靴選びが苦手 [雑感]
靴選びがどうにも苦手である。下手くそである。店頭で靴を試着するときは、ぴったしで数歩歩いてみるのだが、かなり快適。それで購入して、持ち帰って翌日から履いていくのだが、長距離歩くと、とたんに靴擦れというか、足が痛くて歩いてられない。靴があきらかに合わないのである。
店頭での試着はあくまで数歩だからわからないのだと思う。何千歩、何万歩という長距離を歩いてみて、はじめて靴が自分の足に合うかどうか、というのが判断できるということだと思っている。
昔から靴の新調のときは、かなり勇気がいる決断で、ドキドキする。そうやって過去に何回、いや数えきれないほど、店で試着OK、でも実際生活で履いてみるとNGということを繰り返してきたか!
もうそのたびにその靴は破棄である。
もう数えきれないくらい新着の靴捨ててきました。
だから自分にとって靴選び、靴の新調というのは、一大イベントなのである。
万が一、自分に合う靴に出会えた場合、もう大変である。その店に行って、同じ靴を何足も買い集めてしまうのだ。(笑)それこそ色違いとかなんとかで。
自分に合う靴との出会いはまさに一期一会なのである。
自分の足にフィットする靴を見つけることの難しさを人生かけて体験しているので、自分の足に合う靴はまさにお宝なのである。
いまの靴は、30年前に買ったものである。相変わらず靴探しに苦労して、買っては捨て、買っては捨てを繰り返してやっと見つけた自分に合う靴。
そのとき、もちろん4足まとめて買い込んだ。
ところが30年も経つと、さすがに4足とも履き潰してしまう。もともとアウトドア派な性格なので旅行など、国内・海外などでは相当歩き回るし、まだコロナ前だと毎日1時間半の通勤があった。
いま履いているのは最後の一足で、もうボロボロもいいところで、底も剥がれかけている。
さすがに新しい靴を新調しないだとダメだろう、ということだが、なにせ30年ぶりである。自分にとって靴を新調するということは、30年に1回あるかどうかの大イベントなのである。(笑)
靴に関しては、若い頃から、悲しい人生を送ってきているので、足元でお洒落をする、ということができない人だった。靴にお金をかける、という人生とは無縁だった。そんな余裕がなかった。
まず自分の足に合う、それがないと始まらなかった。実用性重視である。足元のお洒落とは無縁の人だった。
最後の一足もボロボロで、さすがに新調しないといけないのだが、なにせ靴選び、靴の新調自体が億劫で簡単には見つからないこと。30年に1度の大イベントであること。そしてコロナ禍に入ってしまい、外出も依然と比べると全然少なくなった。
で、ついつい先延ばしにしていた。
でも困ったことが起きた。
それは連載・美食倶楽部で人形町のすき焼き今半を訪ねようとしているのだが、あそこの玄関口は旅館みたいになっていて、靴を脱いだら、仲居さんが気を使ってくれて、その脱いだ靴を揃えてくれたりする。格式高い上品な日本料理屋さんなので、優しい仲居さんはぜったいそうする。
そうすると、自分のボロボロの靴を見て、思わずどう思うか?(笑)これは恥ずかしいな。ついつい先延ばしにしても足元はそんなに人前に披露することもなく、人も注目することもないからボロボロの靴を履いていても大丈夫なんだが、なんか急にこの今半のシチュエーションを心配するようになってしまった。
これは靴を新調しろ!というお達しなのかな、と思った。
それで30年ぶりに靴を新調するという一大イベントを行うことにする。
まず自分の足に合う靴のおさらい。
これは男性であればフォーマルなスーツ姿では必須の紳士靴。自分はこのタイプの靴が一番苦手である。(笑)足の先が細くなっていて、これが自分の足の先を締め付ける感じで、歩いているともう痛くて痛くて無理ゲーである。昔からこの正装の男性靴としてはスタンダードな紳士靴がまったくダメな人間であった。
自分は社会人になって会社勤めをするようになってから、ずっといままで技術系の企業なので、技術者、エンジニア中心のオフィスのドレスコードはかなりカジュアルなのである。原則私服である。だから足元だって極端に言えばスニーカーだって全然OKである。
自分はずっとそういう環境だったので、助かっていた。
これがたとえば外回りする営業職で上下スーツでびしっと決めないといけない場合は、さすがに足元もそれに合わせないといけないので、紳士靴でないとダメだろう。もしそういう環境だったら地獄だったな~と思うのである。
