空港で暮らす人々 [航空関連]
パリの空港で18年間も暮らしていた男性がいる。イラン人なのだが、その方が5日前に亡くなったニュースを拝読しました。
この空港で暮らすイラン人難民は、その後スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」のモデルにもなった。主役はトム・ハンクスが演じています。
スピルバーグ監督映画「ターミナル」のモデルになった故メフラン・カリミ・ナセリさん
Christophe Calais/Corbis/Getty Images
フランス・パリのシャルル・ドゴール空港で18年に渡り暮らし続け、2004年のスティーブン・スピルバーグ監督映画「ターミナル」のモデルになったイラン難民の男性が12日、同空港内で死去した。
同空港の広報によると、亡くなったのはメフラン・カリミ・ナセリさん。第2ターミナルで空港の医療班が死亡を確認した。自然死だった。
1945年にイラン・クゼスタン州に生まれたナセリさんは当初、母親を探しに欧州へと渡航した。
ナセリさんは1988年、ベルギーとフランスを経由して英国に向かう途中で書類をなくし、航空機に搭乗することも空港から出ることもできない足止め状態が2006年まで続いた。
正しい渡航書類を持っていなかったことから、イギリスやオランダ、ドイツなどで国外追放を受けた後、数年をベルギーで過ごした。その後、フランスへと渡り、シャルル・ド・ゴール空港の2階ターミナルのベンチを住居にし始めた。
トロリーに乗せた寄せ集めの持ち物に囲まれながら、ナセリさんは自分の半生を日記に書いたり、本や新聞を読んで過ごしていた。
一時は介護施設に滞在していたが、今年9月半ばから、再び同空港内の公共エリアでホームレスとして暮らしていたという。
ナセリさんは同空港のシンボル的存在だったと広報は話し、職員たちが長年、できる限りの面倒を見ていたと説明した。
ナセリさんの境遇は国際メディアの注目の的となり、スティーヴン・スピルバーグ監督による映画化が決まった。映画が公開されると、ナセリさんは1日に6本もの取材を受けることもあったと、地元紙ル・パリジャンは報じている。
映画「ターミナル」はトム・ハンクス主演。空港広報担当者は、「スピルバーグ監督は彼が乗り継ぎロビーに閉じ込められているように描いていたが、実際には何度かそこに滞在したものの、いつも空港の公共エリアにいて、いつも自由に動き回ることができていた」と打ち明けた。
1999年に難民認定され、フランスへの滞在が認められたものの、ナセリさんは病気で病院に搬送される2006年まで空港で暮らしていた。地元紙リベラシオンによると、ナセリさんはその後、映画からの収入を元にホステルで暮らしていたという。
一時はフランス当局がフランス居住を打診したこともあった。しかしナセリさんは最初の目的地の英国へ行きたいという理由でその申し出を断ったと伝えられている。亡くなった際、ナセリさんは数千ユーロを所持していたと、空港当局は説明した。
もう自分には衝撃である。(笑)
そもそも空港って暮らせるところなのか?
空港に18年間も暮らすって驚きとしか言いようがないのだが、そもそも空港って24時間開いているものなのか、追い出しを食らったりしないのか、夜中など暖房などの空調は、食事はどうしていたのか、シャワーなど体は洗っていたのか。。。もうあらゆる疑問が湧いてくる。
パリのシャルル・ド・ゴール空港、以下CDGは、24時間眠らない国際空港である。
世界中の国際空港の中で24時間眠らない空港はかなりの数に上り、その空港で暮らす人々というのが実際存在するのだ。なにも今回のCDGのイラン人ナセリさんだけではないのだ。
実際、Wikipediaにその名簿・空港リストが掲載されている。
空港に居住した人物の一覧_Wikipedia
空港に滞在する理由としては何らかの抗議であったり、亡命や難民申請を行うためであったり、休暇中に降って湧いた災難であったり、様々である。
24時間眠らない国際空港にはトイレやシャワー室があるので暮そうと思えば暮らせるのだろう。彼らの中には、政治的主張や何かに抗議している人がいることも事実なのである。
このリストの中には、いまも居住を続けている人もいて、
トルコ人のバイラム・テベリは、1991年からアタテュルク国際空港からサビハ・ギョクチェン国際空港に移って、のべ30年以上いまに至るまで空港で暮らしている。理由は他に住むところがなかったから。(笑)
またブラジル人のデニス・ルイス・デ・ソウザは、ブラジルのグアル-リョス国際空港で、2000年頃からのべ20年以上いまに至るまで空港で暮らしている。家族内での喧嘩の末、家を飛び出し空港へと向かった。飛行機に乗る意図はなかったのが理由。現在も滞在中だが、たまに外出している。(笑)おいおい。(^^;;
そして中国人の魏建国。北京首都国際空港で2008年から、のべ14年以上空港で暮らし続けている。理由は、飲酒、喫煙問題による家族との不和。
しかし何十年も空港にずっと暮らし続けることってできるんですかね?通常、空港内で暮らそうものなら、不審人物として、強制退去処分、強制送還になるのがオチだと思うのですが、なぜ彼らがそうならないで住み続けられるのか、それが不思議です。
万が一住み続けることができたとしても、毎日の生活費、たとえば食費とかどこから捻出していたんでしょうね。トイレ、シャワー、洗顔、歯磨きなどはトイレの洗面所などそのまま空港のを利用できるとしても、食費はなんとかせないかんでしょう!
