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草燃える [ドラマ]

鎌倉殿の13人を毎週楽しみに観ていると、どうしても無性に、43年前の草燃えるが観たくなってくる。昔を懐かしむことばかりしていては、人間進歩がないと思うし、つねに前を向いて生きていきたいと思っているので、郷愁の念にかられるのはやめようと、ずっと我慢していたところがあった。


でも子ども時代のすり込みというのは恐ろしいもので、40年以上たったいまでも頼朝と言えば石坂浩二さんの顔がすぐに浮かび、政子といえば岩下志麻さんが脳裏から離れられない。


いま大河ドラマを見ていて、すごく楽しくて面白ければ面白いほど、どうしてもあの頃をもう一回どうだったっけという感じで観てみたくなってしまった。


ちょうどGWに突入したこともあって、1日たっぷり時間があったので、今日はひさしぶりに草燃えるの総集編のDVDを見てみました。


草燃えるは、1979年、自分が中学三年生のときに、放映された大河ドラマで、いままで見てきた大河ドラマでもっとも熱中して、一番好きだった大河ドラマです。


子供のときに、脳裏に埋め込まれた、すり込まれた、あの感動は忘れられないです。いままで日記でたくさん書いてきたけれど、草燃えるのおかげで鎌倉時代が好きになったし、源頼朝が大好きになったきっかけになったドラマでした。


ひさしぶりに観たけれど、いや~よかった~。いまとあの頃のドラマ作りは全然違うけど、当時の大河はシリアス、真面目路線だから、なんか観ていて、すごい吸い込まれるというかすごいシリアス。あの当時らしい感じだなぁと思いますね。


草燃えるの原作は永井路子さんですね。このドラマは、年間を通じての主役は北条政子ですね。


でもあの当時、女性主人公はまだ困難とみられたことから前半の主人公を源頼朝とするダブル主人公でのドラマ化。頼朝が中盤で死んだ後は、主役に北条政子が繰り上がるスタイル。ただ、前半も視点としては政子に重きが置かれ、実質的には政子が全体の主人公という趣が濃い感じでした。


NHK制作陣は永井路子さんと面会して承諾を取り付け、鎌倉時代を扱った他の作品も使ってよいと永井さんから提案されたそう。永井さんは、「時代劇を脚色した人でない人」「(原作同様)現代口調でやってもらいたい」という条件を付け、中島丈博さんが脚本に起用された。


永井路子さんの「北条政子」,「炎環」,「つわものの賦」などの著作をもとに、中島丈博さんのオリジナル脚本で、源氏三代と承久の乱までの東国武士団の興亡を描いたという感じですね。


永井路子さんといえば当時は鎌倉時代の歴史作家の権威のようなところがありましたね。この3つの代表作、ぜひ読んでみたいです。


草燃えるはあのオープニングの流鏑馬のシーンがすごく好きなんですよね。あれこそ鎌倉時代と思ってしまうわけです。普段から流鏑馬はすごいカッコいいと思っていますので。


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なぜ自分が草燃えるが好きだったかというと、石坂浩二さん演じる源頼朝がすごく好きだったからです。石坂さん演じる頼朝が好きで好きで堪らなかったから、草燃えるが好きになったというところがあった。何十年ぶりかで、ひさしぶりに拝見しましたが、やっぱり石坂浩二さんは人間的に器が大きいというか、やっぱり演技に深みがある。けっして虚勢ではない自然な存在感があって、やっぱりプロだなぁと改めて思ってしまう。本当にいい役者さんだなぁと思います。


自分が石坂頼朝が好きだったと思うようになったのは、じつは頼朝が死んでからなんですよね。番組は、頼朝がいた時代は明るいんだけれど、頼朝が死んでから、急に太陽がなくなったような感じで、急激に暗くて陰鬱な感じに変わって、御家人同士の血と血で争う抗争劇、仁義なき戦いが始まるんですよね。


