際、こういう証拠が見つかってしまい、3倍の訴訟額を払って、会社の経営に大きいインパクトを与えてしまい、会社が傾きかけた会社もいっぱいあるのです。


ですから、侵害している、とか、抵触している、とか、メールや文書などの書面では絶対残さないことなのです。もちろん侵害や抵触だけじゃないです。それ以外にも知財の世界ではいろいろタブーな言葉は、あまり記録として残すようなことはしないことが肝要なのです。だから普段のメールでもそういうセンシティヴな言葉、内容は、絶対メールでは書きません。


すべて電話で言葉で話します。


だから、そういうリスクのあることは、なるべく記録として残さないという注意が必要なのです。もうこれは感覚ですね。個人の注意というか、感覚の問題、素養が求められます。


だから、自分は、侵害とか抵触という言葉は、なかなか怖くて書くことは絶対しませんが、あまり使いたくない言葉なのです。(笑)


あと、他社特許侵害で、ライセンス料を求められる、つまりライセンスオファーされる件ですが、高額を請求される、という話がドラマではよく出てきます。


これは実際あり得ます。


自分の場合は、技術ライセンス、技術特許ですが、そういうことがないように規格必須特許は、パテントプールや特許プールという団体がいます。MPEG画像圧縮とかAAC音声圧縮とか、デジタル放送とか規格必須特許は、もういろいろな企業が特許を出願していて、それを管理している団体がいます。


そういうパテントプールで管理してもらうと、やはり規格必須特許なので、やはり普及させることが第一目標なので、レートはなるべく安価で、誰もが気安く使えるような低価格なレートで運営してくれるのです。


だからどの企業も安心して使えるというか、プール団体だったら安心して、信頼して使えるということで、ロイヤリティを払って技術を使ってくれるのです。


だからその技術は普及します。


もし、こういうプール団体がいなかったらどうなるか?

もう個人の会社単位で、必須特許を持っていたりすると、オレの特許はかなり規格必須だぞ、ということで、高額なロイヤリティをふっかけてくるのです。


高飛車な態度なのです。


それじゃ普及しませんよね。

交渉難航します。


MPEG画像圧縮、AAC音声圧縮、デジタル放送、DVD、Blu-rayとかみんな規格必須特許ですね。まず普及しないとダメですから、そういう意味で、そういうライセンス面で独り歩きしないように、パテントプール、特許プールという団体が管理することで、安価なレートで運営してくれて、信頼も多く寄せられ、安定している団体なので、その技術が普及するのです。


ドラマを見ていて、そこが技術の世界とはちょっと違うかなと思いました。


それにしても、とにかくめちゃめちゃ興奮するドラマです。

よくぞ、この知的財産をテーマにしたドラマを制作する、という企画を立ててくれたな、と感謝したいです。


最終回まで、いろいろ楽しみに突っ走りたいです。


毎週水曜日10時はほんとうに楽しみです。






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