先述したイラン人のナセリさんはCDG空港のシンボル的存在だったらしく、職員たちが長年、できる限りの面倒を見ていたということだから空港で暮らすことを容認して世話をしていた、ということですよね。
いつも空港の公共エリアにいて、いつも自由に動き回ることができていたそうです。
ナセリさんの場合、映画「ターミナル」が大成功して、映画からの収入もあったようですので、それで生活費を賄っていたんですね。
亡くなった際は、ナセリさんは数千ユーロを所持していたとのことですから、結構困ってはいなかったのかも?
まさか空港で暮らすとは!(笑)
同じホームレスになるなら空港のほうが、自分にはハイテンションでいられるからいいかも?勉強になりました。参考にします。
ちなみに、ナセリさんが暮らしていたCDGについて、実際空港泊ができるかどうか検証した人のレポを紹介します。
「シャルル・ド・ゴール空港で眠れる場所」としてトライしてみた人の体験アドバイスである。
●ターミナル2の駅出入り口は寝やすいが…
ターミナル2の駅の券売機前のベンチで寝れます。
他にもたくさん寝ている人がいたからです。
ただおすすめはできません。
誰でも入れるスペースなので
スリや盗難に遭うリスクがあるからです。
寝ている人も3割くらいはホームレスのようでした。
僕は到着した翌日、
パリ市内で置き引きにあって、
この街の盗難のリスクの高さを痛感しました。
空港は監視カメラがあることや、
立地の孤立性から、危険性は市内ほどは高くないでしょうが、
リスクはあると思います。
ちなみに、朝5時半ごろに、
警備員に起こされます。
平らで冷たくなくて寝やすい。でも周りにはホームレスも。
●マットレスと寝袋があれば、ターミナル内のどこでも。
ここでいう「ターミナル」は、
それぞれのターミナルの航空会社のカウンターがある場所を指します。
ここはそれぞれの入口にセキュリティがついていて、
チケットを持ってなさそうな人はチェックされます。
シャルル・ド・ゴール空港は広大で難解な建物ですが、
その分搭乗口はたくさんありますので、このスペースはたくさんあります。
そして空港泊の人もたくさんいます。
ですが1番の問題は、僕ら空港泊の敵、
肘置きがついた椅子なんですね。
横になって寝れる椅子は皆無です。
いろんな空港で出会う宿敵。
でも空港で一般的なこのような椅子はひじ掛けが邪魔で寝るには難しい椅子です。
空港側もそれを意識してそういう造りにしているのだと思います。
でもその椅子群をこのように寄せ集めて、寝床を作ってしまう強者もいるんですね~。(笑)もう根性としかいいようがないです。
映画「ターミナル」では、トム・ハンクスがこの椅子のひじ掛けを強引に全部取り外して壊してしまい、それらの椅子をよせ集めて半ば強制的に寝床を作ってました。
トム・ハンクスは映画では乗り継ぎロビーの67Gateで暮らしていました。
そのせいか、たくさんいる空港泊の皆さんはかなり辛そうでした。
僕はシュラフを持っていたので、
地ベタで寝てみました。
持っている人はやっていました。
しかし冬だったせいか、底冷えがして断念。
マットレスが必要でした。
深夜2時、椅子に座って過ごすみなさん。朝まではキツイだろうな。
●ターミナル1なら、手荷物受場もありかも。
一番寝心地が良さそうなベンチは、
ターミナル1の手荷物受取場にありました。
ターミナル1に到着の方限定にはなりますが。
実際、寝ている人も1人いました。
途中で起こされたりするのかは不明です。
荷物をとって外へ出てしまうと、
この場所には戻れないので、
他の場所の可能性を捨てる決断は必要です。
この時に決断していれば間違いなく安全で快適ではあった。
この方は、なんらかの理由でCDGの空港泊をせざるを得なかった理由で、寝れるところをCDG内で探してみたというそういう体験レポートなんでしょうね。
よく考えてみれば空港のフライトで深夜便ふくめ、なんらかのトラブルで空港泊をせざるを得ないことって普通にあり得ることですよね。そうすると空港って大概が24時間オープンにせざるを得ないのではないでしょうか?
そして驚くことは、CDGではホームレスがふつうにいるという事実ですね。ちゃんとそこに住み着いているんですね。強制退去にしないんですね。
CDGは24時間眠らない国際空港。そして寝袋さえあればふつうに寝ることはできそうです。実際かなりのホームレスの方がいらっしゃることも初めて知り驚いています。
このCDGで18年間暮らしたイラン人メフラン・カリミ・ナセリさんがモデルとなったトム・ハンクス主演の映画「ターミナル」も、さっそくAmazon Prime Videoで観てみました。
これは面白かった~~~。
空港に軟禁される理由は、映画では祖国が政情不安でその国の存在が亡くなり、アメリカに入国することも帰国することもできず、その移動ターミナルから1歩も出れない空港軟禁状態になってしまった、という設定でした。いわゆる法の隙間という感じで、入国もできなければ、強制送還もできない。ただ空港にいないといけない、そういう状況です。
そういう環境下で、主役トム・ハンクスが空港内でいろいろな人と出会い、ドラマができ、軟禁状態での空港内での生活がリアルに描かれていきます。
客室乗務員との淡い恋も描かれたりして、ほっこり気分になれます。それはさすがに映画ですからナセリさんの空港暮らしのような素気のないものではなく、映画らしいいろいろな脚色、面白おかしく演出があってドラマあり、悲しさあり、楽しさあり、いろいろな起伏があってストーリー全体を豊かにしています。
最後は思わずホロッと泣けるところも・・・
彼は空港(そこ)で待ち続けた。
約束を果たすために・・・
思わずラストはじ~んと泣いてしまいました。
きちんと泣かせ処があるのです。
そういう映画のトリックがあるのです。
さすが、スピルバーグ監督作品です。
いい映画でした。
う~む。。。空港で暮らす・・かぁ・・・(^^;;