たとえば自分がオーケストラ団員だったら・・・。上下はホワイトタイ、燕尾服なので、やはり靴は先の尖った紳士靴でないとダメだろう。もしそういうシチュエーションだったら、そのステージ上の専用としてそういう靴を用意して履くだろう。歩き回ることもないから、擦れて痛くなることもない。
ステージ用の靴と、ホールに来るまでの靴を分けることを考える。
とにかく歩く靴としては、紳士靴は自分の場合、まったくスコープ外で無理なのである。
じゃあ、どういう靴がいいのか。やはりスーツを着ることもある。単に上だけジャケットという場合もあるが、そういう場合に似合うそれなりにフォーマルな靴がいい。
でも痛くならない靴。
それはこんな靴である。
いわゆるカジュアルメンズシューズといわれるもので、これだったらフォーマルなスーツ、上だけジャケットの服装でも足元はおかしくはない。スニーカーより全然いいだろう。
特徴は足先が膨らんだ形であることである。
これが自分にとって一番重要なことなのである。
自分は足は足先にかけて大きく広がっている形状なので、先が細くなっている紳士靴はまったくダメなのだけれど、このように先が広がっているタイプだと自分の足の形状に合うのである。
30年前に、自分が買い揃えた4足もずばりこの形状である。
しかも一見紳士靴っぽく見えるから、フォーマルな服装に対しても足元に違和感がない。色は黒がいい。
自分の足に合う靴と言うのは、スニーカーは別として、このカジュアルメンズシューズというのが一番の王道である。このタイプの靴を探し出して、長距離歩いていも痛くならない靴を探し出さないといけないのである。
見つかったら、もう4~5足同じものをまとめ買いである。
スニーカーは普段自分はあまり履かない人である。昔からそうである。嫌いじゃないけど、なんか自分に合わないというか、そんなに自分もカジュアルな人間じゃないし。
でもこれも最近考え方が変わってきた。それは脳疾患を患って、退院後も規則的なリズムでのリハビリが必要な体になってからだ。リハビリはやはりウォーキングが王道である。特に自分の場合、歩くことが最大のリハビリである。
そうすると、普段のカジュアルシューズを使っていちゃもったいないんですよね。すぐに履き潰してしまうから。せっかく見つけた靴なのに、そんなにこき使ったら、あっという間に履き潰してしまう。
そういう環境の変化が、昨今の自分に起きたので、自分にとってスニーカーも揃えておく必要がでてきた、という訳だ。
でもなぜかスニーカーも昔から、なんかうまく選べないんですよね。過去に何回もスニーカーを買ったけど、店頭の試着では全然OKなのだが、いざ外歩いて、長距離歩くと、合わなくて足が痛くなったり、ユルユル過ぎたりで、自分にぴったりのスニーカーに出会ったことがない。
メンズカジュアルシューズの場合、自分にとって理想の靴型というのはわかっているので、それを狙いに行くのだが、スニーカーについては、いまだに自分の足に合うタイプというのがどういうのか、理解できていない。
でも、これからはリハビリのウォーキングのためにスニーカーは必須の体になってしまったので、大至急探求しないといけないテーマなのだ。
店にすでに売っている靴の中から、自分の足に合う靴を探し出す、というのはある意味とても難しいことなのかもしれない。じゃあ、自分の足を測定して、徹底的に解析して、自分の足に合う靴を、もうオーダーメイドで作ってしまえばいいのではないか?
自分は秘かにこのオーダーメイド大作戦に期待を寄せるようになった。
かなり昔であるが、おんな酒場放浪記で倉本康子さんが、そういうオーダーメイド靴のお店を訪問しているのを拝見して、これだな!と思い、お店の名前をそのままメモっておいた。
砂町銀座商店街にあるシュースタジオ グリュックである。
見た目で選んで買った靴、一日履くと痛みが出たり、早く脱ぎたいと感じたり・・靴選びで後悔することありませんか?足が痛いと笑顔もくもりますよね。
知って良かった!そう思ったのがこちらのお店。
砂銀にある、「シュースタジオ グリュック」です。
店主であり靴職人の松井璋(あきら)さん。
ドイツの国家資格を有するオートペディシューマイスター(整形靴の職人)と呼ばれる先生に、整形靴の作り方を学んで20年。今も学び続けているそうです。
店内はコンフォートシューズがずらり!コンフォートシューズというのは、直訳で快適な靴、足の型、歩きやすさに特化した靴のことなんでしょうかね?
