DX時代のコンサートホール:配信ビジネスの本命・5G時代のライブストリーミング [コンサートホール&オペラハウス]
ライブストリーミング、ライブ配信の世界は、なにもコンサート、エンタメ業界のことだけではないのである。報道・ニュース現場配信、講演や会議配信、スポーツ観戦、遠隔医療・・・もうありとあらゆる数えきれないほどの日常生活、仕事現場での可能性があって、これから必須のビジネスになっていくものと思われる。
そのためには従来の有線以上に、無線インターネットである必要性があることがわかってきた。
安定したネットワーク品質はやっぱり有線という認識が古くから自分の頭の中にあるのだが、正直ショックである。IoT,遠隔医療など、自分の趣味のエンタメ業界のこと以外の分野でも、やはり無線じゃないと実現無理なのだということが、理解できてきた。自分の仕事のカービジネスの自動運転でもそうだ。無線であることが前提条件、そしてエッジコンピューティングである。そんな未来を語るうえで5Gをようやく今さながら自分で勉強した。
世間の流れ話を耳にするのではなく、自分で理解することが重要である。来たる5G時代にあわせて、未来のライブストリーミングを語ってみようではないか。
5Gの高速・大容量・低遅延の次世代移動通信のデータ通信を活用すれば、家庭でのライブ鑑賞だけでなく、コンサートホールやオペラハウスでステージ上で繰り広げられる演奏やオペラ演劇を楽しむライブ鑑賞の楽しみ方も拡張してくれる。
究極は、コンサートホールやオペラハウスをそのまま持ってきて自宅にその空間を再現して鑑賞することだ。
もう配信は実演より劣るとは言わせない。技術はかならず追いつくのである。
5Gで急成長するライブストリーミング配信サービス。ライブストリーミングというビジネスは、5Gの到来があって初めて本格的になっていくのではないだろうか。
もちろん5Gはビジネス黎明期。最初からそんなにうまくいくわけがない。なんだ!夢のある話ばかりしていたけど、こんなもん?想像していたほどでない、とかは日常茶飯事で山ほどあるに違いない。でも時間が解決するはず。
自分は、全国津々浦々とも全部無線の5Gで網羅されるとは思っていない。そうなるのは、なかなか現実難しいのではないか、と思っている。やはり幹線の中心経路は、有線の光ファイバでないとダメで、末端のエリアを5Gで網羅するなどのハイブリッドな使い方が、やはり現実路線なのではないか、とも思っていたりする。
5G伝送は、世の中では、まだ実験の域というステージだと思う。
5Gによる映像配信技術を活用し、4K/8K、低遅延を活かした自宅にいながらライブ会場やスタジアムにいるような体験ができるライブストリーミング。
そんな夢のような5G時代のライブストリーミングの在り方、視聴の仕方としてどんな楽しみ方ができるのか。各社の開発状況をピックアップしていくことにする。
まず5Gによるストリーミング配信実験は、2019年のサッカーW杯でも実験済みである。ロシアのサンクトペテルブルグにあるクレストフスキー・スタジアムで実施されるワールドカップの第一試合が、 約600キロ離れたモスクワの「5Gゾーン」内の観衆にストリーム配信された。
また日本では、ソフトバンクとシャープが5Gでバスケ国際試合の映像を通信実験。ライブ映像を報道陣に公開・・・というのもある。
8Kカメラで撮影したものを途中有線の専用線を通すが、そのあとコンテンツDBからは5Gで飛ばし、5Gで受信してシャープの8Kテレビで映すというものである。
まさに王道中の王道の使い方というか、高画質をそのままご家庭に送れるという基本中の基本である。そのためには伝送路は太くないといけないということを証明したというところであろうか。
そういう大容量の高画質・高音質のデータが送れるという王道以外にも、5Gにはいろいろな使われ方(VR/ARとの親和性、マルチアングル多角視聴化など)がある。その実験例として以下を抜粋する。
●5Gで8K映像と立体音響技術による没入感の高いオンラインライブ映像を配信
大日本印刷やアストロデザイン、シャープ、ソシオネクスト、輝日、ドルビージャパンの6社が連携し、高精細映像と立体音響技術を掛け合わせた没入感の高い映像コンテンツの制作や、5Gによる配信インフラの構築を進めていくと発表した。
