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岩下志麻さんが語る「小池栄子さんの政子、素敵です」 [ドラマ]

鎌倉殿の13人が面白ければ面白いほど、昭和生まれのドラマファンは「草燃える」を想い出してしまうものなんです。人間ってそういうものです。これは仕方がない。


43年前と今ではまったくドラマの作り方が違うし、まったく別物というのが自分の印象。どちらがいいなんて絶対言えないです。自分は草燃えるで、源氏三代と北条氏の世を確かなものにした鎌倉草創期の物語が大好きになったし、この2つの作品は自分の人生の中で永遠に、そして深く心の中に刻まれ、生き続けるものと思います。


鎌倉殿の13人は、草燃えるを上書きすると思います。


長らく大河ドラマを見続けてきた自分にとって、今年は大きな運命の年になりそう。そんな中で、もう信じられないくらいうれしいニュースが飛び込んできた。


「小池栄子さんの政子、素敵です」“先輩”岩下志麻が語る「鎌倉殿の13人」〈週刊朝日〉



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もうこれは天にも昇るくらいうれしかった。こういうのが1番嬉しんだよね~~~。岩下志麻さんは、大女優だけあって、やはり人間的に器が1枚も2枚も大きいというか、さすが人間ができている。こういう応援のエールって本当にうれしいものです。


視聴者の自分がこれだけ嬉しいんだから、小池栄子さんや共演者の方々、三谷幸喜さんも本当にうれしいに違いない。大先輩にこう言われると、背中をポンと押してもらったような、太鼓判を押しもらったような自信がみなぎってくるものである。さあ、これからますます勢いがでてくるというものだ。そんな嬉しさがあるに絶対違いない。


鎌倉殿の13人と草燃えるは、絶対比較されてしまうのは仕方がないことだし、草燃えるに出演されていた俳優さん方々が、こういうエールを送ってくれることは、本当に素晴らしいことだと思います。


ぜひ、週刊朝日を読んでほしいです。


小池栄子さん、頑張ってほしいです。頼朝が死んでから、どんどん物語の中心人物になっていきます。承久の乱の大演説や、つぎつぎと自分の子供に先立たれていく悲劇。強く生きていかざるを得ない。楽しみです。


鎌倉殿の13人の番組冒頭の最初のクレジットで、なぜか北条政子ではなく、政子なのは、なんかまたある特別な意味があるのかな、といつも興味深く思っています。





「小池栄子さんの政子、素敵です」“先輩”岩下志麻が語る「鎌倉殿の13人」


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私が北条政子を演じさせていただいた大河ドラマ「草燃える」の放送が1979年だったから、あれからもう40年以上経つんですね。


今でも私に対する「北条政子」のイメージが強いようで、最近は特に「鎌倉殿の13人」が、同じ時代を描いているからかしら、よく「岩下さんの政子、見ていました」って、お声をかけられます。


たくさんの役を演じてきましたけど、政子は特別な思い入れのある役です。


映画や他のドラマは短期集中で2、3カ月で撮影するでしょう。でも大河ドラマは1年間、同じ人間を演じなければならない。その1年間は政子になって政子の人生を生きるというか、政子が自分の体に乗り移ったような状態になっていました。


最後のシーンを撮り終わった後、楽屋に戻ったら全身から力が抜けてしまって。しばらく虚脱状態で、動けなくなってしまったんです。それぐらい、政子が自分の中に生きていたんですね。


政子のイメージは「強い人」「嫉妬深い人」といったところかと思うんですが、とても愛情深い人だったんだと思います。頼朝に対しても、子供たちに対しても。だから「亀の前事件」(※政子が頼朝の愛妾の家を焼き討ちした)を起こしたりしてしまう(笑)。


ただそれも真面目で一本気だからなんですね、頼朝を心から信じていたからこそ、裏切りが許せなかった。強い愛情の裏返しなんです。


頼朝が亡くなった後も、尼将軍として頼朝のつくった鎌倉を守らなければって、毅然(きぜん)と対応します。


当時は乳母の存在が大きくて。頼家も実朝も乳母たちに育てられたので、子供たちをとても愛しているんだけど、気持ちが伝わらない。娘の大姫には先立たれてしまいますしね。


だから政子は母親として大変哀しい人生を送ったと思います。


「草燃える」は永井路子先生の原作で、日本の歴史上珍しく波瀾(はらん)万丈な生涯を送る女性を、いろいろな面から描かれた。


そのぶん演じるのは大変だとは思ったのですが、だからこそ演じてみたいとも思ったんですね。


そういえば私、政子を演じた後、なぜか鎌倉や伊豆に行くことが多かったんです。プライベートの旅行で。伊豆に行くと落ち着くというか、懐かしい気持ちがして。


■史実解釈が斬新 三谷さんの脚本


政子のお墓や鶴岡八幡宮がある鎌倉にももちろん行きましたけど、やっぱり(北条家のあった)伊豆が落ち着くんです。当時の女性は実家を大事にしていたからかしら、不思議ですね。


「草燃える」の頼朝は石坂浩二さん、義時は松平健さんでした。石坂さんはとにかく博識で鎌倉時代や政子についてなんでも知っていらして。


「政子はとても頭の良い女性なんです」って、逸話を話してくださって、とても演じやすくしていただきました。そして源氏の棟梁(とうりょう)としての品格というか風格もあって、頼朝にぴったりでした。


松平さんは時代劇がとてもよく似合う方だと思いました。最初は若々しい義時も、どんどん年を経て老獪(ろうかい)になっていきます。それに合わせて松平さんも髭(ひげ)を白くして声のトーンを落として、見事に老け役を演じていらっしゃいましたね。


今放送している「鎌倉殿の13人」も、毎週欠かさず見ています。


三谷幸喜さんの脚本は「政治の現実を捉えている」と感心して見ています。かつ現代的ですよね。北条家の面々が家族で言い合ったりするところや、くすっと笑わせてくれるところなど、さすがです。史実にあったシーンでも三谷さんなりの解釈で描かれている。そこが三谷さんならではで、おもしろいです。


「草燃える」になかったシーンも印象に残りました。義時がひたすら八重さんを思って、やっと結ばれたでしょう。ああ、よかったなーと思って(笑)。ああいった三谷さんが創作された部分も斬新です。


小池栄子さんの政子も、とても素敵。頼朝への愛がいっぱいで。嫉妬するところも小池さんが演じると、かわいくて応援したくなります。


私が演じた政子の映像も見ていただいたみたいですが、気にしないでほしいと思います。小池さんなりの政子をつくればいいんですから。これから尼将軍の演説シーンもあるし、子供たちに先立たれてしまう悲劇も待っているけれど、小池さんならきっと魅力的に演じられると思います。


これからも視聴者として、三谷さんのつくり出すお話と小池さんの政子を拝見することを、楽しみにしています。


(聞き手 本誌・工藤早春)


※週刊朝日  2022年5月27日号





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