無料で足型測定。機械で足を測定して、自分に合った靴選びを提案してくれます。
パソコンで詳しい数字がわかります。
たとえば測定するとこんな感じのデータ測定結果が得られます。
たとえば22.5EEEの靴を選ぶと良いとか。。。
「地面にあたる部分が少ないから、土踏まずの上のところが痛くなるでしょ」
まさに!「はい、そうなんです」
骨格標本でわかりやすく説明も。
足に合ったインソールを使うのがおススメだそうです、ハイ。快適に歩くために。
ひとり一人の足のデータ、これをもとにインソールの調整・製作はもちろんのこと、オーダーメイドで靴を作るそうです。店の奥にはいろんな機械や道具が。
型を使った伸ばし加工は500円から。
「外反母趾で痛みがある人にはこれを使うよ」と松井さん。
フスフレーゲ
フスフレーゲ(タコ・ウオノメ・角質・巻き爪などのケア)つまり、フットケアは専門技術を持つ娘さんが担当。
この日も、立ちっぱなしの仕事と日課である愛犬との散歩で、足にタコができて辛いというお客様が、足のケアに訪れていました。
爪の手入れと、硬くなって痛みのある足裏の角質を取るという施術を、毎月1回欠かさないそう。「痛くなるとここに来るの。おかげで足がラクになるのよ」と。10年以上通っているんだとか。
「靴は歩行を助ける道具」
「靴選びは目の言うことを聞かず、足の言うことを聞け」
「3本足(杖利用)で来た人が2本足で帰っていく」
数々の名言を持つ松井さん。
・・・てな感じのお店である。
自分はいまの靴の次のときは、オーダーメイド作戦で行こうと考えていた。足の専門の職人さんに徹底的に自分の足の型を測定してもらい、それに合った靴を作ってもらう。
これこそ、まさに最強の靴選びと言えるのではないだろうか?文句の出ようがなかろう。
人形町の今半に行く前に、ここで自分の靴を作ってもらおうと思い、電話をかけてみた。娘さんらしき人がでた。
自分の要件は費用だ。どれくらいかかるかだ。自分の足型を測定、解析して、それに合ったオーダーメイドの靴を作るとなるとどれくらいの費用がかかるかである。やっぱり最初に作る靴は紳士靴がいい。そしてスニーカーの合計2足。砂町銀座商店街まで行く前に、場所も初めてだから、行ってからじゃなく、まず先に電話で確認しようと考えた。
娘さん、答える。「9万から10万ですね。」
くっくっきゅ~まん、じゅっじゅっじゅうまん!!!
思わず、そっそっそりゃ大変、ありがとうございました。ガチャ(笑)である。
完全にオーダーメイドで作ってしまおう、それも自分の足型を徹底的に測定して解析してそのデータに合った形で作ろうとするとそんなに費用がかかるのである。
ちなみに、お勧めなのは、足型を測定、解析して、そのデータに合った靴を、そのお店に売っている靴の中から選んであげる、というサービスのほうが現実的だという。
それでも2万~3万である。
高いよ~。
無理ゲーです。
もう30年前だから、よく覚えていないけど、自分の靴にかけた費用は1足あたり1万円以下、大体6000円くらいじゃなかったでしょうか。大昔だからよく覚えていませんが。。
自分がかねてより計画していた案がはいとも簡単に頓挫してしまいました。(笑)行く前に電話で確認しておいてよかったです。
で、結局、新しい靴はいままで通り、自分が靴屋さんに行って、自分で試着して決めるしかなさそうです。そして買っては捨て、買っては捨てをかなりの回数やるのでしょう。
人形町の今半の仲居さんは、きっと靴を揃えてくれるときに、自分のボロボロの靴をみて、笑うのだと思います。それは恥ずかしい。
自分に合う靴が見つかるまで、どれくらい時間がかかりますでしょうか。
はたして、人形町の今半に行くことができるのでしょうか。
神のみぞ知るというところです。