・8K映像から自分が見たい映像を切り出す
こうした、オンラインライブ配信では、画面上で全体を鑑賞しながら自分の見たい部分だけを拡大して観る楽しみ方もいろいろと考えられている。8Kカメラで撮影した高精細映像ならば、映像の劣化なしに高画質の切り出し動画が作成できる。
例えば、実際にアイドルグループのライブ会場に行くと、グループ全員の歌やダンスだけではなく、自分が推しているメンバーの動きだけを個別に追うという楽しみ方が当たり前だ。韓国の公営放送局「韓国放送公社(KBS)」は、独自に開発したAI顔認識切り出し用ソフトとアストロデザインの8Kカメラシステムを組み合わせ、1台のカメラで撮影したK-popアーティストの映像から、切り出し映像を制作するシステムを構築した。
●ハロウィーンはオリジナルアバターを使ってバーチャル渋谷で楽しむ
今や、若者の街として世界的にも高い知名度を誇り、国内外から多くの観光客が訪れる渋谷では、KDDIが渋谷区観光協会らとともに、区が推進する創造文化都市事業への貢献を目的とした「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」に取り組んでいる。
渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトが、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」において「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021 ~FUN FOR GOOD~」を開催。渋谷の街にいてもいなくても楽しめる、オンラインのバーチャルコンテンツを配信する。
バーチャル版のハロウィーンフェスでは、5Gの高速、大容量通信を生かしてスポーツや音楽、お笑いなどのライブをバーチャルステージで実施する他、リアルとバーチャルの融合体験として、自分自身のアバターを作成できるスマートフォンのアプリと商業施設に設置されたスキャナーから簡単に自分のオリジナルアバターを作成でき、バーチャルハロウィーン上で楽しめる。
コロナ禍でなかなか渋谷のリアルハロウィーンは参加できないと予想される中のアイデアなんですね。でも今年のハロウィーンは、すごい人ごみで今まで通りでしたよね。(笑)
5Gの世界は、VR/ARとの世界との親和性も高そうなのも魅力である。
●あらゆるアングルからの映像が見られる! 「自由視点VR」
KDDI頑張ってるよ。やっぱりauは携帯会社だから、KDDIは5Gは自分の会社を飛躍的に爆発できる時代が来る、ということで、何年も前から狙って開発していたんだね。5Gの恩恵は撮影側の映像にも大きな進化を呼び起こさせるものみたいである。
同じく5G時代を見据えた映像技術として、KDDI総合研究所が長らく研究しているのが「自由視点VR」。スポーツの試合やコンサートなどを、スマホやタブレットを使って、文字どおり自由な視点で見ることができる技術である。通常の映像コンテンツはディレクターなど制作する側が選択したカメラアングルからしか見ることができない。
ご存知のように、現在のスポーツの試合やコンサートなどには複数台のカメラが設置されており、制作側がそれぞれのカメラを切り替えている。ところが自由視点VRでは、視聴者が指で画面をなぞったりコントローラを使って、画面に映っている映像を自分の好きなアングルから見ることができてしまう。
こんな感じである。4Kカメラを16台、野球場に設置する。その4K映像×16本の画像データを自由視点映像制作サーバーを経由して、これまた専用の自由視点配信サーバーで配信する。それを5Gネットワークで配信して、5Gタブレット端末で受信する。おそらくその端末には、その自由視点専用のアプリがインストールされているのだろう。そうするとユーザーは端末側で自由にその視点を変えられるという仕組みである。専用の配信設備、専用のアプリが必要ということですね。
自由視点VRの映像は18~46秒あたり。タブレットに映し出された打者がバットを振り、一塁へ走る映像を、指でなぞることでアングルを変え、グリグリと滑らかに視点を動かしながら見ることができる様子がわかる。
