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DX時代のコンサートホール:業務委託契約書(電子契約) [コンサートホール&オペラハウス]

ソリストやフリーランスの現状踏まえ、今後はエンタメのコンサートに招聘される場合は、かならず主催者側と契約、および契約書の締結、取り交わしを必要とする。


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最近、さっぱり音沙汰がないですがどうなったのでしょうか。


去年の秋には、法案を秋の国会に提出する、という情報をちら見、ちら聞きした覚えがあるのですが、ニュースにもいっさいなっておらず、さっぱり音沙汰ないです。


いままで電話やメールでの非公式なやりとりでのみ、慣習的におこなわれてきたことを、きちんとした契約書として後々のエビデンスとして残す、というものです。


エビデンスがありますと、確定申告のときとか、コロナや主催者側都合で公演中止になったときの損害賠償やあるいは公的支援金の受け取りのための根拠提示が明確になり、アーティスト側にとっても有利になります。(いざとなったら費用掛かりますが、訴訟にだって持ち込める。)(またそのためには、いろいろ文句はありますでしょうが、マイナンバーカードをきちんと作っておいて口座と紐づけておくことも重要と思います。政府からの入金がスピードよくおこなわれます。)


ソリスト、フリーランスの方は公演中止になったら、そのまま泣き寝入りだったのが、保証された世界が実現できるようになります。自分はとてもいいことだと思いますが、主催者側にとってはじつはそのままグレーゾーンしておいたほうがいいような業界の都合というものがあるのでしょうか。(笑)


なかなか進まないのは、そういう見えない圧力だからなのでしょうか。


契約というのは、世の中にはその業種、ビジネスに応じてもう無数といっていいほどたくさんの種類の契約が存在します。


自分が会社で仕事としているのは、技術ライセンスのライセンス契約、使用許諾契約という種類の契約です。製品を開発して、製造して世の中に出すには、自前の技術だけで全部賄うことはとても不可能で、もうたくさんの他社の技術を利用するんですね。そうしないと、とてもじゃないですが製品として成り立たないです。ある他社の技術、たとえば音声認識,BT Stack,WiFi module,MPEG画像・音声圧縮・伸長,ナビの地図データ,スマホアプリ・・・などなど、もう累計400は優に超える技術ライセンスがあります。その中でもソフトウエアライセンスが多いように思います。


その他社の技術を使うには、ライセンサーにロイヤリティ,使用料を支払っていかないといけないのです。ランニングロイヤリティ(台あたりいくら、というピースレートで払いながら、毎月、あるいは四半期ごと、あるいは年間、ずっと払い続けること。)だとか、買い切り(一括払い)、イニシャル(初期費用)+ランニングロイヤリティの組み合わせ・・・などなど、いろいろな支払い形式があります。


そうやって技術を使用する我々ライセンシーは、権利者であるライセンサーにロイヤリティ、使用料を払って、その技術を使ってもいいよ、という使用許諾を得ることになります。


こういう技術ライセンスのライセンス契約、使用許諾契約は、かならず数年間隔でライセンス監査がありますね。ライセンサーが、監査を専門の仕事としているプロ集団である監査法人に頼んで、我々ライセンシーに対して監査をおこなうのです。


ちゃんときちんと払っているかどうか。。。〇〇年~〇〇年の5年間の監査期間というのを設けてです。


これがもうすごく大変なイベントなのです。

会社の各組織総動員という感じでしょうか。


フィールドワークといって、監査法人のメンバー立ち合いの面談、証拠(エビデンス)のデモ提示などの直接の打ち合わせもあります。昔は直接来社することがあたりまえでしたが、最近はWeb面談形式が多いです。


そしてうちの会社の場合ですが、もうその監査のたびにもう膨大な金を払い続けることになるのです。(笑)ライセンスの世界には、そんな世界もあるということです。


自分の仕事ですので、ここは流暢に説明できますので、紹介してみました。


文化芸術の世界に、このライセンス、ロイヤリティという発想は持ち込まない方がいいと自分は常日頃思っています。それは監査のときが大変だからです。やはり人間のやることですから、かならず間違えます。その間違いに気づかず、数年間そのまま放置されていると、どんどん過払金、未払金が累積されていきます。