だからどうしてもあの頃はよかった、という感じに回想して思うわけです。頼朝の時代はよかった。頼朝がスーパーヒーローのように思えちゃうのです。


ひさしぶりにDVD見て、あらためて石坂浩二さんの役者としての素晴らしさに感銘しました。


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この大河ドラマを見て以来、自分にとって、岩下志麻さんイコール北条政子のイメージはずっとすり込まれています。岩下志麻さんは極道の妻たちなど、いろいろなドラマ、映画で活躍なされていますけれど、自分にとって、ちょっと北条政子のイメージから抜け出すことが難しいですね。どんな役を見ても、全部北条政子に見えてしまいます。(笑)それくらいインパクト強かったです。


北条政子というと、強くて恐ろしい悪女のように思われることが大半ですが、このドラマではけっしてそのような偏ったイメージでなく、女性として母親としての気持ちを前に出すような感じで描かれていますね。原作の永井路子さんが女性なので、北条政子を主人公として書かれているので、そのような女性観点での捉え方なのでしょうね。


北条政子は尼将軍として恐れられていたという史実一辺倒のイメージではなく、そのような極悪なところは全部北条義時が背負って、義時に引っ張られるようにひのき舞台に担ぎ出されているという描かれ方をしていますね。


すっかり忘れていましたが、ひさしぶりに観たらそんな感じでした。北条政子は、やはり頼朝が死んでからが、大きな見せ場になりますね。


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子供の頃に見ていたとき、一番ショックだったのは、この小四郎、北条義時の変貌ぶりです。幼い子供心には、その変貌ぶりにはショックで立ち直れなかったです。あまりに別人で。。。


若いときは、とても好青年に描かれているのに、頼朝の死後以降、承久の乱までで武士の世を確立するまで、まさに次第に変貌を遂げ、政敵と見なした御家人を様々な計略をめぐらして容赦なく排除・殺害していく冷徹な権力者として、若き日とは全くの別人格となっていく・・・です。


草燃えるでは、主人公の北条政子はそんなにダークなイメージでは描かれていないんですね。そういう冷徹なところは全部義時が背負っていくように描かれているのです。政子はそれに引っ張れているに過ぎないという感じで。


松平健さんがじつに素晴らしいです。晩年の義時の演技のときは、老いを表現するために自分でもちょっと声をつぶし気味に工夫したとか。


松平健さんは当時は暴れん坊将軍が大人気でしたが、自分はこの北条義時のほうが断然よかったです。


鎌倉殿の13人で一番自分が楽しみにしていて、どうなるのかワクワクしていることは、小栗旬氏演じる北条義時がどのようにこの変貌ぶりを演じるのか、です。


いまはすごく純真で優しいいい人柄を演じていますが、後年、いよいよ真の意味で、ドラマの本当の主役になっていくとき、どのようにこの変貌を演じていくのか。


はたまた、いやいや根底にいい人をちゃんと残しつつ、視聴者にショックを与えないように、終始良心的な主人公で徹底するのか。三谷さんの筆次第ですかね。三谷さんは、あまり史実に引っ張られず、ギリギリ限界なところで創作チャレンジする脚本家なので、どうなるかわかりませんね。


小栗旬氏の冷徹な義時も見てみたい気はしますが。(笑)


ここはこのドラマの一番キーになることでもあるので、期待しています。三谷さんが言っていた通り、鎌倉殿の13人は、頼朝が死んでからが勝負ですね。ここからが物語の始まりなのかもしれませんね。


今年の鎌倉殿の13人で、まさかこの鎌倉草創期の歴史、それも源氏、東国武士団のほうからみたドラマを、こうして43年ぶりに見れるとは思ってもいなかったです。


もう感謝するしかいないです。


同じ時代を扱うとはいえ、草燃えると鎌倉殿の13人ではまったく別物のドラマだと思ってます。あの頃を遥かに超えて、いままでの自分のすり込みを上書きしてくれる、そんな大きな期待で楽しみにしています。


石坂浩二さんや岩下志麻さんも、きっと今年の鎌倉殿の13人はご覧になっていると思うんですよね。(松平健さんは平清盛役で出演されています。)自分達が演じてきた代表ドラマですから絶対観ているはずです。


とうぜん楽しんで観ていらっしゃると思うのですが、ぜひ感想を聞いてみたいものです。(笑)






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