このマルチアングルによる多角視聴化というのも5Gの大容量の帯域が可能になせる業である。何枚ものアングルの動画像をいっぺんに送れるだけのバンド幅があるということだ。
これはコンサートホールのステージ上の奏者のパフォーマンス、演奏ライブにも十分応用できるのではないだろうか。コンサートホール、ステージ上のいろいろな場所にカメラを設置し、いろいろなアングルで撮影した映像を5Gで送信。それを視聴する端末側で、個人の自由な操作で、自由なアングルで楽しめる。
自分のお気に入りのアーティストのみを追っかけたい場合、あるいは指揮者、もう無限の可能性がある。従来の制作者側の意図による画面のスイチッングではなく、視聴者の視点に任せるアイデアである。
あと、ドコモが、”5G時代に相応しい8KVR映像ライブ配信・視聴システムの開発”という記事もある。
その他にも、NTT Com、5G時代のライブ配信プラットフォーム「Smart vLive」--1秒未満の低遅延を実現。
低遅延。高いリアルタイム性により、双方向コミュニケーションでも違和感のないレスポンスを実現。また、シンプルな操作で利用でき、エンターテインメントやスポーツイベントなどにおいて、さまざまな角度からとらえたマルチアングル映像や音声と、SNSなど他のネットメディアを、リアルタイムに同期させることが可能だという。 同社では、1秒未満の低遅延ライブ配信が可能となる特徴を生かし、
(1)低遅延ライブ配信
(2)低遅延マルチアングルライブ配信
(3)低遅延双方向ライブ配信/パブリックビューイング
という3つの利用シーンを想定している。
総務省は5Gを活用したスポーツ観戦のイメージとして、「どこでもスタジアム」という構想を提案している。そこには、どの方向からでも観戦できる「360°パブリックビューイング」や、プレイ中の選手の情報が取得できる「カメラで撮って情報取得」などといった楽しみ方が描かれている。
あと、ローカル5Gを利用した例としてパブリック・ビューイングがある。
パブリック・ビューイングは、祝祭的なコンサートの場合、あったほうが華やかでいい。コンサートホールの近くの野外で、大スクリーンを立てて、そこにホール内のコンサートを映し出す。パブリック・ビューイングをやろうとすると、モニターの設置、機材の配置、配線など一大イベントである。そのうち信号(画像・音声・文字)伝送をローカル5Gで無線化する。
実際、実験もおこなわれている。
KDDI、stu、渋谷未来デザイン 、NHKエンタープライズは、LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂) において、映像撮影用のカメラ配線をローカル5Gに置き換えるワイヤレス映像撮影システムの実証実験を開始した。
映像撮影用のカメラの配線をローカル5Gにするワイヤレス化ということなんですね。
こうしてみると、5Gのキーフィーチャーとなりそうなのは、大容量の動画(4K/8K)・音声(立体音響技術)の伝送、低遅延、マルチアングル多角視聴化、VR/ARとの親和性ということになるであろうか。
これをどうコンサートホール、オペラハウスに結び付けるかである。
もちろん基本中の基本である大容量、すなわち高画質・高音質の動画・音声の伝送も魅力である。それによってより臨場感あふれるライブ映像が楽しめるであろう。
でもそれだけではない、
ライブストリーミングを単なる実演の代替えとして捉えない。視聴者による新しい価値観のライブの見方を提供するという点でもいろいろアイデアが豊富につまっている宝の山のように自分は思える。
もちろん、ここでは述べなかったがカー空間でのエンターテイメントも一気に豊かになりそうである。
DX時代のコンサートホールというのは、つねに全国・全世界とつながっている、コネクトの状態ということと同義なのである。ホールで味わった感動と同じレベルの感動を、全国・全世界とシェアできないといけない。
カーの世界ではコネクテッドカーというが、まさにそれに倣うならDX時代のコンサートホールは、コネクテッド・ホールなのである。ホールのあの体全身に浴びるホールの響きを、全国・全世界中の家庭内で体験できないといけない。