そして監査のときなどに指摘されて、はじめて気づいて、そうしたら、過去の台数を全部累積するともう何千万、億単位という金額になります。それを利息、延滞金も含めて払え、ということになります。


こういうやりとりは、もううちの会社ベテランの領域です。(笑)


このライセンス監査というのは、そもそもアジアとか中国とか知的財産権に対して甘い国をターゲットにしてきちんと支払っているかどうかを検問するという意味合いでスタートしたのが始まりだったようです。


で、日本の企業はそこら辺はきちんとしているだろう。ちゃんと払っているだろう、というイメージがライセンサー側にもあったようです。


ところが試しに、日本の企業にも監査をやってみたところ、でるわでるわ、もうボロボロで宝の山だったそうです。(笑)まっうちの会社も含めてですが。(笑)


それ以来、ライセンサーは、日本の企業に対してもきちんと監査をおこなうようになった。そのような経緯を知財の先輩から説明を受けたことがあります。


思うんですが、これだけの金額を支払えるというのは、企業だからできることだと思うんですよね。何千億、兆売り上げがある企業だから、何千万、億でも支払える。でもだからといってそういうことがあっていいという理屈にはなりません。もうこういうことがあるたびに、顛末書、防止策を提出して反省させられることになります。


こういう世界を個人単位のアーティストや、事務所などに背負わせるのはとても危険なことだと自分は思います。確かにライセンス契約で著作物のロイヤリティは、労働なしにお金を儲けることのできる知的収入かもしれませんが、お金を稼ぐライセンス収入のほうならいいですが、お金を払うライセンス支払のほうは、そういう危険が潜んでいますので、あまり文化芸術の世界にそういう支払いに絡むライセンス契約という文化を持ち込まない方がいいと思っています。


普段自分が考えていることです。この分野はクラシック業界には向かないなって感じでいつも思っています。

監査リスクに備えて、つねに内部統制という考え方、注意が必要になります。ふつう企業では内部統制はかならず考慮に入れることが必須になっています。


・・・いやいややっぱり文化芸術の世界でもライセンス契約というのは山ほどありますね。たとえばオペラの世界でも舞台装置、演出なんかを日本に持ち込むとき、使用許諾権利についてライセンス契約を締結するのではないでしょうか。そしてそれに対する使用許諾のための支払いもその契約の中であって、実際払っているのではないでしょうか。もうそんな事例は、文化芸術の世界でも山ほどありますね。監査ってあるんですかね?技術の場合、台あたりのランニングロイヤリティという支払制度があるので、累積していって大変な金額になってしまうということはありますが、文化芸術の場合は、一括払いでの支払いですね。だからそういう監査リスクというのはあまりないように感じるのですが、どうなのでしょう?


ライセンス契約は、どの世界でもあたりまえのように必ずあるものですね。文化芸術分野に関しては、自分がよく知らないだけだと思います。


すみません、話がついそれました。


もとに戻しますと・・・


契約にはいろいろな種類がありますが、文化芸術の分野で主催者側がソリスト、フリーランスの音楽家に対してコンサートの出演依頼をする場合は、こういうケースの場合の契約は、”業務委託契約”になると思われます。


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海外のアーティストを招聘するときは、もう昔からこういう契約書を取り交わすということはあたりまえの常識ですでにやっていることだと思います。


今回対象となっているのは、国内であまりメジャーではないソリスト、フリーランスの場合、そういう曖昧な連絡手段のみでコンサートが実現しているケースが圧倒的で、そこをきちんと法律整備化しようということなのだと思っています。


でも全員必須化とした世の中になった場合、それはそれで大変というのも予想されますね。


契約書というのは、一種独特の文章スタイルですから、慣れない初心者の方が読んでもよく理解できなかったり、その契約書に潜む契約リスクを読み取れなかったりして、じつは不利な条件、予想外のアクシデントも網羅されてなくて困ったりすることもあると思います。専門知識が必要です。日本中のすべてのソリスト、フリーランスのアーティストにそれを強要するのは、なかなか運営面でも難しいということなのでしょうか。


いままで以上に弁護士が大活躍する時代がやってきそうですね。もし、契約書を交わすということになった場合、こんな感じになるということを考えてみました。


業務委託契約書って見たことありますか?