ホールの中は常に最高に保障された空間で、ここはいつも不変の場所。実際コンサートホールに足を運ばれたお客さんは、その空間で、まさに実演そのもの、最高の興奮・悦楽を堪能できる。
DX時代のコンサートホール、コネクテッドホールは、その感覚を、クオリティを落とさず、そのままの状態で、みんなにシェアできる機能を持つのである。
そのためにはコンサートホールはネットワーク機能を持たないといけないのである。
いままではホール空間のみで楽しんでもらっていたことを、これからは全世界に同時にシェアしないといけない。それもクオリティを落とさず、である。
インターネットを通してホールの響きを再現するのである。
5G時代のライブストリーミングというのは、そういう理想に近づくひとつのステップなのだと確信している。
情報引用元:
・Stuら4社、ローカル5Gでライブ映像をワイヤレス伝送する実証実験 コンサートホールをDX化
・NTT Com、5G時代のライブ配信プラットフォーム「Smart vLive」--1秒未満の低遅延を実現
・「カメラマンなしのスポーツ中継」をAIカメラで実現 5G通信が起こす進化がすごい
・5Gが可能にする新しいエンターテイメントの形
DX時代のコンサートホール:5G [コンサートホール&オペラハウス]
将来のライブストリーミングを語っていく上で5Gという技術がかかせないことがわかってきた。5Gは、携帯通信規格の4Gのつぎという感じで、大容量通信が可能で、世界が変わるということは認識していたが、自分でちゃんと調べていなかったので、なんとなく曖昧なイメージでしか捉えていなかった。
もちろん5Gは、自分の仕事分野であるカーの世界でも自動運転やカーでの双方向通信などでも大きな影響を及ぼすので、それなりに来るな、とは思っていたのだが、ライブストリーミングを語っていく上ではかなりキーテクノロジーになると思われる。
そこで、字数の関係もあって、5G時代のライブストリーミングの前に、5Gとはどんな規格なのか、ということで別途わけて、5Gだけで、ひとつの日記としたい。
5Gとはそもそもどんな技術なのか。5G時代が到来すると、どんなことが実現できるようになるのか。
まず、そこを紹介したいのだ。
情報引用元:
・5Gとは? 実用化でできることを簡単に解説
・もっと知りたい5Gのこと。「パブリック5G」「ローカル5G」「プライベート5G」
・「プライベート5G」とは?ローカル5G、パブリック5Gとの違いも徹底解説
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことで、「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴がある。日本では2020年春から商用サービスがスタートし、次世代の通信インフラとして社会に大きな技術革新をもたらすといわれている。
VR、遠隔医療、ドローン制御、自動走行など計74件のユースケースがあるそうだ。IoT,DX実現の基盤として注目されている技術なのだ。
まず最初に、携帯電話、つまり移動通信という技術の変遷、歴史を整理してみよう。1G~4G、そして5Gである。自分は1Gの時代から携帯電話使ってましたよ。自分が初めて買って使った携帯電話メーカーはNOKIAでした。(笑)でっかい端末でした。
●5Gの3つの特徴とその仕組み
①高速大容量
「高速大容量」の鍵となるのは、「Massive MIMO」というアンテナ技術である。これは、複数のアンテナを使った無線通信技術「MIMO」を発展させたもの。高周波数帯において、数十から数百のアンテナ素子を使用し、データを送信する。これに、電波を細く絞り、特定の方向へ集中的に発射する技術「ビームフォーミング」を組み合わせる。電波の強度を上げ、遠距離での高速通信を実現するためである。
国際電気通信連合による最大通信速度(下り)の目標値は20Gbps。2010年当時の4Gと比較すると約100倍、2019年春にスタートしたNTTドコモ「PREMIUM 4G」と比較しても約20倍の速さである。
高速大容量の通信が実現すれば、4K・8Kなど高精細な動画のライブ配信、オンラインでの在宅医療、AI解析を用いた高精度の警備システムなどが期待できる。