ちょっとコンサートの契約書とは違いますが、こんな感じの契約書です。


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業務委託契約書~これから主催者側、事業側がアーティストに演奏を依頼するときは、契約書を取り交わす慣習をつくる。そうなると、契約書って原本が神様という世界で、原本を紙で保管しておいて、実際のやりとりはそPDFでやる場合がほとんどです。でもこれからのインボイス制度、電子帳簿保存法などの時代、それはあり得ないことですね。


やはり以前説明した電子契約の世界になって行くことが予想されます。


まずアーティストが、自分の出演するコンサートのたびに業務委託契約を結んで契約書を管理していくということになると、もう膨大の数の契約書を自分の家に管理しておかないといけなくなりますね。


電子契約でもそうですし、いまの契約書文化なら、契約書原本と契約書PDFを膨大な数、自分の公演の数だけ管理していかないといけない。そしてそれはその年度の確定申告などで必要なので、その年度は絶対なくせないですし、またその期が終わっても廃棄することはできませんね。根拠、エビデンスですからとても怖くて捨てられないです。


訴訟、裁判などでいつ必要になるかわからないですし、大事に保管しておくことが必要になると思われます。


そうすると、アーティストの家の中、あるいは事務所は大変ですね。もうずっと永遠に増え続けていくことになります。そういう契約書管理という業務が増えていくとになります。膨大な契約書を検索しやすいように棚、ファイリングに管理しておく必要がある。必要になったときに、すぐパッと取り出せるように。


契約書管理。


これは重要なタスクになると思います。

思ってもいなかった業務です。


事務所に所属している音楽家であればいいですが、そうでないフリーランスの音楽家の方々は大変ですね。自分の家でその契約書管理をしておかないといけない。


契約書キャビネ(契約書の整理棚Filing BOX)が事務所やアーテイストのPC HDDに必要になると思われます。契約書の整理。検索しやすいように管理。契約書キャビネット。


もちろんHDDのBackUpは絶対怠らないように。HDDがクラッシュしたら、その契約書が全部アクセスできなくなり、エビデンス全消去になってしまいます。こうなったら、もう目も当てられないです。


契約書は非常に秘匿で重要な文書になりますので、その管理方法に十分気をつける必要があります。


以前日記でご紹介した法務業務DXのAI契約書レビューのLegalOnTechnologies(昔はLegalForceだった)がこういう契約書キャビネットの商品を用意していますね。契約書にはかならずTermという契約期間というのがありますから、契約終了日には、その数か月、数週間、数日前に自動告知してくれる仕組みがあって、気づないうちにいつの間にか契約終了日を過ぎていた。契約更新を忘れていた、というチョンボを防ぐ機能がついています。なかなか契約書を管理したことのある方特有の知識、経験がよく反映されているように思います。



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あと注意する点は契約書の秘匿性です。


契約書というのは、とても秘匿性の高い機密文書になります。当事者同士の取り決めを記載した文書ですから、契約書というのは基本第三者に開示するということはやってはいけない行為になります。


そういう契約書の重みと言いますか、秘匿性を理解していない方も多いと思いますので、ここはぜひ注意が必要です。


NDA(Non Disclosure Agreement)という秘密保持契約というのもあります。その情報、あるいは契約事項の内容を第三者に開示することを禁ずるという契約です。技術の世界では日常茶飯事の契約です。


文化芸術の世界で登場するかわかりませんが、可能性はあると思っています。


アーティスト、事務所が、主催者側とこのような業務委託契約書を交わしていくとなるといままで説明してきたことですが、このようなことが考えられます。


・インボイス制度によるフリーランス問題(これは一緒に戦いましょ)

・アーティスト側はPC操作できることが必須になります。(笑)

・WORD→PDF→原本(割り印,収入印紙)

・コンサート中止のなったときの公金受取。マイナンバーカードに紐づいた公金口座に即入金。

・確定申告の作業がスムーズになる。

・訴訟を起こしたりするときに、エビデンスになる。

・契約書を取り交わす慣習にすると、プロモーター側、ホール側の負担が大変になっていく。

・弁護士雇用が必要になってくる。


業務委託契約書というのは、大体こんな感じの契約項目だと推測します。


●業務委託契約

取引内容の把握/整理

対価(報酬)