下り回線速度、20Gbpsですよ!!!4K/8Kの動画がすいすい送れるのを納得です。これが実現できればライブストリーミングの世界は夢の世界へと突入できますね。
②高信頼・低遅延通信
「高信頼・低遅延通信」の鍵となるのは「エッジコンピューティング」である。これは、デバイスとサーバーの物理的な距離を縮め、通信時間を短くする技術のこと。通常の通信は、デバイス→基地局→インターネット→クラウドサーバーの流れでコンテンツにアクセスし、逆の流れでダウンロードする「クラウドコンピューティング」が主流である。それに対し、エッジコンピューティングは、デバイス→基地局→基地局の近く(エッジ)に設置したサーバーと通信経路が短いため、リアルタイム性を確保できる。
現在、欧州電気通信標準化機構(ETSI)が標準化を進めている規格が「マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)」。これはスマートフォンだけでなく、IoTデバイスや自動車を含むマルチなモノとの通信を考慮した技術である。
このように、高い信頼性が必要になる遠隔制御、遠隔医療の分野では、低遅延通信の技術がキーテクノロジーとなる。
現状のライブストリーミングの最大の欠点は、遅延ですよね。生配信、生ライブストリーミングのときにタイムラグがありますね。これはいまのネットワーク事情では仕方がないことなのかな、とも思ってました。5Gの恩恵は、この低遅延のメリットは大きいですね、これは大きいです。
エッジコンピューティングというのがキーテクノロジーです。トレンドと言っていいですね。カーの自動運転はこのエッジコンピューティングでないと成り立たないです。クラウドを通していては、瞬時のときの判断として危険です。
③多数同時接続
「多数同時接続」の鍵となるのは「グラント・フリー」という技術である。これは、デバイスと基地局の通信をシンプルにし、デバイスの同時接続数を多くするというもの。
通常、デバイスと基地局で通信を始める場合には、利用する周波数や利用時間のやりとりが行われる。その後、基地局が事前許可(グラント)を発行。デバイスは、基地局から許可された方法でデータを送信する。一方、グラント・フリーでは基地局の事前許可なしにデータを送信できる。これによって通信の混雑を回避し、1つの基地局に多くのデバイスが同時アクセスできることに。送信失敗のリスクも発生するが、再送信の仕組みも含めて設計されている。国際電気通信連合による同時接続の目標値は100万デバイス/㎢。4Gでは10万デバイス/㎢だったため、10倍のデバイスが接続可能になる。スタジアムやライブ会場でスマートフォンを快適に使えることはもちろん、身の回りのさまざまなモノがインターネットに接続するIoT時代には欠かせない要件なのである。
これもライブストリーミングにとっては欠かせない条件ですね。野球場のスタジアムやライブ会場でたくさんの人のスマホやタブレットの端末にきちんとつながることがスムーズになるのですから、もう快適になることは間違いないです。
現在の4Gと5Gの違いを整理してみました。
このほか、5Gを支える技術には、用途に応じてネットワークを分割する「ネットワークスライシング」が挙げられる。
今後はスマートフォンやPCだけでなく、IoTデバイス、自動車などあらゆるモノがネットワークに繋がる。そのなかには、大容量が求められるもの、低遅延が重要なものなどが混在しており、すべてを同じように通信するのは非効率的である。そこで用途に合わせてデータを送る単位を変更し、ネットワークを仮想的に分割(スライス)するのがネットワークスライシングである。自動運転であれば高信頼・低遅延のネットワーク、4K・8Kストリーミングであれば高速大容量のネットワークなど、内容ごとに適切なネットワークを利用し、スムーズな通信を実現する。このように、5Gはさまざまな技術によって成り立つ。
それが、人々の生活をより良いものへと変革するDXの基盤となるのである。
国内の5Gの利用形態は、通信事業者がサービスを提供する「パブリック5G」、企業や自治体が独自にネットワークを構築する「ローカル5G」が主流でした。近頃では「ローカル5G」と「パブリック5G」の中間に位置する「プライベート5G」も注目を集めている。