中途解約

損害賠償


あの契約書独特の文体、甲乙は・・・とか慣れないと大変ですね。どっちが甲だったっけ?どっちが乙だったっけ?ってなりますね。いままでは電話やメールで簡単に済ませていたことですが、それをこういうきちんとした公文書で記載すると意外やビビッてしまうかもしれませんね。


こういう契約書スタイルで取り交わすということになると大事なスキルは、その契約書の中に契約リスクが潜んでいないかどうかをその契約書から読み取れる才能ですね。たとえば訴訟のように、あとで問題が起こったときに、いやこれは契約書のこの文言には含まれていないとか、この契約書のここのところにその意味合いが含まれているとか、そのお互いの解釈の深さで、お互いの行き違いというのが起こり得ます。


契約書の読み込みの深さの違いというのがでます。


また契約締結前に、こういうことを想定して、こういう文言を入れておいてくれ、とかの交渉。


そのためには、契約締結の前に十分、内容を揉む作業が必要になりますね。これは企業で言えば法務の仕事になります。


この契約書レビューは一緒独特のスキルが必要なのです。なかなかそういう経験のない一般の方には敷居の高い業務かもしれません。


業務委託契約書がクラシック界で一般化されていくとなると、そこら辺のスキル、契約書レビューの考え方をレクチャーしてもらう必要がでてくると思います。


これからは弁護士の存在が重宝されるかもしれません。

ただし弁護士を雇うということは弁護士費用高いですよ~。(笑)


以前日記で紹介しましたLegalOnTechnologies(旧LegalForce)は、そういう契約書レビュー、契約リスクの洗い出しをAIがやってくれるというサービスになります。


ソリスト、フリーランスの音楽家、もうピンキリですから、クラシック業界にこういう契約書文化を根付かせるのはなかなか大変なことだと想像します。


でも海外のアーティスト、それも大物アーティストとか、国内の大物アーティストの場合は、もうすでに出演交渉にあたっては、こういう契約書を取り交わすということはふつうに行っていることではないですかね。そんな新しいことでもないと思っています。


クラシック業界、あるいはそれに限定しませんが、コンサートの出演に業務委託契約書が必須な時代になりましたら、ぜひ紙の契約書ではなく、電子契約にしてほしいと思います。もういまや紙の時代ではないですね。紙の契約書の保管は、インボイス制度、電子帳簿保存法にも反します。


電子契約は、以前でも日記で紹介しましたが、契約のやりとりを電子的におこなうもので、クラウドで契約書を管理していくことになります。


暗号の技術、公開鍵暗号、ハッシュ関数、電子署名、認証局(CA)などの技術から成り立っています。でも利用者からするとそんな技術的な難しさを理解する必要もなく、簡単なUIですべて事足ります。




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これからの時代はやはり電子契約の時代だと思います。電子契約はいろいろなサービスが混在しています。民間ではなく、もっと政府間レベルでサービスを統一化してくれるといいな、と思いますが、民間でも有力なサービスのみが淘汰されて残っていくものと思います。


電子契約サービスを選択する場合は、やはり認証局(CA)がきちんとシステムに組み込まれているサービスを選ぶべきです。本人保証、本人担保がきちんと第三者機関である認証局(CA)のお墨付きではないと訴訟の問題になったときに、その裁判所側の信頼度が全然違ってきます。


なんのためにクラシック業界に契約書文化を根付かせようとしているのかは、そもそも訴訟になったときに、そのエビデンスとしての役割を期待している訳ですから、そのエビデンスの電子契約がきちんと認証局(CA)の傘下にあるシステムでないと裁判に有利にならないと思います。


電子契約サービスは、いろいろ複数のサービスが存在しますが、CloudSignとかGMOサインが二大巨頭という感じでいいんじゃないですかね。AI契約書レビューのLegalOnTechnologies(旧LegalForce)は、GMOサインと連携しているようですので、電子契約+AI契約書レビュー+契約書キャビネとしてGMOサインを選ぶのがいいと思います。


もうクラシック業界として、このサービスで統一というふうに決め打ちしていいと思います。







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