●パブリック5G
「パブリック5G」は、通信事業者が全国にサービスを提供する5Gネットワークを指す。一般的に5Gと呼ばれるのが、このパブリック5Gである。2020年3月からドコモ、au、ソフトバンクといった大手通信事業者によって、国内サービスが開始した。
パブリック5Gは大容量のデータを高速通信で送受信できるのが、大きな特徴。5Gを導入することで、高画質な動画視聴やライブ配信などが可能となるであろう。
通信の遅延も4Gの1/10まで抑えられるので、自動車の自動運転やロボットの遠隔操作などでも活用が期待されている。基地局から端末への通信の仕組みも、4Gに比べると非常にシンプルなので、多数のデバイスを同時接続できるというメリットもある。これらの特徴により、5G時代にはIoTの発展が加速すると期待されているのだ。
パブリック5Gというのは、要は通信会社がそれぞれ5Gの基地局を全国に展開していって、全国的な通信網を設けていこうということなんだな。いままでの携帯4Gと同じ発想です。基地局を全国に設備するのは、やっぱり時間かかるし大変だけど、いままでは4Gの基地局に5Gの設備も一緒に、というハイブリッド方式から、5G単体の基地局へ、と新しいフェーズに進んでいるようだ。
●ローカル5G
「ローカル5G」は、企業や自治体が独自に構築する5Gネットワークを指す。非常にエリアが限定される反面で、パブリック5Gネットワークの混雑などの影響を受けない。また外部ネットワークとは完全に独立しているので、セキュリティ性の高いネットワークが構築できるのである。
自分は、このローカル5Gにはとても注目していて、そもそもの発端は、自分のマンションの光ファイバの通信速度の遅さであった。全国のマンションなどの光ファイバは、建物の外までは100Mbpsの大容量で来ているのかもしれないが、そこから各部屋に分配されるときは、ADSLやXDSLなどの旧技術で配線されていることがほとんどなのだ。
だから外まで100Mbpsで来ていても、各部屋に分岐されたら、せいぜい30Mbpsくらいにダウンしてしまう。だからもうADSLやXDSLはやめて、光ファイバをDTTH(Direct To The Home)で直結してほしい。もうここからは大家さん次第なんですね。その工事には莫大な費用が掛かる。自分はそれにずっと悩んでいたのでした。
そこでローカル5Gの情報を知った。
ローカル5Gは、建物の外まで100Mbps,1Gbpsなどの大容量の光ファイバで来ている回線を各部屋には5Gの無線ネットワークで送ろうという試みだ。そうすれば各部屋の工事はそんなに少なくて済む。こりゃいいや、と自分は思ってしまった。ローカル5Gはこのように局所的に5Gのネットワークを構築することを言う。
ローカル5Gは独自にネットワークを構築するので、まだパブリック5Gのカバーが追い付いていないエリアでも、5G通信が利用できるのである。5Gが持つ高速・大容量・低遅延・同時多接続といった利点を、自社専用のネットワーク環境で実現できるのである。主に製造現場や農業現場など、限られたエリアで役立つことが期待されている。
パブリック5Gとローカル5Gの違いはこのようにまとめることができる。
ここに来て、プライベート5Gというのができてきた。
「プライベート5G」は、企業や自治体の敷地内に必要な帯域、必要な容量の5Gネットワークを提供する通信事業者のマネージドサービス。ちょうど「ローカル5G」と「パブリック5G」の中間に位置すると考えていい。日本国内においては、2022年度にソフトバンクが提供を開始する予定となっている。ローカル5Gを構築するには、国が指定する無線局免許を取得し、自社で運用しなければいけない。しかしプライベート5Gは、ローカル5Gとは異なり、無線局の免許を取得する必要がない。通信事業者が企業・自治体の敷地内に基地局を設置し、保守運用を担ってくれる。手間やコストがかからず、5Gネットワークの構築に関する専門知識も不要である。
これはいいですね。ローカル的なエリアに5Gネットワークを構築したい場合は、ハードル、敷居が低くなりますね。
●5G環境で実現できることは?
5Gが普及すると、これまで不可能だったことが可能になり、我々の生活やビジネス、社会に大きな変化が起きると考えられる。ここでは、5Gが活用されうるケースを紹介する。
①4K・8Kのライブ配信
5Gの「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」は、4K・8Kをはじめとする高精細な映像のライブ配信を実現する。自宅で視聴しているユーザー、スタジアムのような広い会場にいる観客に、迫力ある映像を配信することができる。
②没入感の高いVR・AR体験
VRやARを含む「XR」は、大幅なクオリティアップが期待される分野。ヘッドセットを装着すれば、最前列にいるような感覚で音楽ライブを楽しめたり、任意のアングルでスポーツを観戦できたりする。圧倒的な没入感により、新たな視聴体験を生み出すであろう。
③スポーツ観戦の多角化
5Gを活用したスポーツ観戦は、各通信会社がすでに実証実験済みである。KDDIはプロ野球公式戦で、NTTドコモはラグビーワールドカップ2019日本大会で、観客が多視点かつリアルタイムで試合を観戦できるサービスを提供した。総務省は、スポーツ観戦のアップデートによる経済効果は約2373億円にのぼると見込んでいる。
④遠隔技術の活用
遠隔技術を要する分野では、5Gの「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」が重要になる。医療分野では、遠方にいる医師が手術中に助言する「遠隔手術支援」が進むであろう。また、将来的には、現場の医師ではなく、遠方にいる医師が「遠隔手術」できる日がくるかもしれない。建築現場や災害復旧現場でも、ショベルカーなどを遠隔操作し、確実で安全な施工を実現することができるであろう。
⑤自動運転の推進
もっとも期待されている5Gの用途の1つ、それが自動運転である。ネットワークに繋がった「コネクテッドカー」は、車両の状態や歩行者の位置、交通状況、デジタル地図「ダイナミックマップ」などの情報を常時サーバーと通信。非常時のハンドル制御や隊列走行によって、交通事故・交通渋滞は低減すると考えられている。
⑥IoT化の加速
「多数同時接続」が可能な5Gによって、IoT化は加速していく。医療分野では複数の医療機器や院内設備が、農業では気象や土壌、生育センサーなどがインターネットに繋がり、膨大なデータを収集。それをAIが解析することで精度を上げる。商業施設では、客の導線分析をマーケティングに活用したり、リアルタイムの在庫管理・自動発注なども可能になる。
⑦働き方改革の推進
働き方改革の1つである「柔軟な働き方がしやすい環境整備」には、5Gの活用が欠かせない。「高速大容量」通信により、あたかも同じ空間にいるような感覚でビデオ会議を行ったり、大容量のファイルをスムーズに共有したりできるので、リモートワークが一般化していく。これにより、仕事と出産、育児、介護などを両立しやすくなるでしょう。
まとめます。
5Gは夢がありますね。技術の世界の端くれにいる自分にとって、これはあまりに刺激的です。衝撃でもありました。
やっぱり自分で理解しないとダメですね。ただ単に世間で流れている話をそのまま耳にするだけでは、実感がわかないですね。
自分で勉強してみて、自分で理解してはじめて頭がPLLロックするというか、よっしゃ~という気になりますね。無線ネットワークがこんなに凄いことになってしまうと、いまの有線のIPインターネットはどうなってしまうんだろう?と心配してしまいます。
自分がなるほどなぁ~と思ったのは、5Gがあたりまえの世界になることで、IoTの世界も見えてくるということです。IoTの世界を実現させるのに、有線ネットワークじゃありえないですよね。(笑)IoT=無線インターネットが前提なのでした。
しかし、4K/8Kの動画配信、低遅延、VR/ARとの親和性、マルチアングルの視聴の多角化。こ~れは美味しいですね。まさに未来のライブストリーミングの姿はここにありますね。5Gの時代が到来して、はじめてライブ配信の世界は、普及するのではないでしょうか。
いまはまだ黎明期なんですよ、きっと。技術が普及するのに20~30年はまずかかりますから。技術はかならず追いつくのです。配信は、実演より劣る、臨場感がなくてダメだといって相手にしない人もいますが、どんどん差は縮まっていきますね。
自分が拘るオーディオの世界でも、5G時代が到来すると、立体音響技術、3Dオーディオなんかも配信で容易く可能になりますね。映像が8K/4K、そして音声がDolby Atmos/Auro-3Dなんて夢がありますね。
では、次章で、そんな究極の理想形である5G時代のライブストリーミングについて語っていきましょう。